業務委託の契約書を行政書士に作ってもらう費用は、業界団体の統計で3万円台が最も多い価格帯です。外部のマーケターに初めて仕事を頼む段階では、自作で済ませるか士業にお金を払うかを決める材料が少なく、迷う方が多いところです。金額の統計があるのは行政書士だけで、弁護士・作成サービス・確認だけの依頼は、見積もりで総額と範囲を確かめる形になります。
この記事では、用意の仕方ごとの費用と範囲、士業に頼むかの決め方、見積もりで確かめる項目、フリーランス法と取適法で書面に要る事項、印紙税などの別の出費を扱います。読み終えたときに、契約書にかける費用の上限と依頼の出し方を決められます。
契約書の用意の仕方ごとの費用と含まれる範囲

この記事の法律と税の記述は一般的な情報で、個別の事案への法的助言ではありません。自社の取引に当てはめた判断は、弁護士などの専門家に確かめてください。
用意の仕方は5つあり、数字で比べられるのは行政書士の報酬だけです。残りは「何が含まれるか」で比べると選びやすくなります。
| 用意の仕方 | 費用 | 含まれるもの | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 自作 | 社内の作業時間 | 修正・相談なし | 条件が単純な単発の発注 |
| 公的なひな型 | 無料で入手できる | 埋めるのは自社 | 法令に沿った型が欲しい |
| 作成支援サービス | 料金表で確かめる | 型の選択と反映まで | 定型の契約を社内で回す |
| 行政書士 | 3万円台が最多 | 代理を含む作成と相談 | 条件が合意済みの新規作成 |
| 弁護士 | 見積もりで確かめる | 作成から交渉・紛争対応まで | 揉めている・揉めそうな取引 |
費用の差は、後で揉めたときに誰が対応するかの差でもあります。
自作やひな型と作成支援サービスの費用の考え方
自作とひな型は外に払うお金がほぼかからない代わりに、取引に合っているかの確認を自社で負います。作成支援サービスは、型を選んで埋める道具として選びます。
公正取引委員会は、取適法とフリーランス法が適用される前提の注記を入れた契約書のひな型を公開しています。支払期日の書き方など、法令が求める部分を見比べる起点になります。
作成支援サービスについては、令和5年8月の法務省のガイドラインが目安になります。利用者が項目を入力・選択し、登録済みのひな型が選ばれて反映されるだけなら、通常は弁護士法72条の問題にならないとされます。個別の事情を法的に処理して契約書を示す形や、項目・選択肢が極めて細かく実質的に自由な入力と変わらない形は該当し得るとしています。令和8年8月には、この考え方を変えずに判断の分かれ目を補う版も出ています。サービスで作れるのは定型の範囲までで、取引に合わせた条文の調整は士業の仕事です。料金表では、作った後の修正の範囲を見ておきます。
行政書士の報酬の公的な統計
行政書士に契約書の作成を頼む報酬は、5万円未満に7割強が収まります。予算の上限は5万円前後に置いて見積もりを取り、それを超えるときは理由を聞くと判断を誤りにくくなります。
日本行政書士会連合会の報酬額の統計のうち、令和7年度報酬額統計調査(2026年1月実施)の「契約書作成」は、回答370件で平均39,406円、最頻値33,000円でした。3万円未満が44.6%、5万円未満が73.2%、8万円以上が10.3%です。金額は消費税込みで、立替金を含みません。
弁護士に作成を頼む場合の費用の確かめ方
弁護士の契約書作成の費用には、公的な現行の統計がありません。金額は見積もりで確かめ、その代わりに交渉や紛争対応まで同じ相手へ続けて頼めるかを比べます。
日本弁護士連合会の説明では、弁護士の費用は個々の弁護士が基準を定めるもので、標準の小売価格のようなものは無いとしています。契約書の作成は、争いのない事務的な手続に払う「手数料」に当たり、実費は別にかかります。依頼する前に総額でどの程度かかるかを確かめるよう、日弁連自身が呼びかけています。
複数の見積もりを並べるときは、手数料の額だけでなく、作成後の修正と相手とのやり取りがどこまで入るかを同じ表に書き出してから比べてください。
行政書士と弁護士で頼める範囲の違い

争いのない契約書の作成は、行政書士にも弁護士にも頼めます。相手と揉めていて交渉や和解が要る段階に入ったら、弁護士の領域です。依頼先は、取引がいまどちらの段階にあるかで選びます。
行政書士が作成できる契約書の範囲
条件が相手と合意済みで、それを書面に落とすだけなら、行政書士への依頼で足ります。
行政書士法第1条の3は、官公署に出す書類や、権利義務・事実証明に関する書類などの作成を行政書士の業務とし、ほかの法律で制限されている業務は行えないと定めています。第19条は、行政書士でない人が報酬を得てこの業務を業として行うことを、他の法律に定めがある場合などを除いて制限しています。
日本行政書士会連合会の契約書の案内によると、行政書士は契約締結を代理したうえで契約書類を作成でき、トラブルについて協議が整っている場合の合意書や示談書も作成します。業務の説明では、権利義務に関する書類の作成は代理人としての作成を含み、相談にも応じるとしています。
弁護士でなければ扱えない紛争性のある交渉
すでに起きた揉め事を話し合いで収める段階は、弁護士に頼みます。
弁護士法第72条は、弁護士でない人が報酬を得る目的で、法律事件について鑑定・代理・和解などの法律事務を扱うことや、その周旋を業とするのを、他の法律に別の定めがある場合などを除いて禁じています。
どこからが法律事件に当たるかについて、法務省は、取引の当事者間で紛争が起きた後に裁判外で解決して和解契約などを結ぶ場合は「事件性」が認められ得るとしています。継続取引の基本契約を結んでいる会社どうしが、特に紛争なく従前と同様の物品を調達する契約を結ぶ場合などは、事件性を認め難いのが通常としています。元の文書は契約書の作成を支援するサービスの提供者向けで、ここでは一般論として紹介しています。
マーケ業務なら、納品された記事やバナーの出来で揉め、報酬の減額を話し合う場面が当たり得ます。その段階では弁護士に相談してください。
士業に頼むかひな型で足りるかの判断基準

取引額で線を引く公的な基準は無いため、金額の線では決めません。どんな場面にあるかと、委託の総額に対して契約書の費用がどれくらいかの2つで判断します。
士業への依頼を考えたい5つの場面
次の5つの場面は、頼む先と頼むことが場面ごとに決まります。当てはまる数ではなく、当てはまった場面の行で動いてください。
| 場面 | 頼む先と頼むこと |
|---|---|
| すでに揉めている・揉めそう | 弁護士に、交渉を含めて相談する |
| 相手から契約書を渡された | 行政書士か弁護士に確認を頼む(折衝まで任せるなら対応できるかを先に確かめ、揉めているなら弁護士) |
| 従業員のいない個人や一人法人に頼み、フリーランス法がかかる | 行政書士に作成か確認を頼み、書面の要件を満たしているかを見てもらう |
| 初めての種類の取引 | 行政書士に作成か確認を頼む |
| 同じ相手や複数の人に継続して頼む | 行政書士に基本契約を作ってもらい、個別の発注は社内で回す |
どれにも当たらず、単発で条件が単純な発注なら、公的なひな型を自社で埋めれば足ります。士業への依頼は、次の発注で条件が複雑になったときまで見送ってかまいません。
ひな型のままで起きやすい取引とのずれ
ひな型は平均的な取引を想定しているため、マーケ業務の委託では次の4点がずれやすくなります。使う前にこの順で見直してください。
- 法改正の遅れ: 2024年11月施行のフリーランス法、2026年1月施行の取適法より前に作られた型は、法律の名前や当事者の呼び方が古いままで、取適法で禁じられた手形払いの記載が残っていることもあります。
- 業務の実態との食い違い: 広告運用を頼むのに、広告アカウントの管理権限を誰が持ち、終了時にどう返すかの定めが無い型があります。
- 言葉の定義の曖昧さ: 「成果物を納品する」とだけあり、記事の初稿か修正後の公開版かが決まっていないと、検収のたびに解釈が分かれます。
- 相手に有利な条項: 記事やクリエイティブの権利が受託側に残る定めのまま使ってしまう例があります。


契約書の費用が委託総額に占める割合
計算の例には、当社(SOKKIN MATCH)の事務局に2026年9月に聞いた値を使います。広告運用・SEOとコンテンツ制作・SNS運用・リード育成の4つの領域で、頼む費用はどれも月15〜30万円の幅でした(同じ回答では、1人が引き受けられる時間は週10〜20時間で、人による差が大きいとされています)。この幅の両端の月額と、行政書士の報酬の最頻値33,000円で割合を出したのが次の表です。
| 月額の委託費 | 3か月 | 12か月 |
|---|---|---|
| 15万円 | 7.3%(総額45万円) | 1.8%(総額180万円) |
| 30万円 | 3.7%(総額90万円) | 0.9%(総額360万円) |
同じ費用でも、3か月の委託では総額の3.7〜7.3%、1年続く委託では0.9〜1.8%です。短く単純な委託ほどひな型を自社で整える方が割に合い、長く続く委託ほど士業への費用は相対的に小さくなります。妥当な割合の線は無いので、自社の月額と期間を式に入れて決めてください。
費用が変わる要因と見積もりの取り方

契約書の費用は、条文の量や取引の特殊さで大きく動きます。金額の幅を覚えるより、総額が読める形で見積もりを取る方が、予算を決める役に立ちます。
作成費用を押し上げる契約の中身
見積もりが上がりやすいのは、契約の中身が複雑になる次のような場合です。
- 条文の数が多い(業務の範囲や成果の基準を細かく決める)
- 業界に特有の取引条件がある
- 当事者が3者以上になる、または再委託を認める
- 相手と条件をすり合わせる作業が入る
見積もりを頼む前にまとめておく取引の前提
見積もりの精度は、最初に伝える取引の事実で決まります。伝えるのは次の4つです。
- 仕事の性格: 広告運用のように作業の遂行を任せるのか、記事制作のように記事という成果物を納めてもらうのか。性格が違うと、契約書の型も印紙税の扱いも変わります。
- 回数: 1回限りの発注か、毎月続く委託か。
- 相手: 個人事業主か法人か、従業員や代表者以外の役員がいるか。従業員を使わない個人と、代表者以外に役員がおらず従業員を使わない法人には、フリーランス法の書面の要件がかかります。
- 期間: いつからいつまでか、更新するか。
この4つを1枚のメモにまとめて渡すと、事務所ごとの見積もりが同じ前提で出てきて比べやすくなります。

見積書で確かめておきたい項目
| 項目 | 確かめる中身 |
|---|---|
| 頼む範囲 | 作成だけか、相手とのやり取りまで含むか |
| 報酬の算定方法 | 1通の定額か、時間単位か |
| 支払時期 | 着手時か、納品後か |
| 修正の回数と期間 | 何回まで、いつまで追加料金なしで直せるか |
| 途中でやめたときの精算 | どこまで進んだらいくら払うか |
| 実費 | 郵送費などが別にかかるか |
| 総額 | 上をすべて足した金額 |
この項目は、日弁連の規程が定める見積書・委任契約書の記載事項と重なります。日本弁護士連合会の弁護士の報酬に関する規程は、報酬基準を事務所に備え置くことを定め、依頼しようとする人から申出があれば報酬見積書の作成と交付に努めるとしています。受任したときの委任契約書には、範囲・報酬の算定方法・支払時期・途中で終わった場合の清算方法などを書くとしていますが、法律相談や簡易な書面の作成などでは委任契約書を作らなくてよいとされています。委任契約書を交わさない依頼になったときは、見積書やメールで範囲と総額を残しておいてください。行政書士にも、事務所の見やすい場所に報酬額を掲示する義務があります(行政書士法第10条の2)。
確認だけを頼む場合の費用の考え方

契約書の確認だけを頼む費用には、公的な金額の統計がありません。作成より安いと決めつけず、どこまでの作業が入るかを見積もりで確かめてから頼みます。
新規作成と内容確認で変わる作業の範囲
確認の作業は、誰が作った契約書かで中身が変わります。
自社で作った原案の確認なら、自社の取引に合っているかを読み、足りない条文を足すのが中心です。相手から渡された契約書の確認では、自社に不利な条項を探し、修正案を作り、相手にどう返すかまで考える作業が加わります。
中小機構のJ-Net21は、相手から提示された契約書の内容を行政書士がチェックし、助言することで、契約で生じうるリスクを理解し軽減できると説明しています。
確認の見積もりで聞いておくこと
確認の見積もりでは、次の3つをそのまま聞いてください。答えがあいまいな見積もりは、後から費用が足されやすくなります。
- 「この確認は、法律相談料と手数料のどちらで計算しますか」
- 「修正案の文面まで作ってもらえますか、それとも指摘だけですか」
- 「相手から再修正が来たとき、何往復までこの金額に含まれますか」
日弁連は、法律相談料と手数料を別の費用の種類として説明しています。どちらの扱いかを見積もりで確かめてください。往復の上限が決まっていない見積もりなら、1往復ごとの金額を書いてもらってから比べてください。
フリーランス法と取適法で書面に必要な事項

従業員を使わない個人や、代表者以外に役員がおらず従業員を使わない法人に業務を委託すると、フリーランス法により、取引の条件を書面か電磁的方法で示す義務がかかります。取適法(正式名称は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」)も、取引の種類と資本金などの条件に当たれば明示が要ります。旧名称の下請法で覚えている方も、現在はこの名前です。
フリーランスへの発注で明示する内容
フリーランスのマーケターへの発注では、契約書という名前でなくても、決まった事項を書面か電子メールなどで示せば足ります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象になる相手 | 従業員を使わない個人、代表者1人だけで従業員を使わない法人 |
| 明示の方法 | 書面か電子メールなどの電磁的方法(第3条)。口頭は不可で、書面の名前は問わない |
| 明示する事項 | 給付の内容・報酬の額・支払期日など、規則が定める項目 |
| 支払期日 | 給付を受け取った日から60日以内で、具体的な日を定める(第4条) |
| 1か月以上の委託 | 受領の拒否や報酬の減額などの禁止行為がかかる |
| 6か月以上の継続的な委託 | 解除や更新しないときは30日前までに予告する(第16条) |
表のうち支払期日・禁止行為・予告の3行(第4条・第5条・第16条)は、従業員を使う発注者か、役員が2人以上いる法人の発注者にかかります。第3条の明示は、従業員のいない発注者にもかかります。
取適法の対象になるかの見分け方
取適法(2026年1月1日施行)の対象かは、取引の種類と、双方の資本金や従業員数で決まります(第2条)。マーケ業務でも一律には決まらないので、2段階で確かめます。
取引の種類で見る
自社のための広告運用を外に頼むのは自ら使う役務の委託なので、取適法の役務提供委託には当たりません。ただし相手が従業員を使わない個人や一人法人なら、フリーランス法はかかります。自社で使う記事やクリエイティブの制作を外へ頼む場合は、自社の広告物などを社内の部門で日頃から作っている会社だと、情報成果物作成委託に当たり得ます。発注する事業所で作っていなくても、ほかの事業所で作っていれば同じ扱いで、どの事業所でも作っていなければ当たりません。顧客から請け負った制作を外へ回す広告会社や制作会社は、社内で作っているかとは別に判断が要ります(公正取引委員会の取適法テキスト・取適法のよくある質問)。
資本金と従業員数で見る
取適法の条文では、記事やデザインなどの情報成果物の作成委託(プログラムなど政令で定めるものを除く)と、運送・保管・情報処理以外の役務の委託の場合、委託する側の資本金が5,000万円を超えるなら、相手が個人か資本金5,000万円以下の法人のときに対象になります。資本金1,000万円超5,000万円以下なら、相手が個人か1,000万円以下の法人のときです。資本金で当たらなくても、委託する側の常時使用する従業員が100人を超え、相手の従業員が100人以下なら対象になります。対象になるなら、第4条により発注の内容を書面か電磁的方法で示す必要があります。
古いひな型を使い続けるときの見直し点
数年前に作った契約書のひな型を使い回しているなら、次の3点を見直してから使ってください。
- 法律の名前と当事者の呼び方: 改正前のままになっていないか。現在の取適法では「委託事業者」「中小受託事業者」と呼びます(公正取引委員会の改正法の概要)。
- 支払期日の書き方: 「〜まで」「以内」と書くだけでは、具体的な日が特定できないため支払期日を定めたと認められません。「毎月末日締め翌月末日払い」のように日を決めます。
- 両方の法律がかかる発注: 同じ書面や電子メールで、両方の法律の記載事項をまとめて示せます。書面を2通に分ける必要はありませんが、片方の法律にしか無い記載事項も漏らさず入れます。
見直しの手本には、公正取引委員会のひな型を横に置いて比べるのが手早い方法です。
継続して複数の人に頼むときの費用の抑え方

同じ条件で何人にも、あるいは同じ人に何度も頼むなら、毎回契約書を作り直すより、共通部分を一度で済ませる方が費用を抑えられます。作り直すか共通化するかは、発注のたびに変わる条件がどれだけあるかで決めます。
基本契約と個別の発注書に分ける形
共通の条件を基本契約にまとめ、発注ごとの条件だけを発注書で示すと、士業に払う作成費用は基本契約の1回分で済みます。この形は法令でも認められています。取適法の明示に関する規則第1条第3項と、公正取引委員会のフリーランス法の規則第1条第4項は、一定期間に共通する事項をあらかじめ書面などで示しておけば、その期間の個々の発注では、あらかじめ示したところによる旨を示せば足りるとしています。公正取引委員会のフリーランス法のパンフレットは、基本契約の名称は問わず、契約書の形でなくてもよいとしています。
顧問契約を検討するときの確かめ方
顧問契約は、契約書を作る・確かめる機会が多い会社ほど検討の価値があります。金額の公的な統計は無いので、単発の依頼と同じ期間で比べて決めます。
比べ方は、1年間に見込む契約書の作成と確認の本数に単発の見積もり額を掛け、顧問料の1年分と並べるやり方です。そのうえで、次の2点を見積もりで確かめてください。
- 顧問料の範囲に、契約書の作成と確認が入るか(相談だけの範囲になっていないか)
- 範囲を超えた依頼に、割引などの扱いがあるか
本数が少なく、単発の合計が顧問料を下回るうちは、顧問契約は見送って単発で頼めば足ります。
作成費用とは別にかかる印紙税などの費用

業務委託契約書に印紙税がかかるかは一律ではなく、契約の中身が請負か、継続的取引の基本契約か、委任かで変わります。課税されるかの判断は国税庁の課税文書の説明に沿って、契約書に書かれた内容で決まります。紙で交わすなら、作成費用とは別に印紙代を見込んでください。
請負に当たる契約書の印紙税額
記事制作のように成果物を納める委託が請負に当たる場合、契約書は第2号文書になり、契約金額に応じて印紙税がかかります。令和8年4月1日現在の税額は次のとおりです。
| 記載された契約金額 | 税額 |
|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 |
| 100万円超200万円以下 | 400円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 |
| 300万円超500万円以下 | 2,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 |
| 契約金額の記載のないもの | 200円 |
5,000万円を超える段はこの表では省いています。50億円を超えるもの(60万円)までの全段は、国税庁の請負に関する契約書のページで確かめてください。
月額で決めた契約の記載金額
月額で報酬を決め、契約期間を書いた契約書は、月額に月数を掛けた金額が記載金額になります(国税庁の記載金額の説明)。委託費の割合で計算した例に当てはめると、総額45万円と90万円の契約は200円、180万円は400円、360万円は2,000円です。契約書の作成費用に比べると小さな額ですが、期間を延ばすと段が上がる点は覚えておくと見積もりの総額がずれません。最終的な判断は、税務署か税理士に確かめてください。
継続的取引の基本契約書と準委任の扱い
基本契約書や委任型の契約書は、名前ではなく中身で課税が決まります。
継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)は1通4,000円で、契約期間が3か月以内で更新の定めの無いものは除かれます(国税庁の第7号文書などの税額)。国税庁の例示には「業務委託契約書」が載っていますが、印紙税法施行令第26条は、営業者の間で請負の取引を継続して行うために共通の取引条件を定める契約書や、売買に関する業務などを継続して委託する契約書に範囲を絞っています。名前だけで4,000円と決まるわけではありません。
電子契約や郵送と社内確認の手間
電子契約で交わす電磁的記録には、国税庁の考え方では印紙税がかかりません。質疑応答事例は、印紙税の対象は課税物件表に掲げる文書で、電磁的記録は文書に含まれないとしています(国税庁の質疑応答事例。事例は注文請書を電子メールで送る場合)。
一方で、電子契約に切り替えたり紙で郵送したりすると、別の費用がかかります。見積もりの総額には次の項目も足して比べてください。
- 電子契約サービスの利用料
- 紙で交わす場合の郵送費
- 社内で内容を読み、承認を回す担当者の時間
印紙代が浮いても利用料が上回ることがあるので、年間に交わす契約書の本数で比べると判断が付きます。
まとめ
契約書の費用を数字で比べられるのは行政書士の報酬だけで、弁護士や確認だけの依頼は見積もりで総額と範囲を確かめます。用意の仕方は取引の場面で選び、見積書は範囲から総額までの項目で読みます。従業員のいない個人や一人法人に頼むならフリーランス法の明示事項を書面に入れ、印紙税は契約の中身で変わる点を押さえてください。
士業に契約書を作ってもらっても、契約の中身と結果の責任は発注した自社に残ります。次の発注の前に、まず手を付けておきたいのは次の3つです。
- 頼む予定の委託について、仕事の性格・回数・相手・期間を1枚のメモにまとめる
- 月額と期間を割合の式に入れ、契約書にかける費用の上限を決める
- 手元のひな型の支払期日と法律の名前を、公正取引委員会のひな型と見比べる
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