兼任や退職で広告運用のリソース不足に陥ったら、何がどれだけ足りないかを週あたりの時間で数え、その大きさと緊急度で埋め方を選びます。
足りないのは人の数とは限らず、時間やスキル、予算のこともあります。不足が週に数時間なら業務の絞り込みや自動化で埋まり、それを超えるなら育成・採用・外部への依頼を組み合わせます。どの手段を選んでも、目標と予算の判断は社内に残します。
この記事では、不足の見分け方、不足時間の計算式、6つの手段の比べ方、費用と着手までの期間の調べ方、上司への説明の組み立て、今週の最初の一手までを順に扱います。
広告運用のリソース不足で起きること

広告運用のリソース不足は、人の数だけの問題ではありません。時間・スキル・予算のどれが欠けても運用は回らなくなり、放置するほど成果は少しずつ落ちていきます。まず症状と不足の種類を押さえ、自社がどの状態にあるかを見分けます。
回らない運用に出る症状
運用が回らなくなると、毎日の配信は動いていても、成果を伸ばすための作業から順に止まります。次の3つのうち2つ以上に心当たりがあれば、不足はすでに成果に響き始めていると見てください。
- 検索語句の確認やクリエイティブの更新が後回しになり、無駄なクリックや広告の見飽きが放置されている
- 予算と入札の微調整だけが続き、訴求や配信先を変える検証が止まっている
- 媒体の新機能や仕様変更を追えず、使える手を使わないままになっている
配信が止まらないぶん、損失は目に見えにくくなります。改善が止まった月は、本来取れたはずの問い合わせを取り逃がしている状態で、その期間が延びるほど差は積み上がります。
足りないものの4つの種類
足りないものは、人手・時間・スキル・予算の4つに分けられます。どれが欠けているかで効く手段が変わるため、最初に種類を特定します。
| 種類 | 何が足りないか | 足りないときの典型の状態 |
|---|---|---|
| 人手 | 運用を担う人の数 | 担当者が1人で、休むと運用が止まる。退職や異動で引き継ぐ相手がいない |
| 時間 | 担当者が運用に割ける時間 | 他業務と兼任で、運用に触れるのは週に数時間だけ |
| スキル | 成果を伸ばす判断の力 | 設定や入稿はできるが、数字が悪化した原因を特定して打ち手を決められない |
| 予算 | 運用の担い手に払える費用 | 広告費は確保できても、運用する人や外部に払う費用が出ない |
人手と時間の不足は量の問題で、スキルの不足は質の問題です。量の不足に人を足せば作業は回りますが、判断の質は上がりません。SEOやSNS運用など、ほかの運用業務にもこの4つはそのまま当てはまります。
自社の不足の見分け方
手が足りないように見えて、原因が判断の不足や依頼先との関係にあることがあります。人を足す前に、作業が終わらないのか、何をすべきか決められないのかを分けます。
ある事例では、マーケティング担当者が1人で全領域を兼任して手が回らず、広告は代理店の言うとおりに進めるしかない状態でした。作業の量と、提案の良し悪しを決める判断の両方が足りない型です。
代理店に頼んでいた広告運用を個人への業務委託に切り替える会社では、きっかけに担当者の質やコストが挙がることもあります。不足の正体が人数ではなく、担当者との合い方や費用の重さにある型です。
作業が期限までに終わらないなら人手か時間、報告を受けても次の打ち手を決められないならスキルの不足です。提案に納得できないまま費用だけが出ていくなら、人を足す前に依頼先の担当者と体制を見直します。問うべきは代理店という頼み方ではなく、担当者と体制が自社に合っているかです。
足りない運用時間の数え方

不足は「忙しい」という感覚ではなく、週あたりの時間で数えます。時間に直すと、絞り込みで足りるのか人を足すべきかが数字で分かれ、上司にも同じ物差しで説明できます。
日次と週次と月次の業務の洗い出し
まず運用の業務を、回す頻度で日次・週次・月次に分けて書き出します。頻度で分けると、どの作業を減らせば何時間浮くかが見えるようになります。
| 頻度 | 主な業務 | 確かめること |
|---|---|---|
| 日次 | 入札と予算の消化の確認、配信エラーや審査落ちの確認 | 予算の使い過ぎや配信の停止が起きていないか |
| 週次 | 検索語句の確認と除外、クリエイティブの差し替え、週次レポート | 無駄な配信や広告の見飽きが残っていないか |
| 月次 | 目標の見直し、媒体間の予算配分、新機能と仕様変更の確認 | 目標と配分が今の事業に合っているか |
表の業務に自社で実際に回している作業を足し、媒体やキャンペーンが複数あるなら行を分けます。書き出した時点で誰も手を付けていない行が見つかれば、それはすでに止まっている業務です。
不足時間を週あたりで出す計算
洗い出した業務ごとに「1回の時間×週の回数」を出して合計し、社内で実際に割ける時間を引いた差が、週あたりの不足時間です。式は次の2本です。
- 必要な時間(週)=各業務の(1回の時間×週の回数)の合計
- 不足時間(週)=必要な時間(週)−社内で実際に割ける時間(週)
月次の業務は、月の合計時間を4で割って週あたりに直します。
仮の数字で計算してみます。日次の確認が1回30分で週5回なら2.5時間、週次の作業が合計4時間、月次の作業が月8時間なら週2時間で、必要な時間は週8.5時間です。担当者が運用に割けるのが週3時間なら、不足は週5.5時間になります。
社内で割ける時間は、予定ではなく直近の数週間に実際に運用へ使った時間で見積もります。予定の時間で置くと不足を小さく見積もり、手段の選び方を誤ります。
不足時間の大きさで変わる打ち手
不足が週に数時間なら、外部に頼む前に業務の絞り込みや自動化で埋めるのが先です。外部に頼むのが向くのは、不足がまとまった時間になるときか、時間ではなくスキルが足りないときです。
外部の人材に頼むとき、稼働が週数時間しかないのに幅広い専門性を求める依頼は、引き受け手が決まりにくくなります。受け手の側も、稼働の単位が細切れ過ぎる依頼や、専門外の業務まで広く求められる依頼を避ける傾向があります。小さな不足をそのまま外に出そうとすると、探す時間だけがかかります。
不足が小さいときは、週次と月次の作業を減らせないかを先に考え、それでも埋まらない分だけを外部に頼む候補にします。不足が大きいときや、必要な作業に社内の誰もできないものが多いときは、次の6つの手段を広く比べます。
リソース不足を埋める6つの手段

リソース不足を埋める手段は、業務の絞り込み、自動化、社内育成、採用、外部への依頼、併用の6つです。向く場面と、選んだあとに社内に残る役割が手段ごとに違うため、同じ軸で並べてから選びます。
| 手段 | 向く場面 | 社内に残る役割 |
|---|---|---|
| 1.業務の絞り込み | 不足が週数時間で、効果の小さい作業がある | 判断と実行のすべて |
| 2.自動化 | 入札や配信の調整に時間を取られている | 目標・計測・訴求・予算配分の判断 |
| 3.社内育成 | 半年以上かけて運用を社内に根付かせたい | 判断と実行のすべて |
| 4.採用 | 運用を長く担う専任の席を作りたい | 判断と実行のすべて |
| 5.外部への依頼 | 不足が大きい、または社内に無いスキルが要る | 目標・承認・予算配分の判断 |
| 6.併用 | 今月の数字を守りつつ体制も立て直したい | 判断と実行の一部 |
1と2は今の担当者の時間を空ける手段、3から6は担い手を増やす手段です。不足が週数時間に収まるなら1と2から検討します。
業務の絞り込み
最初に検討するのは、運用する範囲そのものを狭めることです。追加の費用がかからず今日から始められますが、量を減らす手段なので、スキルの不足は埋まりません。
具体的には、成果の小さい媒体やキャンペーンを止め、問い合わせにつながっている配信に時間を集めます。たとえば3つの媒体を回していて、直近の問い合わせの大半が1つの媒体から来ているなら、残りは停止するか予算をそちらに寄せます。レポートも、毎週作っているのに誰も判断に使っていない項目を削れば、週次の時間が浮きます。
一方で、絞り込みが一時しのぎで終わる場面もあります。数字が悪化した原因を特定できないなど、スキルが足りない状態では、範囲を狭めても成果は戻りません。その場合は、浮いた時間を次の手段の準備に充てます。
自動化に任せる範囲と人が決める範囲
自動化は、入札や配信の調整のような繰り返しの作業に向きます。目標や予算の決め方は人が持ちます。任せる範囲を先に仕分けておくと、自動化で浮いた時間を判断に回せます。
| 業務 | 自動化に任せられる | 人が決める |
|---|---|---|
| 入札 | 目標に合わせた入札額の調整 | 何を目標にするか(問い合わせ数・獲得単価など) |
| 配信 | 配信先や時間帯の調整 | 配信しない対象と除外の方針 |
| クリエイティブ | 素材の組み合わせの出し分け | 訴求の方向づけと素材の作成 |
| 計測 | 数値の集計とレポートの作成 | 成果が正しく計測されているかの確認と指標の定義 |
| 予算 | キャンペーンの中での配分 | 媒体や事業をまたいだ予算配分 |
社内育成と採用
社内育成と採用は、運用を社内に根付かせる手段です。どちらも効果が出るまでに時間がかかるため、今月の不足を埋める手段ではなく、半年先の体制をつくる手段として位置づけます。
育成には、担当者の学習時間に加えて、教える人の時間が要ります。社内に教えられる人がいなければ、外部の講座や教材、実務を一緒に進める外部の人から学ぶ形になります。育成中は担当者の運用時間がさらに減るため、不足時間の計算に学習の時間を足しておきます。
採用では、マーケターが市場に少ないことが壁になります。社内に専任できるスキルを持つ人がおらず、採用も進まないまま外部のプロに頼る会社は多くあります。採用を選ぶなら、自社の過去の求人で入社までにかかった期間を人事に確かめ、その間の運用をどうつなぐかも同時に決めます。
外部への依頼と併用
外部への依頼は、まとまった不足時間や社内に無いスキルを早く補える手段です。多くの場面では、実行を外に出して判断を社内に残す併用が現実的な落としどころになります。
頼む先は大きく3つあります。代理店は複数の担当者で体制を組みやすく、個人への業務委託は必要なスキルと稼働を絞って頼みやすく、小規模なチームはその中間で少人数が複数の役割を受けます。どれが向くかは、足りないのが時間かスキルか、社内でどこまで判断できるかで決まります。
併用にしておくと、判断の材料が社内に残るため、依頼先を替えるときも運用を止めずに済みます。
手段ごとの費用と着手までの期間

手段の費用は、月額の大小だけで比べると判断を誤ります。稼働時間あたりの金額と、着手までにかかる期間をそろえて並べると、今の不足に見合う手段を選べます。
手段別の費用と稼働の目安
費用は手段ごとに出し方が違うため、まず月額にそろえ、次に稼働時間あたりに直して比べます。絞り込みは追加の費用がかからず、自動化も媒体に備わった機能を使うなら追加の費用は小さく済みます。
個人への業務委託の費用と稼働
マーケティング領域の個人への業務委託は、領域を問わずおおむね月15〜30万円に収まることが多く、週10〜20時間ほどの稼働が前提です。受けられる稼働は人によってばらつきが大きいため、金額は稼働時間とセットで確かめます。
採用と代理店の費用の見方
採用は、月あたりの総コストに直して外部の月額と並べます。採用の月あたり総コスト=(想定年収×(1+社会保険などの会社負担率)+採用費+育成期間の人件費)÷12 です。率と金額には人事の実額を当てはめます。
代理店の費用は広告費に対する手数料で決まることが多く、実質の負担は広告費の規模で変わります。

時間単価と費用対効果の計算
費用に見合うかは、必要な受注の増加件数=月の費用÷受注1件あたりの粗利で確かめます。この件数を増やせる見込みが立たない手段は、金額が安くても見送ります。
着手までの期間の調べ方
着手までの期間は手段と依頼先ごとに大きく違うため、一般的な目安より自社の数字で並べるほうが正確です。調べ方を決めておけば、問い合わせの段階で3つの手段を同じ条件で比べられます。
- STEP1:採用は、自社の過去の求人で、募集を始めてから入社までにかかった実績を人事に聞く
- STEP2:代理店は、問い合わせのときに、提案と見積が返るまでの日数と、契約から配信開始までの日数を聞く
- STEP3:個人への業務委託は、依頼先やマッチングの窓口に、相談から着手までの目安を聞く
3つの数字がそろったら、不足時間の計算と並べて1枚の表にします。着手まで数か月かかる手段を選ぶなら、その間をつなぐ手段も同時に決めておかないと、不足が続いたまま待つことになります。
緊急度で変わる手段の選び方

同じ不足でも、今月の数字を守るのか、半年かけて体制を立て直すのかで、選ぶ手段は変わります。先に緊急度を決めると、6つの手段のうち今使うものと後で使うものが分かれます。
今月の数字を守る場合
今月の数字を守るなら、新しい手段を足す前に、最小限の運用で止めずに回す状態をつくります。そのうえで手が足りなければ、すぐに使える外部の手を借ります。
- 権限の整理:広告アカウントの管理者権限を誰が持っているかを確かめ、担当者が不在でも社内の誰かが操作できるようにする
- 計測の確認:問い合わせなどの成果が正しく計測されているかを確かめる。計測が壊れていると、どの調整も判断を誤る
- 配信の絞り込み:媒体とキャンペーンを成果の出ているものに絞り、日次の確認だけは欠かさない
半年かけて立て直す場合
半年かけて立て直すなら、社内育成か採用を軸に据え、担い手が育つまでは実行を外に出す併用で回します。半年後に社内で何を担える状態にするかを先に決めると、外に出す範囲も決まります。
道筋は3段階で考えます。最初の数か月は外部に実行を任せ、社内の担当者は判断と確認に回りながら運用の流れを覚えます。
次の段階で、日次や週次の作業から順に社内へ戻し、外部の役割を月次の見直しや助言に移していきます。
最後に、社内で回せる範囲と外部に残す範囲を決め直します。外部をゼロにすることを目標にせず、社内の担い手が抜けたときに戻せる先を残しておくと、同じ不足を繰り返しにくくなります。
採用が決まるまでのつなぎ方
採用中は、決まる時期が読めないことを前提に、運用を止めない手当てを先に打ちます。つなぎの手段は、最小限の運用か、期間を区切った外部への依頼です。
外部に頼む場合は、採用した人へ引き継げる形で任せます。アカウントは自社の名義で持ち、運用の手順と過去の施策の記録を社内の共有の場所に残してもらいます。あわせて、採用が長引いたときに、つなぎの依頼をそのまま本来の体制として続けるかを判断する時期も決めておきます。
外部に頼むときに社内に残す役割

外部に出せるのは実行で、目標と判断は社内に残します。この線を最初に引いておくと、依頼先が替わっても運用の方向がぶれず、社内の担当者の時間も判断に集められます。
任せる業務と社内で決める業務
入稿・入札・日次の調整は外部に任せ、目標・承認・予算配分は社内で持ちます。さらに、アカウントの名義と権限、最終的に判断する人を誰にするかまで決めておくと、任せたあとに迷う場面が減ります。
| 項目 | 外部に任せる | 社内で決める |
|---|---|---|
| 運用の作業 | 入稿、入札、日次の調整、レポート | 報告の内容を確かめる |
| 目標 | 施策の提案 | 目標の値と成果の定義 |
| 承認 | 承認を受けた施策の実行 | 施策・クリエイティブ・予算変更の承認 |
| 予算 | 媒体の中での配分の提案 | 媒体と事業をまたいだ配分 |
| アカウント | 付与された権限での操作 | 名義と、誰にどの権限を渡すか |
| 判断役 | 判断の材料をそろえる | 最終的に判断する人を1人決める |
支援してきた中では、担当者が1人や兼務の会社が実行を外に頼むと、社内の担当者は判断をする側に回り、ほかの業務にも時間を使えるようになっていました。
依頼の前にそろえるもの
外部に頼む前に、権限・窓口・過去のデータの3つをそろえると、着手が早まります。あわせて、社内で誰がいつ確認するかの流れを決めておきます。
そろえるのは、広告アカウントなどの権限、社内の窓口になる1人、過去の広告レポートやアクセス解析の実績データです。
確認の流れを決めないまま実行を任せ、社内の意思決定者が忙しくて確認が滞り、施策が止まった例があります。誰が何日以内に確認するかを決め、窓口は1人に絞ります。運用の中身が外から見えなくなることや、契約を終えるときに引き継げないことも、同じ準備で防ぎやすくなります。
開始時期と最低契約期間の目安
マーケティング領域の複業人財を業務委託で企業にマッチングする当社のSOKKIN MATCHでは、相談から着手まではおおむね2週間が一つの目安です。期間の短い依頼も受けられますが、契約は最低3か月からになります。
この期間の中身は、ヒアリングから候補者の選定、面談までにかかる時間です。頼む業務の範囲は契約の前に決め、途中で範囲外の業務を頼みたくなったときは、当社の事務局を通して調整します。
今月の数字を守る場面で使うなら、着手までの期間を見込み、その間は最小限の運用でつなぎます。
社内に足りない力を補った事例
外部の人材で社内に足りない力を補った例として、当社のサービスを利用した2社のインタビューがあります。どちらも広告運用を任せた事例ではなく、足りなかった力の種類も違います。
採用が難しかった会社の例
株式会社ランバードは、マーケティング人材のリソース不足が課題でした。採用活動はしていたものの応募が少なく、人材の獲得が難しかったそうです。業務委託の人材を活用したことで担当者に余裕ができ、別の業務に注力できるようになったと語りました。

戦略を描く人材が不足した会社の例

上司に人員と予算を通す説明の組み立て

上司に「人が足りない」とだけ伝えても、予算は通りにくいものです。不足の大きさ、止まった場合の損失、選択肢の比較を数字で並べると、判断する側が比べられる材料になります。
説明資料に入れる3つの数字
説明資料には、不足時間、止まった場合の機会損失、3案の比較の3つを入れます。どれも自社の数字で埋められる型なので、1枚にまとめて上司に判断を求めます。
- 不足時間(週):足りない運用時間の計算で出した値に、どの業務が止まっているかを添える
- 機会損失(月)=改善が止まって取り逃がしている想定の問い合わせ件数×問い合わせ1件あたりの粗利
- 3案の比較:下の表を自社の数字で埋める
| 案 | 月額 | 着手までの期間 | 社内に残る役割 |
|---|---|---|---|
| 社内で絞る | 追加の費用なし | すぐ | 判断と実行のすべて |
| 内製で育てる | 人件費と学習の費用 | 育つまでの期間 | 判断と実行のすべて |
| 外に頼む | 依頼先の月額 | 依頼先に聞いた日数 | 目標・承認・予算配分の判断 |
仮の数字で、月に5件の問い合わせを取り逃がし、1件あたりの粗利が10万円なら、機会損失は月50万円です。機会損失が外に頼む月額を上回るなら、手を打たないほうが高くつくと説明できます。
判断役を置く理由の伝え方
予算を増やす提案には、その予算を誰が判断するかを必ず組み合わせます。広告費が大きくなるほど、判断する人がいないことによる損失も大きくなるためです。
ある事例では、BtoBのSaaSの会社が広告費を月200万円まで積み増したものの、社内に運用できる人がいませんでした。
予算だけが先に増えると、配信の量は増えても、どこに費用を寄せるかを決める人がいないまま消化が進みます。上司には、増額の提案と同じ資料で、判断役を社内の誰にするか、実行を外に頼むならその費用はいくらかを示します。判断役のいない増額は進めない、という線を自分から示すと、提案は受け入れられやすくなります。
運用を止めないための最初の一手

手段を決めたら、今週のうちに最初の一手まで決めます。着手の日が決まっていない手段は、忙しさの中で後回しになり、不足がそのまま続くためです。
今週と今月に着手すること
どの道を選んでも、今週は小さな準備、今月は手段の着手、の順で進めます。外部に頼む道だけでなく、社内で埋める道にもそれぞれ最初の一手があります。
| 道 | 今週の一手 | 今月の一手 |
|---|---|---|
| 業務の絞り込み | 媒体とキャンペーンごとの直近の成果を並べ、止める候補を決める | 停止と予算の寄せ替えを実行し、浮いた時間を記録する |
| 自動化 | 成果が正しく計測されているかを確かめる | 仕分け表で任せる範囲を決め、1つのキャンペーンから切り替える |
| 社内育成 | 学ぶ範囲と週の学習時間を担当者と決める | 教える人か外部の学習手段を決め、学習を始める |
| 採用 | 過去の求人で入社までにかかった実績を人事に聞く | 求人を出し、決まるまでのつなぎ方を決める |
| 外部への依頼 | 権限・窓口・過去のデータをそろえる | 2〜3の依頼先から提案を受け、任せる範囲を決める |
今週の一手は、1時間ほどで終わる作業にしておくと、忙しい週でも止まりません。
担当者が抜けても引き継げる記録
担当者が1人の運用は、その人が抜けた日に止まります。次の5つを記録しておけば、社内の別の人や外部に引き継いでも運用を続けられます。
- アカウントの名義と権限:広告アカウントは会社の名義か、管理者権限を持つ人が2人以上いるか
- 運用の手順書:日次・週次・月次の作業が、担当者以外でも同じ手順で回せる形で書かれているか
- 指標の定義:何を成果とし、どの数字が悪化したら手を打つかが決まっているか
- 過去の施策と結果:いつ何を変え、数字がどう動いたかが残っているか
- 日次と週次の確認項目:毎日と毎週に見る項目と、異常とみなす基準が一覧になっているか
埋まらない項目があれば、そこが今の担当者に頼り切っている部分です。外部に頼む場合も、この5つを残すことを依頼の条件に入れます。
まとめ
広告運用のリソース不足は、次の順で考えると埋め方が決まります。
- 種類で見分ける:人手・時間・スキル・予算のどれが足りないかを特定する
- 時間で数える:業務を日次・週次・月次に分け、週あたりの不足時間を出す
- 緊急度で選ぶ:今月の数字を守るのか、半年で立て直すのかで6つの手段から選ぶ
- 社内に判断を残す:外部に頼んでも、目標と予算配分は社内で決める
明日できる一歩は、運用の業務を書き出し、この1週間に実際に使った時間を記録することです。不足時間が出れば、絞り込みで足りるのか担い手を足すのかが見え、上司への説明の1つ目の数字もそろいます。外部に頼む道を選ぶなら、権限・窓口・過去のデータをそろえたうえで、相談先に着手までの目安を聞いてください。
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