マーケティング外注の失敗事例|続けるか替えるかやめるかの判断

マーケティング外注の失敗事例|続けるか替えるかやめるかの判断 マーケティング

マーケティング外注の失敗は、外注先の腕よりも、発注側が契約前と運用中に決め残したことから起きる場合が多いです。成果が出ないまま月額だけが出ていくと、外注先を替えたくなります。ただ、その前に、どこで止まっているかを切り分けるのが先です。この記事では、症状から失敗の場面を引く表、原因を外注先・自社・施策に分ける問い、続ける・条件を直す・替える・やめるの判断、やめるときに失う費用と続けた場合との比べ方、成果が出ないときの報酬と外注先のミスの責任までを順に扱います。

マーケティング外注で失敗が起きる場面と原因

マーケティング外注で失敗が起きる場面と原因

外注の失敗は、契約前・運用中・評価と終わり方の3つの場面のどこかで起きます。いま見えている症状から場面を引けば、どこから手を付けるかが決まります。

症状 起きやすい場面 先に確かめること
問い合わせは増えたが受注が増えない 契約前 成果を受注まで含めて決めたか
報告が数字の並びだけで次の打ち手が無い 運用中 報告を誰がどう使うか決めたか
社内の確認待ちで施策が止まる 運用中 社内の承認者と返答の期限
数か月で成果が出ないと判断しかけている 評価と終わり方 評価の時点を決めてあるか

右の列に答えられない項目があるなら、外注先を責める前に自社側で直せる余地が残っています。場面ごとの典型的な止まり方と防ぎ方は、広告運用の外注を例にした記事で扱っています。

▼外注が止まる典型と防ぎ方を広告運用の例で知りたい方はこちら
広告運用の外注は誰に頼む?費用相場と失敗しない判断基準
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不調の原因の切り分け方

不調の原因の切り分け方

成果が出ない原因は、外注先・自社の準備・施策そのものの3か所のどこかにあります。場所を決めないまま外注先を替えたりやめたりすると、次の外注でも同じところで止まります。まず次の問いで、原因の場所を1つに絞ってください。

原因を3か所に分ける3つの問い

答えに詰まった問いが、原因のある場所です。どれも外注先に聞かずに、社内で答えられるかを試します。

  1. 今月の数字が目標のどの位置にあるかを、外注先に聞かずに社内で言えるか。言えなければ、目標と成果の物差しが社内に無いか共有されていない状態で、自社の準備を疑います。
  2. 先月の打ち手のうち、効果が出たものと出なかったものを、外注先が理由つきで説明できるか。説明が出てこなければ、外注先の進め方と報告の透明性を疑います。
  3. 流入から受注までのどこで落ちているかを、1つの段階に絞れるか。絞れたら、その段階が施策の問題か社内の受け皿の問題かを次の表で見ます。

1と3に答えられないまま外注先だけを問題にするのは、判断として早すぎます。

数字で落ちている段階を探す方法

流入・問い合わせ・商談・受注の数字を月ごとに並べ、次の段階へ移る数が大きく減るところを探します。落ちている段階によって、見直す相手が変わります。

落ちている段階 見直す相手 最初に確かめること
流入が少ない 外注先・施策 狙う相手と媒体の選び方
流入はあるが問い合わせが少ない 外注先・施策 着地ページと問い合わせの導線
問い合わせはあるが商談にならない 社内・施策 問い合わせの質と営業へ渡す基準
商談はあるが受注しない 社内 提案の中身と営業の進め方

商談より後で落ちているなら、外注先を替えても数字は動きにくいと見てください。段階ごとの数字がそもそも取れていないなら、それ自体が自社の準備の問題です。計測をそろえるところから始めます。

運用中に見える外注先側の危険信号

契約前に良い回答をもらっていても、外注先の進め方が崩れると、運用中の変化として表に出ます。次の変化が続くときは、外注先の仕事を自社で確かめられる状態になっているかを点検してください。

  • 質問への返事までの日数が、月を追うごとに延びている
  • 数字が下がった月に、原因の説明が出てこない
  • レポートの項目が月ごとに変わり、前の月と比べられない
  • 運用の担当者が打ち合わせに出てこなくなった

信号が出ても、すぐに替える必要はありません。まず原因の説明と次の打ち手を出してもらう場を設けます。それでも説明が出なければ、原因は外注先側にあると判断してよいです。

続ける・直す・替える・やめるの判断基準

続ける・直す・替える・やめるの判断基準

外注を続けるか、条件を直すか、替えるか、やめるかは、感覚ではなく同じ材料を並べて決めます。材料がそろわないうちに結論を出すと、打ち切りが早すぎるか、引き延ばしすぎるかのどちらかに偏ります。

判断の前にそろえる4つの材料

4つの選択肢を比べる前に、次の4つを手元にそろえます。1つでも空欄なら、まだ判断の段階ではありません。

  1. 施策の兆しが出る時期の前か後か
  2. 中間の指標(問い合わせ数や商談数など、受注より手前の数字)が動いたか
  3. 数字が動かない原因を、外注先が説明できるか
  4. 契約の最低期間がいつ終わるか

兆しが出るまでの長さは施策によって大きく違い、広告とSEO(検索からの集客)では数か月の開きが出ることもあります。施策ごとの目安と、評価の時点を契約で決めておく方法は、費用相場の記事で確かめてください。

▼施策ごとの評価の時点と費用の見方を知りたい方はこちら
デジタルマーケティング外注の費用相場|成果までの期間と失敗例
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4つの選択肢への振り分け

4つの材料がそろったら、次の表で選ぶ道を決めます。
材料の状態 選ぶ道 理由
兆しの時期より前 続ける 判断できる材料がまだ無い
時期の後で中間の指標が動き、原因の説明もある 条件を直して続ける 進み方は合っており、範囲や予算の調整で伸ばせる
時期の後で指標が動かず、原因が自社の準備にある 自社側の条件を直す 替えても同じ場所で止まる
時期の後で指標が動かず、外注先が原因を説明できない 外注先を替える 進め方を説明できない相手に任せ続ける理由が無い
時期の後で、施策そのものが自社に合っていない やめる(外注自体を見送る) 誰が担当しても成果が出にくい

迷ったときは、替えるより条件を直す道を先に検討します。外注先を替えると立ち上げの期間がもう一度かかるため、原因が外注先にあるとはっきりしたときだけ替えるのが、損の少ない順番です。

決めずに始めた撤退の線を今から引く手順

撤退の線は契約前に決めておくのが理想ですが、決めないまま始めた外注でも、今から引き直せます。次の順に進めます。

  1. 直近の評価の時点を1つ決める(例: ◯か月後の月末)
  2. その時点で見る指標を1つだけ選ぶ(例: 商談数)
  3. どこまで動けば続けるかを、外注先と書面で合意する(例: ◯件以上なら続ける)

◯には、自社の施策と予算に合わせた値を入れてください。合意を持ちかけたときの外注先の反応も、続けるかを決める材料になります。

外注先を替えれば解決するかの見極め

外注先を替えれば解決するかの見極め

外注先を替えて解決するのは、原因が外注先にあるときだけです。原因の切り分けで、自社の準備や社内の受け皿に原因が残っているとわかったなら、替えても同じ失敗が続きます。

替えても同じ失敗が続く型

外注先を替えても止まる場所が変わらないケースには、2つの型があります。

1つ目は、短い期間で外注先を替え続ける型です。施策の兆しが出る前に打ち切るので、どの外注先も立ち上げの途中で終わり、毎回同じ準備の費用だけがかかります。替える前に評価の時点を決め、少なくともそこまでは待ちます。

2つ目は、目標・権限・社内の確認の流れが決まらないまま替える型です。社内の承認が遅い会社は、外注先を替えても同じところで施策が止まりやすくなります。原因が外注先の腕ではなく社内の仕組みにあるので、替える前に承認者と返答の期限を決めておきます。

替える前に確かめる点と先に直すこと

外注先を替える前に、原因を分ける問いと判断の材料のうち、どれに答えられなかったかを見ます。答えられない項目を残したまま替えると、表の真ん中の列のことが起きます。

答えられなかった項目 替えると起きること 先に直すこと
今月の数字が目標のどこにあるか 次の外注先とも成果の物差しが合わない 目標と成果の定義を書面にする
流入から受注のどこで落ちているか 次の外注先も的を外した改善を続ける 段階ごとの数字を取れるようにする
兆しの時期を過ぎたか 立ち上げの途中でまた打ち切る 評価の時点を決めて待つ
社内の確認の流れ 同じ確認待ちで施策が止まる 承認者と返答の期限を決める

これらにすべて答えられる状態で、なお数字が動かず、外注先が原因を説明できないときに、替える判断へ進みます。

やめるときに失うものと手元に残るもの

やめるときに失うものと手元に残るもの

外注をやめる損は、作業の名前で数えれば見積もれます。続けた場合と同じ期間で並べると、気持ちではなく数字で決められます。手元に何が残るかは、契約の段階でアカウントの名義と引き渡しの範囲を決めたかで決まります。決めていないなら、やめると伝える前に、何を受け取れるかを外注先に確かめておきます。

やめると失う費用の数え方

やめる時点で新たにかかる費用は、次の3つを足して数えます。

やめる費用=最低期間の残りの外注費+やめる時点で社内に残る作業の費用+次の依頼先が立ち上がるまで施策が止まる損

社内に残る作業は、名前を挙げて1つずつ時間を見積もります。

  • 外注先に渡していた情報やデータの整理
  • 引き継ぎのための打ち合わせ
  • 次の依頼先の選定と比較

これまでに払った外注費は、続けてもやめても戻らないので、この計算には入れません。払った額を取り戻そうとして続けると、判断がずれます。

続けた場合と比べる手順

やめる費用だけを見ても、高いか安いかは決まりません。同じ期間に続けた場合の費用と並べます。

  1. 比べる期間を、撤退の線として決めた次の評価の時点までにそろえる
  2. その期間に続けた場合の外注費を出す
  3. 同じ期間でやめた場合の費用を、やめる費用の式で出す
  4. 続けても数字が動かなかったときの損(その期間に別の手を打てなかったこと)を書き添える
  5. 2と4を合わせたものと、3を比べる

続ける側が明らかに重ければやめ、やめる側が重ければ評価の時点まで続けます。差が小さく決めきれないときは、範囲や予算を絞る形に条件を直し、次の評価の時点まで続ける道があります。

成果が出ないときの報酬と契約のやめ方

成果が出ないときの報酬と契約のやめ方

成果が出なかったからといって払わずにやめられるかは、契約の形と契約書の欄で決まります。業務を進めること自体に報酬を払う形の契約では、成果が出なくても、進めた分の支払いが生じるのが基本です。成果物の完成に報酬を払う形なら、完成していない分の扱いは契約の定めによります。

迷ったら、契約書の成果の定義と中途解約の条件を読み直します。成果の定義があれば見直しを求める根拠になり、中途解約の条件があればその手順でやめられます。やめると決めたら、解約の予告がいつまでに必要か、最低期間の残りがどう扱われるかも同じ契約書で確かめ、やめる費用の計算に入れてください。個別の判断は、弁護士などの専門家に確かめます。

▼請負と準委任の違いと契約書の確かめ方を知りたい方はこちら
外注と業務委託の違い|契約の選び方と費用相場の目安
契約書を前に迷いやすい点ですが、外注は社外に仕事を頼むこと全般を指し、業務委託はそのとき結ぶ契約の呼び方です。この違いを押さえないまま契約すると、指示の出し方や経費の処理で後から困ることがあります。 大事なのは言葉の使い分けより、依頼の中身...

外注先のミスで問題が起きたときの責任

外注先のミスで問題が起きたときの責任

外注先が作った表現や起こした事故でも、世の中から責任を問われるのは発注した自社です。外注しても、成果と法律上の最終責任は発注側に残ります。だからこそ、起きたときの動き方と契約の定めを先に決めておきます。

外注先の表現や事故で発注側に起きること

外注先が作った広告やSNSの投稿が法令に触れた、炎上した、預けた顧客情報が漏れた。こうした事態では、外注先ではなく自社の名前で次の対応が求められます。

  • 取引先や顧客への説明(何が起き、どう対処するか)
  • 公表するかどうかの判断と、公表する場合の文面
  • 経営層や関係部署への報告と、再発を防ぐ手当て

どれも外注先に任せきれない対応で、判断する人が社内にいないと初動が遅れます。表現が法令に触れるかどうかの個別の判断は専門家に確かめるとして、発注側では、誰が判断し誰が説明するかを先に決めておくことが一番の備えになります。

契約に入れておく4つの項目

外注先のミスに備えて契約に入れる項目は4つあり、なかでも表現の確認の流れと、損害が出たときの対応の2つが要になります。

表現の確認の流れは、外注先が作ったものを公開する前に、社内の誰が見て承認するかを契約書か付属の取り決めに書きます。承認者と確認にかける日数まで決めておくと、確認待ちで施策が止まることも防げます。

損害が出たときの対応は、外注先から自社への連絡の期限、双方の窓口、費用の負担の考え方を書きます。窓口が決まっていないと、事故の第一報が担当者の手元で止まります。

残る2つの再委託してよいかと秘密保持は、外注の契約書に一般的に入る項目です。条文があるかを確かめておけば足ります。

外注でノウハウを社内に残すための条件

外注でノウハウを社内に残すための条件

外注してもノウハウを社内に残すには、何をやるかの判断を社内に持ち、手を動かす実行を外に出す分担にします。判断まで外に出すと、外注が終わったときに施策の意図が社内に残りにくくなります。

▼判断と実行の分け方をマーケティングコンサルの外注で知りたい方はこちら
マーケティングコンサル外注の費用と選び方|外注が止まる原因も
社内に専任がいない会社がマーケティングを外に頼むなら、まず「実行する人がいるか」でコンサルか代行かを決めます。担当者が1人で回らない状況でも、戦略と最終判断を社内に残し、実行を外に出す形なら無理なく始められます。費用は施策ごとに幅が大きいた...

内製化とマネジメントへの不安の例

外部の人材を入れて社内にノウハウが残るかという不安は、任せる前の段階で出てきます。ある事例では、SNSを使った採用やマーケティングの支援を手がける株式会社メディアエイドが、業務委託の人材を使う前に2つの不安を抱えていました。

1つは、内製化ができず、一時的な売上の増加に留まるのではないかという懸念です。もう1つは、稼働できる時間が限られる業務委託の人を、社内でマネジメントできるのかという不安でした。どちらも、外注の失敗として語られやすい「ノウハウが残らない」「任せた人を管理できない」と同じ形をしています。

▼メディアエイドが業務委託の人材とどう進めたかを知りたい方はこちら
【株式会社メディアエイド】SOKKIN MATCH企業インタビュー記事
SOKKIN MATCH 企業インタビューVol.8 株式会社SOKKIN(本社:東京都新宿区 代表取締役:本間亮平)は、マーケター・クリエイターに特化した人材マッチングサービス SOKKIN MATCHの業務委託人材を活用している企業に、...

不安が解消した条件と確かめ方

同社では、業務委託の人に限られた仕事ではなく、事業部の成長に必要な業務をすべて担当してもらったことで、マネジメントできないのではという懸念は解消したといいます。事業立ち上げの初期段階から知識やスキルを共有してもらえたことで、内製化も実現できたとされています。

この事例を自社に置き換えると、契約前に確かめる点は2つです。

  • 実行を細切れにして渡していないか。作業を小さく切って渡すと前後の文脈が伝わらず、知識が社内に移りにくくなります。ただし、何をやるかの判断は社内に残します。
  • 知識をいつ、どの形で共有してもらうか。立ち上げの初期から、打ち合わせや手順書など共有の形と時期を契約前に決めておきます。

紹介したのは同社の1事例で、同様の結果を保証するものではありません。

まとめ

外注の失敗は、症状から場面を引き、原因を外注先・自社の準備・施策に切り分けるところから立て直せます。4つの材料をそろえて続ける・条件を直す・替える・やめるを振り分け、やめるなら作業の名前で費用を数え、続けた場合と同じ期間で比べてください。契約書では、成果の定義と中途解約の条件、表現の確認の流れと事故の窓口を確かめます。

明日からできる一歩は次の3つです。

  • 流入から受注までの数字を1枚の表に並べ、落ちている段階に印を付ける
  • 原因を分ける3つの問いに、外注先に聞かずに社内で答えてみる
  • 契約書を開き、成果の定義・中途解約の条件・最低期間が終わる日付を書き出す
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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェントでは、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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