マーケティングコンサル外注の費用と選び方|外注が止まる原因も

マーケティングコンサル外注の費用と選び方|外注が止まる原因も マーケティング

社内に専任がいない会社がマーケティングを外に頼むなら、まず「実行する人がいるか」でコンサルか代行かを決めます。担当者が1人で回らない状況でも、戦略と最終判断を社内に残し、実行を外に出す形なら無理なく始められます。費用は施策ごとに幅が大きいため、相場の数字より先に、任せる範囲と運用できる人の有無を決めることが失敗を防ぎます。この記事では、頼む形の選び方、依頼先のタイプごとの向き不向き、施策別の予算の目安と計算の手順、依頼前にそろえる準備、契約で確かめる項目までを順に整理します。外注が止まった実例と防ぎ方も載せています。

  1. コンサルと代行で変わる任せる範囲
    1. コンサルが受け持つ戦略と分析
    2. 代行が受け持つ実行と運用の業務
    3. 実行する人の有無で決める頼み先
  2. 内製と外注の分かれ目
    1. 社内で持つ業務と外注に向く業務
    2. 採用で担当者が埋まらない会社の判断
    3. 戦略を社内に残して実行を分ける体制
  3. 施策ごとの費用の幅と予算の決め方
    1. 施策別に見た月額の幅
    2. 月額固定と成果報酬と従量の違い
    3. 自社の予算に当てはめる計算の手順
  4. 依頼先のタイプごとの向き不向き
    1. 代理店や支援会社に頼む場合
    2. コンサルティング会社に頼む場合
    3. フリーランスや個人に頼む場合
  5. 依頼の前にそろえておくこと
    1. 目的と数値目標と任せる範囲の線引き
    2. 予算と期間の上限の決め方
    3. 先に渡すと着手が早まる3つの準備
  6. 外注が止まる典型と防ぎ方
    1. 育てる仕組みがないままの広告費の増額
    2. 記事本数だけを目標にした発注
    3. 社内の確認待ちで止まる施策
  7. 依頼先の見極め方と見積もりの比べ方
    1. 自社と近い課題の実績の聞き方
    2. 見積もりの内訳と稼働時間の比べ方
    3. 提案を評価できる人がいない場合の対処
  8. 契約で確かめる項目と発注側に残る責任
    1. 最低期間と解約予告と違約金
    2. 広告アカウントと成果物の持ち主
  9. 着手から成果の兆しが見えるまでの期間
    1. 相談から着手までの段取り
    2. 施策ごとに兆しが見え始める時期
  10. 依頼が決まりにくい条件と直し方
    1. 稼働時間と求めるスキルの幅のずれ
    2. 予算と稼働時間の釣り合い
    3. 細切れの依頼と専門外の業務
  11. 業務委託のマッチングを使う場合の流れと条件
    1. 相談から着手までの流れと期間
    2. 費用の目安と稼働時間の決め方
    3. 最低期間と途中でやめる場合の扱い
  12. よくある質問
  13. まとめ

コンサルと代行で変わる任せる範囲

コンサルと代行で変わる任せる範囲

コンサルと代行の違いは、実行まで担うかどうかの一点です。コンサルは何をやるかを決める手伝いをし、代行は決まったことを手を動かして進めます。自社に足りないのが「考える力」か「手を動かす人」かを見極めると、どちらを頼むかが決まります。

コンサルが受け持つ戦略と分析

マーケティングのコンサルが受け持つのは、市場と競合の分析、戦略とKPI(目標に向けた進み具合を測る指標)の設計、施策への助言です。広告の入稿や記事の執筆といった実行は、原則として自社側が担います。

受け取る成果物は、市場や競合の分析レポート、ターゲットと訴求の整理、月ごとの施策の計画といった「決めたことを書いた資料」が中心です。資料が優れていても、動かす人がいなければ成果にはつながりません。

いわゆる「口だけのコンサル」になるのを防ぐには、契約の前に「この計画を誰が実行するか」を決めておきます。実行する人が社内にいないなら、コンサルと同時に実行の手当てを考えるか、実行まで担う依頼先を選ぶほうが確実です。

代行が受け持つ実行と運用の業務

代行は、決めた施策を実際に動かす役です。手を動かす人が足りない会社でも、すぐに施策を回せる点が利点です。外に出せる主な業務は次のとおりです。

業務 主な中身 頼み方の例
戦略 市場分析、ターゲット設計、施策の優先順位づけ 年に一度の見直しだけ頼む
SEOとコンテンツ キーワード選定、記事の企画と制作、改善 記事制作だけ、または企画から頼む
広告運用 出稿の設定、入札と予算の調整、効果のレポート 1つの媒体だけ任せる
SNS 投稿の企画と制作、運用、分析 投稿の制作だけ頼む
MAとCRM 見込み客の管理とメール配信の設計と運用 ツールの初期設定だけ頼む

MA(見込み客の育成を自動化する仕組み)やCRM(顧客情報の管理)まで含め、一部だけ頼む形も、まとめて頼む形も選べます。手薄な1領域から始めて範囲を広げると、費用と社内の負担を抑えやすくなります。

実行する人の有無で決める頼み先

頼み先は「実行する人がいるか」と「戦略があるか」の2つの問いで決まります。2つに答えるだけで、コンサル、代行、戦略から実行までの一括のどれを頼むかが決まります。

戦略 実行する人 頼み先
ある いない 代行(実行と運用を頼む)
ない いる コンサル(戦略とKPIの設計を頼む)
ない いない 戦略から実行までを担える依頼先
ある いる まだ外注しない(詰まった業務だけ補う)

戦略も実行する人もそろっているなら、外注は急ぐ必要がありません。成果が出ない原因が人手か方針かを切り分けてから、足りない側だけを補います。迷ったら、直近3か月で止まっている施策を書き出し、止まっている理由が「考えがない」か「手が足りない」かで判断します。

内製と外注の分かれ目

内製と外注の分かれ目

全部を内製するか全部を外注するかの二択で考える必要はありません。業務ごとに、社内に残すものと外に出すものを分けるのが現実的です。分け方の物差しを持っておくと、依頼先と話すときにも任せる範囲がぶれません。

社内で持つ業務と外注に向く業務

業務を分ける物差しは、コア業務度、スピード、ノウハウを残したいか、コストの4つです。

物差し 社内に残す向き 外注に向く
コア業務度 顧客理解や商品の打ち出し方など、事業の中心に近い 入稿や制作など、手順が決まっている
スピード 急がず、社内で育てる時間がある すぐに動かしたい、経験者が必要
ノウハウ 社内に残して繰り返し使いたい 専門性が高く、社内で持ち続けるのが難しい
コスト 継続して発生し、人を置いたほうが安い 繁閑があり、必要な時だけ使いたい

4つのうち「外注に向く」が3つ以上そろう業務から外に出すと、判断がぶれません。反対に、顧客理解や最終判断のように事業の中心に近い業務は、外注の範囲が広がっても社内に残します。

採用で担当者が埋まらない会社の判断

外にマーケティングを頼む会社に共通するのは、社内に専任で任せられるだけのスキルを持つ人がいないことと、マーケターが市場に少なく採用もできないことです。採用で空席を埋めるつもりで待っている間に、施策が止まってしまうケースは珍しくありません。

外注の相談に来る会社のうち、社内でマーケティングの人材を採用できた会社はほとんどありません。統計ではなく相談の実態から見た傾向ですが、採用だけを頼みにした計画は立てにくいと言えます。

担当者が1人で回していた会社は、実行を外に出したあと、担当者が判断をする側に回り、他の業務に時間を使えるようになっています。採用の見通しが立たないなら、採用を待たずに実行を外に出し、担当者には判断を任せる形で動き出すのが現実的です。

戦略を社内に残して実行を分ける体制

社内で握るのは、顧客の理解、目標の決定、施策を採るかどうかの最終判断です。外に分けるのは、分析や資料の作成、実行と運用、制作といった手を動かす業務です。すべてを丸投げすると、施策の意図が社内に残らず、依頼先を替えたときに一から説明し直すことになります。

株式会社SEIRYOは、戦略を立てる専門知識が社内で足りていませんでした。そこで経験の豊富なマーケターを業務委託で迎え、戦略の提案資料の作成や営業のディレクションを任せながら、社内の人材の教育も並行して進めました。成果として語られたのは、新規案件の獲得と社員の能力向上です。ある事例での話であり、同様の成果を保証するものではありません。

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施策ごとの費用の幅と予算の決め方

施策ごとの費用の幅と予算の決め方

外注の費用は依頼先ごとに書き方も金額も割れていて、1つの相場では語れません。施策ごとの幅と、その金額に何が含まれるかを確かめてから、自社の予算に当てはめます。

施策別に見た月額の幅

施策ごとの月額の幅は次のとおりです。法人の依頼先に頼む場合の金額で、依頼先が公開している料金を比べた2026年9月時点の目安です。同じ施策でも、含む範囲(戦略まで含むか、制作が別料金か)で金額が変わります。

施策 月額の幅 金額の決まり方
広告運用 広告費の約20% 固定費を足す形もある
SEOとコンテンツ 月10万〜50万円 記事は1文字3〜6円の単価もある
SNS 月10万〜30万円 投稿の頻度と範囲で変わる
戦略・コンサル 下限も上限も依頼先で割れる 相談の回数と提案の深さで変わる

幅の見方と概算の出し方

戦略・コンサルは、下限が月10万〜30万円、上限が月50万〜100万円と、依頼先によって開きが大きい施策です。金額の差の多くは、相談の回数と実行を含むかどうかで生まれます。まずは自社の手薄な1領域を選び、その領域の幅に当てはめて月額を概算します。見積もりが幅から大きく外れたら、含む範囲がほかと違わないかを確かめます。

月額固定と成果報酬と従量の違い

料金の形は、月額固定、成果報酬、従量の3つに分かれます。どれが得かは、成果の測りやすさと予算の読みやすさで決まります。

料金の形 向いている場面 注意すること
月額固定 継続して運用し、予算を読みたい 作業量が決まっていないと割高になる
成果報酬 問い合わせ数など成果が数えやすい 成果の定義を契約前にそろえる
従量 広告費や記事本数に比例する業務 量が増えると費用も増える

成果報酬では、何をもって成果と数えるかを先に合意します。問い合わせ1件なのか、商談になった件数なのかで、支払いの額も依頼先の動き方も変わります。

自社の予算に当てはめる計算の手順

自社の予算は、施策ごとの式に自分の数字を入れて見積もります。

  • 広告運用の月額=月の広告費×手数料率(約20%)+固定費
  • 記事制作の月額=文字単価(1文字3〜6円)×1本の文字数×月の本数
  • 回収に必要な月の受注数=月の外注費÷受注1件あたりの粗利

3つ目の式で、外注費を回収するのに毎月いくつの受注が要るかが分かります。その数が現実的でなければ、範囲を絞るか、まだ頼まない判断をします。

ある事例では、BtoBのSaaSの会社が広告費を月200万円まで増やしたものの、社内に運用できる人がいませんでした。予算が大きくても、動かす人がいなければ使い道が決まりません。金額を決める前に、その予算を運用できる人がいるかを確かめます。この事例は一例で、同様の結果を保証するものではありません。

依頼先のタイプごとの向き不向き

依頼先のタイプごとの向き不向き

依頼先は、「実行できる人が社内にいるか」「予算」「求める専門性の幅」の3つの物差しで選びます。自社で担う道も同じ物差しに並べると、外注しない判断も比べられます。

依頼先 実行できる人がいない会社 予算の大きさ 専門性の幅
代理店・支援会社 ☆☆☆ 実行まで任せられる 大きめが必要 総合型は広く、特化型は深い
コンサルティング会社 ☆ 実行は別に確保する 中〜大 上流の整理に強い
フリーランス・個人 ☆☆ 人により実行まで担う 小〜中 人によって差が大きい
自社で担う(採用・育成) ☆ 人がいないと始まらない 人件費と育成の時間 育て方しだい

実行できる人がいないなら代理店・支援会社かフリーランス、戦略の整理が先ならコンサルティング会社を選びます。予算が小さく1領域から始めたいなら、フリーランスや業務委託の人材が候補になります。

代理店や支援会社に頼む場合

代理店や支援会社は、総合型と専門特化型に分かれます。総合型は広告、SEO、SNSといった複数の施策をつなげて設計できる点が強みで、施策同士の連携が必要な会社に向きます。専門特化型は1つの領域に深く、広告運用だけ、SEOだけを高い水準で任せたい会社に向きます。

規模の大きい依頼先に頼むときは、予算が小さいと担当者の稼働が限られたり、対応できる範囲が絞られたりすることがあります。会社の名前ではなく、実際に自社を担当する人と、その人が月にどれだけ時間を割けるかを確かめます。

どちらを選ぶ場合も、担当者の経験と体制は会社ごとではなく案件ごとに違います。提案の場に、実際に運用を担当する人が同席しているかを確かめておくと、契約後のずれが減ります。

コンサルティング会社に頼む場合

コンサルティング会社は、市場の整理、戦略の立案、組織や数値目標の設計といった上流の仕事に強みがあります。方針が決まっていない、施策が場当たり的になっている会社にとっては、考える土台を整える相手です。

実行は別に確保する前提で考えます。実行する人の有無と戦略の有無で頼み先を振り分けたとき、「戦略がなく、実行する人はいる」会社がもっとも合う相手です。実行する人がいない会社がコンサルだけを頼むと、計画が棚に残りやすくなります。契約前に、計画を誰が動かすかまで決めておきます。

フリーランスや個人に頼む場合

フリーランスや業務委託の人材は、1つの会社に専従せず、専門のスキルを複数の仕事に提供する個人のプロです。予算を抑えながら、経験のある人に直接任せられる点が強みです。

経歴の型と稼働の上限

マーケティングの業務委託の人材に多い経歴は、広告代理店や制作会社の出身で独立した人、事業会社でマーケティングや営業を経験して複業を始めた人、複数の会社を並行して支援しているプロの3つです。担当できる範囲は、戦略から実行、制作まで広がります。

別の仕事を並行して抱えているため、1社に割ける時間には上限があります。頼む前に、月にどれだけの時間を任せられるかと、急ぎの対応をどこまで受けるかを確かめます。

代理店から切り替えた例

株式会社ウィルゲートは、M&A事業のリスティング広告を代理店に依頼していましたが、期待した効果を得られず、別の代理店に頼み直しても結果は同じでした。そこで、専門知識を持つ業務委託の人材に切り替えています。同社は当時について「代理店という枠組みでは技術的な未熟さを感じた」と振り返っていますが、これは同社の受け止めで、代理店全般の評価ではありません。ある事例での話で、同様の結果を保証するものではありません。

▼代理店から業務委託の人材に切り替えた会社の話を読む

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SOKKIN MATCH 企業インタビューVol.13 株式会社SOKKIN(本社:東京都新宿区 代表取締役:本間亮平)は、マーケター・クリエイターに特化した人財マッチングサービスSOKKIN MATCHを提供しております。SOKKIN M...

依頼の前にそろえておくこと

依頼の前にそろえておくこと

依頼の前にそろえるものは3つあり、目的と任せる範囲、予算と期間の上限、着手を早める準備の順に固めます。先の2つが決まっていないと、見積もりを取っても比べる基準がありません。

目的と数値目標と任せる範囲の線引き

最初に、外注で何を達成したいかを数値目標に落とします。「集客を増やしたい」ではなく、「3か月後に月の問い合わせを今の何件から何件にする」のように、今の数字と目指す数字を並べます。KGI(最終的に達成したい数値目標)を決め、そこに至る途中の数字をKPIとして置くと、依頼先の提案を同じ物差しで比べられます。

次に、戦略、実行、分析の3つについて、社内が主導するか外注先が主導するかを決めます。戦略は社内、実行は外注、分析は共同、のように分けておくと、依頼先に何を頼み、何を頼まないかがはっきりします。線引きが曖昧なまま始めると、成果が出ないときに責任の押し付け合いになります。

予算と期間の上限の決め方

予算と、成果を検証する期間の上限を、依頼先と話す前に社内で合意しておきます。上限が決まっていないと、提案のたびに金額が膨らみ、やめる判断もできません。

予算は、回収に必要な受注数の式に当てはめ、無理のない額を上限にします。期間は、施策ごとに兆しが見え始める時期より短く区切らないことが前提です。短すぎる期間で判断すると、立ち上がる前にやめてしまいます。社内で上限に合意できない段階なら、まだ発注せず、目的の整理を先に進めます。

先に渡すと着手が早まる3つの準備

依頼先が着手するまでの時間を縮めるには、次の3つを先に用意します。多く求められる順に並べています。

  1. 広告アカウントやCMS(Webサイトの更新に使う管理システム)などの権限
  2. 社内の窓口を1人に決めておくこと
  3. 過去の実績データ(広告のレポートやアクセス解析など)

権限がないと、依頼先は現状を見ることも設定を変えることもできず、着手直後の時間が確認の往復に消えます。窓口が1人に決まっていれば、質問と確認の行き先が迷いません。過去のデータがあれば、ゼロから調べ直す時間を省けます。3つとも依頼を決めた日から準備を始められます。

外注が止まる典型と防ぎ方

外注が止まる典型と防ぎ方

支援の現場で見てきた中では、外注が止まる原因は依頼先の腕よりも、頼む側の前提にあることが多いです。ここでは止まり方の典型を3つ、何が起きたか、なぜ止まったか、どう防げたかの順に並べます。どれも契約の前に手を打てるものです。

育てる仕組みがないままの広告費の増額

よくあるのは、広告の予算を2倍にしたのに受注が増えなかったという止まり方です。広告で集めた見込み客に、その後の連絡や情報提供で関心を高めていく仕組みがなく、集めた人がそのまま離れていきました。

広告費を増やせば問い合わせは増えても、受注に至るまでの道筋がなければ、増えた分が売上に変わりません。この止まり方は、契約の前に依頼先と一緒に、問い合わせから受注までの流れを整理しておけば防げました。

広告を頼むときは、集めた見込み客を誰がどう追いかけるかまで決めてから予算を増やします。広告の運用と見込み客の育成を別の依頼先に分ける場合も、受け渡しの形を先に決めます。仕組みを整えても成果が約束されるわけではありませんが、予算を増やす前に確かめる順番は変わりません。

記事本数だけを目標にした発注

記事制作の外注で多いのは、記事本数のノルマだけを決めて始めた結果、検索する人の意図に合わない記事が量産され、成果につながらなかったという止まり方です。本数は数えやすい反面、読まれるか、集客できるかを表しません。最初から、目標を検索順位や検索からの流入数で合意しておくべきでした。

ある事例では、人材サービスの会社がオウンドメディアを立ち上げたものの、更新が半年止まり、記事の企画から任せられる人を探していました。書く人がいても、何を書くかを決める人がいなければ更新は続きません。記事を頼むときは、制作だけでなく企画を誰が担うかを決めておきます。この事例は一例で、同様の結果を保証するものではありません。

社内の確認待ちで止まる施策

外に実行を任せたのに、社内の意思決定者が忙しく確認が滞り、施策が止まるという型もあります。依頼先の作業は進んでいても、公開や出稿の承認が下りなければ何も世に出ません。

防ぐには、依頼の前に社内の確認の流れを決め、窓口を1人に絞っておきます。誰が何日以内に返すか、誰が不在なら誰が代わるかまで決めておくと、確認待ちで止まる時間が減ります。

確認を減らしたいからといって判断まで丸投げすると、今度は施策の意図が社内に残りません。最終判断は社内に残したまま、確認の手順だけを軽くする、という分け方が現実的です。

依頼先の見極め方と見積もりの比べ方

依頼先の見極め方と見積もりの比べ方

依頼先は、自社と近い課題の実績、見積もりの内訳、提案を評価できる人の3点で見極めます。会社の知名度や実績の件数だけでは、自社で同じように動いてくれるかは分かりません。

自社と近い課題の実績の聞き方

実績は件数ではなく、自社と同じ課題を持つ会社で何をして、何が変わったかを聞きます。商談や面談では、次の質問をそのまま使えます。

  • 当社と同じくらいの規模で、同じ課題を持つ会社を担当した例はありますか
  • その会社で最初の3か月に何をして、何が変わりましたか
  • BtoBとBtoCのどちらの実績が多いですか。当社の業種に近い例はありますか
  • うまくいかなかった例では、何が原因でしたか

答えが件数や社名の紹介だけで終わり、何をしたかが出てこない場合は注意が要ります。BtoBとBtoCでは、検討にかかる期間も決裁の重さも違うため、同じ型の実績があるかを確かめると、提案の現実味を見極めやすくなります。

見積もりの内訳と稼働時間の比べ方

見積もりは、合計金額ではなく内訳を並べて比べます。2〜3社から取り、次の項目をそろえて表にします。

比べる項目 確かめること
含まれる作業 戦略、実行、制作、レポートのどこまでが月額に入るか
別料金の作業 初期費用、制作物、ツール代の扱い
稼働時間の前提 月に何時間を想定した金額か
レポートの頻度 週ごとか月ごとか、打ち合わせの回数

金額が安く見えても、制作やレポートが別料金なら総額は逆転します。稼働時間の前提をそろえてから比べると、1時間あたりの中身の濃さで判断できます。内訳を出してもらえない依頼先は、何に払うかが見えないため、比べる対象から外します。

提案を評価できる人がいない場合の対処

ある事例では、マーケティングの担当者が1人で全領域を兼任しており、手が回らないまま、代理店の言いなりになってしまっていました。担当者に提案の良し悪しを判断する時間も材料もなく、出てきた提案をそのまま受け入れるしかなかった状況です。代理店の提案が悪かったという話ではなく、判断する役が社内にいなかったことが問題でした。

対処は、社内側に提案を評価する役を置くことです。社内に適任者がいなければ、実行を頼む先とは別に、提案を見てもらう相談相手を外に持つ方法もあります。評価する役がいれば、提案に対して質問を返し、必要なら断ることもできます。この事例は一例で、同様の結果を保証するものではありません。

契約で確かめる項目と発注側に残る責任

契約で確かめる項目と発注側に残る責任

外注しても、成果と法律上の最終責任は発注する側に残ります。そのため契約では、やめられる条件と、成果物やデータの持ち主を、署名の前に書面で確かめます。

最低期間と解約予告と違約金

契約の前に、次の項目を依頼先に確かめます。そのまま質問として使えます。

  • 最低契約期間はどれくらいで、その期間の途中でやめたら費用はどうなりますか
  • 解約するときは、何か月前までに伝える必要がありますか
  • 途中解約で違約金や残りの期間の費用はかかりますか
  • 契約の範囲外の作業を頼むときは、誰にどう依頼し、費用はどう決まりますか

「途中解約の条件は契約書を見てください」と口頭で答えられない場合や、範囲外の作業が「その都度相談」で費用の決め方が決まっていない場合は、署名の前に書面で明確にしてもらいます。やめ方が分かっていれば、合わなかったときの損失の上限を先に読めます。

広告アカウントと成果物の持ち主

広告アカウント、アクセス解析などのデータ、記事や画像などの制作物は、持ち主を自社にしておきます。依頼先の名義で作られたアカウントは、契約が終わると過去のデータごと使えなくなることがあります。

自社の名義でアカウントを作り、依頼先には権限を付与する形にしておけば、依頼先を替えても施策は止まりません。制作物の権利が誰に帰属するかも契約書で確かめ、終了後も自社で使い続けられるようにしておきます。

契約が終わるときに何を引き渡してもらうかも、始める前に決めておきます。設定の一覧、過去のレポート、制作物の元データの3つがそろえば、社内の担当者や次の依頼先がすぐに続きを引き受けられます。

着手から成果の兆しが見えるまでの期間

着手から成果の兆しが見えるまでの期間

成果の兆しが見え始める時期と、成果が固まる時期は別物です。兆しが見えた段階で判断を急がず、固まるまでの期間を見込んで検証の上限を決めます。

相談から着手までの段取り

外注の段取りは、相談、候補の選定、面談、契約、着手の順に進みます。相談では、目的と任せる範囲、予算の上限を伝えます。候補の選定と面談では、実績の聞き方と見積もりの比べ方を使って依頼先を絞ります。

候補は2〜3社に絞り、同じ条件と同じ質問で比べると、提案の差が見えやすくなります。契約では、やめる条件と成果物の持ち主を書面で確かめます。着手の日までに、権限、窓口、過去のデータを渡せるようにしておくと、着手してすぐに作業が進みます。段取りのどこかで社内の承認が要るなら、その日程も先に押さえておきます。

施策ごとに兆しが見え始める時期

兆しが見え始める時期は、施策ごとに違います。目安として、広告運用は1か月程度、SEO(検索エンジンからの集客)は3〜6か月程度、見込み客の育成とインサイドセールス(電話やメールで見込み客と関係をつくる営業)は1〜2か月程度で、改善の兆しが見え始めることが多いです。

これはあくまで兆しが見え始める時期で、成果が固まるのはそれより後になります。この時期に成果が出ることを保証するものではありません。検証期間を決めるときは、兆しの時期より短く区切らず、兆しが見えたあとに固まるまでの期間も含めて見込みます。

依頼が決まりにくい条件と直し方

依頼が決まりにくい条件と直し方

依頼先がなかなか決まらない原因は、依頼の条件の側にあることが少なくありません。どれも発注側が依頼の前に直せる条件です。

稼働時間と求めるスキルの幅のずれ

決まりにくい依頼の典型は、稼働時間が極端に短いのに、幅広い専門性を求める依頼です。たとえば、わずかな時間で広告運用もSEOもSNSも見てほしい、という頼み方がこれに当たります。専門性の幅が広いほど、1人が必要とする時間は増えるため、受けられる人が限られます。

直し方は、任せる範囲を絞ることです。たとえば「広告運用の設定と週ごとの改善だけ」のように、1つの領域の中でも作業を具体的に区切ります。そこで成果の兆しが見えてから範囲を広げます。複数の領域を同時に進めたいなら、稼働時間を増やすか、領域ごとに依頼先を分けます。

予算と稼働時間の釣り合い

予算が、求める稼働時間に見合っているかも、依頼が決まるかを分けます。報酬の水準が稼働時間に見合わない依頼は、経験のある人ほど受けたがりません。

直し方は、予算か稼働時間のどちらかを先に決め、もう片方を合わせることです。予算が決まっているなら、その予算で頼める時間の範囲に作業を絞ります。作業の量が決まっているなら、見積もりの稼働時間の前提を見て予算を組み直します。どちらも合わせられないときは、依頼を急がず、目的と範囲を見直してから出し直すほうが、結果として早く決まります。

細切れの依頼と専門外の業務

稼働の単位が細切れすぎる依頼と、専門外の業務まで幅広く求める依頼も、受け手が避けやすい条件です。細かい作業が不定期に飛んでくると、別の仕事と並行して時間を組むのが難しくなります。

開始時期の緊急度も影響します。「来週から」と急ぐほど、条件の合う人を探す時間が取れません。直し方は、作業をまとめて定期の枠にすること、専門外の業務は別の依頼先に分けること、開始の時期に余裕を持たせることです。

業務委託のマッチングを使う場合の流れと条件

依頼先の候補の一つとして、当メディアを運営するSOKKINの、マーケティング領域の業務委託マッチングの流れと条件を示します。マーケター等の複業人財を業務委託で企業にマッチングする形で、ここで挙げる質問は、他の依頼先に同じことを聞くときの物差しとしても使えます。

相談から着手までの流れと期間

流れは、相談の申し込み、初回の打ち合わせでのヒアリング、候補の人材の選定、依頼企業と人材と事務局の三者での面談、契約、稼働開始後のフォローの順です。相談から人材が着手するまでは、おおむね2週間が一つの目安で、ヒアリングから候補の選定と三者面談までにその程度かかることが多いです。

契約は、発注企業と運営会社の間の業務委託契約で、人材へは準委任で再委託する形です。このマッチングの案件で、戦略までで終わり実行を請けなかったのは、実行する人は元々いたものの、戦略のないまま実行していた会社でした。市場調査だけを頼む案件はありません。

費用の目安と稼働時間の決め方

マーケティング領域の業務委託は、領域を問わずおおむね月15〜30万円に収まることが多く、稼働は週10〜20時間が目安です(人によってばらつきがあります)。事務局の経験則で、調査の結果ではなく、2026年9月時点の目安です。

稼働時間は、マーケティングの経験を持つ事務局が、頼む業務の内容から想定の時間を出して決めます。途中で作業が増えるときは、事前に依頼企業と合意したうえで時間を増やすため、知らないうちに稼働が膨らむことはありません。他の依頼先にも、稼働時間を誰がどう決め、増えるときはどう合意するかを聞いておくと、見積もりを同じ条件で比べられます。

最低期間と途中でやめる場合の扱い

短期やスポットの依頼も受けられますが、契約は最低3か月からです。最低期間を過ぎたあとは、1か月前に解約を予告すればやめられます。最低期間の途中でやめる場合は、残りの期間の分がかかります。

頼む業務の範囲は事前に決め、範囲外の業務を頼むときは事務局を通します。揉めやすい契約項目として挙がるのは、中途解約の条件です。他の依頼先と比べるときも、最低期間、予告の時期、途中でやめたときの費用、範囲外の作業の頼み方の4つを同じ形で聞くと、やめやすさの違いが見えます。

よくある質問

外注を決める前に、多くの担当者が最後に気にする3つの問いに答えます。

Q. 予算が少なくても頼めるか。

頼めます。施策を1つに絞る、フリーランスや業務委託の人材に頼む、といった形なら、月の予算が限られていても始められます。SNSやSEOの月額の幅の下限側から、まず1領域を試すのが現実的です。予算の額だけで頼める中身は決まらないため、見積もりの内訳で何が含まれるかを確かめます。回収に必要な受注数が見込めないなら、頼まずに目的の整理を先に進める判断もあります。

Q. 外注をやめたあと社内で続けられるか。

続けられるように準備しておけば可能です。広告アカウントやデータを自社の名義に置き、戦略と最終判断を社内に残しておけば、依頼先が抜けても施策は止まりません。定例の打ち合わせで、何をなぜ変えたかを記録に残しておくと、社内の担当者や次の依頼先に引き継げます。やめる前に、設定の一覧と過去のレポートを受け取っておけば、社内で続けるときの手がかりになります。

Q. 業種によって依頼先の選び方は変わるか。

変わります。大きく違うのはBtoBかBtoCかで、BtoBは検討の期間が長く決裁の関係者が多いため、見込み客を育てる設計が要ります。BtoCは判断が早い分、広告やSNSの表現の改善を速く回せるかが問われます。依頼先には、自社と同じ型の実績を具体的に聞いて選びます。業種の名前が同じでも、売り方が違えば参考になりにくいため、誰に何をどう売っている会社の実績かまで確かめます。

まとめ

外注の判断は、実行する人がいるかと戦略があるかの2つの問いから始まります。戦略があって実行する人がいなければ代行、その逆ならコンサル、どちらもなければ戦略から実行まで担える依頼先を選び、両方そろっているなら急いで外注しません。予算は施策ごとの式に自分の数字を入れ、回収に必要な受注数が現実的かで上限を決めます。契約では、やめる条件と成果物の持ち主を書面で確かめます。

明日からできる次の一歩は次のとおりです。

  • 止まっている施策を書き出し、原因が「考えがない」か「手が足りない」かを分ける
  • 目的を数値目標にし、予算と検証期間の上限を社内で合意する
  • 広告アカウントやCMSの権限、社内の窓口、過去のデータの3つをそろえる
  • 2〜3社に同じ質問(実績、見積もりの内訳、稼働時間、やめる条件)をして比べる

同じ質問をそろえて比べれば、自社に合う頼み方と依頼先が見えてきます。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェントでは、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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