広告運用の外注は誰に頼む?費用相場と失敗しない判断基準

広告運用の外注は誰に頼む?費用相場と失敗しない判断基準 マーケティング

社内に広告を運用できる人がおらず、採用も思うように進まないなら、広告運用は外注で立て直すのが現実的な選択です。判断の目安は、月の広告費が30万円前後を超えているかと、専任で運用できる人が社内にいるかの2点です。

頼む相手は、組織で対応する広告代理店、制作もまとめて任せられる制作会社、稼働時間で頼める個人の3つに分かれ、費用の決まり方と任せられる範囲がそれぞれ違います。外注が途中で止まる典型的な型は、どれも依頼前の準備で防げるものです。

この記事では、外注できる業務の範囲、内製との分かれ目、外注先ごとの違いと費用相場、契約と解約の条件、外注が止まる3つの型、依頼前に用意するものと成果が見えるまでの期間を整理します。読み終えたときに、外注するか、誰に頼むか、何を整えてから頼むかを自社の状況に当てはめて決められる状態をめざします。

  1. 外注で任せられる業務の範囲
    1. 準備から改善提案までの業務
    2. 外注しても社内に残す役割
  2. 外注か内製かを分ける基準
    1. 月の広告予算で見る分かれ目
    2. 社内の人員とスキルで見る分かれ目
    3. 採用で人が埋まらないときの選択
  3. 外注で得るものと失うもの
    1. 外注で得られる主なメリット
    2. 外注で生じる主なデメリット
    3. デメリットを抑える社内の関わり方
  4. 外注先の種類と向いている会社
    1. 広告代理店に頼む場合
    2. 制作会社やアウトソーシング会社に頼む場合
    3. フリーランスや業務委託の個人に頼む場合
    4. 外注先と内製の比較表
  5. 外注費用の内訳と相場の目安
    1. 広告費以外にかかる初期費用
    2. 運用手数料の3つの型
    3. 個人に頼む場合の月額の目安
  6. 契約期間と途中でやめるときの条件
    1. 最低契約期間の相場
    2. 解約で揉めやすい条件
    3. 業務委託で稼働時間と範囲を決める方法
  7. 外注が止まる典型的な3つのパターン
    1. 受注につながらない集客の増加
    2. 運用者不在のままの広告費拡大
    3. 社内の確認待ちによる施策の停止
  8. 外注先の選び方と依頼の組み立て方
    1. 契約前に確かめる5つの項目
    2. 引き受け手が決まりやすい依頼の条件
    3. 後回しにされやすい依頼の特徴
  9. 依頼から成果が見えるまでの進め方
    1. 依頼前に用意しておく3つのもの
    2. 相談から着手までの流れと期間
    3. 成果の兆候が見え始める時期
  10. よくある質問
  11. まとめ

外注で任せられる業務の範囲

外注で任せられる業務の範囲

広告運用は、アカウントの準備から日々の改善、成果の報告まで、ほぼすべての工程を外に出せます。社内に残すべきなのは、目標を決めて成果を判断する役割です。

任せる範囲を考えるときは、業務を配信前の「準備」と配信後の「運用改善」の2つに分けると、見積もりどうしを比べやすくなります。

準備から改善提案までの業務

外注先に任せられる業務は、配信を始めるまでの準備と、配信後の運用改善の2段階に分かれます。見積もりを比べるときは、どちらの段階がどこまで含まれているかを先に確かめます。

段階 主な業務
準備 アカウント開設、アカウント設計(キャンペーンの分け方)、KPI(目標の達成度を測る指標)の設定、キーワードと広告文の作成
運用改善 入札と予算の管理、配信結果の分析、改善提案、定期レポートの作成

検索広告、ディスプレイ広告、SNS広告のどれを扱えるかも外注先ごとに違うため、自社が出稿したい媒体に対応しているかを準備の段階で確かめておきます。

LP(広告から移動した先のページ)やバナーの制作は、運用に含める外注先と、別料金や対象外とする外注先に分かれます。制作まで頼みたい場合は、見積もりの範囲に入っているかを書面で確かめておくと、あとから追加費用で揉めずに済みます。

外注しても社内に残す役割

外注しても、目標を決めること、商材の情報を渡すこと、成果を判断することの3つは社内に残ります。ここまで外注先に預けると、運用そのものは回っていても、自社の事業に合わない方向へ進みやすくなります。

目標は、獲得したい問い合わせの件数や、1件の獲得にかけてよい費用など、外注先が運用の判断に使える形で渡します。商材の強み、顧客の悩み、競合との違いは広告文とキーワードの質を左右するため、営業やカスタマーサポートが持っている情報も含めて共有します。

外注しても、成果と法律上の最終責任は発注側に残ります。広告の表現に問題があったときに責任を問われるのも、広告を出した自社です。外注先の提案をそのまま通さず、最後は社内で確認して判断する体制を持っておきます。

外注か内製かを分ける基準

外注か内製かを分ける基準

外注するか内製するかは、月の広告予算、社内の人員とスキル、採用の見込みの3つで決めます。

3つのうち1つでも内製の条件がそろわないなら、全部を外に出すか、一部だけを出すかを比べる段階に進みます。

月の広告予算で見る分かれ目

月の広告費が30万円前後に届かないうちは、代理店への全面的な外注は割高になりやすいです。広告費に連動する手数料では、外注先が運用にかけられる時間が広告費の大きさで決まるためです。

手数料が広告費の20%前後の場合、広告費が月30万円なら手数料は月6万円ほどです。この金額で確保できる作業時間は限られ、アカウントの細かい改善や頻繁な打ち合わせまでは手が回りにくくなります。

月30万円前後を下回る段階では、月額固定の外注先や個人への依頼、社内で基本の運用を回す方法を先に比べます。広告費がそれを超えて改善の余地が大きくなってきた段階が、全面的な外注を検討する1つの目安です。

社内の人員とスキルで見る分かれ目

広告運用を専任で担える人が社内にいるなら、内製を基本にします。兼任で手が回らない場合や、短い期間で成果が必要な場合は、外注を選びます。

専任の担当者がいる会社は、日々の入札や広告文の調整を社内で回せるため、全部を外注すると手数料のぶん割高になります。この場合は、戦略の見直しや新しい媒体の立ち上げなど、社内に知見のない部分だけを外に出すのが合理的です。

兼任の担当者しかいない会社では、配信結果を見る時間が取れず、改善が止まりがちです。日々の運用は外注し、社内の担当者は目標の設定と結果の判断に集中する併用の形を取ると、少ない人員でも運用を回せます。

採用で人が埋まらないときの選択

広告運用を外注に切り替える会社の多くは、社内に専任できるスキルを持つ人がいないうえ、マーケターの採用も進まないという事情を抱えています。採用を待つ間も広告は止められないため、外部のプロに頼る判断になります。

マーケターは市場に少なく、募集を出しても経験者が集まらないことが珍しくありません。採用が決まるまでの期間を外注でつなぎ、その間に社内で担う範囲を決めておくと、人が入ったあとの引き継ぎもしやすくなります。

広告運用では、専任の担当者がいる会社でも外注先を選び直すことがあります。代理店から切り替える理由として多いのは、担当者の質への不満とコストの見直しです。代理店という形が合わないのではなく、担当者と費用の見合いが崩れたときに外注先の形を見直す、と考えると判断しやすくなります。

外注で得るものと失うもの

外注で得るものと失うもの

外注すると、専門知識と運用の手間の軽減が手に入ります。その代わりに、毎月の手数料と、社内にノウハウが残りにくいという負担を抱えます。

どちらが大きくなるかは、外注を始めたあとの社内の関わり方で変わります。

外注で得られる主なメリット

外注の主なメリットは、専門知識と他社での運用経験を借りられること、社内の担当者の負担が減ること、媒体の仕様変更に追いつけること、採用と育成のコストを抑えられることの4つです。

外注先は複数の会社のアカウントを運用しているため、業種ごとの反応の傾向や、うまくいった設定の型を持っています。社内だけで試行錯誤するより、早い段階で改善の方向を絞り込みやすくなります。

広告媒体は管理画面の仕様や配信の仕組みがたびたび変わり、兼任の担当者が追いかけ続けるのは負担の大きい作業です。外注先はこうした変化への対応を日常の業務として持っています。人を採用して育てるには時間と費用がかかるため、その期間を外注で置き換えられることも利点です。

外注で生じる主なデメリット

外注のデメリットは、手数料が毎月かかること、ノウハウが社内に残りにくいこと、意思疎通と修正に時間がかかること、成果が保証されないことの4つです。

手数料は広告費とは別に毎月発生し、広告費を増やすほど手数料も増える契約が一般的です。運用の判断を任せきりにすると、なぜその設定にしたのかが社内に残らず、外注先を替えたときに一からやり直すことになります。

広告文の修正や配信の停止も、依頼と確認を挟むぶん、社内で操作するより反映が遅れます。外注先は運用の品質には責任を持っても、売上や受注の結果までは約束しません。成果が出なかった場合に備え、どの時点で見直すかを契約前に決めておきます。

デメリットを抑える社内の関わり方

デメリットの多くは、社内の関わり方で小さくできます。基礎用語とKPIを社内で押さえる、管理画面とレポートを共有してもらう、自社でも数字を見る、の3つを外注の初日から続けます。

基礎用語は、CPA(顧客1人の獲得にかかった広告費)やCVR(広告をクリックした人のうち問い合わせなどに至った割合)など、レポートに出てくる指標を読める程度で足ります。KPIは社内で決め、外注先と同じ数字を見て話せる状態にしておきます。

管理画面の閲覧権限を共有してもらえば、レポートに載らない細かい数字も自社で確かめられます。週に1回でも自社で数字を見ておくと、レポートの説明に違和感があったときに質問でき、任せきりになるのを防げます。

外注先の種類と向いている会社

外注先の種類と向いている会社

広告運用の外注先は、広告代理店、制作会社やアウトソーシング会社、フリーランスや業務委託の個人の3種類に分かれます。向き不向きは、月の広告予算の大きさと、任せたい範囲の広さで決まります。

予算が大きく組織での対応を求めるなら代理店、制作もまとめたいなら制作会社、特定の業務を絞って頼みたいなら個人、が基本の分け方です。

広告代理店に頼む場合

広告代理店は、組織で運用を引き受けられる点が強みです。担当者が不在のときも代わりが立ち、複数の媒体をまとめて任せられます。

代理店には、テレビや新聞なども含めて幅広い広告を扱う総合代理店と、検索広告やSNS広告などの運用型広告を専門に扱う代理店があります。Web広告の運用だけを頼みたい会社は、運用型広告を専門とする代理店のほうが、担当者の運用経験を比べやすくなります。

代理店の手数料は広告費に連動することが多く、広告費の小さい案件では、担当者1人が多くのアカウントを受け持つ体制になりやすいです。予算が小さいうちは担当の手厚さに差が出やすいため、契約前に担当者が持つ案件数を確かめておきます。

制作会社やアウトソーシング会社に頼む場合

LPやバナーの制作と広告の運用をまとめて頼みたい会社には、制作会社が合います。業務の進め方を自社に合わせてほしい会社には、アウトソーシング会社が向きます。

制作会社は、広告の成果を見てLPやバナーを作り直すところまで一社で完結できるため、制作と運用の間で起きる伝言の手間が減ります。アウトソーシング会社は、社内の業務フローに合わせて作業を引き受ける形を取りやすく、報告の頻度や使うツールを自社に合わせやすいのが特徴です。

どちらも、広告運用が主な事業とは限りません。運用を任せる前に、自社と近い業種や予算規模での運用実績があるか、運用を担当する人がどのくらいの経験を持つかを具体的に確かめます。

フリーランスや業務委託の個人に頼む場合

個人に頼む場合は、1社に専従しない働き方を前提に依頼を組みます。複数の会社を並行して支援していることが多く、1社にかけられる時間には上限があるためです。

広告運用を引き受ける個人の経歴は、広告代理店や制作会社から独立した人、事業会社でマーケティングや営業を経験して複業を始めた人、複数の会社を並行して支援するプロとして活動している人の3つが多く見られます。運用する側と発注する側のどちらの経験が厚いかは、人によって違います。

受けられる稼働の量は人によって大きく異なります。並行して見ている会社は2〜3社ほどです。毎日の細かい対応を求めるより、週ごとの改善と報告を単位に依頼内容を決めると、個人の経験を生かしやすくなります。

外注先と内製の比較表

4つの選択肢を、費用の決まり方、任せられる範囲、対応の速さ、ノウハウの残りやすさの同じ軸で並べます。

優劣ではなく、自社の予算と人員に合うかで選びます。

項目 広告代理店 制作会社・アウトソーシング会社 個人(業務委託) 内製
費用の決まり方 広告費連動の手数料が中心 制作費と運用費、または月額固定 稼働時間と範囲で決まる月額 人件費と採用・育成費
任せられる範囲 複数媒体を組織で対応 制作と運用をまとめて対応 得意な媒体や工程に絞る 社内の人のスキルの範囲
対応の速さ 担当者の受け持ち数で変わる 制作を含む修正も一社で完結 本人の稼働日に左右される 社内の判断ですぐ動ける
ノウハウの残りやすさ 共有の取り決め次第 共有の取り決め次第 共有の取り決め次第 社内に残る

自社に合う選択肢の決め方

月の広告費が大きく複数の媒体を回すなら代理店、LPの改善も同時に進めたいなら制作会社、特定の媒体や工程だけを任せたいなら個人、専任の担当者がいるなら内製を軸にします。

どれにも当てはまらず目標もまだ決まっていない段階なら、外注先を探す前に目標と予算を社内で固めます。

外注費用の内訳と相場の目安

外注費用の内訳と相場の目安

広告運用を外注すると、支払うのは広告費、初期費用、運用手数料、追加費用の4つです。広告費は媒体に払うお金で、外注先を替えても変わりません。

外注先ごとの差が出るのは、広告費を除いた3つです。見積もりを比べるときは、この3つの合計を同じ期間で並べます。

▼手数料が実際にどれだけの負担になるかと、担い手の選び方を詳しく知りたい方はこちら
Web広告運用代行の発注条件|手数料の実質負担率と担い手の選び方
広告運用代行の発注条件を自社の数字で決める手順です。Web広告の運用手数料の型と実質負担率の出し方、代理店と個人と内製の比べ方、成果を判断できる時期、発注前に決める6項目までまとめました。

広告費以外にかかる初期費用

初期費用は無料〜30万円程度が一般的な幅で、初期費用をかけない外注先も多くあります。金額の差は、配信前の準備作業をどこまで含むかで生まれます。

初期費用は、アカウントの設計、計測タグの設置、キーワードと広告文の作成など、配信を始めるまでの準備作業の対価です。初期費用が無料の外注先は、その作業を月々の手数料に含めているか、準備の範囲を絞っていることがあります。

レポートの項目を増やす、バナーや動画を作る、LPを直すといった作業は、初期費用とは別の追加費用になりやすい項目です。見積もりの段階で、月々の費用に含まれる作業と別料金になる作業を一覧で出してもらうと、外注先どうしを同じ条件で比べられます。

運用手数料の3つの型

運用手数料は、広告費に連動する型、月額固定の型、成果報酬の型の3つに分かれます。最も一般的なのは広告費連動の型で、手数料率は広告費の20%前後が中心です。

型 決まり方 向いているケース 注意点
広告費連動 広告費の20%前後(15%程度の例もある) 広告費が大きく、増やしていく予定がある 広告費を増やすほど手数料も増える
月額固定 広告費にかかわらず毎月定額 広告費が小さい、または毎月の変動が少ない 定額に含まれる作業の上限を確かめる
成果報酬 問い合わせなどの成果1件ごとに支払う 成果の定義がはっきりしている 成果の数え方を契約で決めておく

型を選ぶときは、手数料の額だけでなく、その金額に含まれる作業と報告の範囲を並べて比べます。

月あたりの外注費の見積もり方

計算例として、広告費が月200万円で手数料率が20%なら、手数料は月40万円ほどです。自社の見込み広告費に手数料率を掛け、初期費用を契約月数で割った額を足すと、月あたりの外注費をおおむね見積もれます。

外注費の元が取れるかは、「必要な受注の増加件数=月の外注費÷受注1件あたりの粗利」で確かめます。この件数を増やせる見込みがあるかを、外注先の提案と照らして判断します。

個人に頼む場合の月額の目安

個人に業務委託で広告運用を頼む場合、月額はおおむね15〜30万円に収まることが多いです。週10〜20時間ほどの稼働を前提にした金額で、マーケティングの領域を問わずこの幅が目安になります。

代理店との大きな違いは、広告費に連動しない決まり方です。報酬は稼働時間と担当する範囲で決まるため、広告費を増やしても外注費は変わりません。その一方で、1人が受けられる稼働には上限があり、複数の媒体を同時に大きく動かす規模では1人で受けきれないことがあります。

自社で手が足りない業務を1つ選び、その業務に要る週あたりの時間を見積もってこの幅に当てはめると、個人に頼んだ場合の費用を概算できます。

契約期間と途中でやめるときの条件

契約期間と途中でやめるときの条件

外注の契約では、最低契約期間と解約の条件を契約前に確かめておくことが、うまくいかなかったときに撤退できるかを決めます。

期間の長さそのものより、途中でやめたときに何が起きるかを具体的に聞いておくことが大切です。

最低契約期間の相場

広告運用の外注では、最低契約期間を1〜6か月程度に置く外注先が多く、長いと1年の例もあります。期間が設けられるのは、配信データを集めて改善の効果を確かめるまでに一定の期間が要るためです。

広告は配信を始めてすぐに成果が安定するものではなく、入札や広告文を調整しながら数字の傾向をつかむ期間が必要です。外注先から見ると、その前に契約が終わると改善の結果を示せないため、最低期間を置く理由になります。

最低期間の途中で解約すると、違約金がかかる場合があります。初めての外注先とは、最低期間が短い契約を選ぶか、最初の数か月で何を達成すれば継続するかを事前に決めておくと、合わなかったときの損失を抑えられます。

解約で揉めやすい条件

外注の契約で揉めやすいのは、中途解約の条件です。料金や作業範囲は契約前に話し合っても、やめるときの取り決めは後回しにされやすいためです。

契約書では、次の3つを確かめます。

  • 解約予告の期間:何か月前までに伝えればやめられるか
  • 最低期間の途中でやめたときの扱い:違約金や残りの期間の費用がかかるか
  • アカウントとデータの引き継ぎ:解約後も広告アカウントと過去の配信データを自社で使えるか

アカウントの引き継ぎは特に見落とされやすく、外注先の名義でアカウントを作っていると、解約とともに過去のデータを使えなくなることがあります。アカウントは自社の名義で作り、外注先には権限を付ける形にしておくと、解約後もデータを手元に残せます。

業務委託で稼働時間と範囲を決める方法

業務委託で個人に頼む場合は、稼働時間と頼む範囲を契約前に決めておくことが、あとから揉めないための前提になります。決め方とやめ方の条件は、仲介の仕組みによって違います。

マーケター向けの業務委託マッチングであるSOKKIN MATCHでは、マーケティングの実務経験がある事務局が、依頼したい業務の内容から想定の稼働時間を出して設定します。途中で作業が増えて稼働を増やすときは、事前に企業側と合意してから増やします。

頼む業務の範囲も事前に決め、範囲外の業務を頼むときは事務局を通します。個人と直接やり取りするうちに依頼が少しずつ広がり、稼働と報酬が合わなくなるのを防ぐための取り決めです。

やめるときの契約条件

契約は最低3か月からで、短期やスポットの依頼も受けられます。解約には1か月前の予告が必要で、この予告は最低期間を過ぎたあとに使えます。最低期間の途中でやめる場合は、残りの期間の分がかかります。

ほかの外注先と比べるときも、稼働の決め方、範囲外の依頼の扱い、最低期間とやめ方の3点を同じ項目で並べると、条件の違いが見えやすくなります。

外注が止まる典型的な3つのパターン

外注が止まる典型的な3つのパターン

支援してきた中では、外注が途中で止まる型は大きく3つに分かれます。集めた見込み客が受注につながらない型、運用できる人がいないまま広告費を増やす型、社内の確認待ちで施策が止まる型です。

3つとも、外注先を替えるより先に、発注側の準備と体制で防げた型です。

受注につながらない集客の増加

広告予算を2倍にしたのに、受注が増えなかった型です。問い合わせは増えても、集めた見込み客を商談や受注へ育てる仕組みが社内に無かったことが原因でした。

広告の外注先が責任を持つのは、多くの場合、問い合わせや資料請求の獲得までです。その後のメール配信や営業の追客が整っていないと、獲得した見込み客がそのまま放置され、広告費だけが増えていきます。

防ぐには、契約前に受注までの導線を外注先と一緒に整理しておきます。問い合わせのあと誰がいつ連絡するか、すぐに商談にならない見込み客にどんな情報を送るかを決めてから予算を増やすと、広告費の増加を受注につなげやすくなります。

運用者不在のままの広告費拡大

ある事例では、BtoBのSaaS企業が広告費を月200万円まで増やしましたが、社内に広告を運用できる人がいませんでした。予算を増やす判断が、運用を担う人の確保より先に進んでいたケースです。

広告費が大きくなるほど、配信設定や入札の判断ひとつで動く金額も大きくなります。社内に運用の中身を理解している人がいないと、外注先の提案が妥当かどうかを判断できず、予算の使い方を誰も検証できない状態になります。

防ぐには、広告費を増やす前に、日々の運用を誰が担い、結果を誰が判断するかを決めます。運用を外注する場合も、社内に判断役を1人置き、月ごとに予算の配分を見直す場を設けます。この事例は一つのケースで、同じ状況の会社すべてに当てはまるものではありません。

社内の確認待ちによる施策の停止

外注先に実行を任せたものの、社内の意思決定者が忙しく確認が滞り、施策が止まった型です。社内の確認の流れと窓口が決まっていなかったことが原因でした。

広告文の差し替えや新しいキャンペーンの開始には、多くの場合、社内の承認が要ります。承認する人が決まっていない、または複数の人に確認が回る状態だと、外注先は準備を終えても配信を始められず、改善の速度が落ちます。

防ぐには、事前に社内の確認の流れを決め、外注先とのやり取りの窓口を1人に絞ります。どの内容なら窓口の判断で進めてよいか、どの内容は上長の確認が要るかを分けておくと、急ぎの修正も止めずに回せます。

外注先の選び方と依頼の組み立て方

外注先の選び方と依頼の組み立て方

外注先を選ぶときは、相手を見極める視点と、自社の依頼を整える視点の両方が要ります。条件の良い外注先でも、依頼の中身が曖昧なままでは力を発揮しにくいためです。

前者は契約前の質問で、後者は依頼を出す前の自社の調整で確かめます。

契約前に確かめる5つの項目

契約前には、得意な媒体と業種の実績、実際の運用担当者と窓口、レポートと改善提案、管理画面とアカウントの扱い、担当者の案件数と体制の5つを確かめます。

どれも商談の場でそのまま質問できます。

確かめる項目 商談で聞く質問 注意したい回答
媒体と業種の実績 自社と近い業種や予算規模で運用した例はありますか 媒体名だけで具体的な例が出てこない
運用担当者と窓口 運用の担当者と連絡の窓口は誰ですか 運用の担当者と話せない
レポートと改善提案 レポートの頻度と項目、改善提案の見本を見せてもらえますか 数字の一覧だけで次の打ち手が無い
管理画面とアカウント 管理画面の閲覧権限はもらえますか。解約後にアカウントを引き継げますか アカウントが外注先の名義で引き継げない
案件数と体制 担当者は何社を受け持っていますか。不在時は誰が対応しますか 受け持ち社数を答えられない

見送りの判断に使う項目

5つのうち、管理画面とアカウントの扱いは、あとから変えるのが最も難しい項目です。ここで明確な回答が得られない外注先は、ほかの条件が良くても契約を見送ります。

残りの4つは、回答が曖昧でも追加の質問で確かめられます。答えが具体的になるかどうかで、担当者の経験の厚みを判断できます。

引き受け手が決まりやすい依頼の条件

業務委託で個人に頼む場合、引き受け手が決まるかどうかは依頼の条件が現実的かどうかで分かれます。見られるのは、希望する稼働時間と求めるスキルの幅が合っているか、開始時期の緊急度、予算感が稼働時間に見合っているかの3つです。

稼働時間とスキルの幅は、週に使える時間の中でこなせる範囲かどうかで判断されます。検索広告の運用改善だけなら限られた時間でも受けやすく、全媒体の運用と戦略の設計まで求めると、それに見合う時間が必要になります。

開始時期に余裕があるほど、条件に合う人を探す時間を取れます。予算感は、希望する稼働時間に対して報酬が見合っているかで見られます。依頼を出す前にこの3つを自社で調整しておくと、候補が見つかるまでの時間を縮めやすくなります。

後回しにされやすい依頼の特徴

引き受け手が見つかりにくいのは、週に数時間の稼働で幅広い専門性を求める依頼、稼働が細切れすぎる依頼、専門外の業務まで求める依頼、報酬と稼働が見合わない依頼です。

たとえば、週に数時間で広告運用もSNSもLPの改善もという依頼は、どの業務も中途半端になりやすいため、経験のある人ほど避けます。毎日少しずつの対応を求める細切れの依頼も、複数の会社を並行して支援する人には組み込みにくい形です。

直し方は2つあります。頼む範囲を広告運用のうち1つか2つの業務に絞ることと、稼働を週1回の作業日や定例の打ち合わせなど、まとまった単位に寄せることです。絞っても手が足りない業務は、別の外注先に分けるか、社内の役割として残します。

依頼から成果が見えるまでの進め方

依頼から成果が見えるまでの進め方

外注は、依頼前の準備、着手までの手続き、成果の兆候の確認という順で進みます。

準備の段階で必要なものをそろえておくほど、着手から成果の兆候が見えるまでの時間を短くしやすくなります。

依頼前に用意しておく3つのもの

依頼前に用意しておくと立ち上がりが速くなるのは、広告アカウントなどの権限、社内の窓口となる1人、過去の広告レポートやアクセス解析のデータの3つです。挙がることの多い順に並べると、この順番になります。

権限は、広告アカウントの管理画面や、計測に使うアクセス解析ツールへのアクセス権です。発行に社内の承認が要る会社もあるため、依頼を決めた時点で手続きを始めておきます。窓口の1人は、外注先からの質問に答え、社内の確認をまとめる役を担います。

過去のデータは、どの広告にいくら使い、どれだけの問い合わせにつながったかを外注先がつかむための材料です。データが少なくても、手元にあるレポートをそのまま渡せば、外注先は最初の改善の方向を決めやすくなります。

相談から着手までの流れと期間

個人に業務委託する場合は、ヒアリング、候補の選定、三者面談、契約、稼働後のフォローの順で進みます。着手までの期間は、ヒアリングから三者面談までをどれだけ早く進められるかで決まります。

ヒアリングでは、頼みたい業務、希望する稼働時間、開始時期、予算感を伝えます。候補の選定と三者面談では、候補者の経験を確かめ、仲介する側も交えて業務の進め方をすり合わせます。

契約のあと、稼働が始まってから仲介する側が進み具合を確かめるフォローがあると、立ち上がりのつまずきを早く直せます。開始したい時期が決まっているなら、候補の選定と面談にかかる日数を見込んで早めに相談を始めます。この流れは業務委託の場合のもので、代理店に頼む場合は提案と見積もりの進め方が別にあります。

成果の兆候が見え始める時期

広告運用は、外注を始めてから1か月程度で改善の兆候が見え始めることが多いです。成果を約束する期間ではなく、方向が合っているかを確かめる最初の区切りとして使います。

代理店に頼む場合は、契約の最低期間を成果を判断する最短のラインとして置く考え方が使えます。最低期間が3か月なら、3か月目の終わりに目標の指標がどこまで動いたかで、継続か見直しかを決めます。

業務委託で成果が出た事例

ある事例では、株式会社ウィルゲートがM&A事業のリスティング広告を業務委託の人材に任せ、運用開始から約1か月半でCPAが取り組み前の約半分に減り、広告の出稿量は約1.3倍に伸びました。それまでの依頼先で期待した効果が得られず、広告の拡大を目的に、全体の戦略設計まで提案した人を選んだケースです。

業種や目的、予算規模によって結果は変わり、同様の効果を保証するものではありません。

▼業務委託で広告運用を任せた会社が、依頼先をどう選んだかを知りたい方はこちら
【株式会社 ウィルゲート】SOKKIN MATCH企業インタビュー記事
SOKKIN MATCH 企業インタビューVol.13 株式会社SOKKIN(本社:東京都新宿区 代表取締役:本間亮平)は、マーケター・クリエイターに特化した人財マッチングサービスSOKKIN MATCHを提供しております。SOKKIN M...

よくある質問

外注を決める直前に迷いやすい3つの点に答えます。

Q. 集客がほとんど無い段階でも外注してよいですか。

外注してかまいません。広告運用を外に出した時点で、見込み客がほとんど集まっていなかった会社も多くあります。

ただし、ゼロから始める場合は、広告で集めた問い合わせを誰がどう受注につなげるかを先に決めておきます。受け皿が無いまま広告を始めると、見込み客が商談に進まず、広告費の効果を判断できません。

Q. 月の広告費が少なくても頼めますか。

頼めますが、依頼先の選び方が変わります。広告費に連動する手数料の外注先では、最低手数料や最低出稿額を設けている場合があり、広告費が少ないと実質の負担率が高くなります。

少額のうちは、月額固定の外注先か、稼働時間で費用が決まる個人への依頼のほうが合いやすくなります。

Q. 外注をやめて社内運用に戻せますか。

戻せるかどうかは、管理画面の共有と、解約後のアカウント引き継ぎの取り決めで決まります。広告アカウントが自社の名義で、過去の配信データを解約後も使える契約なら、社内運用へ移るのは難しくありません。

契約前に、アカウントの名義と解約後の扱いを確かめておきます。

まとめ

広告運用を外注するかは、月の広告予算、社内の人員とスキル、採用の見込みの3つで決めます。専任の担当者がいるなら、内製を基本にします。

誰に頼むかは、予算と任せたい範囲で決めます。組織での対応なら代理店、制作もまとめるなら制作会社、特定の業務を稼働時間で頼むなら個人です。どこに頼む場合も、最低期間と解約の条件、アカウントの引き継ぎは契約前に確かめます。

依頼の前に、次の3つをそろえます。

  • 広告アカウントやアクセス解析ツールの権限を発行できる状態にする
  • 外注先とのやり取りを担う窓口を1人決める
  • 過去の広告レポートとアクセス解析のデータをまとめる

3つがそろえば、相談や見積もりをすぐに依頼できます。目標や予算が固まっていないなら、外注先を探す前に社内で目標を決めます。

SOKKIN MATCH

SOKKIN MATCHは、プロのマーケター・クリエイターを業務委託で活用できるマッチングサービスです。元大手広告代理店出身のトップマーケターが課題を整理し、最適なプロ人財をアサインします。

サービスの詳細を見る
SOKKIN ACADEMY

SOKKIN ACADEMYは、マーケターを社内で育てるeラーニング(動画学習)サービスです。現役マーケターが設計したカリキュラムで学び、外注に頼らず判断できる人材を育てることをめざせます。

サービスの詳細を見る
               
  • class="cat-item cat-item-"
  • //子カテゴリーのidを入れる        
この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェントでは、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

マーケティング
タイトルとURLをコピーしました