所得税率は年収で違う?所得税の早見表や累進課税について解説!

税金関連

年間で一定の所得がある人全員に納税義務が発生する所得税ですが、その仕組みを詳しくご存じの方はどれくらいいるでしょうか。

年間所得がある人が対象の税金ではありますが、負担額は所得額に応じて税率が異なるため、一律ではありません。

このような計算方法を累進課税制度といい、自分で計算すると手間がかかるうえにミスをする可能性もあります。

本記事では所得税全般とあわせて、負担額を計算する際におすすめの早見表も紹介するので参考にしてください。

所得税とは

所得税とは
1年間(1月1日〜12月31日)の間に発生した所得額に応じて課せられる税金のことです。

年間所得と聞くと対象年で得た収入全体のことを想像する人もいるかもしれませんが、所得と収入は同一ではありません

所得とは
収入から、その収入を得るために発生した費用(経費)を差し引いた金額のことです。
例えば年間収入が100万円だったとしましょう。
この100万円を得るために1年間で20万円の支出があった場合、所得額は以下のように計算します。
100万円(年間収入)-20万円(経費)=80万円(所得額)

所得税とは年間所得額に一定の税率をかけたものであることから、この場合は80万円に税率をかけて算出された金額が納税額です。

税率については後述するので、合わせて参考にしてください。

▼ 所得税が課税される年収が知りたい方はこちらを確認ください
所得税はいくらから発生する?税率や控除などをケース別に紹介

所得税の税率

所得税の税率は課税方式によって異なり、課税方式は所得区分によってわけられています。

所得区分は全部で10種類あり、その主な内容と課税方式は以下の通りです。

区分
内容
課税方式
事業所得 商業・工業・自営業などの所得 総合
事業で行う株式譲渡や先物取引の所得 申告分離
不動産所得 土地や建物、船舶などの貸付所得 総合
利子所得 国外預金などの利子 総合
特定公社債の利子など 申告分離
預貯金利子など 源泉分離
配当所得 法人余剰金配当金、投資信託の収益分配など 総合
上場株式等配当など 申告分離
特定目的信託(私募のみ)の収益分配など 源泉分離
給与所得 給料、賞与など 総合
雑所得 公的年金等 国民年金、厚生年金、確定拠出企業年金など 総合
その他 原稿料、講演料など 総合
業(事業以外)で行う株式譲渡所得など 申告分離
譲渡所得 金地金、機械などの譲渡所得 総合
土地や建物、株式(事業所得・雑所得以外)などの譲渡所得 申告分離
一時所得 賞金や懸賞金、生命保険の一時金など 総合
保険期間5年以下の一時払養老保険など 源泉分離
山林所得 所得期間5年超の山林または立木を伐採した譲渡所得 申告分離
退職所得 退職金、一時恩給など 申告分離

(参考:所得の種類と課税方法|国税庁

上記一覧表のように課税方式には全部で3種類ありますが、給与所得や事業所得は総合課税方式が採用されており、この場合は累進課税制度となっています。

所得税の速算表

課税方式が採用されている所得については、年間の課税所得額に応じて税率と控除額が変わる累進課税制度が採用されているため、一律ではありません

国税庁のホームページでは所得金額に応じた税率と控除額が一目でわかる以下のような「所得税の速算表」が公開されています。

課税対象所得額
税率
控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

(出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

累進課税ってどんな制度?

累進課税とは
課税所得や取得財産などを基本として金額ごとに税率を設定し、総額が増えると納税額も増える制度のことです。
簡単に言い換えると、1年間で得た所得や財産などが増えれば納めるべき所得税も増加します。
累進課税は経済的格差の少ない公平な社会を実現することを目的に、1887年に導入されました。

この制度を導入することで高所得者に対しては高い税率で負担額を重くし、低所得者には低い税率で負担額を軽くしたり免税したりしています。

これを所得の再分配機能といい、このようなシステムにすることで貧富の格差を是正しているのです。

また累進課税には「単純累進課税」と「超過累進課税」の2通りがあり、以下のような違いがあります。

課税制度
内容
単純累進課税 課税額が一定の金額を超えると、課税額全体に高い税率を適用
超過累進課税 課税額が一定の金額を超えると、その超えた分のみに高い税率を適用

国税庁で公開されている所得税の速算表は、超過累進課税を単純化したものです。

累進課税制度が採用されている税金にはほかに「相続税」「贈与税」がありますが、国税庁ではこれらについても超過累進課税を単純化した「相続税の速算表」や「贈与税の速算表」を公開しています。

退職金や株所の譲渡などは分離課税を適用する

所得税の課税方式には総合課税とは別に分離課税がありますが、これら2つはまったくの別物です。

分離課税とは
原則とされている総合課税の所得額から分離して税額計算をして納税する方法であり、「申告分離」と「源泉分離」の2種類があります。
申告分離とは
確定申告をして納税する方法で、退職金や土地・家屋・株式の譲渡所得などが対象です。
源泉分離とは
所得支払時に一定税率を使用して算出した所得税を源泉徴収して納税します。源泉徴収を行った所得支払者が申告を行うので、納税者は確定申告をする必要がありません
主な種類として利子所得や給付補てん金などがあげられます。

「申告分離」と「源泉分離」の種類については、「所得税の税率」にて一覧表で紹介しているので、そちらをご確認ください。

【2024年6月スタート】定額減税について

2024年6月から始まった定額減税について解説します。

定額減税とは
納税者を対象に所得税3万円と住民税1万円が特別控除される制度のことです。
急激な物価上昇を受けて、2024年4月1日に「令和6年度税制改正法」に定額減税を盛り込んで施行されました。

適用されるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

要件
所得税
・2024年度の所得税納税者
・日本国内在住者
・2024年分の所得総額が1,805万円以下(給与収入のみは2,000万円以下、子ども・特別障害者等の所得控除適用の場合は給与収入2,015万円以下)
住民税
・2024年度の住民税納税者
・日本国内在住者
・2023年分の所得総額が1,805万円以下(給与収入のみは2,000万円以下、子ども・特別障害者等の所得控除適用の場合は給与収入2,015万円以下)

また所得税・住民税それぞれの減税額は以下の通りです。

納税者本人 生計を同一とする配偶者・扶養者
所得税
3万円 3万円/1人につき
住民税
1万円 1万円/1人につき
例えば
年間給与所得が1,500万円で配偶者と生計を同一とする子ども3人の5人家族だった場合、控除金額は以下のようになります。

納税者本人 配偶者・子ども3人 合計
所得税 3万円 3万円×4人=12万円 3万円+12万円=15万円
住民税 1万円 1万円×4人=4万円 1万円+4万円=5万円
この制度は2024年度限定で導入された特別制度であり、永久的なものではない点に注意してください。

所得税の早見表

ここまで国税庁が公開している早見表などを利用して解説してきましたが、実際に所得税を計算する際にはさまざまなサイトや一覧表を参考にしなければならず、計算ミスをするかもしれません。

そこで年間課税所得額100万円ごとの税率・控除額・所得税額を一覧表で紹介するので、参考にしてください。

課税所得額
税率
控除額
所得税額
100万円 5% 5万円
200万円 10% 9.75万円 10.25万円
300万円 20.25万円
400万円 20% 42.75万円 37.25万円
500万円 57.25万円
600万円 77.25万円
700万円 23% 63.6万円 97.4万円
800万円 120.4万円
900万円 33% 153.6万円 143.4万円
1,000万円 176.4万円
1,100万円 209.4万円
1,200万円 242.4万円
1,300万円 275.4万円
1,400万円 308.4万円
1,500万円 341.4万円
1,600万円 374.4万円
1,700万円 407.4万円
1,800万円 40% 279.6万円 440.4万円
1,900万円 480.4万円
2,000万円 520.4万円
3,000万円 920.4万円
4,000万円 45% 479.6万円 1,320.4万円
5,000万円 1,770.4万円

年間所得額が1,800万円を超えると、税率・控除額ともに設定幅が大きくなるので1,000万円単位で掲載しました。

また税率・控除額ともに総所得額が4,000万円を超えると一律になるため、5,000万円までの掲載とさせて頂きます。

所得税の計算方法

所得税を計算する主な手順は以下の通りです。

  1. 年間総収入額の計算
  2. 年間総所得額の計算
  3. 課税所得額を計算
  4. 基準所得税額を計算
  5. 復興特別所得額を計算
  6. 税額控除を差し引く

それぞれの手順を詳しくみていきましょう。

step1 収入を計算

最初に当該年の総収入額を計算します。

個人事業主の場合は基本的に事業で得た収入を合計しますが、このときの期間は1月1日〜12月31日までの暦年分です。
サラリーマンの場合は1月〜12月に確定した支払済給料・賞与・手当などの合計額が年間総収入額にあたります。

step2 所得を計算

総収入額の計算ができたら、次は以下の計算式を用いて所得額の算出です。

年間総所得額=総収入額-年間総経費
経費とは
収入を得るために支出した金額のことですが、経費計上できる項目が決まっています。
主な例として、以下のようなものがあげられます。
経費の種類 具体例
仕入 販売目的で入手する商品の購入代金
租税公課 切手・収入印紙・固定資産税など
通信費 電話代・インターネット接続料など
消耗品費 文房具、コピー用紙など
水道光熱費 水道代、電気代など
地代家賃 事務所や店舗の地代、建物賃料など
旅費交通費 交通費、駐車場代など
接待交際費 取引先との会食代や贈答品代、来客用の茶菓子代など
給与 従業員への給与・賞与・退職金など

これらは一部であり、すべての経費を網羅しているわけではありません。上記にあげなかったもので経費計上できるものもあれば、状況によっては経費として認められないケースもあります。

経費計上は節税対策として用いられることも多い方法ですが、計上しすぎると税務署から指導が入ることがあるので注意してください。

給料収入のみのサラリーマンの場合は経費計上はできず、給与所得控除が経費にあたります。

給与所得控除は収入によって控除額が変わります。以下は国税庁が提示している一覧表です。

給与などの総収入
給与所得控除額
162.5万円まで 55万円
162.5万円超180万円まで 収入額×40%-10万円
180万円超360万円まで 収入額×30%+8万円
360万円超660万円まで 収入額×20%+44万円
660万円超850万円まで 収入額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

(出典:No.1410 給与所得控除|国税庁

年間の給与・賞与などの総額に応じて上記のように控除額が異なりますが、上限は195万円です。

step3 課税所得額を計算

次に以下の計算式を用いて、課税所得額を計算します。

課税所得額=年間総所得額-所得控除
所得控除とは
要件を満たすことで年間総所得額から一定の金額を差し引く制度のことです。
所得控除の種類と要件・内容は、以下のように定められています。
所得控除 内容・要件
基礎控除 ・一定の年間所得がある人で確定申告や年末調整で計算する場合に差し引かれる控除
・合計所得額に応じて控除額に変動あり(後述)
配偶者控除 ・所得税法に基づいた控除対象の配偶者がいる場合
・納税者本人の合計所得額に応じて13万円~48万円まで控除
配偶者特別控除 ・納税者本人の年間所得総額が1,000万円以下かつ配偶者の年間所得総額が133万円未満の場合
・控除額は納税者本人と配偶者の年間総所得額に応じて変動
扶養控除 ・所得税法に基づいた控除対象の扶養家族がいる場合
・扶養家族の区分によって38万円~63万円まで控除
生命保険料控除 ・納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合
・新契約(2012年1月1日以降契約)と旧契約(2011年12月31日までの契約)の2種類あり
・控除額は年間支払済保険料にて変動
社会保険料控除 ・健康保険、国民健康保険、介護保険、厚生年金保険などを支払った場合
・納税者本人と生計を同一とする配偶者や親族も含む
・控除額は年間支払済保険料全額
小規模企業共済等掛金控除 ・納税者本人が小規模企業共済契約に基づいて掛金などを支払った場合
・iDeCoなど
・控除額は年間支払済金額全額
地震保険料控除 ・納税者本人が地震などの損害部分にかかる保険料や掛け金を支払った場合
・2007年に廃止された損害保険料控除の代わり
・一定の条件を満たすことで旧長期損害保険料控除あり
・控除額は区分と年間支払済保険料によって変動
医療費控除 ・当該年に支払った医療費が一定の金額を超える場合
・納税者本人と生計を同一とする配偶者や親族が対象
セルフメディケーション税制 ・当該年に支払った医療費が一定金額を超える場合
・処方箋なしで購入可能な医薬品の一部を含む
・納税者本人と生計を同一とする配偶者や親族が対象
・医療費控除との併用不可
寄附金控除 ・国や地方自治体などへ寄付をした場合
・ふるさと納税を含む
ひとり親控除 ・納税者本人が生計を同一とする子がおり、年間総所得額が500万円以下の場合
・35万円が控除
寡婦(寡夫)控除 ・納税者本人が扶養家族が存在する寡婦(寡夫)であり、年間総所得額が500万円以下の場合
・27万円が控除
勤労学生控除 ・当該年の12月31日時点で勤労学生に該当する場合
・27万円が控除
障害者控除 ・納税者本人または生計を同一とする配偶者や親族が障害者と認められる場合
・控除額は区分に応じて27万円~75万円までの3段階
雑損控除 ・災害や盗難、横領などで資産に一定の損害を受けた場合
・詐欺は対象外
・納税者本人または生計を同一とする年間総所得48万円以下の配偶者や親族が対象

なお所得税の納税義務が発生する全員が対象の基礎控除の金額は、以下の通りです。

納税者本人の年間総所得額
控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

(出典:No.1199 基礎控除|国税庁

step4 基準所得税額を計算

課税所得額が算出できたら、基礎所得税額を以下の計算式で計算します。

基準所得税額=課税所得額×税率-控除額
上記計算式の「税率」と「控除額」は課税所得額に変動するので注意してください。

なお、課税所得額に応じた「税率」と「控除額」は、「所得税の早見表」で一覧表を計算しています。そちらを確認して、上記の計算式にあてはめてください。

step5 復興特別所得税額を計算

復興特別所得税とは
2011年に発生した東日本大震災の復興施策の財源確保を目的として導入された特別税です。2013年〜2037年までの限定特別税であり、以下の計算式で算出します。
復興特別所得税=基準所得税額×2.1%

step6 税額控除を差し引く

最後に税額控除を差し引いて納税すべき所得税額を算出しますが、その際に用いられる計算式は以下の通りです。

基準所得税額+復興特別所得税額)-税額控除

最後に差し引く税額控除には以下のようなものがあります。

税額控除 内容・例など
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除 ・住宅ローンを利用して新築、増改築などを行った場合に適用
・「住宅ローン控除」と呼ばれることが多い
・初年度は確定申告が必要
住宅耐震改修特別控除 ・耐震改修をした場合に適用
・居住専用家屋のみ(店舗一体型の場合は、居住スペースのみが対象)
・確定申告が必要
住宅特定改修特別税額控除 ・バリアフリーや省エネ改修、多世帯同居改修などの工事を行った場合
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除との併用不可
配当控除 ・配当所得がある場合(総合課税のみ)
・配当所得額の5%または10%分を控除
外国税額控除 ・外国で生じた所得
・日本で課税済
・外国法令による所得税相当分が課税済

(参考:No.1200 税額控除|国税庁

国税庁のホームページで定めている税額控除は特例も含めて23種類ありますが、そのなかでも特に主だったものを取り上げて一覧表にしました。

そのほかの税額控除をお知りになりたい場合は、参考のリンク先をご確認ください。

▼ 所得税の計算についてもっと詳しく知りたい方はこちら
所得税について知ろう あなたの年収に対する所得税額を計算してみよう

所得税の節税方法

年間所得総額に応じて金額が高くなる所得税ですが、できれば安く抑えたいと思う人は多いでしょう。その場合は、以下のような節税を行ってみてはいかがでしょうか。

  • 所得控除の活用
  • 税額控除の活用
  • iDeCoで所得控除を増額
  • 青色申告
  • 小規模企業共済への加入

それぞれの節税方法を解説するので、参考にしてください。

所得控除を活用する

所得税を節税する方法のひとつとして、所得控除の活用をおすすめします。

所得控除については「課税所得額を計算」にて簡単に説明しましたが、一定の要件を満たすことで年間総所得額から差し引く制度のことです。

所得税は年間総所得額に比例して高くなるため、所得控除を適用させると所得額が下がり、結果的に支払うべき所得税額も安く抑えられます

所得控除についても「課税所得額を計算」にて一覧表で紹介しています。
これらは会社で行われる年末調整の手続きでも適用可能なものと、確定申告でしか適用できないものの2種類があるので注意してください。

年末調整で適用可能な所得控除
配偶者控除生命保険料控除は年末調整での適用が可能なので、手続きが開始されたら配布される申請用紙に必要事項を記入し、添付書類を添えて所属する会社・企業に提出しましょう。
確定申告でしか適用できない所得控除
医療控除寄附金控除(ふるさと納税)は、確定申告のみでしか適用できません。
例えば勤め先で年末調整を行っても、これらの控除を適用させる際にはさらに自分で確定申告をする必要があります。
会社・企業は年末調整の手続き終了後に源泉徴収票を発行するので、それを参考にして申告手続きを行いましょう。

税額控除を活用する

所得税の節税対策として税額控除の適用も有効です。

税額控除の主な種類については、「税額控除を差し引く」にて一覧表で紹介していますが、給与所得者などに関係が深いものとして「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除」があげられるでしょう。

(特定増改築等)住宅借入金等特別控除 (住宅ローン控除)
金融機関などの住宅ローンを利用して新築・取得・増改築などを行った場合に適用される控除制度です。
ただしこの控除制度は初年度のみ確定申告が必要で、会社・企業に所属している場合は年末調整の手続き終了後に発行される源泉徴収票をもとに自分で申告手続きを行わなければなりません。
2年目からは年末調整での申請手続きが可能になるので、初年度だけ確定申告を忘れないでください。

iDeCoで所得控除を増やす

iDeCoも所得控除を増やすという点で、所得税の節税対策といえます。

iDeCoとは
正式名称を「個人型確定拠出年金」といい、国民年金や厚生年金といった公的年金とは別に給付が受けられる年金制度のことです。

iDeCoで積み立てた掛金は全額所得控除の対象になるため、結果的に所得税の節税になります。

個人事業主や自営業の場合は確定申告で、給与収入がある場合は年末調整の手続きで適用できるので初めてみるのもひとつの方法でしょう。

青色申告を行う

個人事業主や自営業の場合は、青色申告を行うと節税対策になります。

確定申告には白色申告と青色申告の2種類がありますが、このうちの青色申告には「青色申告特別控除」が設けられています。「10万円」「55万円「65万円」の3通りがあり、いずれかの控除を受けるには以下の要件を満たさなければなりません。

青色申告特別控除 要件
55万円
・不動産所得または事業者所得
・複式簿記による記帳
・確定申告時に貸借対照表と損益計算書を提出
65万円
・55万円の要件にすべて該当
・仕訳帳及び総勘定元帳を電子帳簿保存または確定申告書・貸借対照表・損益計算書をe-Taxにて提出
10万円
「55万円」「65万円」いずれの要件にも該当しない場合

(参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

白色申告にはこのような特別控除制度が設けられていないので、所得税の節税をしたい場合は青色申告をおすすめします。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済へ加入すると掛金全額が所得控除の対象になることから、これも節税対策のひとつといえるでしょう。

小規模企業共済とは
個人事業主をはじめとする小規模企業の経営者などが加入できる制度であり、下記のいずれかの要件に該当する場合しか加入できません。
・建設業・製造業・運送業・宿泊や娯楽のサービス業・不動産業・農業を営む場合は常勤従業員20人以下
・卸売業・小売業・サービス業(宿泊・娯楽を除く)の場合は、常勤従業員5人以下
・従事組合員または常勤従業員が20人以下の協同組合
・常勤従業員20人以下の農業組合法人
・常勤従業員5人以下の士業法人
(参考:小規模企業共済に加入をご検討中の方へ | 小規模企業共済

このように細かな要件が設けられていますが、該当する場合は所得税の節税対策のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

所得税の税率改正

所得税は幾度となく税率改正が行われています。

そこで直近3回分の所得税の税率改正の内容を比較するとともに、控除額などについても確認していきましょう。

所得税率の変化

  • 【1999年分〜2006年】の課税所得額に対する税率と控除額は以下の通りです。
課税所得額
税率
控除額
330万円以下 10%
330万円超900万円以下 20% 33万円
900万円超1,800万円以下 30% 123万円
1,800万円超 37% 249万円
  • 【2007年分〜2014年】の税率と控除額をみてみましょう。
課税所得額
税率
控除額
195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10% 97,500円
330万円超695万円以下 20% 427,500円
695万円超900万円以下 23% 636,000円
900万円超1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円超 40% 2,796,000円

2006年分までと2007年分からの税率と控除額は、課税所得額の枠組みが広がり、さらに4段階から6段階に増やされました。

  • 【2015年分以降】は以下の通りです。
課税所得額
税率
控除額
194.9万円以下 5% 0円
195万円以上329.9万円以下 10% 97,500円
330万円以上694.9万円以下 20% 427,500円
695万円以上899.9万円以下 23% 636,000円
900万円以上1,799.9万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円以上3,999.9万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円以上 45% 4,796,000円

(出典:No.2260 所得税の税率|国税庁

2015年度の税率改正では、さらに4,000万円超の枠組みが追加されて現在に至っています。

最新の所得税率・控除額を適用しよう

所得税の税率や控除額は、毎年行われる税率改正で見直しが行われて変更される可能性があるので注意が必要です。

変更されたことに気付かず、確定申告時に古い税率や控除額を使用してしまうと正しく計算されずに過少申告となってしまいます。

確定申告期間中に誤りに気づけば訂正申告することが可能です。しかし期間を過ぎると修正申告が必要になり、延滞税などが加算されるかもしれません。

自分で計算して算出する場合は、適用する税率・控除額が最新のものか確認してください。

所得税と住民税は何が違うの?

所得税と住民税の大きな違いは、国税か地方税かです。所得税が国税なのに対して、住民税は住んでいる地域に納める地方税に分類されます。

また課税される所得額の対象値が異なる点も、2つの違いといえるでしょう。所得税はその年の所得に対して課税されますが、住民税は前年分の所得に課税します。

ここからは住民税について詳しく解説していくので、参考にしてください。

住民税の税率

住民税は所得割と均等割の2つから成り立っており、それぞれの税率は以下の通りです。

所得割(国税)
均等割(地方税)
道府県民税・都民税 4%(政令指定都市:2%) 1,000円
区市町村民税 6%(政令指定都市:8%) 3,000円
森林環境税(国税) 1,000円

(参考:総務省|地方税制度|個人住民税

所得割とは
納税者の年間総所得額に合わせて税率を掛けて算出します。
均等割とは
所得額に関係なく一律で上記一覧表の金額を負担します。
2024年度からは森林整備やその促進に関する財源確保を目的として、森林環境税が課税されることになりました。
【計算してみよう】
独身者の年間課税所得が130万円の場合の住民税は、以下のように計算して算出します。

130万円×(4%+6%)=13万円(所得割)
13万円(所得割)+5,000円(均等割+森林環境税)=13.5万円

住民税で受けられる控除

住民税は基本的に所得税と同様の所得控除が受けられますが、上限が異なるので注意してください。

控除の種類
控除上限(住民税)
控除上限(所得税)
基礎控除 43万円 48万円
配偶者控除 33万円 38万円
扶養控除 33万円 38万円
生命保険料控除 7万円 12万円
地震保険料控除 2.5万円 5万円
障害者控除 26万円 27万円

上記の一覧表は上限金額が異なるもののみ掲載しました。

住民税がかかる年収は?

住民税は年間所得額がいくらになると納税義務が発生するのか、気になる人もいるでしょう。

年間収入から給与所得控除額の55万円を差し引き、以下の金額を超える場合は住民税の課税対象になる可能性があります。

会社員 個人事業主 アルバイト
非課税限度額
100万円 45万円 38万円~45万円

上記の一覧表はあくまで目安の金額です。

自治体のなかには異なる非課税限度額を設定しているところがあるので、事前に自治体のホームページなどを確認してください。
▼ 住民税が課税される年収が知りたい方はこちらを確認ください
住民税は年収いくらから納める?住民税の計算から控除まで徹底解説

まとめ

所得税率について解説しました。

所得税の計算は単に年間総所得額に税率をかけて算出するだけではありません。さまざまな所得控除や税額控除が用意されており、これらを正しく適用させることで納税額が抑えられます

どのような控除制度が適用できるのかを知り、上手に節税しながら納税してください。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェント、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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