事業税は経費に含まれる?法人事業税の申告方法についても解説!

副業

法人・個人事業主・自営業などが事業活動して得た収入には、事業税が課せられます。事業税は税金ですが、経費計上は可能なのでしょうか。

事業税そのものを中心に経費計上の可否や個人事業主・法人の各事業税の計算・申告方法も解説します。事業税についての知識・理解を深めたい、計算方法や申告の仕方を知りたいとお考えの人はぜひ参考にしてください。

事業税とは?

事業税の経費計上可否を解説する前に、事業税そのものについての知識・理解を深めましょう。

事業税とは、事業活動で得た所得に対して課せられる税金のことです。

10 10 および 10 米ドル紙幣

 

 

 

 

 

 

 

 

事務所・会社などを構えて事業を行う際、その地域で提供されているさまざまな事業サービスを利用します。例えば、事務所・会社から別の場所へ移動する際には道路の利用が必須です。また火事が発生した場合には消防署、急病人が出た場合には救急車を利用するかもしれません。

 

このような行政サービスには運営・維持などを継続するための費用が必要であり、その一部を負担する目的で課税されている税金が事業税です。

個人事業税と法人事業税の違い

事業税とひとくくりで表現していますが、実際には個人事業税と法人事業税があり、この2つには以下のような違いがあります。

区分 内容
個人事業税 ・対象者は法定業種を営む個人事業主

・所得額290万円以上

・税率は法定業種別や各自治体の条例に設定

法人事業税 ・対象は「普通法人」「公共法人」「公益法人」「協同組合」「人格のない社団」など

・税率は資本金、所得、自治体によって設定

いずれの事業税も行政サービスの維持・運営を目的に課せられる地方税ですが、その内容は上記のように異なるので注意してください。

事業税は経費に含まれる?

事業税は経費に含まれるのかという疑問ですが、結論から申し上げますと個人事業主・法人ともに経費計上が可能です。

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ただし同じ事業税でも個人事業主と法人では、使用する勘定科目は計上のタイミングが以下のように異なります。

区分 勘定科目 計上のタイミング
個人事業 租税公課 事業税を支払った年または年度
法人 法人税、住民税および事業税 事業税申告書を提出した事業年度

個人事業主の場合、事業税を納税した年または年度に租税公課の勘定科目を使用して計上するので混乱するリスク・可能性は低いでしょう。

一方の法人は計上のタイミングに注意が必要です。計上できるのは申告提出年度であり、納税した年度ではありません。納税した年度に誤って再び経費計上しないように注意してください。

個人事業税の求め方

個人事業税を計算するためには、課税対象の条件などを確認する必要があります。その理由は、個人事業主が運営する事業業種によって税額を算出する際に使用する税率が異なるからです。

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課税対象の条件とともに計算方法まで解説するので、参考にしてください。

課税対象者の条件は?

課税対象条件は、以下に該当する事業を運営している個人事業主です。

事業種 税率 事業の種類
第1事業

(37事業)

5% 物品販売業、運送取扱業、保険業、飲食店業、商品取引業、金銭貸付業、倉庫業、不動産売買業、駐車場業、代理業、広告業、不動産貸付業、請負業、製造業、印刷業、出版業、運送業など
第2事業

(3事業)

4% 畜産業、水産業、薪炭製造業
第3事業

(30事業)

5% 医療、歯科医業、士業、歯科衛生士業、コンサルタント業、社会保険労務士、不動産鑑定業、薬剤師業、デザイン業、歯科技工士業、獣医業、経理士業、理容業、美容業、クリーニング業など
3% あんま・マッサージまたは指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業事業、装蹄師業

(出典:個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局

原則として個人事業主が対象ですが、副業などで上記該当する事業所得が発生する場合は個人事業税の対象になる可能性があります。

計算方法は?

個人事業税の計算方法は、以下の通りです。

求める金額 計算式
所得金額 年間総収入額(事業、不動産)-必要経費
控除額 繰越控除+事業主控除
課税標準額 所得金額-控除額
個人事業税額 課税標準額×税率(3~5%)

個人事業税は「事業」という言葉が入っていますが、収入の対象となるのは不動産収入も含まれており、事業収入だけではありません。

なお個人事業税に適用できる控除制度は以下の通りです。

・法定業種外・事業主控除・赤字繰越(3年分)・譲渡損失・損失繰越控除・事業専従者給与控除(青色・白色)

各控除制度の要件を満たせば、個人事業税の全額または一部控除が受けられます。

個人事業税の申告方法

個人事業税のみで申告する必要はありません。

個人事業主を営んでいれば、事業所得の金額に応じて確定申告や住民税の申告をすることになるからです。

 

確定申告または住民税の申告をすると、後日自治体から納付書・納税通知書が送付されてきます。納付書に明記された納期限までに、定められた納税額を納めましょう。

 

法人税、法人住民税、法人事業税の違い

法人事業税と混同されがちな税金に、法人税や法人住民税があげられます。これら3つの税金をまとめて法人税等と呼びますが、同一の税金ではありません。

税金の種類 内容 税区分
法人事業税 ・都道府県に事業所などがある場合に課税

・所得割、資本割、付加価値割などの種類あり

・年間所得額に対して課税

地方税
法人税 ・法人が事業で得た所得に対して課税

・所得金額に税率をかけて税額控除額を差し引いて算出

国税
法人住民税 ・都道府県や市区町村が事務所等を構える法人に課税

・法人割と均等割の2種類の合算

地方税

上記の一覧表のとおり、それぞれの税金は内容・税区分がすべて異なります。

例えば法人事業税と法人住民税はともに地方税であり、事務所などがある法人に対して課税される点は同じです。しかし、それぞれの種類には構造や種類があり、まったく同一ではありません。このように、これらの3つはまったく異なる税金である点に注意してください。

法人事業税の求め方

法人事業税の課税対象者や条件、計算方法などを確認しましょう。

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課税対象者の条件は?

法人事業税の課税対象者は、以下の通りです。

区分 法人例 納税義務の範囲
普通法人 株式会社、合名会社、合資会社、医療法人など 所得全額
公益法人 学校法人、社会福祉法人、宗教法人など 収益事業の所得のみ
協同組合 生活協同組合、森林組合、農業協同組合など 所得全額
人格のない社団など 労働組合、マンションの管理組合、PTAなど 収益事業の所得のみ
区分によって納税義務の範囲は異なりますが、上記に該当する場合は法人事業税の納税義務が発生します。

計算方法は?

法人事業税を算出する際の計算式は以下の通りです。

法人事業税額=課税所得額×税率

上記計算式の税率は法人の種類・所得額などとあわせて自治体によっても異なり、同一ではありません。

例えば東京都では、以下のように定められています。

法人の種類 区分 税率(%)
標準 超過
普通法人、公益法人、人格のない社団法人 所得割 軽減税率適用法人 年間所得額400万円以下 3.5 3.75
年間所得400万円超800万円以下 5.3 5.665
年間所得800万円超 7.0 7.48
軽減税率不適用法人 7.0 7.48
特別法人(協同組合、医療法人) 所得割 軽減税率適用法人 年間所得額400万円以下 3.5 3.75
年間所得400万円超 4.9 5.23
軽減税率不適用法人 4.9 5.23
外形標準課税法人(資本金1億円超の普通法人) 所得割 軽減税率適用法人 年間所得額400万円以下 0.4

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.0)

0.495

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.18)

年間所得400万円超800万円以下 0.7

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.0)

0.835

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.18)

年間所得800万円超 1.0

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.0)

1.18

(事業年度が2022年4月1日以降の場合は1.18)

軽減税率不適用法人 1.0 1.18
付加価値割 1.26
資本割 0.525

(抜粋:法人事業税・法人都民税 | 税金の種類 | 東京都主税局

法人事業税の申告方法

法人事業税は事業所得や所得税などを確定させる確定申告時に同時に行うものであり、それのみでの申告は必要ありません。

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なお法人税の確定申告には中間申告と一般的な確定申告の2通りがあり、中間報告の義務が課せられている法人は法人事業税も含めて両方で所得・税金の申告・手続きを行う必要があります。

 

確定申告は毎年2月16日〜3月15日で実施されますが、中間申告は事業年度開始から6カ月超を起算日として2カ月以内に行わなければなりません。例えば事業年度開始が4月1日の法人は、6カ月を超えた10月1日から2カ月後の11月末日までに中間申告を行います。中間申告の詳細については次の項目で解説するので、あわせて参考にしてください。

中間申告とは

中間申告とは法人税法に定められた申告方法であり、以下の条件に該当する法人は確定申告とは別に中間申告も行わなければなりません。

・前事業年度の法人税20万円超・公益法人、公共法人、前事業年度が存在しない法人以外の普通法人・外形標準課税適用法人は前事業年度の有無や法人税額に関係なく申告

(参考:法人税法 | e-Gov 法令検索

中間報告には予定申告と仮申告の2通りがあり、どちらの方法で申告するかは納税者の判断にゆだねられています。

中間申告の義務がある法人には税務署から申告書が送付されるので、書類に必要事項を記載して管轄する税務署に提出してください。

予定申告

予定申告とは、前事業年度の確定した納税額をもとに今年度分を計算して申告・納付する方法です。前年度実績から納税額を算出して納付するだけなので、本格的な確定申告と比較すると時間・手間はさほどかかりません。

予定納税額=(前期分確定法人税額/12カ月)×6カ月

 

単純に前期分納税額の半額を納付すれば良いわけではなく、必ず1カ月分の金額を計算してから6カ月分の納税額を算出します。この方法で行わなければ金額に微妙なずれが生じ、過少申告などの罰則が課せられる可能性があるからです。なお、100円未満は切り捨て処理する点も注意してください。

 

 

仮決算に基づく中間申告

仮決算とは、中間申告対象期間をひとつの課税期間と捉えて決算する方法です。

仮ではあってもひとつの課税期間と認識していることから、通常の確定申告と同様の決算処理をしなければなりません。

仮決算の納税額=仮決算所得額×税率
納税額は上記の計算式で算出しますが、予定申告で算出した金額を上回る場合は仮決算での中間申告は認められていないので、予定申告で処理を行って申告・納税してください。

確定申告とは

確定申告とは対象の事業年度における所得額を確定し、それをもとに算出された税金を納付する手続きのことです。

法人の申告期間は原則として事業年度終了日の翌日を起算日として2カ月以内に定められており、個人事業主などのように決まった期間が定められているわけではありません。

納税額=事業年度総所得額×税率-中間納付額
確定申告時の納税額は上記の計算式で算出しますが、中間申告を行った場合はその時に納税した金額を差し引くことを忘れないでください。

事業税の支払い方法と支払い時期について

事業税の支払方法は、主に以下の通りです。

・現金・クレジットカード・口座振替・eLTAX・スマートフォン

納付書に可能な支払方法が明記されているので、どのような方法があるのか確認してください。

支払期限は個人事業税と法人事業税で以下のように定められており、同一ではありません。
事業税区分 納期限
個人事業税 原則として8月と11月
法人事業税 確定申告 事業年度終了6カ月超を起算日として2カ月以内
中間申告 事業年度開始6カ月超を起算日として2カ月以内
法人事業税は確定申告と中間申告でも納期限が異なるので、忘れないようにしてください。

まとめ

事業税について解説しました。

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事業税は行政サービスの維持・運営をするうえで重要な地方税ですが、計算の仕方・申告方法・納期限は個人と法人で異なります。

 

本記事で紹介した個人事業税・法人事業税の計算・申告方法などを参考にして、正しく手続き・納税を行ってください。

 

               
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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェント、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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