マーケティングチーム立ち上げの進め方|指標と増員の決め時

マーケティングチーム立ち上げの進め方|指標と増員の決め時 マーケティング

任されたばかりで手が止まりがちなマーケティングチームの立ち上げは、体制の骨格を先に決め、その後は「チームが次の段へ移ったか」で指標・報告・増員を決めると迷いが減ります。迷いやすいのは最初の形よりも、動き出した後に何の数字を追い、成果が出る前の経営層に何を見せ、いつ人を足すかのほうです。

役割や置き場所は立ち上げ前に一度決めれば足りるため、要点だけに絞ります。本題は、チームを準備・最初の検証・定着・拡大の4段で捉え、段が移る条件を軸に決める3つのことです。

この記事で分かること:

  • 段ごとに追う主な指標と、次の段へ移る条件
  • 成果が出る前の経営層への報告の形と、追加の予算を求めてよい時点
  • 段の移行に合わせて足す役割と、外部の人で足すときの仕事の切り方

立ち上げ前に決める体制の骨格

立ち上げ前に決める体制の骨格

体制の骨格は、役割・職種・置き場所・社内外の分担の4つです。どれも立ち上げ前に一度決めておけば、動き出してから組み替える場面は多くありません。各項目は要点だけを押さえ、選び方の比較は体制構築の手順を扱う記事に任せます。

チームの役割と立ち上げ期の職種

チームの仕事は、見込み客を集める・商談になるまで育てる・数字を測って配分を直す、の3つの機能に分けると担当を決めやすくなります。職種は次の3つで足ります。

職種 主に持つ機能 立ち上げ期の置き方
責任者 優先順位・予算・営業との約束 1人を必ず置く
施策の実務 集める・育てる 1人が両方を兼ねてよい
分析 測る 責任者か実務の担当が兼ねる

立ち上げ期は責任者1人と実務の担当で始め、1人が複数の機能を兼ねる形で回します。ただし営業など別の部署との兼務のままだと、施策が打ちっぱなしの単発で終わりやすいため、少なくとも責任者はチームの仕事を本務にしてください。

置き場所と社内外の分担

置き場所は、報告先が予算を決める人に近いほど、施策を足す・止める判断が早く下ります。社内外の分担は、優先順位の判断と社内の調整を社内に残し、時間で区切れる実務は外部に出す道も持つ、と分けておけば迷いません。

▼組織の型の比べ方や、社内と外部への業務の振り分けまで決めたい方はこちら
マーケティング体制構築の手順|1人目の確保と最初の90日
兼務で施策が単発に終わるなら、マーケティングの体制構築は、小さく始めて1人目の役割と社内の判断者を先に決めるのが近道です。最初から部門の完成形を描く必要はありません。責任者1人の役割と、社内に残す判断の線さえ決めれば、足りない実務は育成や社...

立ち上げから1年の進め方

立ち上げから1年の進め方

立ち上げたチームは、1年ほどの間に準備・最初の検証・定着・拡大の4段を経て育ちます。追う指標を替える、追加の予算を求める、人を足す、の3つの判断は、どれも「チームが次の段へ移ったか」で決めます。

1年を4つの段で見る

4段は、月数ではなくチームの状態で区切ります。同じ1年でも、記録の整い方によって進み具合は会社ごとに変わるためです。

  • 準備:役割と担当範囲は決まったが、施策の結果を数える記録の取り方がまだ揃っていない
  • 最初の検証:少数の施策が動き、受注から遠い手前の数が取れ始めている
  • 定着:主に追う数の定義を営業と揃え、毎月同じ形で数えられている
  • 拡大:受注に近い数までつながって見え、施策や人を増やす判断ができる

どの段にいるかによって、追う指標・報告で見せる中身・足す役割が変わります。まずは自社がいまどの状態に近いかを、この4行に当てはめてみてください。

チームの役割を社内に伝える1枚

立ち上げの時点で、チームの約束を1枚にまとめ、営業と経営層に配っておきます。載せるのは、担当範囲・追う指標・報告の頻度・営業との約束(商談の記録の受け渡し方など)の4項目です。

追う指標の欄は段ごとの主な指標の表に、報告の欄は報告で見せる3点に合わせて埋めます。指標も報告の中身も段が移るたびに替わるため、この1枚は書き換える前提で作ります。

チームの育ち方に合わせて替える主な指標

チームの育ち方に合わせて替える主な指標

立ち上げ直後から受注の数で評価すると、受注が少ない理由が集め方にあるのか育て方にあるのかを切り分けられず、何を直せばよいか分からなくなります。主に追う指標は、段が1つ移るたびに受注へ1段ずつ近づけていきます。

段ごとの主な指標と次へ移る条件

主な指標は「受注からどれだけ手前の数か」で選びます。次の段へ移る条件は全段で同じ2つに揃え、1つ目を指標の定義を営業と合意したこと、2つ目をその数字が毎月安定して取れることとします。

段 主な指標(受注からどれだけ手前の数か) 次の段へ移る条件
準備 まだ置かない。記録が残るかを確かめる 最初に追う数の定義を営業と合意し、毎月欠けずに数えられる
最初の検証 受注から最も遠い手前の数 1段受注に近い数の定義を営業と合意し、毎月安定して取れる
定着 受注の1〜2段手前の数 受注の直前の数の定義を営業と合意し、毎月安定して取れる
拡大 受注と、その直前の数 最後の段。定義が崩れたら1つ前の段に戻す

安定して取れる状態の見方

「安定して取れる」は、毎月同じ定義で数えられ、営業側の記録と数が食い違わない状態を指します。どちらかの条件が欠けたまま移ると、数字が動いても理由を説明できません。

この表は、既存の事業でチームを立ち上げた後の考え方です。新規事業で仮説を確かめる段階の指標は、別の決め方になります。

▼新規事業で、検証の指標とやめる基準を決めたい方はこちら
新規事業のマーケティングの始め方|最初の3か月とやめる基準
何から手を付けるか迷う新規事業のマーケティングは、仮説で小さく試し、売れる状態を確かめてから集客に投資するのが基本です。顧客データも認知も無い段階で広告や展示会に予算を入れると、商談にならないリードが増えるだけで終わりやすくなります。先に狙...

自社の記録でいまの段を決める

いまの段は、感覚ではなく過去1年の記録から決めます。手順は次の3つです。
  1. 商談・有効商談・受注の3つについて、過去1年の件数と、社内でどう定義して数えていたかを横に並べる
  2. 指標ごとに、営業と定義を合意しているか、毎月欠けずに同じ定義で取れているかの2つに印を付ける
  3. 印が2つ付いた指標のうち、最も受注に近いものを、いまの段の主な指標にする

選んだ指標が受注から遠いほど、前の段にいると読みます。3つのどれにも印が2つ付かなければ、さらに手前の数で同じ確かめ方をし、それでも付かなければ準備の段から始めます。

移ったあとの前の指標の扱い

次の段へ移っても、それまで主に追っていた指標は捨てず、補助の指標に下げて毎月見続けます。主な指標が動かないとき、手前のどこで詰まったかを切り分ける手がかりになるためです。

たとえば主な指標を有効商談に替えた後に有効商談が伸びなければ、まず補助に下げた商談の数を見ます。商談そのものが減っていれば集める側か育てる側に、商談は保てているのに有効商談が減っていれば商談の質か営業への渡し方に原因があると絞れます。補助の指標は報告に推移だけを添え、評価には使いません。

受注に近い指標へ寄せる時期の目安

ここで扱う期間は、外部の専門人材が施策を動かし始めてからの目安で、社内で人を採用して戦力になるまでの期間ではありません。

外部の専門人材の支援を見てきた中では、依頼元で成果や改善の兆候が見え始めるまで、広告運用は1か月程度、SEOは3〜6か月程度、見込み客を育てる施策と、商談をつくる専任の担当が電話やメールで動くIS(インサイドセールス)は1〜2か月程度かかることが多くあります。

外部に任せた施策では、この期間を下限として使います。移る条件を2つとも満たしていても、受注に近い段へ移すのはこの期間が過ぎてからにします。あくまで兆候が見え始める時期の目安で、成果が出る時期を約束するものではありません。

成果が出る前の経営層への報告と予算

成果が出る前の経営層への報告と予算

成果が出る前の報告は、結果を見せる場ではありません。チームがいまどの段にいて、次の段へ移る条件まで何が残っているかを見せ、経営層と同じ見取り図を持つための場として使います。

最初の報告で合意する出発点

外部の専門人材に依頼が来る時点では、見込み客がほとんど集まっていなかった会社が多くあります。立ち上げ直後の数字が小さいのは珍しいことではなく、そこが出発点です。

最初の報告では、いまの数字を起点として示し、自社の記録で決めたいまの段とあわせて経営層と合意しておきます。起点を合意しておけば、2回目以降は「起点からどこまで来たか」で話せるため、小さな数字だけを見て施策を止める判断を避けやすくなります。合意した起点と段は、チームの役割を伝える1枚にも書き込みます。

報告で見せるいまの段と残りの条件

毎回の報告は、次の3点に絞ります。

報告の項目 書く中身
いまの段 4段のどこにいるか。前回から変わったか
移る条件 2つの条件のうち満たしたものと、残っているもの
次回までにやること 残った条件を満たすために動かす施策と、その担当

数字は、主な指標と補助の指標の推移だけを添えます。すべての指標を並べて毎月見せると、経営層の目がその月に動いた数字に引っ張られ、段の話が伝わらなくなるためです。

受注に近い段へ移す時期は、受注に近い指標へ寄せる時期の目安を下限にして、残りの条件と並べて示します。報告を受ける側は「いつ受注で見られるか」を、条件の進み具合から自分で読めるようになります。

早く受注で評価したいと言われたとき

経営層から早く受注で評価したいと言われたら、受注を報告から外すのではなく、受注を評価の主役にする時期を、報告の約束として返します。

返し方の例は次のとおりです。「移る条件を満たすまでは手前の指標で評価し、受注の数は毎回補助として添えます。受注で評価を始めるのは拡大の段に移ってからで、切り替えるかどうかは◯月の報告で判断します。」

ここで示す時期は、受注に近い指標へ寄せる時期の目安を下限に置いた見込みで、成果が出る時期の約束ではありません。約束するのは、その時期の報告で切り替えを判断するという段取りです。条件が残っていれば、その報告で見送る理由と残りの条件を示します。

追加の予算を求めてよい時点

追加の予算は、移る条件を満たした段の数字を根拠に求めます。条件を満たす前は、いまの予算の据え置きを前提に報告を続けます。満たす前に増やすと、数字が動いた理由を説明できないまま施策が増え、次の報告で根拠を示せなくなるためです。

求めるときは、報告の3点がそのまま根拠になります。「定着の段へ移った。次の段の条件を満たすために、この施策を増やしたい」と、段の移行と予算の使い道をつなげて示してください。年間でかかる費用の組み立て方は、体制構築の手順を扱う記事で式にしています。

チームに人を足す順番と時期

チームに人を足す順番と時期

人を足すのは、チームが次の段へ移ったときです。足す役割は、移った先の段で新しく持ち主が要る仕事、つまり新しい主な指標を動かす仕事から決めます。

段が移ったときに足す役割

段が移ると主な指標が1段受注に近づき、その数を動かす仕事に持ち主がいるかが問われます。移行ごとに、新しく持ち主が要る役割は次のとおりです。

  • 準備から最初の検証へ:受注から最も遠い手前の数を動かす、集める施策の実務の持ち主
  • 最初の検証から定着へ:受注の1〜2段手前の数を動かす、見込み客を商談まで育てて営業へ渡す仕事の持ち主
  • 定着から拡大へ:受注とその直前の数をつなげて見る、数字を測って施策の配分を直す仕事の持ち主

兼務で回っている役割に持ち主を決めるだけで足りるなら、人は足さずに担当を書き換えます。

この決め方は、成果の出た施策に人を寄せる決め方とは別物です。成果の出た施策に寄せる決め方は伸びた施策を太らせ、こちらは次の段で見る数を誰が動かすかを決めます。

移る前に手が足りなくなったとき

段が移る前に手が足りなくなったら、人を足すより先に、動かす施策の数を絞って受けます。移る条件を満たす前に人を足すと、増えた人が何の数を動かすかを決められず、主な指標の持ち主もぼやけるためです。

絞るときは、いまの段の主な指標に効かない施策から止めます。止めた施策は消さずに一覧に残し、段が移って持ち主を決められたときの再開の候補にします。人を足すのは、移る条件を満たしてからです。

外部の人で役割を足すときの単位

外部の人で役割を足すときは、1人を専従1人分に数えず、1つの段の主な指標1つ分の仕事に切って頼みます。当社に登録しているマーケティング領域の外部の専門人材(特定の一社に専従しない複業のプロ)が1社に割ける時間は、おおむね週10〜20時間です。ただしこの幅は人ごとに大きく違います。別の仕事を並行して抱えているので、複数の指標や領域を1人に束ねると稼働に収まりません。

決まりにくい依頼の条件は、体制構築の手順を扱う記事で整理しています。なお、外部に任せても、成果と法律上の最終責任は依頼する側の社内に残ります。

人を足した後にそろえ直すこと

人を足したら、すぐに役割の分担・指標の持ち主・報告の担当の3つを書き直します。足した人が動かす指標と、その数字を誰が報告に載せるかが決まっていないと、補助の指標の推移が途切れ、次の報告で段の話ができなくなるためです。

  • 役割の分担:集める・育てる・測るのどれを、誰が持つか
  • 指標の持ち主:主な指標と補助の指標を、それぞれ誰が毎月数えるか
  • 報告の担当:経営層への報告の3点を、誰がまとめるか

書き直した3つは、チームの役割を社内に伝える1枚に反映し、営業と経営層に配り直します。

立ち上げ後のチームが止まりやすい場面

立ち上げたチームが止まりやすいのは、次の3つの場面です。

  • 商談の記録が営業から集まらない:受注に近い数が数えられず、移る条件の2つ目を満たせません。記録の受け渡しの決まりを営業と先に作っておきます。
  • 仕事が1人に集まり、その人が抜けられない:休みや異動のたびに施策と記録が止まります。持ち主を決めるときに、引き継ぎ先も決めておきます。
  • 数字の振り返りが止まる:いまの段が分からなくなります。振り返りには経営層への報告と同じ数字を使い、準備を1回で済ませます。

人の偏りと振り返りの回し方は、体制構築の手順を扱う記事でも整理しています。記録の受け渡しの決め方は、次の記事が詳しく扱っています。

▼見込み客を営業へ渡す基準と、そのとき追う指標を決めたい方はこちら
リードナーチャリングをBtoBで回す設計|受け渡し基準と指標
リードは集まるのに商談にならないなら、BtoBのリードナーチャリングは検討期間・関与者・営業への受け渡しの3つに合わせて設計を変えます。BtoCのやり方をそのまま当てはめると、長い検討の途中で接点が切れたり、担当者の先にいる決裁者に情報が届...

まとめ

マーケティングチームの立ち上げは、役割・置き場所・社内外の分担を先に決め、その後の判断をすべて「次の段へ移ったか」でそろえると進めやすくなります。
  • 指標:段が移るたびに主な指標を受注へ1段近づけ、前の指標は補助に下げて見続ける
  • 報告:いまの段・満たした条件と残る条件・次回までにやること、の3点で見せ、追加の予算は条件を満たしてから求める
  • 増員:段が移ったときに、新しい主な指標の持ち主から足す

明日からできる一歩は次の3つです。

  • 過去1年の商談・有効商談・受注の件数と定義を1枚に並べる
  • 2つの条件を満たす最も受注に近い指標を選び、いまの段を決める
  • いまの段と起点を、次の経営層への報告で合意する

外部の人で役割を足すときは、頼む仕事を主な指標1つ分に切ってから相談すると、条件の合う人を探しやすくなります。

SOKKIN MATCH

SOKKIN MATCHは、プロのマーケター・クリエイターを業務委託で活用できるマッチングサービスです。元大手広告代理店出身のトップマーケターが課題を整理し、最適なプロ人財をアサインします。

サービスの詳細を見る
SOKKIN ACADEMY

SOKKIN ACADEMYは、マーケターを社内で育てるeラーニング(動画学習)サービスです。現役マーケターが設計したカリキュラムで学び、外注に頼らず判断できる人材を育てることをめざせます。

サービスの詳細を見る
               
  • class="cat-item cat-item-"
  • //子カテゴリーのidを入れる        
この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェントでは、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

マーケティング
タイトルとURLをコピーしました