カフェでコーヒーをテイクアウトした時と友達と同じ店でコーヒーを飲んだ時とで消費税が8%と10%で異なっていたんだけど、どうして?
消費税は2019年の税率引き上げの際に軽減税率という制度が導入されたんだ。
基本的に消費税は10%だけど、特定の商品は8%に軽減されると決定されたよ!
そうだったんだ!2種類の消費税率にはどんな違いがあるの?
本記事では軽減税率について解説します。
導入の狙いや背景とともに10%と8%の違いや見分けるポイントも紹介するので、参考にしてください。
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軽減税率とは
2019年10月に消費税が8%から10%に引き上げられると同時に導入された制度です。2019年9月まで:消費税は一律8%
↓
10月から:消費税10%に引き上げ・一部の品目は8%を維持
↓
現在:8%と10%の複数税率2つの消費税率が混同していることから「消費税」という表現ではどちらを指しているのかわかりません。
そこで原則税率の10%は「標準税率」といい、一部の品目が対象の8%は「軽減税率」と表現して区別しています。
軽減税率の対象品目は一部だから、10%か8%なのかややこしいね…
そうなんだよ。2種類の税率で日本の消費税は複雑になってしまったんだ。
だけど、2つの税率を並行して運営するのには私たち消費者が深く関係しているんだよ!
軽減税率導入の狙いや背景、対象品目については後述するので、そちらもあわせてください。
軽減税率導入の狙い、背景
現在、日本の消費税は10%の標準税率と8%の軽減税率の2種類が並行して運営されています。
消費税率が異なれば支払金額も変わるため、計算する際に面倒に感じる人もなかにはいるかもしれません。また2019年9月までは一律8%だったこともあり、突然分けて計算することになった現状に戸惑いを感じた人もいるでしょう。
軽減税率が導入された背景には、少子高齢化が関係しているよ
少子高齢化が関係してるの?どうして?
急激な少子化と高齢化が進んだことで福祉設備など、経済社会の財政が危機的な状況になっていたんだ。
この状況を打開するための案として、重要な財源である消費税を8%から10%に引き上げることが提案されたよ。
なるほど。最近、消費税の引き上げが多いのもしょうがないんだね。
でもね、一方で低所得者の生活水準格差も深刻化していて、
消費税を10%に引き上げた場合にその格差がさらに広がると懸念もあったんだ。
あっ!それで導入されたのが軽減税率なんだね!
標準税率と軽減税率の対象商品については後述しますが、原則として生活するうえで必要と判断される品目については消費税率が8%に据え置かれています。
消費税8%と10%の違いとは?
「飲食料品」と「新聞」に限られており、それらはすべて8%の軽減税率で計算するとされています。
じゃあ、食べ物や飲み物、新聞類はすべて8%で計算って覚えておけばいいんだね!
実際には全部が軽減税率になってなくて、「飲食料品」や「新聞」であっても10%(標準税率)で計算されるものがありんだよ。
以下の条件を満たすものが8%(軽減税率)の対象です。・週2回以上の発行
・定期契約されるものよって週1回のみの発行や定期契約されていない新聞は10%(標準税率)が適用されます。
「人の飲食用に供されるもの」と定義づけをされ、以下が対象になります。・テイクアウト
・宅配で供されるもの
・学校給食
・有料老人ホームで提供される食事「ケータリング・出張料理」外食やケータリング・出張料理を利用した場合には軽減税率の対象外となり、10%(標準税率)で消費税が計算されます。
具体的な軽減税率の対象品目と対象外品目については後述で紹介するので、そちらを参考にしてください。
軽減税率の対象品目
具体的に軽減税率の対象となる品目にはどのようなものがあるのか見ていこう!
8%の消費税が加算される品目例と、10%の商品税が加算される品目例をそれぞれ確認します。
8%の品目の例
8%の品目例は以下の通りです。
区分 |
定義
|
例
|
新聞 | ・定期購読契約のもの ・週2回以上の発行 |
・定期購読する日刊紙 など |
飲食料品 | 一般に人の飲食用に供するもの | ・スーパーなどで販売されている飲食料品 ・ミネラルウォーター ・飲食用の氷 など |
テイクアウト・宅配など | 飲食店事業を営む場所で購入した 持ち帰り飲食料品 |
・コンビニ弁当 ・ドライブスルー ・宅配ピザ ・屋台 ・キッチンカー ・ホテルなどの客室に設置されている 冷蔵庫の飲料品(酒類以外) など |
一体資産の一部 | ・食品と食品以外の資産が一体となっている商品 ・税抜価格1万円以下 ・食品価値が全体の2/3以上を占める場合 |
・おもちゃ付きお菓子 など |
ケータリング・出張料理などの一部 | 依頼者の注文に応じて指定された場所で食事を 調理給仕するもの |
・学校給食 ・有料老人ホーム など |
酒類の一部 | ・アルコール分1%未満 ・酒税法規定の酒類に該当しないもの |
・みりん風調味料 ・原料に酒類が使用されたお菓子 ・甘酒 ・ノンアルコールビール など |
上記は国税庁で定められている8%の品目例ですが、それ以外にも以下のようなものが対象品としてあげられます。
対象品目 | 例 |
医薬品や医薬部外品に該当しないもの | ・栄養ドリンク ・特定保健用食品 ・栄養機能食品 ・健康食品 ・美容食品 など |
役務提供ではなく、食料品代として判断できるもの | ・味覚狩りの収穫物 ・通信販売での飲食料品販売 など |
定期契約をしている週2回以上発行のものは8%の消費税が課せられますが、週2回未満のものは10%で消費税が計算されるので注意してください。
加えて、駅の売店やコンビニで売られている新聞は、「定期契約」をして購入していることにはならないので10%の消費税が課せられています。
・一例として学校給食をあげていますが、これは「給食」として提供されたものに限られており、学生食堂で提供される飲食料品は8%の対象外です。・有料老人ホームについては規定が難しく、一定累計額までは軽減税率の8%が適用されますが、一定額を超える食事の提供や受託業者が調理・提供を行った場合には対象から外れるので注意しなければなりません。
老人ホームの食事提供については基準が細かく定められているので、専門家に相談したほうが良いでしょう。
消費税8%を見分ける方法やポイントについては後で解説するよ!参考にしてみてね!
10%の品目の例
10%の品目例は以下の通りです。
区分 | 定義 | 例 |
酒類 | 酒税法規定に類するもの | ・ビール、発泡酒、日本酒、料理酒 ・ワイン ・みりん など |
外食 | 飲食店で用意されている施設などで提供される食事 | ・レストラン ・ファーストフード ・バーベキュー施設での食事 など |
医薬品・医薬部外品 | 「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に規定されているもの | ・薬 ・再生医療等製品 など |
ケータリング・出張料理 | 依頼者指定の場所で料理・給仕をして提供する場合 | ・ホームパーティーで依頼した 出張料理 など |
一体資産 | ・食品と食品以外の資産が一体となっているもの ・税抜価格1万円以上 ・食品価額の割合が2/3未満 |
・食品と贈答品が一体型になったもの(1万円以上) など |
上記以外にも以下のようなケースは10%の消費税が加算されます。
対象品目 | 例 |
役務の提供にあたるもの | ・潮干狩りや味覚狩り ・カタログギフト など |
販売時点で食べられないもの | 食用を目的とした生きた家畜 |
人が食べるためとして認められないもの | ・水道水 ・ドライアイスや保存用の氷 など |
定期購読ではない新聞 | ・コンビニや売店などで購入する新聞 |
例として水道水をあげていますが、ペットボトルに詰めて販売した場合は飲食料品として認められるため8%適用の対象です。
家畜は仮に食用として購入した場合でもすぐに食べられるわけではありません。
解体・精肉する際には屠畜場法に基づいた施設などが必要であり、魚のように誰でも食用に加工できるわけではないので購入した際には10%の消費税が加算されます。
原則として消費税10%の対象になるものは、8%の品目例で挙げた新聞や食品以外の品目です。
「切手は消費税率何%?」
切手は飲食料品でも新聞でもないため、10%の消費税対象と考える人もいるかもしれません。
しかし切手は消費税の非課税対象であり、84円の切手を購入する際にはその金額を支払えば入手できます。
これは郵送時に消費税が加算されるからです。切手を利用して郵便物を発送する際には、切手代金から消費税分がマイナスされます。
例えば「84円切手を使用して郵便物を発送した場合」
84円のうち10%が消費税として徴収
↓
残りの金額が輸送料として計上される
そのため、切手を購入する際には消費税は徴収されません。
消費税8%と10%を見分けるポイント
消費税8%と10%を見分ける際には、どのような点に注目すれば良いのでしょうか。
消費税率を見分けるポイントは、以下3つのパターンによって異なります。
- 飲食料品
- 外食
- 一体資産
上記3パターンにおける消費税の見分け方を紹介するので、参考にしてください。
飲食料品は人の飲食用か、物の売買かで決める
飲食料品における消費税率の見極めポイントは人用か否かの違いです。
軽減税率(8%)は人の飲食用として提供される飲食料品に対して適用されるものであるため、人用でないものは10%の消費税が加算されます。
水道水の消費税率
コンビニやスーパーで販売されているミネラルウォーターは、僕たちが飲む飲食用として売られているから軽減税率の対象になるよね!
では問題!水道水の水は軽減税率の対象になるかな?
水道水は飲むことができるから、消費税率8%になるんじゃないかな!
うーん。
そうなんだけど、水道水は飲むだけではなく、農作物への水やりや織機などの洗浄にも利用できるよね。
そもそも水道水は飲食用のみを目的として提供されているわけではないから税率は10%になるよ。
ほかにも、果実の苗木や野菜の種なども、育って実がなれば人の飲食用になりますが、購入時の苗木や種のままでは食べられません。
苗木・種は人が食べるものではないとの観点から標準税率(10%)の消費税が加算されます。
外食は飲食設備で食事しているかで決める
外食の場合は、飲食設備での食事提供か否かで判断すると良いでしょう。
例えばレストランやカフェなどは、テーブルや椅子が設置された飲食場所を用意しています。このような施設を利用して食事などを楽しむ場合は、標準税率(10%)の対象です。
では、飲食する施設が用意されたカフェでテイクアウトした飲み物は税率何%になると思う?
判断の基準は「飲食設備での食事提供か否か」だから、、、
カフェは席が用意されているから10%になる!!
残念!
用意されている施設内で飲食をする場合は標準税率が適用されるけど、テイクアウトを希望して施設外の場所に腰を掛けて飲食をすると軽減税率の対象になるんだよ。
飲食施設を利用して食事する時は標準税率って覚えておけばいいんだね!
屋台・キッチンカー・コンビニのイートインの場合
店舗前にテーブルや椅子が用意されていることがあります。このようなケースは、飲食設備の使用許可を取っていないことが多く、この場合は例え用意されているテーブルや椅子で飲食を行っても軽減税率(8%)の対象であり、標準税率(10%)では計算されません。
一体資産は価格で決める
一体資産は価格に注目すると良いでしょう。
食品とそれ以外がセットになった商品のことを指しています。
例)ゲームカードが同梱されたお菓子、クッキーとハンカチのギフトセットなど
軽減税率(8%)の対象となるものを国税庁では以下のように定めています。
- 価格が1万円以下のもの
- 食品が全体の3分の2を占める
上記2つに当てはまらないものは標準税率(10%)の対象です。
食品が全体の3分の2以上:軽減税率(8%)
食品が全体の3分の2以下:標準税率(10%)金額が1万円以上
すべて:標準税率(10%)
例えば母の日のプレゼント用にカーネーションとお菓子がセットになった1万円以上の贈答品は、標準税率(10%)の消費税が加算されます。
軽減税率に関する企業側の注意点
ここまでは、消費者の立場から消費税を解説してきましたが、軽減税率の導入で消費税が2通りで運営されることで影響されるのは消費者ばかりではありません。
企業・会社でも軽減税率が導入されたことで、さまざまな影響が出ています。
そこでここからは会社・企業側の立場に立って消費税の注意点を説明するので、参考にしてください。
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飲食料の売上がない会社でも対応が必要
軽減税率が関係する業種は、飲食物を取り扱う会社・企業だけではありません。
例えば、従業員が接待で取引先と外食をしたとしましょう。
外食といってもレストランやカフェで行ったとは限りません。例えばテイクアウトが可能な店舗でコーヒーを購入したり、キッチンカーを利用することもあるでしょう。
その場合は標準税率(10%)ではなく、軽減税率(8%)の対象です。
このようなケースがあるので、飲食品の取り扱いがない企業・会社でも経理処理を行う段階で対応が必要になるので注意してください。
発行された請求書等の税率について確認が必要
企業・会社で経理処理を行う際、発行された請求書などの税率については確認が必要です。
消費税の申告には原則課税と簡易課税の2つがあり、簡易課税制度を利用すると仕入税額控除の計算が簡素化できるメリットがあります。
しかし取引先のすべてが簡易課税制度を利用するとは限らず、原則課税制度を利用する課税事業者から発行された請求書や領収書は、明記されている消費税率が正しいものかどうか確認しなければなりません。
経理処理を行う際には標準税率と軽減税率を区分しなければならないため、記載された税率に誤りがないか確認する必要があります。
システムの導入が必要
店内飲食とテイクアウトの両方のサービスを提供している場合は、標準税率と軽減税率の両方に対応できるシステムの導入が必要です。
来客者が店内飲食を希望した場合には標準税率で消費税を計算しますが、テイクアウトを希望した場合には自動で軽減税率に切り替えて計算できるレジがあったほうが便利でしょう。
また飲食業を営んでいない事業であっても、交際費や贈答品などで軽減税率と標準税率を区別しなければならないことがあります。
その場合に自動で計算してくれる会計システムを導入しておけば、経理処理を行う際に迷うことはありません。
適格請求書の対応が必要
2023年10月から仕入税額控除を適用させる際には、原則として適格請求書の保存が義務付けられました。これを受け、取引先が消費税課税事業者であった場合には適格請求書を発行しなければなりません。
適格請求書の発行をするためには、税務署に適格請求書発行事業者の登録が必要です。
また免税事業者の場合は、標準税率と軽減税率が区別された請求書の交付をして対応します。
まとめ
軽減税率について解説してきました。
一見、軽減税率と標準税率の区分は簡単に見えますが、実際は細かな条件などが設定されています。そのため、なかには「これはどちらを適用すれば良いのかわからない」と思うこともあるでしょう。
本記事で紹介した見分けるポイントを参考にして、どちらを適用させるのか判断できるようになろう!
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