自由な働き方が選べるようになったことで在宅ワークを望む人が増加傾向にあり、それと比例して個人事業主の割合も増えつつあります。
しかし在宅ワークの個人事業主が継続して稼ぐことは簡単ではなく、短期間で個人事業主から会社・企業に所属する会社員の道を選択する人も少なくありません。
本記事では、個人事業主が自宅ワークで稼げるようになるコツ・案件の探し方、注意点などを紹介します。
「在宅ワーク」や「個人事業主」とはそもそもなに?
そもそも「在宅ワーク」や「個人事業主」とはどのような人たちのことを指すのでしょう。
個人事業主が在宅ワークで稼げるようになるコツなどを紹介する前に、それぞれの定義・働き方などについて解説します。
在宅ワークとは
在宅ワークとは、一般的には会社・企業に出社せずに自宅で仕事をする働き方のことです。ただし広義的には自宅だけではなく、カフェや有料で利用できるワークスペースなどで仕事をする人たちも含まれます。
IT技術の発達に伴い、会社・企業のオフィスにとらわれない働き方が可能になりました。パソコンとインターネット環境さえ整っていればどこでも仕事ができるため、自宅で介護・育児などをしなければならない人たちからも注目度が高まっています。
個人事業主とは
個人事業主とは、法人成りをせずに個人で事業を展開している人のことです。個人的に会社名を名乗って仕事を受注するだけではなく、税務署に「開業届」を提出しなければなりません。
フリーランスで仕事を受注している人のなかには、税務署に開業届をしているケースも多く、このような人たちはすべて個人事業主に分類されます。
なお開業届は国税庁のホームページにて「個人事業主の開業・廃業等届出書(提出用・控え用)」のPDFファイルが公開されており、これに必要事項を明記して地域を管轄する税務署に提出してください。
在宅ワークをしている個人事業主の現状
インターネットの普及と働き方の自由化推進に伴い、在宅ワークをしている個人事業主の数は増加傾向にあります。
在宅ワークで個人事業主をすることに特に制約は設けられていませんが、増加傾向にあることからライバルが多く、継続するには困難が付きまとうことを覚悟したほうが良いでしょう。
多くのライバルとの差をつけるためにも、在宅ワークで有利になる資格を取得したり、得意分野のスキルを極めて実績・経験を積んだりする必要があります。
個人事業主におすすめの在宅ワーク一覧
個人事業主として仕事を受注する際には、特に制限・制約はありません。しかしどのような仕事・職種でも向いているわけではなく、在宅ワークに適した分野の仕事を受注するほうが成功率は上がるでしょう。
ここでは個人事業主におすすめの在宅ワークを紹介するので、参考にしてください。
業務委託系在宅ワーク11選
個人事業主におすすめの在宅ワークとして、業務委託系があります。具体的な職種・仕事は以下の通りです。
- ITエンジニア
- Webデザイナー
- イラストレーター
- マーケター
- コンサルタント
- 動画編集
- ライター
- 編集
- プロヂューサー
- ディレクター
- 翻訳
それぞれの仕事について「どんな仕事なのか」「どんなスキルがあるといいのか」を紹介するので、是非参考にしてください。
ITエンジニア
ITエンジニアとはIT関連全般の技術者のことであり、仕事の範囲によって職種が異なります。
主な職種と仕事内容は以下の通りです。
職種 | 仕事内容 |
システムエンジニア(SE) | ・顧客が希望するシステムの開発をする・希望するシステムの仕様書を作成する |
プログラマー | ・システムエンジニアが作成した仕様書をプログラム言語化する・作成したプログラムのテストを実施する |
どの職種に従事するかによって必要となるスキルは異なるため、「これさえあればどの仕事にも対応できる」というスキルや資格はありません。
仕事をこなしながら資格取得や学習を進めて対応できる職種を増やしてください。
Webデザイナー
Webデザイナーは、Webページのデザインを作成する仕事です。
仕事の範囲はWebページで使用するバナーの作成から、Webページそのものの企画・運営まで携わるケースもあります。
バナー作成程度なら必要ありませんが、Webページの企画・運営まで請け負う場合はHTMLやCSSなどの知識が必要になるため、専門の講座・スクールで勉強したほうが良いでしょう。
イラストレーター
イラストレーターとは、クライアントが希望するイラストを作成する仕事です。
作成方法は多種多様であり、紙媒体のものもあればPCの周辺機器を活用したものや生成AIを駆使するケースもあります。
イラスト作成そのものに必要不可欠なスキルはありません。ただし、デジタルイラストを作成する際にはそれに対応したツールを使用することになるため、慣れておくことをおすすめします。
マーケター
マーケターは、顧客の製品・サービスなどの売上を伸ばす仕事です。
- 市場調査
- 販売戦略
- 実行
- データ分析と改善
一言でマーケターといっても担当する仕事の種類・範囲は上記のように幅広く、ひとつの仕事を完遂させるためには時間も労力もかかります。
また、依頼内容によっては売上を伸ばすことを目的とした商品開発も担当しなければなりません。
さらに販促方法の一環としてプレゼンテーションをする機会もあり、コミュニケーション能力なども求められるでしょう。
コンサルタント
コンサルタントは、クライアントが抱える課題・問題点の明確化・解決などを行う仕事です。
コンサルタントの仕事は依頼者の話を聞くところから始まるため、コミュニケーション能力が必要不可欠といえるでしょう。
初めて出会った人物に自社の詳細を進んで話す人は少ない一方で、悩み・問題点を聞き出さなければ仕事にならないからです。
また解決に的確な提案をしなければならないことから、分析力・リサーチ力なども意識して磨いておく必要があります。
動画編集
動画編集は、クライアントから依頼された動画に効果音・テロップなどを挿入して希望に沿った動画に編集する仕事です。
近年はYouTubeなどの動画配信サイトの発達化・浸透化が進んだことで、広告動画や個人的な動画の編集などの依頼も増加傾向にあります。
クオリティをあげるために基礎的な知識や編集スキルが欠かせませんが、それとあわせてクライアントの希望を正確に把握するためにコミュニケーション能力も必要でしょう。
ライター
ライターは、クライアントが希望する内容の記事を作成する仕事です。
雑誌・書籍などの仕事もありますが、個人事業主が在宅ワークで受注する際にはWebメディアに掲載する記事作成が多い傾向があります。
Webメディア用の記事作成の場合、検索サイトで上位を狙うことを目的としたSEO対策が求められることがあるので、内容や対応方法については自主的に学習して身につけておいたほうが良いでしょう。
編集
編集とは、クライアントから渡される原本をチェックして編集する仕事です。
例えば漢字の誤りがあった場合には訂正したり、内容が事実と異なる際には修正したりします。これら一連の作業は文字・表記の正確性とともに、専門的な知識やリサーチ能力もなければ務まりません。
また依頼内容によってはコンテンツの発案を求められることもあるため、発想力・プレゼンテーション能力などもあったほうが便利でしょう。
プロデューサー
プロデューサーとは、プロジェクト全体の統括を担う仕事です。
例えばWebメディアの新コンテンツのプロデューサーを任された場合には、メンバーの選定・コンテンツ内での企画立案や実行・仕事をするうえでのルール設定などを担当します。
在宅ワークでプロデューサーの仕事を請け負う場合、リモートでのやり取りが多くなることから意思の疎通が難しく、意図の行き違いなどが発生する可能性があるので伝え方などには工夫が必要といえるでしょう。
ディレクター
ディレクターは、プロデューサーの補助的な仕事を請け負う仕事です。
プロジェクトを成功・継続させるためにどのようなものが不足しているのか、各メンバーはどのような点に不満を感じているのかなどを把握し、プロデューサーに報告しなければなりません。
状況によってはプロデューサーの仕事を代行することもあるため、強い責任感と高いコミュニケーション能力が必要といえるでしょう。
翻訳
翻訳とは、クライアントから提示される資料・原稿などを指示された言語に変換する仕事です。
在宅ワークの場合、日本の文化などをアジア圏に向けて配信する仕事が増加しつつあるため、中国語や韓国語に翻訳する依頼が多く見られます。
また英語で書かれた文章を日本語に翻訳する案件も見受けられることから、英語にプラスして中国語や韓国語といった別の語学力も身につけておくと仕事の幅が広がるでしょう。
ネットビジネス系在宅ワーク5選
個人事業主が在宅ワークで稼ぐ場合、以下のようなネットビジネスもあります。
- オンライン講師
- サロン経営
- ハンドメイド
- ブログ運営
- ライブ配信・動画投稿
それぞれの内容を解説するので、参考にしてください。
オンライン講師
オンライン講師とは、培ったノウハウ・スキルなどをオンライン上で多くの人に伝授する仕事です。
担当する教科・技術の知識はもちろん、わかりやすく伝えるスキルも必要不可欠であることから、高いコミュニケーションスキルも身につけなければなりません。
なお、オンライン講師は学校などに所属する必要はなく、自分で開講して生徒を集めることも可能です。
サロン経営
サロン経営とは、実店舗を経営する人のことです。
開店する場所・店舗の大きさ・内装などもすべて自分で決められるので、理想の場所で仕事がしたい人には向いています。
経営・開店するために特別な資格は必要ありませんが、経営学や経理に関する知識は身につけておいたほうが良いでしょう。
また開店したばかりの頃は顧客がつかない可能性があるため、宣伝方法などにも工夫が必要だといえます。
ハンドメイド
ハンドメイドは、自分で作ったものを販売する仕事です。
ビーズ手芸・レジン・服飾小物などさまざまな種類があり、趣味からスタートしてインターネットなどで販売する人も多くいます。
メルカリなどのリサイクルアプリを活用すると多くの人の目に留まり、購入者も増えて固定客がつく可能性も高まるでしょう。
ただし、ハンドメイドショップとして出品する際には著作権などの観点からオリジナルでなければならない点に注意してください。
ブログ運営
ブログ運営とは、ブログを開設して運営することです。
個人事業主の在宅ワークとして運営する際には、ユーザーにとって有力な情報を提供するとともにそれに関する広告を掲載します。
またブログの内容を一部だけ公開し、読者にとって有益となる情報が掲載された部分は有料にするといった方法もおすすめです。
基本的に閲覧数の多さが収入につながるため、わかりやすくて共感が得られる文章を書かなければなりません。
ライブ配信・動画投稿
ライブ配信・動画投稿は、自分で撮影した動画を動画配信サイトを利用して投稿する仕事です。
基本的には収益化が可能な動画配信サービスを利用して、再生回数を稼いだり挿入する広告で収入を得たりします。
より多くの視聴者に注目してもらう必要があるため、表現方法や動画の編集スキルを身につけておいたほうが良いでしょう。
なお、アフィリエイトと並行して視聴者からの投げ銭が得られるプラットフォームを利用すれば、得られる収入も増加します。
個人事業主が案件を取る方法を紹介します!
個人事業主が在宅ワークで案件を取る方法を知りたいと思っている人もいるでしょう。おすすめの方法として、以下のようなものがあげられます。
- 知人
- クラウドソーシング
- SNS
- 仲介事業者
- セミナー
それぞれの案件を取る方法についてみていきましょう。
知人に紹介してもらう
個人事業主が案件を取る方法として、知人の紹介があります。
顔見知りからの紹介なら互いのことを知っているので、怪しい案件に出会うリスクは軽減されるでしょう。
個人事業主としてスタートさせる前に、フリーになっても仕事や案件を紹介してもらえる程度には地盤固めをしておくことをおすすめします。
クラウドソーシングを利用する
クラウドソーシングを利用する方法は、個人事業主が案件を獲得するうえでメジャーな方法でしょう。
またクラウドソーシングサイトで募集されている案件の多くは在宅であり、在宅ワークのみで個人事業主としてやっていきたい人にはぴったりのプラットフォームといえます。
ただし、なかには報酬と労力が見合わないものや詐欺案件と呼ばれるものも多数見受けられるため、優良案件の見極めが重要です。
SNSで営業する
SNSで営業する方法もあります。
インスタグラムやXなどを活用して営業をかければ、見た人から仕事の依頼が舞い込むかもしれません。SNSを活用して営業する際には、主に以下のポイントを明記しておきましょう。
- 保有スキルや特技
- 経歴や実績
- 稼働している時間帯
ただし、必ずしも案件獲得に結び付くとは限りません。「優良な依頼者・案件に出会えたら良いな」程度で活用したほうが良いでしょう。
仲介事業者を利用する
個人事業主で在宅ワーク案件を獲得する際には、仲介業者も利用してはいかがでしょうか。
仲介業者は営業はもちろん、単価交渉もしてくれるので仕事に集中できます。また大型案件に巡りあうチャンスもあり、獲得できれば毎月決まった収入が得られるなどのメリットもあるでしょう。
ただし、仲介事業者やエージェントを利用するためにはIT関連など何らかのスキルがなければならない点に注意してください。
セミナーなどへの参加
セミナーなどへの参加も、案件を獲得するひとつの方法です。
セミナーには同じ悩み・課題を抱えた人が多く参加しており、横のつながりができやすいメリットがあります。多くの参加者と名刺交換をして交流を持てば、思わぬところから継続案件や高額案件が舞い込むかもしれません。
セミナーはオフラインだけではなく、オンラインでも開催されています。情報交換の場として活用すると、やる気やモチベーションアップにもつながるでしょう。
個人事業主が在宅ワークで稼ぐコツ
個人事業主として在宅ワークをスタートさせる際、「稼げるのだろうか」「継続して収入を得るにはどうすれば良いのだろう」などの不安・疑問を抱く人もいるでしょう。在宅ワークで稼ぐ際のおすすめのコツとしては、以下のようなものがあげられます。
- 専門性の向上
- ツールの活用
- セミナー・勉強会への参加
- コミュニケーション能力
上記それぞれの稼ぐためのコツを掘り下げてみていきましょう。
専門性を高める
個人事業主が在宅ワークで稼ぐためには、専門性を高めることが重要です。
個人事業主が在宅ワークで得る案件の多くは成果報酬であり、納品する成果物のクオリティが高ければ高いほど高評価が得られ、高額案件獲得へのステップになります。
クオリティの高い成果物を作成するためには、高い専門性が欠かせません。常に専門性を高め、クライアントから求められるワーカー・人材になりましょう。
作業効率が上がるツールを活用する
作業効率がアップするツールを活用することも、稼ぐためのコツといえます。ツールをうまく活用することで工数削減が可能になり、その分の時間や労力を別の案件などに回せるからです。
作業効率アップのツールはインターネット上にあふれており、これらを活用して1案件にかかる時間・工数・労力を節約できれば収入アップが可能です。
成果報酬であるという点をうまく利用して、効率アップが可能なツールを積極的に活用しましょう。
セミナーや勉強会に参加する
セミナーや勉強会への参加もおすすめです。
個人事業主や在宅ワークを対象としたセミナー・勉強会のなかには、高額案件を獲得するコツや効率よくスキルアップする方法などを伝授してくれるものもあります。思いつかなかったアイデアが得られることもあり、それがきっかけとなって募集・応募の仕方が変化して案件が獲得しやすくなることもあるでしょう。
また前述したとおり、参加することで、さまざまな人との交流が得られ、そこから思わぬ案件が舞い込むことがあります。
固定観念や先入観を打ち砕くという意味でも、セミナーや勉強会への参加は有効といえます。
適切にコミュニケーションをとる
コミュニケーションの重要性も無視できません。
例えば丁寧で円滑なコミュニケーションを取っていると、クライアント側は「信頼できる」「安心して仕事が任せられる」「意思の疎通がしやすい」などの理由から継続して仕事を依頼してくれるかもしれません。
在宅ワークの場合、コミュニケーションはメールやチャットを活用することが多く、対面で言葉を交わすことはほとんどないでしょう。顔が見えない者同士の取引だからこそ、適切にコミュニケーションを取ることが、案件獲得や収入アップにつながります。
個人事業主が在宅ワークするときの注意点
個人事業主が在宅ワークをする際には、主に以下のポイントに注意してください。
- 税金関係
- 法律関係
- 契約内容
- 悪徳業者や勧誘
- 体調とスケジュール
上記の各注意点について詳しくみていきましょう。
税金関係に注意する
個人事業主として在宅ワークで稼ぐ際には、確定申告が必要です。
在宅ワークや内職を専業としている人が年間所得額48万円を超えた場合、確定申告をしなければなりません。
個人事業主は在宅ワークを専業としており、年間所得額が48万円を超えることが予想されます。そのため、毎年2月16日〜3月15日に実施される確定申告で必要書類の提出が必要です。
確定申告をしなかった場合、延滞税などが加算される可能性があり、意図的に脱税をしたと判断された場合は追徴課税などの重い罰則の対象になります。
個人事業主の場合、契約したクライアントによっては事前に源泉徴収税を差し引いた報酬が支払われることがありますが、本来の金額よりも多く徴収されているケースがほとんどです。
確定申告をすることで多く徴収された分は還付金となって戻って来るので、忘れずに確定申告は行ったほうが良いでしょう。
法律関係に注意する
法律関係にも注意が必要です。特に個人事業主が注意したほうが良い法律として、以下の4つがあげられます。
法律 | 内容 | 注意点 |
特定商取引法 | ・悪質な勧誘や違法から消費者を守る法律・クーリングオフ制度など |
・ネットショップの開業・ネットオークションへの出品・特定商取引法に基づいた表記をしなければならない |
電子契約法 | ・消費者の操作ミスを救済するための法律・確認ボタンの設置や再確認画面の表示など |
・ネットショップ・「申込」「個人情報入力」「確定」などの前に入力内容を再度表示や確認ボタンの設置をしなければならない |
医薬品医療機器等法 | ・医薬品、医薬部外品、化粧品などの品質、安全性に関する法律・確実性の乏しい効果の明記や誤認を招く表記など |
・Webライター・政府機関などで確認できない効果や効能の明記、身体機能に関する表記は抵触する可能性がある |
著作権法 | ・音楽や画像や文章などの無断使用を禁ずる法律・フリー素材はこれにあたらない |
・画像や音楽の使用、引用をする場合には出典を明記・商業利用の有無も確認しなければならない |
各法律の内容と主な注意点について明記しました。抵触すると罰金などの罰則対象になる可能性があり、「知らなかった」では済まされません。事前に確認しておきましょう。
契約内容に不備がないか確認する
仕事・案件を受注する前に、契約内容も確認してください。
特に納期・業務範囲・報酬・成果物の所有権などについては、明記されていない場合に被害を被るのは自分自身です。契約を取り交わしてからこれらの明記がなされておらず、トラブルが発生しても文句が言えない可能性があります。
個人事業主である以上、受注した仕事・案件の責任はすべて自分で負わなければなりません。依頼品の作成などに取り掛かる前に契約内容を確認して締結するようにしましょう。
悪徳業者や勧誘などに注意する
悪徳業者の依頼・勧誘には注意しましょう。
個人事業主は自営業であるため、労働基準法が適用されません。例えば仕事量に対して報酬が見合わない依頼などが舞い込む可能性があり、このような仕事を受注してしまうと労力と時間ばかりが浪費されてお金にならないこともあります。
仕事・案件を受注する際には、契約を取り交わす前に仕事量と報酬を確認しておくと良いでしょう。量と報酬のバランスが取れていないと感じた場合は、実績・経歴のためと考えて無理に受注せずに断ってください。
またグレーゾーン案件や非合法な業務内容を依頼する業者もあります。このような仕事を受注してしまうと、気づかない間に法律に触れてしまう可能性もあるので注意が必要です。
得体のしれない業者や、評価の低い依頼者からの勧誘には気をつけましょう。
体調とスケジュール管理に注意する
体調とスケジュール管理はしっかり行ってください。
個人事業主は自分自身が資本であり、体調不良は納期遅れの理由になりません。受注したからにはどのような理由があっても、納期を守って成果物を完成させて納品しなければならない点は覚えておきましょう。
また複数の案件を並行して進める場合、スケジュール管理は徹底しておく必要があります。各案件の納期までに完成させて納品できるのか、自分のキャパシティも考慮して受注しましょう。
個人事業主が在宅ワークするメリット
個人事業主が在宅ワークをする主なメリットは、以下の通りです。
- 自分のペースが守れる
- 人間関係の問題がない
- 通勤時間がない
- 働いただけ収入が得られる
それぞれのメリットについて解説するので、参考にしてください。
自分のペースで仕事を進められる
多くの場合、個人事業主の在宅ワークには勤務時間の設定がありません。納期が決められており、それまでに依頼品を完成させれば作業時間については問わないことが一般的です。
例えば依頼品を土曜日や日曜日に集中して作成して納品すれば、ほかの曜日は仕事をする必要がないなどの働き方ができます。
誰もが平日9〜18時までの働き方が可能なわけではなく、子育てや介護で決められた時間内の勤務が難しい場合もあるでしょう。そのような事情を抱えている人にとっても、自分のペースで仕事が進められる点はメリットといえます。
人間関係のしがらみが少ない
人間関係のしがらみが少ない点も、個人事業主が在宅ワークをする際のメリットです。
在宅ワークの多くは個人で完結する案件が多いため、他人との接触はほとんどありません。あるとすればクライアントとのやり取り程度でしょう。
社内での派閥や上司とのトラブルといった人間関係の問題・しがらみに巻き込まれることは少なく、仕事に集中できます。
職場の人間関係で嫌な経験をしたことがある人にとっては、仕事に集中できる環境下である点にメリットを感じるでしょう。
通勤時間がないため他に時間を使える
通勤時間がない点もメリットとしてあげられます。
会社や事務所への勤務が必要な場合、自宅から遠いと時間がかかり、到着するころには疲れ果てていることもあるかもしれません。
このような通勤時間がなければその時間を仕事に回せるだけでなく、早く成果物を完成させて納品できれば余った時間でスキルアップなどの時間に活用できます。
時間を有効活用することで新たな仕事・案件の受注も可能になるので、メリットは多いといえるでしょう。
働いた分だけ報酬に繋がる
成果報酬である点も、個人事業主が在宅ワークを選択するメリットです。
効率よく案件をこなせばその分より多くの仕事の受注が可能になり、単純に報酬も増加します。また、こなした案件数は実績数になり、高額案件への応募が可能になったり継続案件が舞い込んだりするかもしれません。
このように目に見えて成果・評価が得られる点も、達成感やモチベーション維持という点でメリットといえます。
個人事業主が在宅ワークするデメリット
個人事業主の在宅ワークで得られることはメリットだけではありません。以下のようなデメリットも考慮したほうが良いでしょう。
- 低単価
- 全工数の負担
- オンとオフの切り替え
各デメリットについて解説するので、参考にしてください。
単価が低い場合もある
在宅ワークの案件にはさまざまな種類があり、初心者・未経験者でも受注可能なものもあります。しかし、このような案件の多くは相場に比べて単価が低い可能性があるので注意したほうが良いでしょう。
ただし、高額案件を受注するためには実績・スキルが一定レベル以上に達していないと難しい場合も多々あります。
相場または相場以上の案件を受注したい場合は、必要なスキルを向上させながら実績を積む努力をしてください。
全工数を1人で行わなきゃならない場合がある
個人事業主で在宅ワークを行う際には、1人で行わなければならない工程数が多く、この点にデメリットを感じる人もいるでしょう。
案件・仕事を受注するまでの主な工程は以下の通りです。
- 案件の選定
- 応募
- クライアントとの交渉
- 契約の締結
- 受注案件スタート
- 納品
- 修正
これらすべてを1人でこなさなければならないことでモチベーションが下がる、という人もなかにはいます。
オンとオフの切り替えがしにくい
在宅ワークは仕事もプライベートも自宅で行うことが多いため、オンとオフの切り替えがしにくい点もデメリットといえるでしょう。
仕事中に自宅に来訪者が来て集中力が切れたり、プライベートな時間も仕事が気になって作業をしたりというケースはありがちです。
切り替えをするためには仕事部屋とプライベートな空間を分けたり、仕事時間中は訪問者が来ても出ないようにするなどの工夫をすると良いでしょう。
個人事業主になるための「開業届」の手続きの仕方を紹介します!
個人事業主になるには、開業届を提出しなければなりません。
ここでは、開業届の入手方法や提出する場所などについて紹介します。これから個人事業主としてスタートしようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
1.開業届を入手する
開業届は管轄する最寄りの税務署に行けば入手可能です。税務署に行くと「個人事業の開業・廃業届出書」という用紙がもらえるので、自宅に持ち帰って必要事項に記入しましょう。
なお国税庁のホームページからもダウンロードが可能となっており、これをダウンロードして作成することも可能です。
また「開業Free」の無料ソフトでは手順に沿って必要な内容を入力すると、提出可能な状態の開業届が完成します。これをダウンロードすれば、あとは提出するだけなので手軽で便利です。
2.開業届を税務署に提出する
開業届は管轄する税務署に提出しますが、その方法として以下の3通りがあります。
- 税務署の窓口に直接持参
- 税務署へ郵送
- e-taxを利用して送信
書き方がわからないなどの不明点がある場合は、直接窓口を訪れて確認しながら作成すると良いでしょう。
開業届を出すタイミングの目安は?
個人事業主をスタートさせるからといって、必ず開業届を出さなければならないわけではありません。なかには開業届を出さずに個人事業主をしている人もいます。
ではなぜ開業届を出すのかというと、出すことによってメリットがあるからです。
個人事業主としての年間所得が20万円を超えると、確定申告をしなければなりません。確定申告には青色と白色の2種類がありますが、青色申告には特別控除や経費可能な項目が多いなどのメリットがあります。
しかし、青色申告をするためには開業届が必要であり、届出をしていない場合は白色申告でしか確定申告ができません。
青色申告をしたほうが還付金の可能性が高くなったり、納める税金の金額が少なくなったりといったメリットがあるため、開業届を出すのです。
これらの理由から個人事業主としての年間所得が20万円を超えると判断できるタイミングで、開業届を出すと良いでしょう。
まとめ
個人事業主の在宅ワーク事情について解説しました。
成果報酬・出来高払いであることから、受注案件数を増やしたりスキル・専門知識を向上したりすれば収入は増加します。
しかしその一方でオンとオフの切り替えが難しいなどのデメリットもあるので、自分のライフスタイルに合わせた働き方を確立する必要があるでしょう。
本記事で紹介したコツなども参考にして、快適な個人事業主での在宅ワークを行ってください。
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