ウェブサイト上で私たちのオンライン体験を支えるCookieについて、意味や仕組み、企業とユーザーに与えるメリットとデメリット、有効・無効化、削除、そして設定方法などユーザー目線と企業目線、両者の視点から詳しく解説していきます。ウェブサイトの閲覧に欠かせないCookieに関する知識を深め、より安全で快適なオンライン活動を楽しみましょう。
Cookieとは
Cookieとは、ウェブサイトがユーザーのコンピュータに保存する小さなテキストファイルのことを指します。これにより、ユーザーがウェブサイトに再訪問した際に、そのユーザーに関する情報が自動的に取得され、訪問履歴や個人設定などの情報を保存するために使用されます。ウェブサイトの利便性やパーソナライズされた体験を提供することができます。
参照ページ:総務省「国民のためのサイバーセキュリティサイト | 用語辞典(英字)」
Cookieの種類
ここではCookieの種類について解説します。Cookieには訪問したWebサイトが発行する「ファースト」と、別サイトが発行する「サード」の2種類が存在します。
ファーストパーティ
ファーストパーティCookieは、ユーザーが直接訪れたウェブサイトで使用され、ユーザーエクスペリエンスを向上させるために必要な情報を保存します。また、ファーストパーティCookieは、セキュリティ保護やプライバシーの観点からも安全で信頼性が高いと言われています。
ユーザーが訪れたウェブサイト自体から生成され、同じドメイン内で共有されます。例えば、あるオンラインストアのウェブサイトにアクセスした場合、そのウェブサイトから生成されたCookieが使用されます。このCookieには、ユーザーのログイン情報やカートの中身などが保存されます。
ファーストパーティCookieはユーザーの設定や選好を記憶し、次回の訪問時に自動的に適用することができます。さらに、ウェブサイトのトラフィックやパフォーマンスの解析にも使用されるため、ウェブサイトのパーソナライズと改善に役立つ重要なツールとなっています。
サードパーティ
サードパーティCookieは、異なるドメインやサーバーに所属するウェブサイト間で共有されるCookieです。具体的には、ウェブサイトAで閲覧した情報が、ウェブサイトBやウェブサイトCによっても利用されることがあります。これにより、ウェブサイト間でユーザーの行動履歴や嗜好を追跡し、個別の広告や特定のコンテンツを表示することが可能になります。
サードパーティCookieのメリットとしては、ユーザーの行動をトラッキングすることで、よりターゲットに合った広告やコンテンツを提供することができる点が挙げられます。また、広告主やウェブサイト運営者にとっても、ターゲットユーザーに対してより効果的な広告を配信することができるため、広告収益の最大化やユーザーエンゲージメントの向上に繋がります。
一方で、サードパーティCookieにはデメリットも存在します。プライバシーの観点から見ると、ユーザーの行動履歴や嗜好が広告主やウェブサイト運営者によって追跡されることになるため、個人情報の漏洩やセキュリティのリスクが懸念されます。また、ユーザーがサードパーティCookieの使用を制限することができない場合、好ましくない広告や迷惑な行動ターゲティングが行われる可能性もあります。
Cookieとキャッシュの違い
Cookieはウェブサイトとユーザーのやり取りの中で使われる情報を保存するための小さなテキストファイルです。ログイン情報やウェブサイトの設定、使用状況などのデータがCookieに保存されます。これにより、ユーザーが同じウェブサイトを再訪する際に、以前の設定や情報が保持され、より便利に利用することができます。
一方、キャッシュはウェブサイトの一部のデータを一時的に保存しておくための仕組みです。ウェブブラウザは頻繁にアクセスするウェブサイトのデータをキャッシュとして保存し、再度そのウェブサイトにアクセスする際には、キャッシュからデータを読み込むことで高速に表示することができます。キャッシュはウェブサイトの表示速度を向上させるために有効活用されています。
Cookieとキャッシュの違いは、主に保存する情報と役割にあります。Cookieはユーザー個々の情報を保存するため、個人化された体験を提供することができ、キャッシュはウェブサイトのデータを保存するため、高速な表示を実現することが可能です。
また、セキュリティ面でも違いがあり、Cookieは個人情報などの重要なデータを保存する場合があるため、悪意のある第三者によってCookieが盗まれる危険性があります。キャッシュはウェブサイトのデータを保持するだけであり、ユーザーの個人情報が直接関与することはありません。
Cookieのメリット
Cookieがユーザーと企業の両方にとってどのようなメリットをもたらすのでしょうか?
ユーザー目線では、Cookieはウェブサイトの利便性を向上させる一方、セキュリティやプライバシーのリスクも懸念されます。一方で、企業目線では、Cookieを活用することで、ユーザーの動向や嗜好を把握し、より効果的な広告やパーソナライズされたサービスを提供することができます。
企業にとっても、ユーザーにとってもメリットがあるため、Cookieはウェブサイト上で広く利用されています。
ユーザー側のメリット
はじめにユーザー側のメリットについて見てみましょう。ユーザー目線では、Cookieはウェブサイトの利便性を向上させますが、その内容について詳しく解説します。
ログインした情報が保存される
Cookieの使用にはさまざまなメリットがありますが、特に便利な点は、ログインした情報が保存されることです。Webサイトに再訪問しても、毎回ログインしないで済み、情報が保存されます。例えば、オンラインショッピングサイトにログインし、アカウント情報を入力した後、ウェブサイトがCookieを使用してログイン情報を保存しておくと、次回訪問時には再びログイン情報を入力することなく、簡単にアカウントにログインすることができます。この機能は、多くのユーザーが時間を節約し、使いやすくするために利用しているものです。ウェブサイトはCookieを使用して、ユーザーが選択した言語設定やお気に入りのアイテムなど、個々の好みに合わせたカスタマイズを提供することができます。
入力したフォームが保存される
Cookieのメリットとしては、ウェブサイトの利便性が挙げられます。例えば、オンラインショッピングを行う際には、お気に入りの商品や閲覧履歴をCookieによってユーザーのブラウザに一意の識別情報が保存されます。この識別情報によって、ユーザーが同じウェブサイトに再度アクセスした際に、サーバーはユーザーを識別することができます。例えば、ウェブショップのカートに商品を入れていても、Cookieによってカートの中身は保持され、別のページに移動してもカートの中身が消えることはありません。
これにより、再度商品を探す際には過去の履歴を参照することができ、より便利な買い物体験を提供することができます。
企業側のメリット
Cookieを利用する企業側にはさまざまなメリットがあります。企業からみた利用のメリットを見てみましょう。
ユーザーの動きを調査できる
Cookieを利用することで、企業はユーザーの行動を調査することが可能になります。ユーザーがどのページをいつクリックしたのか、商品を購入したかなど、ユーザーの動きをデータ化し、分析することで、様々な施策に役立てることができます。新商品の販売方法、新サービスの告知方法など、ユーザーの行動に合った適切なマーケティング施策が行えるようになります。
広告の最適化ができる
最も大きなメリットとして、広告の最適化が挙げられます。Cookieを利用することで、収集したCookieの情報を分析して、企業はユーザーの興味や嗜好を把握することが可能になります。それに基づいてターゲット広告を配信することができます。
たとえば、あなたが最近何度かオンラインショッピングサイトで商品を検索したり購入したりした場合、Cookieはその情報を記録し、関連する広告を表示します。これにより、ユーザーは自分の興味に合った広告、ユーザーごとに最適な広告を表示させることができ、企業側も広告の効果を最大限に引き出せます。
とはいえ、社内にマーケティングのノウハウがない場合は、最適な広告選定をできる企業は多くないと思います。次の記事では、マーケティングを業務委託でするメリットを解説しています。興味のある方はぜひご一読ください。
マーケティングを業務委託するメリットとは?業務委託できる内容まで徹底解説!
Cookieの目的は?
Cookieの目的について、ユーザーの目的、企業の目的、双方の視点から解説します。
ユーザー目線の目的
Cookieは、ウェブサイトをより便利で使いやすくする目的で使用されます。これによりユーザーは個々のウェブサイト上での設定や状態を保持し、よりパーソナライズされた体験を得ることができます。
ユーザー目線の目的としては、ウェブサイトによる個別の設定を記憶し、好みやニーズに基づいたコンテンツや広告を観覧し、必要な情報を受け取っています。これにより、より効果的な情報の提示やパーソナライズされたサービスを受けることができます。このように、Cookieはウェブサイトの利便性を向上させるために欠かせない要素といっても過言ではありません。
次の記事では、ウェブサイトの利便性を上げるツールである「Chrome拡張機能」について解説しています。もっと利便性を上げたい!という方はぜひご一読ください。
【2024年】作業の効率アップ!おすすめのChrome拡張機能14選
企業目線の目的
Cookieは、先述したように、ウェブサイトがユーザーの利用情報を保存する仕組みであり、ユーザーのセッションを管理し、訪問履歴を追跡することができます。この仕組みを利用し、企業はユーザーの利用情報、行動や嗜好を把握したり、より効果的なマーケティング戦略を展開したりすることができます。一方で、ユーザーのプライバシーに関する懸念も存在しますので、情報の取り扱いには十分な配慮が必要です。
Cookieを同意した時のデメリット
Webサイトを利用する際、よくCookieの利用に関する同意を求められることがあります。ユーザーがCookieに同意した時に起こるデメリットとはどのようなものでしょうか。行動履歴や広告、個人情報の流出の観点から解説します。
行動履歴などのデータが分析に利用される
cookieの同意をすることで、Webサイトはユーザーごとの行動履歴や設定情報を保存し、次回の訪問時に利用することができますが、同意することによって、自身の行動履歴などのデータが収集・分析される可能性があります。具体的には、ユーザーがWebサイト上でどのページを閲覧したかや、どのような広告に興味を持ったかなどの情報が収集されます。
同じような広告が出てくる可能性がある
cookieにより収集されたデータは、主に企業側が分析に利用することがあります。Webサイトの運営者は、ユーザーの行動データを分析し、サイトの改善やユーザーのニーズに合わせたコンテンツの提供など、より良いサービスを提供するために活用します。
また、ユーザーの興味関心に合わせたターゲット広告を表示するために利用し、行動履歴や購入履歴などが分析されます。
広告トラッキングが行われるため、逆に同じ広告ばかりしつこく出現し、観覧が面倒になることもあるでしょう。そうなると、企業側のイメージも悪くなり、企業にとって大きなデメリットになることもあります。
個人情報の流出や、不正アクセスされる可能性がある
データの収集・分析には個人情報の保護やプライバシーの問題がつきまといます。個人の行動履歴や興味関心を把握することで、個別にターゲティングされた広告が表示されることや、個人のプライバシーが侵害される可能性もあります。
例えば共用のPCでの利用の場合、簡単に個人情報が他社に漏れてしまいます。また、スマホやパソコンを紛失した場合、Cookieによって不正アクセスされる可能性があり、何かの間違えでCookieの情報が漏洩してしまった場合、乗っ取られる可能性も十分に考えられます。
したがって、Cookieに同意する際には注意が必要です。自身の個人情報やプライバシーを保護するために、Cookieの利用に関する設定や制限を行うことが重要です。
総務省の「ホームページ閲覧の危険性」でも、Cookieの危険性が紹介されています。パソコンやスマートフォンのアップデートは欠かさないようにしましょう。
Cookieを有効・無効・削除する方法
Cookieを有効・無効・削除する方法について、パソコン、アイフォン、アンドロイドの媒体ごとに解説します。
ChromeやSafariはよく使われるブラウザで、これ以外のブラウザでも本体の設定またはWebの設定でおおよそ同じ方法でできるので、ぜひ参考にしてください。有効・無効、削除は基本同じ場所にあるため、具体的な操作方法について詳しくみてみましょう。
パソコンのChromeでの設定方法
パソコンのChromeでCookieを有効・無効・削除する方法は以下の通りです。
Cookieを有効にする方法
- Chromeを開き、右上の「その他アイコン」をクリックします。
- 「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「サイトの設定」を選択します。
- 「Cookie」で「すべてのCookieを許可する」を選択します。
Cookieを無効にする方法
- 上記1〜3の手順を実行します。
- 「Cookie」で「すべてのCookieをブロックする」を選択します。
Cookieを削除する方法
- Chromeを開き、右上の「その他アイコン」をクリックします。
- 「その他のツール」>「閲覧履歴の消去」を選択します。
- 上部の期間で「すべての期間」を選択します。
- 「Cookieと他のサイトデータ」のチェックボックスをオンにします。
- 「データを消去」をクリックします。
iPhone(Safari)での設定方法
iPhone(Safari)でCookieを有効・無効・削除する方法は以下の通りです。
Cookieを有効にする
- 設定アプリを開き、「Safari」を選択します。
- 「詳細」→「Webサイトデータ」の順にタップします。
- 「すべてのCookieをブロック」をオフにします。
Cookieを無効にする
- 上記1〜2の手順を実行します。
- 「すべてのCookieをブロック」をオンにします。
Cookieを削除する
- 設定アプリを開き、「Safari」を選択します。
- 「履歴とWebサイトデータを消去」をタップします。
- 削除したい範囲を選択して、「消去」をタップします。
Android(Chrome)での設定方法
Android(Chrome)でのCookie設定方法は以下の通りです。
Cookieを有効にする
- Chromeアプリを開き、右上の「…」アイコンをタップします。
- 「設定」>「サイトの設定」>「サードパーティ Cookie」を選択します。
- 「サードパーティの Cookie を許可する」を選択します。
Cookieを無効にする
- 上記1〜2の手順を実行します。
- 「サードパーティの Cookie をブロックする」を選択します。
Cookieを削除する
- Chromeアプリを開き、右上の「…」アイコンをタップします。
- 「履歴」>「閲覧データを消去」を選択します。
- 削除したい期間を選択します。
- 「Cookie とサイトデータ」のチェックボックスをオンにします。
- 「データを消去」をタップします。
8 よくある質問
Cookieの利用や規制など、よくある2つの質問についてまとめます。利用のポイントにもなりますのでぜひ参考にしてください。
Cookieに同意しないとどうなる?
Cookieは、ウェブサイトをより便利で使いやすくする目的で使用されているため、Cookieに同意しないと、Webサイトが利用しにくくなります。特に、ファーストパーティは同意される前提でWebサイトを作っているため、最悪の場合エラーで動かなくなることもあります。サードパーティの場合は同意しなくても特に問題はありません。
最近ではプライバシー意識の高まりとともに、ユーザーがCookieの使用に同意しない選択肢を提供するウェブサイトも増えています。
具体的には、Cookieに同意しない場合、ユーザーの設定やカスタマイズされた情報が保存されず、毎回同じ設定を行う必要が生じます。例えば、ウェブサイトでの言語設定や表示オプションなどが保存されないため、毎回選択しなければならなくなります。
さらに、ショッピングサイトではカートの中身を保存するためにCookieを使用しています。そのため、Cookieに同意しない場合は、商品を選んだり、カートに入れたりするたびに再度選択が必要になるなどの手間が増えます。
Cookie規制って何?
サードパーティがプライバシーの問題ではないかと言われるCookie規制。ユーザーのプライバシー保護を強化するために、ウェブサイトがユーザーの端末に保存できるCookieの利用を制限する動きを指します。ブロック機能なども規制によってできたものです。
規制の内容は、国やブラウザによって異なりますが、ユーザーの同意なしにCookieを保存することを禁止する、ユーザーがCookieを簡単に削除できるようにする、Cookieが保存できる情報量を制限するという点です。Cookie規制は、ユーザーのプライバシー保護を強化する一方で、ウェブサイト運営者にとっては、ユーザーの行動分析や広告配信などが難しくなるという課題があります。
参照ページ:総務省「サードパーティデータを利用した 広告に対する規制の方向性」
まとめ
Cookieの意味や仕組み、企業とユーザーそれぞれのメリットとデメリット、そして設定方法について詳しく解説してきました。
Cookieを使いこなすことで、企業はより質の高いマーケティングを展開することができます。企業はさらにCookieを使いこなして、質の良いマーケティングの提供を積極的に行いましょう。
Cookieはユーザーの行動や興味を追跡し、その情報を元に広告やオファーをカスタマイズすることが可能です。これによって、私たちはより関心のある情報にアクセスできるだけでなく、企業側も効果的なマーケティング戦略を展開することができます。
一方、ユーザー側から見ると、Cookieを活用することでネットサーフィンが便利になるでしょう。Cookieは私たちのウェブサイトの設定やログイン情報を記憶しており、手間が省けることも多々あります。Cookieのおかげで個々のユーザーに合わせたパーソナライズされたコンテンツやオファーが提供されます。
企業とユーザーそれぞれの視点から見て、Cookieは利便性やマーケティングの面でメリットを提供する一方で、プライバシーの問題や利用範囲の限定性などのデメリットも存在します。適切な設定や情報管理を行うことで、より快適で安心感のあるネットサーフィンを実現しましょう。
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