年末調整で国民年金保険料は控除可能?必要書類や書き方、親が建て替える方法も解説!

年金
会社・企業に所属して給与を受け取っている人全員が対象の年末調整は、所得税に関連した手続きと考えている人もいるかもしれません。しかし年末調整で国民年金保険料の控除が可能なことはご存じでしょうか?

一見、関連性がないように感じる年末調整と国民年金保険料ですが、実は年間所得という観点から深いかかわりがあります。

本記事では年末調整での国民年金保険料の控除方法とあわせて、子の保険料を建て替えた場合も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

年末調整で国民年金保険料は控除できる?

年末調整は会社・企業で行われることから、厚生年金保険料の関連性はあるけれど国民年金保険料の関連性はないと思っている人もいるかもしれません。

しかし一定の条件を満たすことで勤め先で実施される年末調整で、国民年金保険料の控除手続きが可能です。

年末調整での国民年金保険料の控除ができるのは、対象年の途中から入社した人だけではありません。当該年の初月から厚生年金保険料を支払っている場合も対象になるので、もし国民年金保険料を支払っている場合は忘れず手続きをしましょう。

厚生年金保険料との相違点

厚生年金と国民年金の違いを、一覧表を用いて確認してみましょう。

厚生年金
国民年金
対象者 会社員、公務員など
(第2号被保険者)
20歳以上60歳未満
(第1号被保険者、第3号被保険者)
保険料 ・月額給与と賞与に比例
・勤務先と折半
・一律
・全額負担
受給資格最低被保険者期間 1カ月 10年
受給資格 ・老齢基礎年金の受給資格ありなど
・受給可能年齢は65歳
・受給資格期間が10年以上
・受給可能年齢は65歳
受給額 収入+加入期間 加入期間
付加年金や国民年金基金への加入 不可 可能
障害年金 原則は障害等級1~3級 仰臥位等級1~2級
遺族年金 ・同一生計の配偶者
・要件を満たした子、夫、父母、孫、祖父母
生計を同一とする要件を満たした子
障害年金や遺族年金は、厚生年金の条件・要件のほうが比較的緩やかといえるでしょう。ただし、付加年金や国民年金基金への追加加入はできません。加入期間に収入が上乗せされた金額が支給されますが、生活費として考えた場合に不安を覚える場合は任意の個人年金保険に加入する方法もあります。

控除額の計算方法

年末調整で国民年金保険料の控除手続きを行った時、どれくらいの金額が控除されるのでしょうか?

例えば月額16,980円を支払っていた場合、1年間の支払総額は以下の通りです。

16,980円×12カ月=203,760円
国民年金保険料の控除額は1年間に支払った全額なので、203,760円が年間合計所得額から差し引かれます。
なお全額控除されるのは、国民年金保険料だけではありません。給料から天引きされる社会保険料や厚生年金以外の社会保険料や医療費控除なども差し引かれるので、これらの支払金額や控除額が多ければ課税所得額は安く抑えられるでしょう。

会社員が国民年金保険料の控除が生じるケース

会社員で国民年金保険料の控除が生じるケースとして、以下の5つがあげられます。

  • 学生や無職の人が年の途中で会社員になった場合
  • 個人事業主が年途中で会社員になった場合
  • 滞納・免除分の国民年金保険料を会社員になって支払った場合
  • 国民年金保険料を前納していた場合
  • 家族分の保険料を支払った場合

それぞれのケースを詳しく確認していきましょう。

学生、無職だった人が年の途中で会社員になった場合

20歳以上の学生や無職だった人が、年の途中で会社員になると年末調整で国民年金保険料の控除が発生します。その理由は学生や無職の人は第一号被保険者であることから、毎月国民年金保険料を支払っているはずだからです。

国民年金は3種類に加入者を分けており、そのうちの第一号被保険者は20歳以上60歳未満の学生・自営業者・農業者・無職などがあげられます。20歳以上の学生や無職の人も対象者に含まれているので、国民年金保険料の支払義務は発生しているのです。

例えば無職の人が、年の途中から会社員として勤務することになったとしましょう。勤務先で実施される年末調整時に、前月まで支払っていた国民年金保険料も申告すれば全額が控除されます。

20歳以上の学生をしていて年の途中から会社員になった人は、それまでの国民年金保険料をアルバイトなどをして自分で支払っていた場合に限られるので注意してください。
保険料を家族に支払ってもらっていた場合は「家族の国民年金保険料を支払っていた場合」に該当するため、年の途中で会社員になっても控除されません。

個人事業主が年の途中で会社員になった場合

個人事業主が年の途中で会社員になった場合も、年末調整の手続き時に国民年金保険料の支払いを証明できれば控除されます。

個人事業主は自営業に該当するため、保険年金加入者の区分では「第一号被保険者」の対象です。一定額の年間所得があれば毎月国民年金保険料の支払い義務が発生しているので、年の途中で会社員になった際には年末調整時に申告すれば支払った全額が控除されます。

ただし個人事業主として事業を営んでいて「充分な収入が得られなかった」「赤字だった」などの理由がある場合、申告すると国民年金保険料の免除制度が利用可能です。この制度を利用していた場合は支払義務が発生していないことになるので、年の途中で会社員になっても国民年金保険料の控除は受けられません。

滞納や免除されていた国民年金保険料を会社員になってから支払った場合

国民年金保険料で滞納・免除されていた分を会社員になってから支払った場合も、年末調整で控除される可能性があります。

無職や自営業での収入が少ないまたは赤字だった場合には、市役所に手続きをすると国民年金保険料の免除制度が利用可能です。免除分は保険料納付期限から2年以内の分に限って追納できます。

会社員になってから滞納・免除分をまとめて一括納付した場合、その金額は年末調整で会社に申告すれば全額が控除されるので忘れず申請しましょう。

国民年金を前納していた場合

会社員になる前に国民年金を前納していた場合も、支払った年に勤務先で行われる年末調整でまとめて控除可能です。

国民年金保険料は前納すると割引されることから、まとめて先に支払いを済ませる人も少なくありません。前納する期間や支払方法によって割引される金額は、以下の通りです。

前納の種類 2年前納 1年前納 6カ月前納 当月末振替
(早割)
毎月納付
1回あたりの納付額 納付書払い
クレジットカード払い
398,590円 200,140円 101,050円 - 16,980円
口座振替 397,290円 199,490円 100,720円 16,920円 16,980円
割引額 納付書払い
クレジットカード払い
15,290円 3,620円 830円 - -
口座振替 16,590円 4,270円 1,160円 60円 -

出典:国民年金保険料の前納|日本年金機構

このように前納期間が長ければ割引額は、高くなります。前納した後に就職した場合、まとめて支払った金額は全額その年の年末調整で控除されるので、勤め先で申請しましょう。

家族の国民年金保険料を支払った場合

配偶者・生計を同一とする子(20歳以上)など、家族分の国民年金保険料を会社員の納税者本人が支払った場合、年末調整で控除可能です。

例えば生計を同一とする20代の学生の子の分の国民年金保険料を、代わりに1年分支払ったとしましょう。10月頃に会社で実施される年末調整で申告すれば全額が控除されます。

前述で国民年金保険料の前納を解説しましたが、家族分の保険料を前納した場合、その全額が年末調整での控除対象です。配偶者分の国民年金保険料を口座振替で1年分前納すると、199,490円が控除されます。

親が子供の国民年金保険料を立て替える方法

親が子の国民年金保険料を建て替えることは、よくあるケースです。

立替方法は親が納付書を使用して保険料を納めればよく、特別な手続き等は必要ありません。

立替を行った際にはいくつかのメリットがありますが、同時に注意点も発生します。両方の解説を以下の項目で行うので参考にしてください。

メリット
デメリット
社会保険料控除が利用できる 未納になると子が将来受け取る年金の金額が少なくなる可能性がある
まとめて前納すると保険料が割引される

親が立て替えた場合のメリット

親が立替を行った場合のメリットは、社会保険料控除が利用できる点です。

立替金全額が控除されるので課税所得額が下がり、効果的な節税対策になります。

またまとめて前納すると保険料が割引される点も、メリットといえるでしょう。

親が立て替える際の注意点

親にとっては自身の保険料ではないので、忘れてしまうこともあるかもしれません。会社員の場合は給料から天引きになるので自分で納付する必要がなく、納付書を使用して期限までに振り込むという認識が薄くなります。

未納になると子が将来受け取る年金の金額が少なくなる可能性があるので、注意してください。

国民年金保険料を控除する時の年末調整の必要書類と書き方

国民年金保険料の控除を年末調整で行う際、どのような手続きや必要書類が必要なのかわからない人もいるでしょう。

年末調整申請書の書き方・社会保険料控除証明書などの必要書類・領収証書がある場合の3項目にわけて解説するので、参考にしてください。

必要書類と書き方

会社・企業での年末調整は10月頃から順次実施され、必要書類が配布されます。そのなかでも国民年金保険料の控除を申請する場合は、配布書類のなかに「給与所得者の保険料控除申告書」が含まれているので、これに必要事項を記入して提出してください。

「給与所得者の保険料控除申告書」は「生命保険料控除」「地震保険料控除」「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」の4種類の制度を利用する際に必要な書類であり、国民年金保険料の控除を受ける際には記入が必要な場所は「社会保険料控除」の欄です。

項目名
記入例
社会保険の種類 国民年金保険料の控除を受ける際は「国民年金」と記入
保険料支払先の名称 ・国民年金保険料を支払っている機関名
・「日本年金機構」
氏名 ・本来保険料を負担することになっている人の氏名
・配偶者や生計を同一とする子などの氏名を記入
あなたとの続柄 「妻」や「子」と記入
あなたが本年中に支払った保険料の金額 納税者本人が代わりに支払った保険料全額を記入
上記一覧表は項目に対する書き方の一例ですが、おおむねこのように記入しておけば控除制度が適用されるでしょう。

社会保険料控除証明書の添付が必要

年末調整で国民年金保険料の控除制度を適用する際には、社会保険料控除証明書を添付しなければなりません。

証明書は納付時期に応じて以下のタイミングで日本年金機構から自宅に送付されます。

納付時期 送付のタイミング
1月~9月の場合 10月下旬~11月上旬頃
10月以降に初めて納付 翌年の2月上旬頃
年末調整での控除対象期間はその年の1月〜12月までの1年分ですが、控除証明書は10月下旬ごろから順次発送されるため、10月以降については納付が間に合いません。そのため、控除証明書は1月〜9月分を納付済み分として明記し、残りの10月〜12月分は見込み額として表記されます。

領収証書がある場合

前述で10月〜12月分は見込み額として控除証明書に表記されると解説しました。

年末調整の国民年金保険料控除で1年分全額を申請する場合は、控除証明書では見込み額として表記されている10月〜12月分の領収証明書も添付書類として求められる場合があります。

なお1年分の領収証明書を添付する場合は、控除証明書は不要です。

年末調整ができなかった場合は確定申告が必須

会社・企業などの勤務先で実施される年末調整を忘れたり提出期限に間に合わなかったりした場合は、確定申告をしなければなりません。

確定申告時に必要な書類と確定申告も忘れた場合のそれぞれについて解説するので、参考にしてください。

確定申告する際の必要書類

確定申告をする際に必要な書類は申告書以外では、以下の2種類です。

  • 勤務先の源泉徴収票
  • 社会保険料控除証明書

確定申告書の第一表と第二表のそれぞれに必要事項を記入し、上記の書類を添付して2月15日〜3月16日までに管轄する税務署に提出します。

なお確定申告書の内の項目で国民年金保険料控除に関する項目はいずれも(13)なので、忘れず該当する金額などを記入してください。
申告書
項目名
内容
第一表 社会保険料控除(13) 支払保険料の合計額
第二表 社会保険料控除(13) 保険料等の種類 国民年金
支払保険料等の計 支払済保険料の合計額
うち年末調整等以外 「支払保険料等の計」のうち源泉徴収票に記載されていない金額

確定申告を忘れた場合

年末調整も確定申告も忘れた場合は、以下のようなペナルティが発生します。

  • 無申告加算税
  • 延滞税

それぞれの追徴課税について、確認していきましょう。

無申告加算税

無申告加算税とは、期限までに確定申告義務があったにもかかわらず手続きをしなかった場合に課せられる国税です。

主な適用要件・不適用要件は以下のように定められています。

適用要件
不適用要件
・期間後に申告や決定があった場合
・期間後の申告や決定で修正申告や更正があった場合
・正当な理由が認められる場合
・法定申告期限から1カ月以内に自主的に期限後申告をした場合

参考:加算税の概要|財務省

不適用要件として認められれば無申告加算税は免除されますが、適用要件に該当すると判断された場合は以下の税率を適用した金額を納税しなければなりません。

納付すべき税額 税率
50万円以下 15%
50万円超300万円以下 20%
300万円超(該当部分を含む) 30%

例えば納付すべき税額が450万円だった場合、無申告加算税は以下のように計算されます。

(300万円×20%)+{(450万円-300万円)×30%)=60万円+45万円=105万円

延滞税

延滞税とは、税金を定められた期日までに完納していない場合に発生する国税です。確定申告の期限は税金の納付期限でもあるため、3月15日までに納税額が完納されていない場合は延滞税が発生します。

延滞税が発生する主なケースは以下の通りです。

  • 申告などで確定した納税額を法定納期限までに未完納である場合
  • 期限後申告で納税額が発生した場合
  • 更正または決定処分において納税額が発生した場合

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

なお延滞税の計算式と税率は、以下のように定められています。

延滞税額=本来の納付税額(1万円未満は切り捨て)×税率×滞納日数/365
納付期限翌日から完納までの期間
税率(年率)
2カ月以内に完納 7.3%
2カ月超 14.6%

参考:No.9205 延滞税について|国税庁

納付期限日の翌日を起算日として2カ月を境に税率が倍になるので、早めに納税したほうが良いでしょう。

▼確定申告について詳しく知りたい方はこちら

よくある質問

年末調整で初めて国民年金保険料の控除を受ける際、さまざまな疑問点が生じる人もいるかもしれません。

よくある質問とその回答を紹介するので、参考にしてください。

保険料の控除証明書を紛失した場合は?

保険料の控除証明書を紛失した場合、国民年金機構に依頼すれば再発行してもらえます。

ねんきんネットのユーザーIDを取得している場合は、サイトにアクセスして再発行申請を行ってください。

ユーザーIDを取得していない場合は、ねんきんダイヤル(0570-05-1165)や管轄区域の年金事務所に問い合わせをすれば再発行の手続きが可能です。
再発行分が手元に届くまで1週間程度かかるので、早めに対応しましょう。

書類提出後に扶養家族の数が変わった場合は?

書類提出後に扶養家族の人数が変更になった場合は、基本的には勤務先に申し出れば修正が可能です。

ただし勤め先の提出期限を過ぎてから人数変更を余儀なくされた場合は、依頼しても対応してもらえないかもしれません。その場合は自分で確定申告を行い、正しい扶養家族の人数で申請し直してください。

2月15日〜3月16日の期限内に確定申告書に必要事項を記入し、添付書類を添えて提出すれば問題ありません。

転職した場合は?

1年の途中で転職した場合は、転職先の会社・企業で年末調整を行います。国民年金保険料の控除も同様に申請可能なので、必要書類を用意して期限内に提出しましょう。

なお前職で源泉徴収された給与を受け取っていた場合、源泉徴収票は発行義務が課せられているため、前職の勤務先に依頼すれば入手可能です。退職した勤務先から源泉徴収票を取り寄せてください。

前職分の源泉徴収票が手元に届いたら年末調整の申請書なども合わせて転職先の会社・企業に忘れず提出しましょう。

▼年末調整について詳しく知りたい方はこちら

まとめ

年末調整で国民年金保険料の控除を受ける際の方法や必要書類の書き方などを解説しました。

国民年金保険料の控除は、原則として納税者本人が国民年金保険料を支払っていた場合が対象です。家族分の保険料を支払っていた場合にはその分も全額控除されますが、配偶者や扶養家族に一定の収入があって自分で支払っている場合は対象外なので注意してください。

年末調整で間に合わなかった場合は確定申告でも控除制度が受けられるので、何らかの理由で忘れたりタイミングを合わせられなかったりした場合には自分で確定申告しましょう。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェントでは、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。また、マネージャーとして育成業務にも従事。
2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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