【フリーランス】業務委託契約を解除する方法とは?手順や例にポイントまで幅広く解説します!

フリーランス・個人事業主

業務委託契約は様々な企業に取り入れられて、活用されています。ですが、全ての業務委託が上手くいっているわけではありません。契約したは良いものの、あまり良くなくて契約を解除したいと思う人も存在しています。その理由は、自分の都合だったり、相手の契約違反だったり、様々だと思います。今回の記事では、以下の項目を解説していきます。

【今回の記事で分かること】
・業務委託契約とは
・業務委託契約を解除できるケース・されるケース
・業務委託契約を解除するリスクと注意点
・業務委託契約を解除する5つのステップ
・契約違反で解除したい場合の3つのステップ
・業務委託契約を解除する5つのポイント
・よくある質問 Q&A
契約の解除をする際に役に立つ情報が揃っていますので、ぜひご覧になってください。

業務委託契約とは

一般的な業務委託契約には請負契約委任契約・準委任契約という2つの主要なタイプがあります。

請負契約

請負契約は、委託された業務を一括で引き受け、その成果物を納品する形態です。委託者は具体的な業務の進捗や方法に干渉せず、成果物が提供されるまで待つことが一般的です。請負契約では、成果物の提供が主たる契約の目的となります

委任契約・準委任契約

委任契約は、業務を他者に委託する形態で、受託者は独自の判断で業務を遂行します。請負契約では成果物を完成させる必要がありますが、委任契約では業務を進行した時間で報酬が支払われます

委任契約は法律に関する業務のことを指し、準委任契約は、それ以外の業務のことを指しています。

委任契約や準委任契約では、業務の進捗や遂行方法についての協議が重要となります。特に受託者の専門的なスキルや経験を有効活用することが期待されます。

 

業務委託契約を解除できるケース・されるケース

業務委託契約を解除できるケースや、解除されてしまうケースについて、代表的な例を5つ紹介します。

【契約解除の代表的なケース】
・委任契約の場合はいつでも解除できる
・双方の合意が得られた場合
・契約違反があった場合
・契約を更新しなかった場合
・身体に問題が発生した場合
ほとんどのケースが業務委託契約の解除がお互いにできるケースになっており、どちらがする側で、どちらがされる側になるのかは状況次第になります。

委任契約の場合はいつでも解除できる

委任契約や準委任契約の場合、双方共に業務委託契約をいつでも解除することができます。そのため、業務委託契約を解除したくなった場合は、簡単に契約を解除することが可能です。

その代わり、急に契約が解除されてしまう可能性もあるため、注意が必要です。

ですが、お互いにこの業務委託契約をあてにしている可能性があるので、契約解除したい場合は期間に猶予を持って伝えた方が良いでしょう。

双方の合意が得られた場合

何かの理由があって業務委託契約を解除したい時は、話し合いの場を設けます。その結果、双方の合意が得られた場合は業務委託契約を解除することができます。契約した時とは事情が変わってしまうことはあるでしょう。解除の条件が契約書に書かれており、その条件を満たしてない場合でも、双方の合意があれば解除することは可能です。

契約違反があった場合

契約違反があった場合も、業務委託契約を解除することができます。契約書の内容と業務内容が違ったり、報酬が前情報よりも低く、こなした仕事にも見合ってなかったり、契約書の内容に沿っていなかった場合は、契約を解除することができるでしょう。

ですが、自分が契約違反をしてしまった場合も、業務委託契約が解除される可能性もあります。

また、お互いにあり得る話ですが、違約金が発生する場合があります。契約違反によって受けた損害によって金額は変わりますので、どのくらいの損害が出たのか確認しておきましょう。

契約を更新しなかった場合

基本的に委任契約では、契約期間が設定されています。業務委託契約を更新しなかった場合は、契約はその時点で解除されます。委託者、受託者のどちらかが更新に同意しなかった場合は、契約は更新できません。契約の更新には双方の合意が必要になります

身体に問題が発生した場合

病気や怪我をして身体に問題が発生し、業務の進行が難しくなった場合も業務委託契約を解除できる可能性があります。もしそうなってしまったら相手に相談しましょう。場合によっては違約金を要求される場合がありますが、民法第415条には下記のように記載されています。

【第415条1項】
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。
ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
e-GOV 法令検索

自身の状況や、相手の受けた損害によっては支払い義務が生じない可能性もあります。違約金を言われた通りに支払うのではなく、支払う必要が本当にあるのか必ず確認するようにしましょう

 

業務委託契約を解除するリスクと注意点

業務委託契約を解除することによって生じる問題や、リスクも存在しています。

【契約解除によるリスクと注意点】
・違約金が発生するリスクがある
・信頼関係が悪化するリスクがある
・法律を違反しないように注意する
必ずしもノーリスクで契約解除できるわけではないので、注意が必要です。

違約金が発生するリスクがある

業務委託契約では、契約書の条件に基づいて違約金が発生するリスクがあります。契約解除をするに値する理由を持っていない場合や、自分都合で契約解除したい場合は注意が必要です。契約書を確認して、違約金が発生するかどうかを確認しておきましょう。

信頼関係が悪化するリスクがある

業務委託契約の解除に伴い、ビジネスパートナーシップの悪化が懸念されます。業務委託契約はお互いの信頼に基づいているので、契約解除が行き当たりばったりであれば、今後の仕事の依頼が難しくなる可能性があります。円満な解決が得られない場合、口コミや評判にも影響が及ぶかもしれません。後退りなく契約解除するためにも、丁寧な話し合いを心がけましょう

法律を違反しないように注意する

また、業務委託の契約解除に伴う法的な問題も検討すべきポイントです。契約書の解約条件や法的な規制を守らない場合、訴訟や損害賠償などの法的な責任を問われる可能性があります

例えば、民法651条には下記のように記載されています。

【民法651条】
委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる。
e-GOV 法令検索

ですが、651条2項には下記のように記載されています。

【651条2項】
2 前項の規定により委任の解除をした者は、次に掲げる場合には、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、やむを得ない事由があったときは、この限りでない。
一 相手方に不利な時期に委任を解除したとき。
二 委任者が受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く。)をも目的とする委任を解除したとき。
e-GOV 法令検索

つまり、委任の解除のタイミングが重要な局面に当たる場合
委託業務が受託者の本業の競合で、プロジェクトを崩壊させるために契約を解除した場合など、上記の項目に当てはまる場合は損害賠償をしなければいけません。ただし、記載されている通り、やむを得ない事情によって支払いの義務は発生しない可能性があるもあるので、一概には言えません。

 

業務委託契約を解除する5つのステップ

では、実際に業務委託契約を解除するにはどうすればいいのでしょうか。

【契約解除のステップ】
STEP1. 自身の契約形態を確認する
STEP2. 業務委託契約書を確認する
STEP3. 契約を解除したい理由をまとめる
STEP4. 企業に伝えて話し合いの場を設ける
STEP5. 解約合意書を締結する

上記の5つのステップにわけて流れを解説していきます。

STEP1. 自身の契約形態を確認する

契約形態によって契約解除の方法は異なります。まずは、自身の契約形態を確認しましょう。基本的に、委任契約の場合は簡単に契約解除が可能ですが請負契約の場合はその限りではないので、必要な手順を踏む必要があります

STEP2. 業務委託契約書を確認する

業務委託契約は、契約書を使用して契約を結びます。契約書の内容を確認し、条件や注意点などを確認しておきましょう。

STEP3. 契約を解除したい理由をまとめる

契約を解除したいと思った理由をまとめておきましょう。もし、契約書の内容に違反していて、違約金が発生する可能性があっても、致し方ない理由があれば違約金が発生しないこともあります。逆に、致し方ない理由がないのであれば、リスクとリターンが見合っているのか、本当に契約を解除する必要があるのか一旦考え直してみましょう。

また、嘘は付かない方が良いと思います。業務委託は信頼関係で成り立っているため、嘘がバレることによって、今後の仕事に影響が出る可能性があります。嘘を付くことで違約金の支払いを回避したことがバレれば、更なる損害賠償を支払わなければいけなくなる可能性も考慮できます。素直に言えば意外と上手くいくかもしれないので、嘘はやめておきましょう。

STEP4. 委託者に伝えて話し合いの場を設ける

理由をまとめたら、委託者に伝えて話し合いの場を設けましょう。直接話し合うことで、自分がどうしたいのかをストレートに伝えることができます。時間の都合が合わなければ、オンラインのビデオ通話でも問題ありません。文面だけの会話だと、相手に伝えたいことがしっかり伝わるとは限りません。違う意味で伝わってしまい、契約解除がスムーズに行えない可能性もあります。円滑に契約を解除するためにも、なるべく口頭で話し合うようにしましょう。

STEP5. 解約合意書を締結する

業務委託契約の解除に双方の合意が得られた場合は、解約合意書を締結しましょう。そうすることで、解除する日時や違約金の金額など、条件を書面に残すことで確実なものにすることができます。法的にはしなくても問題ありませんが、口約束だけでは双方の解釈が一致するとは限りません。しっかりと認識を合わせるためにも、解約合意書は締結した方が安心できます。

 

契約違反で解除したい場合の3つのステップ

委託者が契約違反をしていて、業務委託契約を解除したいと思った時に、どのような動きをすれば良いのか解説します。

【契約違反で契約を解除する手順】
STEP1. 契約違反の確認
STEP2. 契約履行を催告する
STEP3. 契約解除の通知書を送付する
契約違反がある場合は、他の理由で契約解除をする流れとは少し変わってくるため、注意が必要です。また、必要があれば話し合いなども行いましょう。

STEP 1. 契約違反の確認

まずは、契約書に明記された条件を確認し、委託者が契約違反しているかどうかを明確に把握します。契約書には通知期間や業務の品質、機密保持、給与に関することなど、様々な条件が記載されていますので、それらを基に判断します。

また、実は自分が契約違反をしていて、その違反に基づいて相手が行動しているパターンもあるので、注意しなければいけません。契約書の内容を確認し、違反があるかどうかをしっかりと確認しましょう。

STEP 2. 契約履行を催告する

契約違反が確認された場合、契約履行を求める通知を委託者に催告します。この通知は、契約書に定められた通知期間や方法に従って行います。相手に違反事項の改善や解決を促す内容となっており、契約履行の催告を貰った人は違反をしないように行動を改善する必要があります

STEP 3. 契約解除の通知書を送付する

催告後、一定期間内に委託者が改善しない場合、契約解除の通知書を送付します。この通知書には契約違反の詳細や解除の理由、解除の効力発生日などが明記されています。通知書は基本的に書面で送付します。データを印刷し、封筒に入れて郵送しましょう。

 

業務委託契約を解除する5つのポイント

業務委託契約を解除する時に役に立つポイント、押さえておくべきことなどを5つ紹介します。

【契約解除するポイント】
1. 証拠や記録を保存しておく
2. 契約違反の程度を確認する
3. 合意の元で解約できるように努める
4. 契約解除までの期間に余裕を持つ
5. 未完了の業務があれば対処する

1. 証拠や記録を保存しておく

契約違反を立証するために、関連する証拠や記録をしっかりと保存しておくことが重要です。メールや会話の履歴、作業成果物、報告書などが役立つ証拠となります。これらの情報は、後の交渉や法的手続きにおいて有益となります。保存できるものは網羅しておきましょう。

2. 契約違反の程度を確認する

どのくらい契約違反をしているのかも確認が必要です。契約違反の程度によって、違約金が発生するかどうか、契約を解除するに値するかなどの判断材料を得ることができます

3. 合意の元で解約できるように努める

契約解除が不可避である場合でも、できるだけ合意のもとで進めることが望ましいです。円滑な解決を模索し、相手とのコミュニケーションを重視することで、後々のビジネス上のトラブルを避けることができます

4. 契約解除までの期間に余裕を持つ

契約解除までの期間には余裕を持っておきましょう。急に業務委託の契約を解除してしまうと、相手が自分を当てにしていた場合、業務に支障をきたしてしまいます。代わりの人を見つける猶予や、体勢を立て直す時間を与えましょう。それは相手の都合だと思う人もいるかもしれませんが、自分が急に契約解除された時のことを考えてみてください。急に給与を得る方法を失って、次の仕事を探すまで無給になってしまうのは大変ですよね。お互いのためにも、契約解除までの期間には余裕を持ちましょう

また、委託者が契約履行の催告を受けて、解決の意志を見せる場合もあります。契約解除をすぐに行わなければ、改善の余地を残すことができるでしょう。

5. 未完了の業務があれば対処する

業務委託契約の解除に伴い未完了のプロジェクトや業務がある場合、引き継ぎや完了に関する問題も片付ける必要があります。円滑に契約を解除して、トラブルを避けるためにも、やりっぱなしにしないようにしましょう。

 

よくある質問 Q&A

ここでは、よくある質問をQ&Aにまとめました。

Q. 契約解除の通知は何日前までにすればいい?

A. 基本的に、契約書に記載されています。契約書の内容を確認し、契約解除の通知を行いましょう。記載されていない場合は、委託者に確認します。
例「3ヶ月後に業務委託契約を解除したいです。解除通知を送ってもいいですか?」
何ヶ月後か何週間後かは、業務期間の規模にもよって変わります。簡単な見積もりを出して、委託者とコミュニケーションを取り、円滑に契約解除を行えるようにしましょう。

Q. 病気や怪我をした場合、違約金はどうなる?

A. 先ほどの身体に問題が発生した場合でも解説しましたが、民法415条1項には「その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」と記載されています。
業務が規定通りに行われなかった場合、賠償金や違約金を請求することができますが、致し方ない理由があれば回避することができます。病気や怪我の大きさにもよりますが、業務の進行が不可能、難しい状態であれば、その分考慮されることになります。

業務委託契約の解除に必要な書類は?

A. 主に使われる書類は「1. 業務委託契約書」「2. 契約解除通知書」「3. 解約合意書」の3種類になります。

業務委託契約書

業務委託契約書は、違反内容や条件、規定の確認を行うことができる書類です。契約を結んだ時に絶対に発行されるものなので、必ず受け取っているはずです。委託者が持っているものでもあるので、どうしても見当たらない場合は聞くようにしましょう。

契約解除通知書

契約解除通知書は、契約解除の通知を行う時に使用する書類です。契約解除日や解除理由などを記載しましょう。

ビズ研 見やすい契約解除通知書テンプレート(Word・PDF)

解約合意書

解約合意書は、契約解除に双方の合意が得られた場合に、解除する日時の指定や違約金の支払いなど、重要な情報を書き示す書類です。

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どの書類も重要なものになるので、忘れないように準備しておきましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。今回の記事では、業務委託契約とは、業務委託契約を解除できるケース・されるケース、業務委託契約を解除するリスクと注意点、業務委託契約を解除する5つのステップ、契約違反で解除したい場合の3つのステップ、業務委託契約を解除する5つのポイント、よくある質問 Q&Aの7つの項目を解説していきました。今回の記事のポイントを下記にまとめました。

【今回の記事のポイント】
・委任契約と準委任契約は簡単に契約解除できる

・話し合いが大事
・書類や記録はできる限り保存しておく

業務委託契約の解除のやり方は分かりましたか?参考になれば幸いです。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/坂口 綾太
SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括:坂口綾太 株式会社SOKKIN 執行役員

2019年に株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、歴代最速でシニアアカウントプランナーに昇格。人材・不動産業界マーケを経験し、株式会社サイバーエージェントTOP3顧客になる不動産企業様にて責任者を担当していた実績を持つ。2024年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括に従事。

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