所得税の控除22種類!対象者や控除額、併用可能かなどわかりやすく解説!

税金関連

1年間で一定の所得がある場合に発生する所得税は、年間所得額が多くなればそれに比例して納税額も高くなります。

所得税は何らかの報酬・収入を得ているすべての人にとって避けられない税金ですが、あらかじめ用意されている控除制度を利用すれば安く抑えられるかもしれません。

本記事では、所得税の納税額を抑えられる可能性が高い控除制度を紹介します。最後までご覧いただき、正しい節税対策にご活用ください。

所得税の控除とは?

定の収入・所得がある人全員に納税義務が発生する所得税ですが、要件を満たすことでその金額が控除される制度があります。

所得税を安く抑えることが可能な控除制度は大きくわけて3種類あり、これらの中身を理解したうえで適用させれば納税額を減らせるかもしれません。

多くの人にかかわりが深い所得税とともに、3つの控除制度について確認していきましょう。

所得税とは

所得税とは1年間の個人所得に対してかかる税金であり、年間総所得額から控除額を差し引いた課税所得額に対して金額に応じた税率を掛けて算出します。

所得税は所得の中身や性質によって範囲・計算方法などが定められており、主な所得は以下の通りです。

  1. 事業所得
  2. 給与所得
  3. 不動産所得
  4. 配当所得
  5. 雑所得

引用所得税のしくみ|国税庁

国税庁が定める所得は全部で10種類ありますが、そのなかでも主だったもの5種類を上記にあげました。

3つの所得税から差し引く控除

所得税には控除制度が設けられており、その種類は以下の3つです。

控除の種類 内容
経費・給与所得控除 年間総収入から差し引く
所得控除 年間総所得から差し引く
税額控除 課税所得額から差し引く

上記の3つはいずれも所得税に対して設けられた控除制度ですが、差し引くタイミングが異なり、3種類すべての金額を合計して一度にマイナスするという計算方法はできません。

それぞれの詳しい内容については後述するので、参考にしてください。

所得税の控除一覧

所得税の控除は差し引くタイミングによって以下の3つに分類されます。

  • 収入から差し引く控除(給与所得控除など)
  • 所得控除
  • 税額控除

上記3つの控除制度をさらに掘り下げて確認していきましょう。

収入から差し引く控除

収入から差し引く控除は以下の3つです。

  • 給与所得控除
  • 公的年金等控除
  • 所得金額調整控除

これらは年間総収入から直接差し引き、年間総所得額を確定させます。

それぞれの控除制度をみていきましょう。

給与所得控除

給与所得控除とは、給与所得がある人を対象に1年間で受け取った給与や賞与の総合計に応じて一定の金額を差し引く控除制度のことです。

個人事業主や自営業の場合は経費がありますが、給与所得者には経費として計上できる項目がありません。この不公平感を失くすことを目的に導入されました。

 給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
162.5万円まで 55万円
162.5円超180万円まで 収入金額×40%-10万円
180万円超360万円まで 収入金額×30%+8万円
360万円超660万円まで 収入金額×20%+44万円
660万円超850万円まで 収入金額×10%+110万円
850万円超 195万円(上限)

引用:No.1410 給与所得控除|国税庁

 

上記一覧表をもとに年間給与所得が103万円の場合と、500万円の場合を計算してみましょう。

 

年間総給与所得 年間給与所得額
103万円の場合 103万円-55万円=75万円
500万円の場合 500万円-(500万円×20%+44万円)=356万円
103万円の場合は控除額の55万円をそのまま収入から差し引きますが、500万円の場合は一覧表の計算式にあてはめて先に控除額を算出し、年間総所得額からその金額を差し引いて計算します。

公的年金等控除

公的年金等控除とは、年金受給者の年齢及び金額に応じて総収入額から控除される制度のことです。

年金は所得税法上では雑所得に分類され、所得税の課税対象ですが、以下のように控除額が定められています。

年齢 公的年金等の総収入額 年金以外の年間雑所得
1,000万円以下 1,000万円超2,000万円以下 2,000万円超
65歳未満 130万円未満 60万円 50万円 40万円
130万円以上 総収入額×0.75-27.5万円 総収入額×0.75-17.5万円 総収入額×0.75-7.5万円
410万円以上 総収入額×0.85-68.5万円 総収入額×0.85-58.5万円 総収入額×0.85-48.5万円
770万円以上 総収入額×0.95-145.5万円 総収入額×0.95-135.5万円 総収入額×0.95-125.5万円
1,000万円以上 195.5万円 185.5万円 175.5万円
65歳以上 330万円未満 110万円 50万円 40万円
330万円以上 総収入額×0.75-27.5万円 総収入額×0.75-17.5万円 総収入額×0.75-7.5万円
410万円以上 総収入額×0.85-68.5万円 総収入額×0.85-58.5万円 総収入額×0.85-48.5万円
770万円以上 総収入額×0.95-145.5万円 総収入額×0.95-135.5万円 総収入額×0.95-125.5万円
1,000万円以上 195.5万円 185.5万円 175.5万円

引用:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁

 

公的年金のみの年収が400万円の場合と1,000万円の場合の雑所得を計算してみましょう。

 

公的年金の年間総収入額 年間雑所得額
400万円の場合 400万円×0.85-68.5万円=271.5万円
1,000万円の場合 1,000万円-195.5万円=804.5万円
なお年齢による税率・控除額に変更はないため、考慮していません。

所得金額調整控除

所得金額調整控除とは年間給与所得が一定の金額を超える給与所得者のうち、以下の要件のいずれかを満たす場合に適用される控除制度で2020年に導入されました。

適用ケース 要件
子ども・障害者 給与年収が850万円超

・納税者本人が特別障害者

・23歳未満の扶養親族

・生計を同一とする配偶者または扶養親族が特別障害者

給与と年金双方 給与年収が10万円超

引用:No.1411 所得金額調整控除|国税庁

なお控除額の計算式は子・特別障害者を有するケースと年金所得ありのケースとで以下のように異なります。

適用ケース 計算方法
23歳未満の子または特別障害者を有する 所得金額調整控除額=(年間給与収入額-850万円)×10%
給与所得と年金所得の両方あり 所得金額調整控除額=給与所得控除後の金額+公的年金の所得総額-10万円

引用:No.1411 所得金額調整控除|国税庁

なお「23歳未満の子または特別障害者を有する」のケースに当てはまる場合は年末調整の手続きでも適用可能ですが、給与所得と年金所得の両方がある場合は確定申告が必要になるので注意してください。
▼年末調整について詳しく知りたい方はこちら
給与所得って何?年末調整で必要な計算や書き方など徹底解説!

所得控除

所得控除とは、年間総所得額から差し引くことが可能な金額のことです。

所得控除は全部で14種類あり、それぞれに要件・控除額などが異なります。

各控除制度について詳しく解説するので、参考にしてください。

基礎控除

基礎控除とは、一定の年間所得がある人全員に適用される所得控除のひとつです。

基礎控除額は納税者本人の年間総収入から経費を差し引いた年間総所得額に応じて以下のように定められています。

納税者本人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

引用:No.1199 基礎控除|国税庁

 

例えば年間の給与収入が500万円の場合の控除額は、給与所得控除額が144万円なので年間合計所得額は356万円です。
上記一覧表から356万円は年間の合計所得金額2,400万円以下にあたるため、控除額は48万円と算出されます。

 

 

扶養控除

扶養控除とは、納税者本人に控除対象と認められる親族が存在する場合に適用される制度です。

対象の範囲と区分別の控除額は以下のように定められています。

  • 年齢が16歳以上
  • 配偶者以外の親族や里子・擁護を委託された老人
  • 納税者と生計が同一
  • 扶養親族の年間総所得額が48万円以下(給与収入のみの場合は103万円以下)
  • 事業専従者ではない扶養親族

引用:No.1180 扶養控除|国税庁

区分 控除額
16歳以上30歳未満または70歳以上、もしくは障害者や38万円以上の生活費等を受けている一般の控除対象扶養親族 38万円
控除対象扶養親族のうち19歳以上23歳未満の特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等以外の者 48万円
同居老親等 58万円

引用:No.1180 扶養控除|国税庁

特定扶養親族や同居老親等については、細かな要件が定められているので国税庁のホームページをご確認ください。

配偶者控除・配偶者特別控除

配偶者控除・配偶者特別とは、納税者本人に生計を同一とする民法上での配偶者が存在する場合に適用される制度です。

配偶者の年間総所得額が48万円以下の場合は配偶者控除、48万円を超えた場合は配偶者特別控除の利用が可能であり、それぞれ以下のように控除額が定められています。

【配偶者控除】

控除を受ける納税者本人の合計所得金額 控除額
一般の控除対象配偶者 老人控除対象配偶者
900万円以下 38万円 48万円
900万円超950万円以下 26万円 32万円
950万円超1,000万円以下 13万円 16万円

引用:No.1191 配偶者控除|国税庁

【配偶者特別控除】

納税者本人の年間総所得額
900万円以下 900万円超
950万円以下
950万円超
1,000万円以下
配偶者の年間総所得額 48万円超95万円以下 38万円 26万円 13万円
95万円超100万円以下 36万円 24万円 12万円
100万円超105万円以下 31万円 21万円 11万円
105万円超110万円以下 26万円 18万円 9万円
110万円超115万円以下 21万円 14万円 7万円
115万円超120万円以下 16万円 11万円 6万円
120万円超125万円以下 11万円 8万円 4万円
125万円超130万円以下 6万円 4万円 2万円
130万円超133万円以下 3万円 2万円 1万円

引用:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

 

納税者本人の年間総所得額が356万円と仮定して、収入なし配偶者と年間総所得額120万円の配偶者の2通りの控除額を計算してみましょう。

 

配偶者の年間総所得額 控除額
0円 38万円
120万円 16万円

障害者控除

障害者控除とは、納税者本人または生計を同一とする配偶者や扶養親族に障害者が存在する場合に適用される制度です。

適用要件として障害者手帳を交付されている人や知的障害者と判定された人があげられ、以下のように控除額が変わります。

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者(重度・等級1級など) 40万円
同居特別障害者 75万円

引用:No.1160 障害者控除|国税庁

なお同居特別障害者とは例えば療養のために一時的に入院している場合や、納税者本人と一時的に離れた場所で生活している状態を指します。

ひとり親控除

ひとり親控除とは、婚姻関係と認められる人がいない状態で子を育てている場合に適用される制度です。

この控除制度を利用する際には、以下の要件をすべて満たさなければなりません。

  • 事実上婚姻関係と認められる一定の人がいない
  • 年間総所得額が48万円以下のほかの配偶者や扶養親族になっていない生計を同一とする子がいる
  • 納税者本人の年間総所得額が500万円以下である

引用:No.1171 ひとり親控除|国税庁

上記の要件を満たす場合は、35万円が控除されます。

 

例えば年間総所得額356万円で収入なしの子を扶養している場合は35万円が控除されますが、子に103万円の収入があった場合は適用されません。

 

寡婦控除

寡婦控除とは、納税者本人が寡婦であると認められる場合に適用される控除制度であり、以下の要件を満たした場合には、27万円が年間総所得額から控除されます。

  1. 離婚後婚姻しておらず、扶養親族が存在する年間合計所得額500万円以下の人
  2. 死別または生死が明らかではない年間合計所得額500万円以下の人

引用:No.1170 寡婦控除|国税庁

※「2」は扶養親族の有無は適用要件に含まれません。

勤労学生控除

勤労学生控除とは、勤労学生であると認められる場合に一定の所得控除が受けられる制度です。

勤労学生の控除対象となる範囲は以下のように定められています。

  1. 給与所得などの勤労所得あり
  2. 年間総所得額が75万円以下でありかつ勤労以外の所得が10万円以下
  3. 学校教育法に基づく学生や学校法人などの生徒であること

引用:No.1175 勤労学生控除|国税庁

上記の要件を満たした場合には、27万円が控除されます。

雑損控除

雑損控除とは、災害などにより以下の要件に当てはまる対象資産に損害を受けた場合に控除される制度です。

  1. 納税者本人または年間所得総額が48万円以下の生計を同一とする配偶者やその他の親族の所有資産
  2. 「棚卸資産」「事業用固定資産等」「生活に必要でない資産」のいずれにも該当しない資産

引用:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁

なお対象資産の範囲は以下のように定められています。

  • 自然災害
  • 火災や爆発などの人為災害
  • 生物災害(害虫など)
  • 盗難
  • 横領

引用:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁

控除金額は以下の計算式で算出したうちの多いほうです。

  1. (損害金額+災害関連支出総額-保険金等)-年間総所得額×10%
  2. (災害関連支出総額-保険金等)-5万円

では以下の条件で雑損控除額を計算してみましょう。

条件 損害額:50万円(自然災害損失)
損害に対する受取済保険金:20万円
年間総所得額:300万円
災害関連支出額:10万円
「1」の場合 (50万円+10万円-20万円)-300万円×10%=10万円
「2」の場合 (10万円-20万円)-5万円=-15万円

上記の場合、「1」で算出した10万円が雑損控除として年間所得額から差し引かれます。

医療費控除

医療費控除とは、対象年に支出した納税者本人または生計を同一とする配偶者やその他親族の医療費が一定額を超えた場合に適用される制度です。

控除額を算出する際は以下の計算式を用います。

医療費控除額=(支払済医療費総額-保険金などの補てん金額)-{年間所得総額×5%(上限10万円)}

引用:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

 

2通りの条件に上記計算式を当てはめて医療費控除額を算出してみましょう。

 

条件 年間総所得額:365万円
支払済医療費:30万円
補てん金額:11.75万円
医療費控除額 (30万円-11.75万円)-10万円=8.25万円
※365万円×5%=18.25万円で上限の10万円を超えている
条件 年間総所得額:100万円
支払済医療費:20万円
補てん金額:15万円
医療費控除額 (20万円-15万円)-(100万円×5%)=0円

社会保険料控除

社会保険料控除とは、納税者が本人または生計を同一とする配偶者やその親族分の健康保険料や国民健康保険料、介護保険料などを支払った場合に適用される制度です。

納税者本人が支払った社会保険料は配偶者や親族分も含めて全額が、年間総所得額から控除されます。

例えば年間総所得額365万円の納税者が対象年に国民健康保険料20万円と厚生年金保険料35万円を支払った場合、合計55万円を差し引いた310万円が課税所得額です。

生命保険料控除

生命保険控除は、納税者本人が「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」を支払った場合に一定額の控除が受けられます。

生命保険控除は2012年1月1日を境に新制度と旧制度にわけられており、控除額の計算方法や限度額の上限は以下の通りです。

新制度(2012年1月1日以降の契約分) 旧制度(2011年12月31日までの契約分)
年間支払済保険料の合計額 控除額 年間支払済保険料の合計額 控除額
2万円以下 支払済保険料全額 2.5万円以下 支払済保険料全額
2万円超4万円以下 支払済保険料×1/2+1万円 2.5万円超5万円以下 支払済保険料×1/2+1.25万円
4万円超8万円以下 支払済保険料×1/4+2万円 5万円超10万円以下 支払済保険料×1/4+2.5万円
8万円超 一律4万円 10万円超 一律5万円

引用:No.1140 生命保険料控除|国税庁

保険の種類 所得税
新制度 旧制度
一般生命保険料 4万円 5万円
個人年金保険料 4万円 5万円
介護医療保険料 4万円
合計の上限金額 12万円 10万円

引用:No.1140 生命保険料控除|国税庁

なお「一般生命保険料」と「個人年金保険料」においてそれぞれ新旧併用させた場合の上限額は5万円に定められている点に注意してください。

地震保険料控除

地震保険料控除とは、納税者本人が地震損害にかかる保険料や掛金を支払った場合に、一定金額の所得控除が受けられる制度です。

控除額は区分・年間支払保険料によって以下のように定められています。

区分 年間の支払保険料の合計 控除額
(1)地震保険料 5万円以下 支払金額の全額
5万円超 一律5万円
(2)旧長期損害保険料 1万円以下 支払金額の全額
1万円超2万円以下 支払金額×1/2+5千円
2万円超 1.5万円
(1)・(2)両方がある場合 (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高5万円)

引用:No.1145 地震保険料控除|国税庁

小規模企業共済等掛金控除

小規模企業共済等掛金控除とは、共済契約に基づく以下3つの掛金を支払った場合に年間の掛金全額が控除される制度です。

  • 小規模企業共済
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 心身障害者扶養共済

引用:No.1135 小規模企業共済等掛金控除|国税庁

原則では「年間の掛金全額が控除」とされていますが、掛金は月額1千円〜7万円に設定されているため、実際の控除額の上限は84万円までといえます。

寄付金控除・寄附金特別控除

寄附金控除は自治体や赤十字社などに寄附をした際に受けられ、ふるさと納税も含まれる所得控除のひとつです。

一方の寄附金特別控除は後述する税額控除のひとつであり、政党や認定NPO法人などに寄附をした際に適用可能です。

それぞれの制度が対象となる団体に寄附を行った場合にはどちらか一方を選択することになり、併用はできません。

ふるさと納税をした際の控除額をシミュレーションしてみましょう。

条件 ふるさと納税額:10万円
年間総所得額:356万円
所得控除総額:20万円
計算式 控除額=(ふるさと納税額-2千円)×所得税率
控除額 356万円-20万円=336万円(課税所得額)
※所得税率は20%
(10万円-2千円)×20%=1.96万円

税額控除

税額控除とは、年間所得額から所得控除を差し引いた課税所得額に税率をかけて算出した所得税額から控除できる制度です。

税額控除にはさまざまな種類がありますが、ここでは「外国税額控除」「住宅ローン控除」「配当控除」の3つに注目して解説します。

外国税額控除

外国税額控除とは、外国で所得税を支払っている際に二重課税を調整する目的で適用される制度です。

控除限度額は以下の計算式で算出します。

控除限度額=当該年の総所得税額×当該年の海外所得総額/当該年の年間所得総額

 

ただし外国所得税が限度額を上回る場合は「当該年の総所得税額」だけではなく、「当該年の復興特別所得税額」で計算した金額も控除される点に注意してください。

 

住宅ローン控除

住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用して住宅を新築・購入・増改築した場合に適用される控除制度です。

区分は「新築」「購入」「リフォーム」の3つがありますが、以下は共通の適用条件として定められています。

  • ローン返済期間10年以上
  • 居住用であり引越しまたは完成から6カ月以内に入居
  • 床面積50平方メートル
  • 居住用割合1/2以上
  • 年間総所得額2,000万円以下
控除額は以下の計算式で算出しますが、上限額は40万円です。
住宅ローン控除額=住宅ローン残高×1%(控除率)

例えば住宅ローンの残高が2,000万円だった場合、その1%にあたる20万円が控除されます。

 

なお住宅ローン控除は初年度のみ自分で確定申告をしなければなりません。2年目以降は年末調整での手続きで適用されます。

 

配当控除

配当控除とは、国内の株式配当金や投資信託分配金などを受け取った場合に適用される税額控除です。

課税所得額が1,000万円以下の場合は以下の計算式で算出します。

配当控除額=(剰余金配当所得額×10%}+(投資信託分配金の配当所得額×5%)

課税所得額が1,000万円を超えている場合の原則の計算式は以下の通りです。

配当控除額=(剰余金配当額のうち、課税所得額から1,000万円と投資信託分配金の合計額を差し引いた金額(A)×5%)+(剰余金配当額のうち(A)を超える金額×10%)+(投資信託分配金×2.5%)

2024年から定額減税スタート!

急激な物価高の影響を受けて、日本政府は2024年4月1日付の「令和6年度税制改正法」に基づいた制度として定額減税をスタートさせました。

所得税のみで見た場合の政策内容は、納税者本人と配偶者・扶養親族1人あたり所得税3万円を控除するというもので、主な対象者は2024年分の所得税納税者で2024年の合計所得額が1,805万円以下(給与所得の場合は2,000万円以下)の個人事業主・給与所得者・公的年金等取得者です。

 

給与所得者の場合は2024年6月1日以降に支払われる給与の源泉徴収から順次控除され、個人事業主の場合は2024年分の確定申告時に適用されます。

 

所得税の計算方法

所得税を算出する際の計算方法は、以下の通りです。

  1. 年間所得額の算出
  2. 課税所得額の算出
  3. 所得税額の算出
  4. 税額控除の適用

それぞれのポイントを解説するので、参考にしてください。

step1 所得額の算出

年間所得額の算出方法に用いる際の計算式は以下の通りです。

年間所得額=年間総収入額-経費

収入は給与所得者なら月額給料や賞与があげられ、個人事業主の場合は売上や報酬などがあげられます。

一方の経費は個人事業主や自営業の場合は事業活動で支出した金額、給与所得者の場合は給与所得控除や所得金賞性控除がこれにあたるので、忘れず差し引いておきましょう。

step2 課税所得額の算出

次に課税所得額を算出しますが、その際に用いる計算式は以下の通りです。

課税所得額=年間所得額-所得控除
所得控除は「所得税の控除一覧」内の「所得控除」の項目で紹介・解説したものであり、適用できるものがあればこの段階で差し引きます。

step3 所得税額の算出

基準所得税額を算出する際に用いる計算式は、以下の通りです。

基準所得税額=課税所得額×税率-控除額

上記計算式の「税率」と「控除額」は課税所得額に応じて以下のように定められています。

課税対象所得額 税率 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

引用:No.2260 所得税の税率|国税庁

 

step2で算出した課税所得額に応じて上記一覧表から税率と控除額を調べ、計算式にあてはめて計算してください。

 

step4 税額控除を差し引く

最後に税額控除を差し引いて、所得税額を算出します。

所得税額=基準所得税額-税額控除

税額控除は「所得税の控除一覧」内の「税額控除」で紹介したものがあげられ、要件を満たしている場合はこの段階で適用させて所得税額を算出してください。

控除の申告方法

所得税にはさまざまな控除制度が設けられていますが、適用させた制度によって申告方法が異なる場合があります。

なかには確定申告のみ適用可能な制度もあるので注意してください。

年末調整・確定申告での申告方法とあわせて、注意が必要な控除制度も確認していきましょう。

年末調整をする場合

会社・企業に所属して源泉徴収された給料を受け取っている給与所得者は、所得税における控除制度の多くを年末調整で適用させます。その際に必要となる主な書類は以下の通りです。

必要書類 主な入手方法など
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 勤め先から配布
給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 勤め先から配布
給与所得者の保険料控除申告書 勤め先から配布
給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書) ・税務署から送付
・住宅ローン控除を利用する場合
上記以外にも要件を満たしたことで適用可能な控除制度がある場合は、適用できることを示す証明書などの貼付書類をそろえて勤務先に提出しなければなりません。

確定申告をする場合

確定申告をする場合は以下の書類に必要事項を記入の上、2月16日〜3月15日の間に管轄の税務署に提出してください。

  • 所得税及び復興特別所得税の申告書(第一表)
  • 所得税及び復興特別所得税の申告書(第二表)

青色申告の届出をしている場合は、上記の書類が税務署から送付されてきます。

それ以外では、所轄の税務署に直接取りに行くか郵送を希望すれば入手可能です。

らに国税庁のホームページからもダウンロードが可能なので、税務署への依頼が面倒な場合は利用すると良いでしょう。

 

またe-Taxやフリーソフトを利用して確定申告書類の作成をすれば、必要事項記入済みのものがダウンロードできます。

 

なお控除制度を適用させる際には必要書類を添付しなければならないケースもあるので、その際は忘れず準備して一緒に提出してください。

確定申告でしか適用されない控除を受ける場合

確定申告でしか適用されない控除は以下の通りです。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄附金控除
  • 配当控除
  • 外国税額控除
  • 寄附金特別控除
  • 住宅ローン控除(初年度のみ)
上記の控除制度の適用に該当する場合は、年末調整を受けている場合でもそのあとに確定申告を行ってください。

【6つの壁】扶養から外れないために

 

税金や社会保険料にはいくつかの壁があり、その壁の年収を超えると納税額が高くなります。

ここでは6つの壁について解説するので、参考にしてください。

93万円の壁(住民税の壁)

93万円の壁とは、住民税が非課税になるからならないかのボーダーラインのことです。

住民税は所得割と均等割の2つから成り立っていますが、そのうちの所得割は基礎控除が45万円であることから、給与諸所得控除の55万円と合算して100万円を超えなければ納税義務は発生しません。

 

一方の均等割は地方になるほど基準年収が低くなる3段階方式が採用されており、その等級が一番低い3級地の均等割基準年収は93万円に設定されています。ただし、自治体によって均等割の基準年収は変わるので注意してください。

 

103万円の壁(所得税の壁)

103万円の壁とは、所得税納税義務のボーダーラインです。

所得控除のひとつである基礎控除は1年間で所得があった人全員に適用される控除制度であり、上限額は48万円に設定されています。

また給与所得控除の上限が55万円であることから、基礎控除の上限と合算した103万円以内なら所得税の納税義務は発生しません。

 

年間総所得が103万円以下なら年間合計所得が48万円以下に該当するため、扶養控除が適用されます。

 

106万円の壁(社会保険の壁)

106万円の壁とは、社会保険加入の必要不必要のボーダーラインのことです。

従業員数が101人以上の企業は年収が106万円超になる従業員に対して社会保険加入が義務付けられているため、扶養から外れて社会保険料を支払わなければなりません。

月収に換算すると8.8万円を超えると社会保険に加入しなければならなくなるので、注意してください。

130万円の壁(社会保険の壁)

130万円の壁も、前述した106万円の壁同様に社会保険加入のボーダーラインのことです。

従業員数が100人以下の企業は、年収が130万円を超えると従業員を社会保険に加入させる義務が発生します。

扶養家族から外れて自分で社会保険料を支払わなければならなくなるため収入が減り、扶養控除の適用も受けられなくなることから所得税の納税額が増加してしまうので注意しましょう。

150万円の壁(配偶者特別控除の壁)

150万円の壁とは、配偶者特別控除満額のボーダーラインです。

配偶者特別控除の上限は38万円ですが、その枠組みが年間総所得額48万円超95万円以下に設定されており、満額を受け取るためには年収を150万円以下(年間総所得額の場合は95万円以下)に抑えなければなりません。

ボーダーラインを超えると配偶者特別控除額が減少して手取りとの差がなくなる可能性があるので、注意してください。

201.6万円の壁(配偶者特別控除の壁)

201.6万円の壁とは、配偶者特別控除枠のボーダーラインです。

配偶者特別控除は年間総所得額133万円以下までに定められており、その金額を超えると特別控除枠から外れてしまいます。

年間総所得額133万円を年収に換算すると約201万円になるため、201.6万円を超えた時点で配偶者特別控除枠の対象外です。

少額でも配偶者特別控除を適用させたい場合は、子のボーダーラインを超えないようにしましょう。

まとめ

所得税の控除制度を紹介しました。

控除制度にはさまざまな種類がありますが、それぞれに対象者や適用要件が設けられており、それらを満たさなければ利用できません。

どのような控除制度が利用可能なのかをよく確かめ、正しい節税対策を行ってください。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェント、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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