厚生労働省による「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が2017年に発表されて以降、会社員としてだけでなく、個人としての仕事もする「副業・複業」という働き方・生き方をする方が増えてきました。
働き方が自由になる一方で、複数の仕事を持つことでご自身で所得税を計算・申告しなければいけない人が増えてきました。
所得税をご自身で計算・申告した経験がない方は戸惑うことが多いはずです。
特に複業として様々な仕事をしている方は、状況が複雑なだけに確定申告もどうしたらいいかわからないかもしれません。
今回は「複業」をしている方に向けて、確定申告のポイントを税理士が解説いたします。
まず確定申告のポイントを解説する前に、「副業」と「複業」がどう違うのか解説いたします。
副業はいわゆるサイドビジネス。
生活の糧となるほどの金額を稼ぐ本業がありながら、それとは別にスキマ時間でお小遣い稼ぎをするための仕事が副業です。
複業とは、本業に匹敵するほどのお金を稼ぎ、時間を使う仕事が複数あることです。
最近では複業する方をパラレルワーカーと呼びます。
副業の確定申告について
今回はあくまでも「複業」をしている方が確定申告をするポイントです。
そのため、「副業」の確定申告についてはこちらの記事をご覧ください。
複業の仕方によって確定申告のポイントは異なる
一言に複業といっても、複業の仕方は様々です。
会社員として働きつつ、フリーランスとして働くパターンもあれば、複数の会社に会社員として勤めるパターンもあります。
そのパターンによって、確定申告のポイントは異なるため、この記事ではパターン別に確定申告のポイントを解説していきます。
「確定申告自体について詳しく知りたい」という方は、まず下記リンク先のページをご覧ください。
確定申告について詳しく知りたい方はこちら
パターン1)会社員×個人事業主(フリーランス)
会社員として働きつつ、個人事業主・フリーランスとしても働くパターンは、複業としては最も多いかもしれません。
このパターンの場合、確定申告のポイントはほとんど副業をしている方と変わりません。
個人事業主・フリーランスの所得が年間20万円以上かどうか
個人事業主・フリーランスとしての所得が年間で20万円以上であれば、確定申告が必要です。
所得について詳しく知りたい方や、このパターンで確定申告が必要な条件を詳しく知りたい方は下記リンク先のページをご覧ください。
20万以下なら不要?副業の確定申告が必要になる条件とは
所得を事業所得にできるかどうか
個人事業主・フリーランスとしての所得の種類が雑所得ではなく、事業所得にできるかどうかも重要なポイントです。
事業所得であれば、
- 赤字の場合は、他の所得と損益通算が可能
- 青色申告できるため、最大65万円の控除が受けられる
といったメリットがあります。
すごく平たく言ってしまえば、事業所得の方が高い節税効果が期待できるのです。
もちろん、何でもかんでも事業所得にできるわけではありません。
事業所得として認められるためには、満たすべき条件があります。
その条件については、下記リンク先のページに記載しておりますので、ぜひ参考にしてください。
事業所得とは
会社にバレる可能性がある
会社が複業を公認している場合であれば問題ありませんが、確定申告をすることで会社に複業していることがわかる場合があります。
確定申告をすると、住民税の納付書が勤務先に届く可能性があるからです。
会社側で把握している住民税は、当然会社から支払っている給与から算出した住民税の金額のみ。
会社が把握している金額とは異なる場合、複業をしている可能性があると判断されます。
確定申告を提出する際に、「住民税の納付方法」にて「普通徴収(自分で納付)」を選択すればバレる可能性は低くなりますが、必ずバレないとは保証できません。
パターン2)個人事業主×個人事業主
個人事業主(フリーランス)として、複数の事業を行っているパターンです。
例えば、WEBライター・プログラマーとして、複数の仕事をしている場合などがこのパターンに当たります。
このパターンの場合は、複数の事業の売上・経費をまとめて確定申告するだけなので、特に気を付けるポイントはありません。
ただ、複数の事業によって得られる所得が、事業所得と不動産所得など異なる場合は所得によって、確定申告する際に気を付けるポイントが異なるため、その点では注意が必要です。
所得の種類ごとの説明は、下記リンク先のページで解説していますので、こちらも参考にしてください。
所得と所得の種類について詳しく知りたい方はこちら
パターン3)会社員×会社員
会社員として、複数の会社に勤めているパターンです。
例えば、Aの会社で週3回働き、Bの会社に週2回働き、それぞれの会社として給与をもらっている場合がこのパターンに当てはまります。
個人でも確定申告が必要
会社側がそれぞれ所得税の計算・支払いは行っていると思います。
しかし、この複数の会社から給与を受け取っている場合は、個人でも確定申告が必要です。
会社側はあくまでも、会社が支払っている給与の範囲内でしか所得税の計算・支払いをしないため、複数の会社で支払っている給与を合計した所得税については個人で計算する必要があるからです。
とはいえ、それぞれの会社で所得税の計算・支払いを行っているため、会社ごとの源泉徴収票を参考すれば、確定申告はそこまで難しくありません。
パターン4)経営者×個人事業主(フリーランス)
会社を経営していながら、個人事業主・フリーランスとしても働いているパターンです。
このパターンもそこまで難しくはありません。
経営している会社については、その会社の決算を行う際に、経営者としての給与や配当を計算して税金を申告しているはずです。
また個人事業主として稼いだ金額については、個人事業主として確定申告します。
要するに、会社の決算と個人事業主としての確定申告、この二つをそれぞれ行うだけです。
少しでも不安があれば税理士へご相談ください
パターンごとに確定申告のポイントを解説いたしましたが、いかがでしょうか。
もし少しでもご不安や不明点があれば、税理士へ相談することをお勧めいたします。
確定申告を行った後、経費の申告漏れや経費を過剰に申告していた場合、後から追加徴税という形で、本来支払うべきの税金よりも多くの金額を税務署に支払うことになります。
また、税金に関しての不安を抱えたまま事業で行ったり、税金の計算をご自身で行う手間や労力を考えると、税理士に相談してしまった方が税務顧問料を支払うデメリットよりもメリットが大きい場合もございます。
この記事を作成している森福税理士事務所では、複業の方のサポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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