国家資格を取らなければ仕事に従事できない弁理士ですが、収入面・スキル面などさまざまな事情を抱えて副業を考える人もいます。
しかしその一方で「弁理士が副業をするとどのようなメリットが得られるのか」「どんな仕事が副業に向いているのかわからない」といった疑問・不安を抱いている人もいるでしょう。

本記事では、弁理士の副業事情全般について解説します。おすすめの副業・メリット・注意点なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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そもそも弁理士って何をする人なの?
弁理士とは、特許・商標といった知的財産権を専門に取り扱う人のことです。目に見えない知的財産権全般についての知識が豊富であり、手続き・相談などを行います。
弁理士の主な仕事内容は、以下の通りです。
・知的財産権の保護および利用の相談
・紛争の解決
・コンサルティング
上記にあげた業務をスムーズにこなすためには、高度な法的知識とともに内容に伴う技術面での知識も求められます。
そのため弁理士の国家資格に合格し、弁理士会に登録しなければ従事できません。
弁理士がなんで副業を?
弁理士の年収については後述しますが、決して安いわけではありません。給与所得者の平均年収と比較すると、相対的に高い水準と言えます。
にもかかわらず、なぜ弁理士が副業をしたがるのか、疑問に感じている人もいるかもしれません。
弁理士が副業をする事情・背景について確認していきましょう。
本業の収入で満足できない
弁理士が副業をする理由として、本業の収入に満足できない点があげられます。
厚生労働省が運営する「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」によると、2024年の弁理士の平均年収は765.3万円です。
ちなみに国税庁が「令和5年分 民間給与実態統計調査」で公開している、給与所得者の平均年収は460万円でした。
この2つを比較してみると、弁理士の年収は高いと感じる人もいるでしょう。
しかしjob tagで年齢別の平均年収を確認すると給与所得者の平均年収を超えるのは30歳以降であり、それまでの年収は370万円程度とかなり低めです。
弁理士の給料形態は年功序列型であり、大幅な収入アップは期待できません。
このような背景から副業をする弁理士もいるのが現状です。
将来は独立したい!
将来独立を考えている場合も、副業を始める理由としてあげられるでしょう。
近年、弁理士の数は減少傾向にあるといわれています。その主な理由は、以下の通りです。
・弁理士試験の合格者数の減少
・既存弁理士の高齢化
これらの背景には、少子化が関係しています。そのため弁理士の数が減少すると募集をかけても人材が集まらず、廃業を余儀なくされる事務所も少なくありません。
副業をすれば人脈が広がり、独立開業した際にもスムーズな事業活動ができるでしょう。顧客獲得に奔走するリスクも軽減できます。
弁理士のスキルを活かせる!おすすめ副業7選
弁理士のスキルを活かせる副業を紹介します。
WEBライター
Webライターとは、企業・個人などのクライアントから依頼された内容の記事を作成する仕事です。
原則としてWeb上に公開する記事であり、検索エンジンでの上位表示を目指しているケースも少なくありません。そのため、SEOの基礎知識は学習しておいたほうがよいでしょう。
弁理士の知識・スキルに特化した記事作成を依頼されることもあります。その場合は専門性に特化したコンテンツであることから、一般的な相場よりも単価が高めです。
弁理士予備校、受験機関の講師
弁理士の予備校・受験機関での講師も、おすすめの副業です。
弁理士の予備校・受験機関を利用する人たちは、弁理士を目指しています。資格取得と同時に弁理士として活躍する人が多いことから、現場に直結したスキル・知識を学習したいと考える人も少なくありません。
大学の講師
大学の非常勤講師も、弁理士におすすめの副業としてあげられます。大学在籍中に弁理士の国家資格を目指す人もいるからです。
一般的に大学の講師になるためには、大学の決定機関または文部科学省からの承認が必要です。
弁理士も大学の講師になるためには、原則として承認を得なければなりません。しかし、特任教員として講師を務める場合は、承認は不要です。そのため、副業として大学の講師を選択する際は、特任教員を目指すとよいでしょう。
アフィリエイト
弁理士がアフィリエイトを副業のする際の主なモデルケースは、以下の通りです。
モデルケース | 内容 |
知的関連情報特化型 | ・商標や特許の出願ソフトやサービスの紹介 ・知的財産関連の書籍や講座の紹介 |
技術分野特化型 | ・研究開発関連のツールやソフトの紹介 ・専門分野の技術や学術論文データベースの紹介 |
資格取得支援 | ・試験対策教材の紹介 ・予備校や模試の情報提供 |
上記の内容にあげたような商材を取り扱っている企業・事業主と契約し、関連するコンテンツを作成したうえで広告を掲載します。
一定のアクセス数が必要なため、短期間での収益化は難しいかもしれません。長い目でとらえ、継続して運営していきましょう。
web作成
Web作成とは、企業・個人といったクライアントから依頼を受けてWeb上に公開するサイトを作成する仕事です。
Webサイト作成は、一見すると難しそうに感じる人もいるかもしれません。しかし作成に必要な言語は限られており、手軽に学習できます。また需要があるうえに単価も高めなので、副業でしっかり稼ぎたい人にもおすすめの副業です。
弁理士として独立して運営する際には、顧客獲得としてWebサイトの構築が重要なツールといえます。近年、独立開業する弁理士の数が増加傾向にあることから、副業でWebサイトの作成を始めれば需要はあるでしょう。
知財コンサルティング
知財コンサルティングとは、企業・会社の知的財産に関する課題・問題点を解決するためのサポートを行う仕事です。
弁理士が知的コンサルティングを副業にするメリットとして、以下のようなポイントがあげられます。
・リモートワークで対応できる
・1案件の単価が高い
また、将来独立したときには既存顧客になってくれるかもしれません。
知的コンサルティングは、将来を見据えた場合にも有効な副業といえるでしょう。
商標出願サポート(個人・中小企業向け)
商標出願サポートとは、商標権の出願に必要な書類の作成から出願の手続きまでを一手に引き受ける仕事です。
商標を出願するためには、事前調査・書類作成・出願など、さまざまな手順をこなさなければなりません。専門的な知識をもたない一般人には、かなりハードルが高い手続きといえるでしょう。
弁理士が副業をするメリットとは?
弁理士が副業をするメリットを紹介するので、参考にしてください。
独立への準備になる!
弁理士として副業をしておけば、独立の準備になります。
例えば、副業として前述した商標出願サポートを始めたとしましょう。本業で従事している弁理士としての知識・スキルがそのまま活かせるだけではなく、スキルのブラッシュアップも期待できます。
さらに商標出願サポートの依頼をしたクライアントが、独立開業した後に既存顧客になってくれる可能性もゼロではありません。
このように弁理士の副業が独立への布石にもなる可能性を秘めている点は、メリットといえるでしょう。
視野が広がる!
視野の拡大も、弁理士が副業をする際のメリットとしてあげられます。副業を通じて、さまざまな業界・職種の人たちとのつながりが生まれるからです。
事務所などに所属して弁理士をしていると、クライアントは訪れる顧客に限られます。接する人が限られてしまうと、視野も狭くなりがちです。
副業を通じて視野を広げることは弁理士としての仕事にもプラスになるため、メリットといえます。
高単価の案件を狙いやすい
高単価の案件が狙いやすい点も、弁理士が副業をするメリットのひとつです。
例えば商標出願に関する仕事を例にして、単価を確認してみましょう。
仕事内容 | 目安の単価 |
商標調査 | 5,000円/1案件あたり |
商標出願に関する記事作成 | 3.7円/1文字あたり |
商標出願に関する記事の校正および修正 | 1万円/1案件あたり |
(参考:すべての仕事・求人情報を探す | 在宅ワーク・副業するなら【クラウドワークス】)
上記のなかでも記事作成は、一般的な相場が1文字1円程度です。商標出願に関する記事作成の場合は文字単価が3.7円となっており、高単価な案件であることがわかります。
このように弁理士の知識・スキルを活用した副業の単価は、ほかの仕事と比較すると相場が高めです。そのため高単価の案件が狙いやすいという点で、メリットとしてあげられます。
人脈が増える
人脈が増える点も、副業をするメリットといえるでしょう。
副業では、本業とは異なる人たちとのつながりが生まれます。人脈が増えれば副業での案件獲得が増加したり、独立開業した際の後ろ盾になってもらえたりするかもしれません。
このように人脈の拡大と増加はさまざまな面で役立つので、メリットとしてあげられるでしょう。
弁理士が副業を始める方法は?
弁理士が副業を始める方法を紹介します。
クラウドソーシングサイトで探す
さまざまな仕事を幅広く受注したい場合は、クラウドソーシングサイトがおすすめです。
クラウドソーシングサイトとは、仕事を依頼したい側と受注したい側を結び付けるプラットフォームであり、さまざまな案件が掲載されています。
このように幅広い職種の案件が見つかるので、多方面での仕事がしたい場合にはおすすめのプラットフォームです。
士業専門マッチングサービスに登録する
士業専門のマッチングサービスに登録すると、コンスタントに仕事・案件が見つかるでしょう。
士業専門のマッチングサービスでは、弁理士をはじめとする士業向けの案件を豊富に取り扱っています。専門的な案件を豊富に受注することで、弁理士としての知識・スキルのブラッシュアップや向上も期待できるでしょう。
弁理士が副業するときの注意すべきことは?
弁理士が副業する際の注意点を紹介するので、参考にしてください。
業務過多、スケジュール管理に注意しよう
副業をする際は、スケジュール管理に注意しましょう。本業と副業の両方をこなさなければならないからです。
副業は本業とは別に仕事をすることであり、単純に仕事量が増加します。無理なスケジュールを組んでしまうと対応しきれず、本業・副業の双方に支障をきたしかねません。
副業をする際は本業メインで考え、受注する案件は厳選するようにしましょう。
名義貸しは絶対にNG!
名義貸しは厳禁です。
弁理士に従事するからには弁理士法を遵守しなければなりません。この弁理士法では第31条の23にて、他人に弁理士としての資格を貸して業務をさせる名義貸しを禁止しています。
副業収入が20万を超えたら、確定申告をしよう
副業での年間所得額が20万円を超えた場合、確定申告が必要です。
確定申告は原則として、毎年2月16日〜3月15日の期間で行われています。この期間中に申告と納税を済ませましょう。
▼ なお副業の確定申告については、以下のサイトで詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてください。

利益相反に注意を払おう
弁理士が副業を行う際は、利益相反にも注意しなければなりません。
利益相反とは、ある行為によって一方が利益を得て他方が損害を受ける状態のことです。
例えば、副業として知財コンサルティングを始めたとしましょう。この場合、依頼者が本業の事務所と競合する可能性はゼロではありません。
本業の就業規則を確認しよう
副業を始める前に、本業の就業規則を確認してください。所属先によっては、就業規則にて副業を禁じている可能性があるからです。
弁理士の場合、情報漏洩の観点から就業規則にて副業を禁止したり制限を設けたりしているところが少なくありません。規則に違反すると、減給・懲戒解雇といったペナルティが科せられる可能性があります。
このようなリスクを未然に回避するためにも、事前に本業の就業規則は確認しておきましょう。
まとめ
弁理士の副業事情について解説しました。
弁理士は専門的な知識・スキルを要する職業であることから、副業を始めた際にはさまざまな職種で活躍できるでしょう。
しかし就業規則・利益相反などの理解を深め、慎重に行動しなければなりません。

本記事で紹介した始め方・おすすめの副業・注意点などを参考にして、正しい知識のもとで副業を行ってください。
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