副業は業界・職種を比較的自由に選択できることから、資格職として活躍できる不動産鑑定士を選択しようと考えている人もいるでしょう。
しかしその一方で、「不動産鑑定士の副業は成り立つのか」「不動産鑑定士の副業をして収入が得られるのか」といった不安・疑問を抱いている人も少なくありません。

本記事では、不動産鑑定士の副業をした場合について網羅的に解説します。不動産鑑定士の仕事内容・向いている人・メリットなども紹介するので、参考にしてください。
▼ 副業について詳しく知りたい方はこちらの記事をチェック!
不動産鑑定士の職務内容。どんな仕事?
不動産鑑定士の主な職務内容は、以下の通りです。
主な仕事 | 内容 |
不動産の鑑定評価 | ・土地や建物、マンション、向上などあらゆる種類の不動産の適正価格や賃料を評価 ・相続や買収といったさまざまな目的で実施 ・評価するとともに価格の妥当性を分析して報告書を作成 |
コンサルティング業務 | ・不動産の有効活用のためのアドバイス ・不動産投資に関する助言 ・不動産に関する紛争解決のためのアドバイス など |
不動産鑑定士の主な業務内容は、上記のように2つに大別されます。しかしいずれも不動産の価値を正しく見極め、その価格が妥当であることを明確にするプロです。
不動産はひとつとして同じものがなく、依頼内容等に応じて臨機応変な対応もしなければなりません。専門的な知識・経験をもって、客観的で公正な不動産の鑑定を行う重要な役割を担っているのが不動産鑑定士です。
上記2つの業務内容について、さらに詳しく解説するので、あわせて参考にしてください。
国や自治体が行う地価の公示や調査、相続税や固定資産税の評価
不動産鑑定士の主体となる業務内容のひとつが、不動産の評価です。
具体的には国・自治体が公示する地価や固定資産税などの税金が適正価格かどうかを評価します。
相続税・固定資産税といった土地に関する税金は、国・自治体が公示する地価をもとに算出するケースが一般的です。しかしこの公示されている地価が、本来の適正価格とはかけ離れていることも少なくありません。
支払いを命じられた納税額が本当に正しい金額なのかどうかを明確にするために、不動産鑑定士が土地などの不動産の評価を行います。
この業務は時間と労力を必要とするため、本業で不動産鑑定士を行っている人のメイン業務といえるでしょう。
不動産取引を客観的に見て、その不動産にどれほどの価値があるのかをアドバイス
不動産鑑定士のもうひとつの仕事が、コンサルティング業務です。
不動産鑑定士のコンサルティング業務として、主に以下のようなことに対応します。
コンサルティング業務 | 内容 |
不動産の有効活用 | ・低利用地や遊休地の活用方法の提案 ・既存建造物のリノベーションなどの検討および評価 ・相続不動産の活用や処分に関するアドバイス |
不動産投資またはM&A | ・不動産投資の選定やリスク分析をはじめとする意思決定支援 ・買収や合併時の不動産資産の評価とアドバイス |
不動産マネジメント | ・不動産の維持管理や修繕計画のアドバイス ・不動産に関するリスクマネジメント |
不動産に関する紛争解決や交渉支援 | ・賃貸増減額交渉に関する意見書の作成 ・相続時の不動産分割に関する意見書の作成 ・不動産訴訟における鑑定評価書の作成および証言 |
コンサルティング業務は不動産の鑑定評価から不動産鑑定評価書の作成など、多岐にわたりますが、すべてを担当する必要はありません。
不動産鑑定士の仕事は多様!
不動産鑑定士の業務内容は大別すると2つに分けられますが、細分化すると多種多様です。
またデスクワークとフィールドワークも混在しているため、副業で不動産鑑定士を行う際はこのあたりのさじ加減も考慮したほうがよいでしょう。

例えば本業が多忙を極めていたりフィールドワークだったりする場合、副業もフィールドワークを選択すると心身への負担が大きくなりがちです。
不動産鑑定士のなかでもデスクワークがメインとなる意見書や鑑定書の作成のみに案件を限定すれば、本業とのバランスがとりやすくなるでしょう。
副業として不動産鑑定士で働くメリットとは?
副業として不動産鑑定士で働くメリットについて解説します。
自分に合った多様な働き方が可能
自分に合った多様な働き方が可能な点は、副業不動産鑑定士のメリットとしてあげられるでしょう。社会的ニーズの多様化・複雑化を背景に、業務が拡大しているからです。
不動産鑑定士の働き方は、以下のようにさまざまなスタイルがあります。
・企業・事務所に所属
・業務委託
・クラウドソーシング
・リモートワーク
副業で不動産鑑定士を行う場合は、クラウドソーシング・リモートワークあたりがおすすめです。クラウドソーシングなら経験が浅い場合でも案件が見つけやすく、リモートワークなら時間・勤務地に縛られる必要はありません。
このようにさまざまな働き方が選択できる点は、副業不動産鑑定士のメリットといえるでしょう。
競争率がとても低い
競争率が低い点も、不動産鑑定士を副業に選ぶメリットのひとつです。
不動産鑑定士は国家資格であるため、資格取得は容易ではありません。また専門性が高く、就労人口数が少ない点も特徴です。就労人口が少ないということは競争率が低いことを意味しており、副業・フリーランスで働く際には案件の取り合いになるリスクが低いといえます。
副業において競争率は低いに越したことがないので、副業で不動産鑑定士を行うことはメリットが多いといえるのです。
収入が安定している
収入が安定している点も、副業不動産鑑定士のメリットとしてあげられます。
すでに2つのメリットを紹介しましたが、それらがかすむほど不動産鑑定士は副業であっても得られる収入が高く、安定している点が特徴です。
不動産鑑定士の収入については次の見出しで解説するので、そちらを参考にしてください。
不動産鑑定士として働いた場合の収入は?
不動産鑑定士として働いた場合、どれくらいの収入が得られるのか気になる人もいるでしょう。
厚生労働省が運営する「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」によると、令和6年賃金構造基本統計調査の結果から算出された不動産鑑定士の年収は591万円です。国税庁が公開している令和5年分の給与所得者の平均給与は460万円であるため、年収が多いことがわかります。
また不動産鑑定士の1時間当たりの賃金は、一般労働者が2,967円であるのに対して短時間労働者は2,048円とさほど差がありません。
副業で不動産鑑定士を行う場合、賃金は短時間労働者を基準にして考えることが多いため、2,048円で考えるとよいでしょう。
例えば週2日3時間程度のコンサルティング業務を、副業として請け負ったとします。1カ月の収入は以下の通りです。
2,048円×3時間×8日(週2日)=49,152円
この金額はあくまで目安であり、時給がさらに高いケースもあるでしょう。
▼ こちらでは副業でいくらまで稼げるのか、いくらから確定申告が必要なのかを解説しております。

不動産鑑定士の将来性は?長く働ける?
不動産鑑定士の将来性は、以下のような理由から将来性が高く、長く働けると予想されます。
・就労人口は少なめ
・都市開発化・高齢化などを背景に不動産関連の問題が多発
地方・中心部に関係なく、さまざまな場所で都市開発化が進むなかで土地の買収・運用方法などが問題視されているのが現状です。また、少子高齢化によって土地の有効活用を相談したいと考える人も増えています。

このような問題・課題の解決・提案をする役目を担っているのが、不動産鑑定士です。これらの問題は今後も増加すると予想されるため、将来性はあるといえるでしょう。
不動産鑑定士として働くには?そもそも不動産鑑定士ってどうやってなるの?
不動産鑑定士になるための方法・手順について紹介します。
不動産鑑定士のなり方!まずは国家資格を取ろう!
不動産鑑定士になるためには、国家試験を受けて合格しなければなりません。
不動産鑑定士試験に学歴・年齢といった受験資格は設けられておらず、誰でも受験可能です。受験手数料は書面申請の場合は13,000円、電子申請の場合は12,800円なので、好きな方を選択して受験料を支払いましょう。
試験内容は5肢択一の短答式試験と記述の論文形式の2段階選抜で実施されます。始めに短答式試験が行われ、この試験に合格した人だけが論文式試験を受験できるスタイルです。短答式試験で不合格となった場合は、論文式試験の受験資格は与えられません。
また短答式試験は合格したけれど論文式試験で不合格となった場合、短答式試験を合格した年も含めて3年以内であれば、論文式試験のみの受験が可能です。
実務教習を受けよう!
不動産鑑定士の国家試験に合格したからといって、不動産鑑定士として活動できるわけではありません。この後、実務修習を受ける必要があります。「国家試験合格=不動産鑑定士」ではないので、注意してください。
実務修習の内容は以下の通りです。
実務修習 | 内容 |
講義 | ・eラーニングにて受講 ・不動産鑑定評価に関する実務についての基礎知識を習得 |
基本演習 | ・鑑定評価報告書の作成手順を修習 ・自ら作成することがゴール |
実地演習 | ・不動産評価に関する実務 ・鑑定評価報告書の作成を通じて評価方法を修得 ・指導鑑定士のいる不動産鑑定業者または指定大学機関にて履修 |
上記3つをこなした後、修了考査を受験して合格しなければなりません。合格できれば不動産鑑定士協会に実務家として登録できます。
不動産鑑定士としてのキャリアを形成しよう!
実務修習が完了すれば不動産鑑定士として協会に登録できるので、さまざまなキャリアパスの選択が可能です。
・不動産業界に転職
・金融業界に転職
・インフラ業界に転職
さらに経験を積めば、独立開業する道も切り開けるでしょう。
不動産鑑定士になるには多数の手順をこなさなければならず、容易ではありません。しかしキャリアプランは多岐にわたるので、自分に合ったキャリアを形成しながらじっくり選んでください。
不動産鑑定士に向いている人はどんな人?
多様な言葉を用いて人に説明・相談するのが得意な人
不動産鑑定士の業務は、クライアントへの鑑定評価の内容を分かりやすく説明することが非常に重要です。算出された評価額は依頼主にとって重大な意思決定に直結するため、その根拠となる数字を順序立てて、論理的に伝えなければなりません。
複雑な専門用語を避け、誰にでも理解できるよう言葉で説明する高い説明能力が求められます。
さらにクライアントの疑問や懸念に耳を傾け、対等な立場で相談に応じられるコミュニケーション能力が不可欠です。
顧客に対して新しい価値を提案したい人
不動産鑑定士の業務は、コンサルティングも重要な役割を担っています。クライアントの多様なニーズに応じて、不動産の有効活用を具体的に提案できる点が強みです。
例えば使われていない土地の最適な利用法や、保有する不動産の収益性を高める戦略など、専門知識を活かした多角的なアドバイスを提供します。
不動産に強い関心があり、自身の専門知識を通じて人々の役に立ちたいと考える人にとって、この仕事は非常に魅力的です。鑑定評価に加え、直接的なコンサルティングでクライアントの課題解決を支援できるため、大きなやりがいと充実感を得られるでしょう。
責任感が強い人
不動産鑑定士は、「土地の価格を決定できる」という極めて重要な権限を与えられています。この仕事には大きな社会的責任が伴い、もし不当な鑑定を行えば、最悪の場合、所属する協会から除名されるといった厳しい処分が下されることもあるでしょう。
独立、起業を考えている人
不動産鑑定士は、独立して「会社」を立ち上げる方が多い珍しい資格です。
弁護士の「弁護士法人」や公認会計士の「監査法人」といった特別な法人形態とは異なり、資格を基盤に一般的な「会社(営利社団法人)」を設立できます。これにより自らが社長として経営手腕を発揮し、コンサルティングなど業務の幅を広げながら、社会的に大きく活躍する道が開かれているといえるでしょう。
独立・起業を考えている人には向いている仕事としてあげられます。
不動産鑑定士に似た職業で副業できるものはある?「宅建士」について紹介!
不動産鑑定士は専門知識を有する仕事であるため、不動産鑑定士以外の職業であってもある程度近縁の職業はそのまま働けるケースがあります。
ここではそのような職業のなかでも宅建士にフォーカスを当てて紹介するので、参考にしてください。
宅建士(宅地建物取引士)ってどんな仕事?
「宅建」は「宅地建物取引士」の略称で、毎年20万人前後が受験する国内最大規模の国家資格です。
宅建試験に合格して登録実務講習を経て登録することで、宅建士として活動できるようになります。
主な業務は、不動産の売買や賃貸物件のあっせん時に、お客様へ「重要事項の説明」を行うことです。具体的には、以下のような情報をわかりやすく説明します。
・不動産の広さ
・ガスなどの供給施設
・契約キャンセルの取り決め
これらの説明は、宅建士だけに許された独占業務です。また、不動産の売買や賃貸借の仲介業務を行う不動産会社では、従業員5人につき1人以上の宅建士を設置することが義務付けられています。これらの理由から、宅建士は不動産業界において非常に需要の高い資格だといえるでしょう。
▼ こちらで「宅建士」の副業について詳しく解説しております。

なんで宅建士がおすすめなの?
「宅地建物取引士(宅建士)」と「不動産鑑定士」は、試験の学習内容に一定の関連性があります。そのため、動産鑑定士試験で培った知識は、宅建士試験の学習に役立てることが可能です。
まとめ
不動産鑑定士について、副業も含めて解説しました。
不動産鑑定士は、国家資格であるうえに就労人口が少ないという特徴があります。そのため、副業として活動した際にも案件の取り合いになるリスクは少ないといえるでしょう。

本記事で紹介した資格の取得方法なども参考にして、不動産鑑定士を目指してみてはいかがでしょうか。
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