副業で飲食店を経営する流れと注意点を徹底解説！

副業・兼業が解禁されたことで、本業とは違った職種・仕事にチャレンジする人が増えています。飲食店経営も、そのような副業のひとつです。

しかし「飲食店経営は大変そう」「儲かるのかどうか怪しい」「どのように挑戦すればよいのかわからない」といった不安・疑問を抱いている人も少なくありません。

副業で飲食店経営をする方法

副業で飲食店経営をした場合には、以下のような方法があります。

それぞれの経営方法について確認していきましょう。

オーナーとして経営に関わる

オーナー経営とは、飲食店の店舗を持ち、運営・メニューまですべてを一定に引き受ける方法です。飲食店経営を夢見る多くの人たちの、最終目標ともいえます。

オーナー経営するためには、事業計画を立てるところから始めなければなりません。飲食店のジャンル・ターゲット層・経営スタイルなどを徹底的に分析し、明確化します。

事業計画は資金調達時に必要になるため、時間をかけてじっくり作成に取り組みましょう。事業計画の内容が明確であり、将来性があると判断されれば金融機関・公的機関からの借入の際にも有利に働きます。

また飲食店のオーナー経営をする際には、食品衛生責任者の資格も取得しておかなければなりません。食品衛生法に基づいた衛生管理の責任を担う人に与えられる資格です。各都道府県の食品衛生協会が開催する講習に参加して修了すれば、取得できます。

フランチャイズに加盟する

フランチャイズに加盟することも、ひとつの方法です。フランチャイズとは親企業が加盟店に商号・商標の使用許可を与える事業形態のことで、副業で飲食店を経営する際には向いているといえるでしょう。

商号・商標にはすでに知名度・ブランド力があるので、ある程度の集客率が見込めます。また経営方法・スタッフ教育などのノウハウも用意されており、マニュアルを作成するといった手間がかかりません。

ゴーストレストランを経営する

ゴーストレストランとは、実店舗を持たない飲食店の形態のことです。

デリバリー・テイクアウトで料理を提供するため、客席を用意する必要がありません。最小限のスペースで経営できて、テーブル・椅子などが不要なので初期費用が抑えられます。開店資金を多く準備できない場合には、おすすめの経営方法といえるでしょう。

仮に失敗した場合でも費用面でのダメージが最小限に抑えられるので、始めて飲食店経営をする人にもおすすめです。

コロナ禍以降、デリバリー・テイクアウトの需要は拡大傾向にあります。しかし地域・立地場所によっては利用者の増加が期待できません。

ゴーストレストランを経営する際には、立地場所の選定とあわせて宣伝方法にも工夫が必要といえるでしょう。

キッチンカーを経営する

キッチンカーとは、食品を調理する設備・スペースを備えた移動販売車のことです。フードトラック・ケータリングカーと呼ばれることもあります。

調理器具・厨房設備を備えた車を用意すれば営業できるので、店舗経営に比べて初期費用がかかりません。また需要のある場所に自由に移動して出店できるので、ある程度の集客率も見込めるでしょう。

またキッチンカーは店舗を構えた飲食店とは異なり、複数のメニューを用意する必要がありません。例えばジュースなら、複数種類のジュースを用意しておけば食べ物のメニューを考案する必要はないのです。

副業で飲食店経営をするメリット

副業で飲食店を経営する主なメリットは以下の通りです。

それぞれのメリットについて解説するので、参考にしてください。

収入が増える

副業で飲食店を経営すれば、収入が増加します。本業とは別の収入源が増えることになるので、全体的な収入が増加するのは当然といえるでしょう。

収入が増えれば、経済的な安定が増すので安心感が得られます。また趣味・貯蓄・遊興費に回せるので、生活・将来への潤いももたらされるでしょう。

さらに本業での収入が減少した際には、副業の飲食店経営でその分の補てんが可能です。近年、さまざまな理由から本業に頼らない働き方が注目されています。いつ、どのような理由で本業の職を失うかわかりません。その場合、次の仕事が見つかるまでのつなぎとなってくれるでしょう。副業の飲食店経営を本業にする道もあります。

リーダーシップが取れる

リーダーシップが取れる点も、副業で飲食店経営をするメリットのひとつといえるでしょう。飲食店経営は、一人で運営するには困難な場合があるからです。

例えばオーナー経営をする場合、厨房・フロアなどをすべて一人で担当することは困難でしょう。オーナー経営での主な仕事内容として、以下のようなものがあげられます。

一度に2〜3人程度しか入れないような小さな店舗を経営する際には、これだけの作業を一人でこなすことは可能かもしれません。しかし安定した副業収入を期待する場合は、それなりの規模の店舗が必要です。すると、対応しなければならない顧客の人数が増加するので、すべてを一人でこなすことは難しいといえます。

根本的な解決策として従業員の雇用があげられますが、スケジュール管理・従業員のトレーニングといったマネジメントスキルが必要不可欠です。また、従業員が気持ちよく働けるように職場環境にも気を配らなければなりません。

このように、飲食店経営を通じてリーダーシップが取れるようになります。リーダーシップ力は本業でも役に立つスキルなので、重宝するでしょう。

さらなるスキルアップができる

更なるスキルアップが期待できる点も、飲食店経営のメリットとしてあげられます。飲食店経営を通じて獲得できるスキルは、主に以下の通りです。

これらは飲食店業界だけにとどまらず、さまざまな分野・職種で重宝されます。これらすべてのスキルを獲得し、向上させれば本業を含むあらゆる業界で活躍できるでしょう。

更なるスキルアップは、本業での地位・収入面でのアップにも役立ちます。マネジメント能力・コミュニケーション能力が向上すれば、本業での同僚・顧客に対する対応などもアップして昇給するチャンスが拡大するかもしれません。

このようにさらなるスキルアップは新たなチャンスを生み出すきっかけになるため、メリットとしてあげられます。

副業で飲食店経営をするデメリット

副業で飲食店を経営する際、得られるのはメリットだけではありません。

デメリットを紹介するので、前述で紹介したメリットとあわせて参考にしてください。

プライベートとの両立が難しい

副業で飲食店経営をする際のデメリットとして、プライベートとの両立の難しさがあげられます。プライベートの時間を削って副業時間を確保する必要があるからです。

副業で飲食店経営をする場合、営業時間はもちろん、メニューの考案・開店準備・閉店後の後片付けなどさまざまな時間を確保しなければなりません。副業として選択できる業種・職種は多種多様ですが、これらのなかでも飲食店経営は多くの時間を必要とする仕事といえるでしょう。

本業あっての副業であるため、本業の時間を削って副業時間を確保することはおすすめしません。すると、必然的にプライベートの時間が削られてしまいます。

家族・友人知人との交流時間が減少してしまうと、家族関係・友人関係に亀裂が生じるかもしれません。副業に集中するあまり、友人知人が減少したというケースは少なくないのです。

失敗のリスクがある

失敗するリスクがある点も、副業で飲食店経営する際のデメリットです。

どのようなビジネスでも、失敗のリスクがあります。それは飲食業界も例外ではなく、副業で飲食店経営をしたからといって失敗するリスクが減少するわけではありません。

しかし台風・土砂崩れなどの影響で店舗が流されてしまっては、飲食店の経営ができません。またコロナ禍のような例もあります。これらは避けられないリスクであり、どのような状況で失敗するかはだれも予想できないのです。

また飲食業界は、本業として事業展開している人が多い職種でもあります。そのような専業で行っている人と競争しなければならず、失敗するリスクが高いことは想像できるでしょう。

本業の時間が減少する可能性がある

本業に悪影響を及ぼす可能性がある点も、副業で飲食店経営をする際のデメリットです。

例えばオーナー経営・フランチャイズ加盟で飲食店経営をした場合、営業して収益をあげなければ赤字になってしまいます。いずれも店舗をはじめとする固定経費がかかるため、最低でもその分は稼がなければなりません。収益を上げようとすると必然的に副業の稼働時間が多くなり、本業がおろそかになってしまう可能性が高まります。

本業あっての副業であるため、このような事態は極力避けたほうがよいでしょう。

副業で飲食店経営をする場合、キッチンカーを選択する人が増えています。キッチンカーなら店舗経営と比較して固定経費が安く抑えられます。また、準備にも大幅な時間をかける必要がありません。土日のみのような開店曜日を限定した運営も可能です。

副業で飲食店経営をするための前準備

副業で飲食店経営をするための準備について紹介します。

ビジネスプランの策定

飲食店経営を始める前に、ビジネスプランの策定をしましょう。

主な内容として、以下のような点に注目して事業計画書を作成するとよいでしょう。

項目	概要
動機	・飲食店経営をするに至った経緯 ・始めようと思ったきっかけ
コンセプト	・顧客のターゲット層 ・飲食店の形態 ・提供する料理のジャンル など
店舗情報	・立地 ・営業する日時 ・取引先 など
資金計画	・開業資金 ・運転資金 ・資金調達方法 ・返済計画 など
損益計画	・商品やサービスの提供に対して見込まれる売上高の予測 ・固定費や売上原価などの費用予測 ・予測される売上高と費用を差し引いた利益予測

これらは、資金調達をする際に求められる情報でもあります。上記で紹介した項目があいまいでは、金融機関などで融資を依頼しても審査で落とされるかもしれません。

物件選び

物件選びも重要な準備のひとつです。店舗を構える際はもちろん、キッチンカーで経営する際にも集客率の観点から事前に選んでおいたほうがよいでしょう。

物件を選ぶ際の主なポイントとして、以下のようなものがあげられます。

上記のなかでも「人通りの多さ」「競合店の有無」は、開店後の集客率に大きく影響する重要な要素です。人通りは多いほうが望ましく、競合店がないほうがより多くの集客が期待できます。

また周辺の見た目・雰囲気にそぐわないコンセプトの飲食店の場合、仮に人通りが多くて競合店がない場所であっても継続的な収入が難しいかもしれません。最初は目新しさで利用する人が増えるだけで、そのあとが続かないというケースも少なくないのです。

資格取得

飲食店を経営する際には、食品衛生責任者を取得しておかなければなりません。

食品衛生責任者とは施設の衛生管理を行い、食中毒などの事故を防ぐ役割を担う人に与えられる資格です。調理機能を持つ設備・施設を運営する際には、取得が義務付けられています。

この資格の取得条件は、各自治体の食品衛生協会が開催する講習会を受講することです。講習会の受講料・開催日時・場所は自治体によって異なるため、一概にはいえません。飲食店を経営する自治体のホームページなどで、確認してください。

資金調達

資金調達も飲食店経営をする際の重要な準備といえます。個人ですべての資金をまかなうことは難しいからです。

どのようなスタイルの飲食店を経営するのかにもよりますが、開業資金のほかに運転資金も必要であることから、資金調達は事前に行っておいたほうがよいでしょう。

金融機関で融資・借入を受ける方法もありますが、国・自治体の補助金などの利用もおすすめです。

届出申請

飲食店経営をする際には、営業許可証も必要です。キッチンカーで飲食店を経営する際にも申請をしなければならないので忘れないでください。

設備検査では衛生面を中心に、食品衛生法に違反していないかをチェックします。

飲食店経営をする際にかかるコスト

飲食店経営をする際には、どれくらいコストがかかるのか気になるところです。具体的な金額については立地条件・購入方法などによって異なるため、一概にはいえません。項目のみを紹介するので、参考にしてください。

キッチンカー運営をする場合、物件取得費はキッチンカー購入代として換算するとよいでしょう。

副業で飲食店経営をする際の注意点

副業で飲食店をする際の注意点を確認していきましょう。

ビジョンを明確にする

ビジョンを明確にしておかなければ、失敗するリスクが高まるので注意してください。具体的な項目として、以下のようなものがあげられます。

市場のニーズなども含めて上記3つのビジョンを明確にしましょう。

撤退基準をあらかじめ決めておく

撤退基準をあらかじめ決めておくことも重要です。撤退基準を決めておかなければ、負債がかさんでしまう可能性があるからです。

例えば、1カ月の売上が10万円を下回る月が連続で3カ月続いたら撤退と決めておいたとしましょう。実際に月間売上高が10万円以下の状態が3カ月続いて撤退をした場合、抱える負債額は少なく抑えられます。

反対にこのような撤退基準を決めておかなかった場合、売上が赤字の月が半年間・1年と続けば負債がかさんでしまうでしょう。撤退したくても撤退できない状態に追い込まれないとも限りません。

飲食業界は競争が激しい

飲食業界は競争が激しい点にも注意が必要です。

消費者にとって選択肢が豊富であり、好みに応じて選ぶことが可能であることから、飲食業界はもともと競争率が激しいという特徴があります。

その後デリバリーサービス・口コミサイトなどの普及に伴い、消費者は複数の飲食店を比較したうえで利用できるようになりました。この背景が、さらなる競争率の激しさに拍車をかける要因になっています。

飲食店経営で得られる意外なスキル

飲食店経営で得られるスキルについて紹介するので、参考にしてください。

人間観察力とコミュニケーション能力

飲食店経営をすることで、人間観察力とコミュニケーション能力が培われます。

仕事を通じて多種多様な背景を持つ顧客と触れ合う機会が多いため、人間観察およびコミュニケーション能力が自然と培われていきます。

臨機応変なマーケティング能力

臨機応変なマーケティング能力も、飲食店で得られるスキルといえるでしょう。

例えば顧客が飲食店を訪れる際、必ずしも晴天とは限りません。雨が降っているときもあり、その際には入り口で傘を預けるなどの対応が求められます。

まとめ

副業で飲食店経営をする流れ・注意点などを網羅的に解説しました。

飲食店経営にはさまざまなスタイルがあり、選択する経営方法によっては本業との両立が可能です。比較的挑戦しやすいスタイルもあるので、チャレンジしてみたいと思う人もいるでしょう。

しかしその一方で飲食業界は、数ある業界のなかでも競争率が激しいという特徴があります。そのため、副業で飲食店経営に挑戦しても早々に撤退を余儀なくされるケースも少なくありません。

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