会社・企業などで給与を受け取っている人に関係がある年末調整ですが、サラリーマンのような組織に所属している人のみが対象と思っている人も多いようです。
しかし給与を受け取っている場合、雇用形態がアルバイトやパートでも年末調整の手続きが必要な場合があります。
本記事では年末調整とはどういう手続きなのかを解説するとともに、必要なケースや手続きの流れ、年末調整をしなかった場合のデメリットなども紹介するので参考にしてください。
年末調整とは?
毎月支払われる給与から差し引いた所得税の総額と本来の納税額の差額を調整する手続きのことです。
給与所得を得ている人のなかには、毎月の給料から支給額に10.21%をかけた金額が差し引かれています。これは所得税の前払い手続きであり、本来支払うべき金額は対象年度の最終支払給与が確定しなければわかりません。
源泉徴収した金額のほうが多い場合は会社・企業から還付され、少ない場合は差額分を次の給与支払時に徴収されます。
これら一連の手続きが年末調整です。
年末調整とは?確定申告との違いや控除の種類、手続きの流れなどを詳しく説明します!
年収103万円以下なら基本的に年末調整は不要
年末調整の手続きには金額の上限が設けられており、年収が103万円以下の場合は原則として必要ありません。
その理由は適用される控除の総額が103万円だからです。
この2つの控除額を足した総額は103万円であることから、年収が103万円以下の場合は課税対処額が0円になるので年末調整は必要ありません。
年収103万円以下でも年末調整または確定申告が必要なケースについては後述するので、そちらもあわせて参考にしてください。
年収103万円でも年末調整が必要なケース
年末調整の可否の上限金額は年収103万円ですが、この金額を超えていなくても年末調整が必要なケースがあります。
- 扶養控除等(異動)申告書を提出している場合
- 月給が88,000円を超えている場合
上記それぞれのケースについてみていきましょう。
扶養控除等(異動)申告書を提出している場合
勤務する会社・企業などに「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している場合は、年収が103万円を超えていなくても年末調整をしなければなりません。
勤め先に配偶者・扶養家族の有無を申告するためのものであり、この申告書を提出した人は年末調整を行うことと所得税法で定められています。
一般的にこの申告書は入社時や仕事がスタートする前に提出を求められますが、これはその勤務先での年末調整手続きに同意することを示す意思表示でもあるため、1年間の収入が103万円以下であっても年末調整が行われるのです。
月の給与が88,000円を超えている場合
月給が88,000円を超えている場合も、年収が103万円以下であっても年末調整の対象です。
所得税は控除等の関係上、年収が103万円を超えなければ納税義務は発生しませんが1年間の最終的な年収は12月の給与計算が行われなければわからず、確定してから所得税の手続きをしていたのでは申告・納付期限に間に合いません。
そこで会社・企業では社会保険料などを差し引いた金額が88,000円を超えると、所得税を源泉徴収しています。
最終的な1年間の収入が103万円以下だった場合、所得税の納税義務は発生しないので源泉徴収されていた所得税は年末調整後に還付金として戻されるので、ボーダーラインを超えていなくても年末調整対象者になるのです。
アルバイトが年末調整するの場合の特殊なケース
アルバイト勤務の場合、年末調整の対象外と思っている人は多いかもしれません。
しかし、以下のような特殊なケースに該当する場合は対象になります。
- 年末に短期アルバイトとして在籍
- アルバイトの掛け持ち
それぞれの特殊ケースについて詳しくみていきましょう。
短期バイトの年末調整は源泉徴収を確認
短期アルバイトを繰り返している人は12月時点でアルバイトとして勤務している場合に限り、以前の勤め先の源泉徴収票を提出すれば年末調整をしてもらえます。
その後5月〜9月までアパレル関係の販売員をアルバイトとしてこなし、10月からは近所のスーパーでレジ係として12月現在も勤務中です。
以前勤めていた飲食店とアパレル関係の勤務先での給与支払時に源泉徴収をされていた場合、2つの勤務先から源泉徴収票を入手して12月時点で勤務中のスーパーに提出をすれば年末調整をしてもらえる可能性があります。
アルバイトの掛け持ちをしている場合
アルバイトの掛け持ちをしている場合は、主たる収入源の勤務先にてまとめて年末調整をしてもらってください。
年末調整は1個人につき1社でしか手続きができないため、複数のアルバイトを掛け持ちしている場合は基本的には収入が一番多い勤務先でまとめて手続きしてもらうことになります。
しかし源泉徴収票は所得額の確定手続きを終えた後に発行されるため、勤務先によっては1月になってから発行してもらえるところもあります。
一方の年末調整は11月〜12月頃に行われることが一般的であり、主たる勤務先以外の源泉徴収票の発行が間に合わないこともあるでしょう。
その場合は源泉徴収票の発行がどれくらいになるのか確認したうえで、主たる勤務先に相談してください。間に合わないといわれた場合は、主たる勤務先にも源泉徴収を発行してもらって確定申告を行いましょう。
年末調整の必要書類と流れ
年末調整をしてもらう際、どのような書類が必要なのでしょう。
年末調整のスケジュールとあわせて解説します。
年末調整の必要書類
年末調整の手続きにあたって、従業員が会社に提出を求められる書類は以下の通りです。
書類名 | 内容 |
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書 | ・勤務先から会社名や従業員名が印刷されたものが配布される ・氏名や住所などすでに明記されている内容に誤りがないかかくにん ・必要事項を記入 |
給与所得者の基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 | ・勤務先から会社名や従業員名などが印刷されたものが配布される ・氏名や住所などに誤りがないか確認 ・必要に応じて記入 |
給与所得者の保険料控除申請書 | ・基本的には勤務先から会社名や従業員名が印刷されたものが配布される ・印刷済みの内容に間違いがないか確認 ・必要に応じて項目に内容を記入 |
源泉徴収票 | ・途中入社の場合 ・掛け持ちで給与所得の仕事をしている場合 |
住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除申告書) | ・2年目以降で適用する場合 ・初年度は確定申告をしなければならないので提出は不要 |
なお、上記以外にも適用させる控除制度がある場合はそれに付随した添付書類も合わせて提出しなければなりません。
年末調整の流れ
年末調整は一般的に以下のようなスケジュールで行われます。
主な開始月 | 対応内容 |
10月中旬~11月上旬
|
申告書を会社から従業員に配布 |
11月上旬~12月上旬
|
記入済み申告書と源泉徴収票などの添付書類の回収 |
12月上旬~下旬
|
・従業員の源泉徴収額と確定所得税額の調整 ・差額分の徴収または還付 ・源泉徴収票の作成(1月上旬ごろまで) |
1月上旬~下旬
|
・1月10日に年末調整で確定させた源泉徴収税額を納付 ・1月31日までに法定調書を作成して税務署や市町村に提出 |
納付期日が遅れると延滞税などのペナルティが科せられるため、従業員の提出期限は厳しく決められていることが一般的です。
提出期限を過ぎると多くの会社・企業では年末調整をしてもらえない可能性があるので、決められた期限までに申告書の記入と添付書類の入手を行って提出しましょう。
年末調整のやり方まとめ!対象者や提出書類、忘れた場合の対処法まで徹底解説!
確定申告・年末調整をしなかった場合のデメリット
基本的には年収が103万円を超えなければ、年末調整も確定申告も必要ありません。
しかしどちらも行わない場合には、以下のようなデメリットが考えられます。
- 源泉徴収あり
- 所得控除要件に該当
それぞれのデメリットについて詳しくみていきましょう。
年収103万円以下で源泉徴収があった場合
年収が103万円を超えなければ所得税の納税義務は発生しないという観点から、確定申告も年末調整も必要ありません。
しかし勤務先から毎月支払われる給料から所得税が源泉徴収されている場合は、年末調整または確定申告をしたほうが良いでしょう。
年収ボーダーを超えなければ納税義務が発生しないということは、言い換えるならすでに徴収されている所得税は払い過ぎているといえるからです。
「所得税を払い過ぎていても構わない」と思う場合はどちらの手続きをしなくても問題ありませんが、そのように考える人は少ないでしょう。
年収ボーダーを超えていなくても、給料で源泉徴収されている場合は年末調整か確定申告のいずれかを行ってください。
所得控除の要件に該当する場合
納税者本人の生活状況などを考慮して年間総所得額から一定の金額を差し引く制度です。
所得控除のなかには確定申告でしか適用されないものもあり、そのような制度を利用する際は所属する企業・会社などで年末調整を受けても自分で確定申告をしなければなりません。
確定申告のみで受けられる所得控除は以下の通りです。
所得控除の種類 | 内容 |
医療費控除 | ・納税者本人または生計を同一にする親族の年間支払済医療費に適用 ・最大上限200万円まで |
寄付金控除 | ・国や地方団体などに行った特定寄附金に適用 ・ふるさと納税も対象 |
雑損控除 | ・災害や盗難や横領などによって資産損害を受けた際に適用 ・納税者本人または所得金額40万円以下の親族が対象 |
上記3つの控除制度を利用する際は、年末調整後に源泉徴収票を受け取って確定申告を行ってください。
株で得た収益は年末調整が必要?
本業とは別に株式の取引を副業で行っている人もいるでしょう。
その際に発生した収益は、会社の年末調整で行ってもらえるのか気になる人もいるかもしれません。
結論からいうと株取引で得た収益は、勤務先に証明書などを提出しても年末調整時に合わせて手続きしてもらえないので注意してください。
副業で株取引を行い、年間収益や損失があった場合は会社の年末調整の手続き終了後、源泉徴収票を入手して確定申告しなければなりません。
確定申告の方法については、次の項目で解説するのであわせて参考にしてください。
株で得た収益は確定申告で対処
株取引で確定申告が必要なケースは以下の通りです。
- 年間株式投資で利益あり
- 「一般口座」「源泉徴収なし特定口座」利用
投資収益の場合は「譲渡益課税」、配当金の場合は「配当課税」がそれぞれ加算されますが、どちらも税率は20.315%をかけて算出します。
税率の中身と税金の計算式は以下の通りです。
税率の内訳 | 所得税(15%)+復興特別所得税(0.315%)+住民税(5%) |
譲渡益課税 | 譲渡益=株式の売却額-(株取得時の費用+売却手数料) 譲渡益課税額=譲渡益×税率(20.315%) |
配当課税 | 配当課税額=配当金×税率(20.315%) |
原則として株式投資で一定額の利益を得た場合には確定申告が必要ですが、損失が出た際にも上場株式では「損益通算」「繰越控除」が可能なのでしたほうが良いでしょう。
ほかの株取引で収益が出た際に差し引くことで全体的な株取引の収益が減少し、税金がかからなくなったり減ったりします。
適用することで、翌年から3年間譲渡・配当所得から控除が可能です。
これらは確定申告をしておかなければ適用できないので、損失ができた場合も確定申告をしておいたほうが良いでしょう。
まとめ
本記事で紹介した年末調整に関するポイントは以下の通りです。
- 年収103万円以下なら基本的には不要
- 年収103万円以下でも年末調整が必要な場合あり
- 年末調整をしない場合、還付金や所得控除などのデメリットあり
- 株で得た収益は年末調整対象外
年末調整のボーダーラインは103万円ですが、超えなければ不要というわけではありません。条件や適用させたい控除によっては必要またはしておいたほうが良い場合もあります。
勤務先で年末調整の申告書が配布されたら、期限までに必要事項を記入して忘れず提出しましょう。
副業探しにおすすめのSOKKIN MATCHとは
SOKKIN MATCHは企業の人材課題に対して厳選したマーケター/クリエイターをマッチングし、企業の事業課題を解決するサービスです。
SOKKIN MATCHの運営事務局は、元大手WEB代理店のプロマーケターが運営しているため厳選されたスキル診断によりミスマッチなく最適な案件へのアサインができます。
また、定期的なフィードバック面談や皆様の案件対応へのサポートにより安定したプロジェクト進行が見込め、皆様の持続的な収益拡大へのサポートが可能となります。
そして、スキル診断の結果・稼働条件・企業側からの評価などによって、SOKKIN MATCH事務局より企業側へ報酬単価アップの交渉を行います。
報酬単価アップの交渉を行うことで持続的に案件に取り組んでいただき、皆様のモチベーションアップと市場価値最大化に貢献して参ります。
こちらのWEBサイトでは、案件のご紹介や複業術など随時配信してまいりますので、無料でプロフィール・スキルシートへのご登録してみてはいかがでしょうか。