個人事業主が法人化するべきタイミングは?法人化のメリット・デメリットもご紹介!

フリーランス・個人事業主

事業が軌道に乗ってきて「そろそろ法人化した方が良いのでは?」と考えている個人事業主さんもいるのではないでしょうか。しかし、法人化するのに適切なタイミングがわからず悩んでいる方も多いと思います。

実際、節税面などのメリットで、個人事業主から法人になるのにおすすめなタイミングは存在します。

そこで今回の記事では、個人事業主が法人化するのに適切なタイミングをご紹介します。法人化のメリット・デメリットについてもご紹介するので、本当に法人化するべきか迷っている個人事業主の方はぜひ最後までご覧ください。

【今回の記事でわかること】
・個人事業主と法人の違い
・個人事業主が法人化するタイミング
・法人化するメリット
・法人化するデメリット

「そもそも個人事業主とは?」「会社員で副業をしているけど個人事業主として開業をする必要があるの?」という疑問を抱えている方は以下の関連記事をご一読ください。
【関連記事】個人事業主とは?副業をしている会社員は個人事業主としての開業が必要?

個人事業主と法人の違い

そもそも個人事業主と法人の違いはなんでしょうか?違いがよくわからない方向けに以下に詳しくご紹介します。

個人事業主と法人の違いは?

個人事業主とは、自ら独立した事業を行う個人のことを指します。

事業とは、反復・継続・独立という3つの要素を全て満たして行なっている仕事のことを言います。個人業主の大きな特徴は「独立」しているということです。独立とは、どこの組織にも所属していないことを指します。サラリーマンは会社という組織に属しているので、事業を行なっているとは言えません。また、継続して行う必要があるので、サラリーマンの副業も一時的である場合は事業にはなりません。

法人とは、法律により自然人と同じ権利義務を認められた組織のことです。株式会社・合同会社・有限会社・合資会社などのさまざまな種類があります。

個人事業主に比べて、法人の方が信用が得やすいなどのメリットがあります。また、設立時の違いとして個人事業は税務省に「開業届」を掲出すればOKなのに対し、法人は登記などの作業や設立費用が必要です。

【法人と企業・会社の違いは?】
企業とは「経済活動を行う経済主体のこと」を指します。一方で、会社とは「会社法に基づいて設計された法人のこと」を指します。法人は企業という括りの中で、権利義務を認められた組織であり、企業は法人よりも大きな枠組みになります。よってこの3つの間には、「企業>法人>会社」という関係が成り立ちます。

個人事業主が法人化するタイミング

ここでは、個人事業主が法人化するべきタイミングについてご紹介します。個人事業主から法人化する適切なタイミングは下記の通りです。

①インボイス制度導入前(2023年9月30日まで)

そもそもインボイス制度とは

インボイス(適格請求書)とは、売り手が買い手に対して、税率と税額を正確に伝えるために、従来の区分記載請求書に必要事項を追記した請求書のことです。

インボイス制度が導入されることによって、売り手側は買い手である取引相手から求められた時はインボイスを交付しなければなりません。また、買い手は仕入れ税額控除の適用を受けるために、売り手から交付を受けたインボイスの保存が必要になります。インボイスのない取引では、消費税の還付(本来の税額より多くの税金を徴収した場合などに、納税者に税金を返すことができる制度)ができません。

法人化すると最長2年間の消費税免税

インボイス制度導入に伴う個人事業主への支援策として、法人化した場合最長2年間の消費税免税を受けることができます。

免税期間は、個人事業主が消費税の申告に対応するための準備期間として設けられているものです。ただ、免税を受けるには条件があるため、国税庁のHPなどで最新情報を確認するのをおすすめします。

②所得が800〜900万円になった時

個人事業主が収めなければならない所得税は、その額に応じて税率が増える累進課税制度を採用しているため、所得が多くなればなるほど税率が高くなります。例えば、所得が695万円~900万円未満の場合、税率は23%ですが、所得が900万円を超えると税率は33%に上がります。10%の差は結構大きいですよね。

一方で、法人が収めなければならない法人税は、所得に応じた税率が2通りに分けられるのみです。(利益が800万円以下の場合は15%、800万円を超える部分は23.20%)。そのため、所得が800万円を超えたあたりで、法人化をすると良いと言われています。

個人事業主 法人
税金の種類 所得税 法人税
制度 累進課税制度 比例税率
税率 ・195万円以下:5%
・195万円超330万円以下:10%
・330万円超695万円以下:20%
・695万円超900万円以下:23%
・900万円超1,800万円以下:33%
・1,800万円超4,000万円以下:40%
・4,000万円超:45%所得額
・800万円以下:15%
・800万円超:23.20%

③売上が1000万円を超えた時

事業所得としての売上が、1000万円を超えた場合は法人化するのがおすすめです。

通常、個人事業主の売上が1000万円を超えると、その年の2年後から消費税課税対象者となり消費税を納めなければなりません。しかし、1000万円を超えたその翌年に法人化することで、最大2年間は消費税の納税が免除されます。法人化することによって、免税期間を延ばすことができ、節税効果が見込めます。

ただし、法人化しても売上が1000万円を超えた2年後に課税対象者となるため、免除期間が終わったら消費税を納めなければなりません。

法人化するメリット

法人化には様々なメリットがあるので、確認しておきましょう。

メリット①:社会的信用度が高くなる
メリット②:赤字の場合でも10年間繰越ができる
メリット③:経費として認められるものが増える

メリット①:社会的信用度が高くなる

法人は個人事業主と違い、設立の際に定款作成登記といった手続きが必要です。登記事項は公に公開されるため、社会的な信用が個人事業主よりも高くなります。

社会的な信用が高いと、補助金や助成金の申請がしやすくなったり、金融機関からの借入審査に通りやすくなったりします。

法人化することによって、事業の拡大にもつながるでしょう。

メリット②:赤字の場合でも10年間繰越ができる

法人の場合、赤字の繰越控除期間が10年間です。大きな赤字が発生してしまっても、翌年以降の黒字で相殺することで、かえって黒字から発生する所得税や住民税の額を引き下げることができます。

ちなみに、個人事業主も赤字の繰越を行なっていますが、青色申告をおこなっている個人事業主の繰越期間は3年間です。

メリット③:経費として認められるものが増える

法人化すると、経費として認められるものが増えます。代表的なものとして、「出張手当」や「慶弔金」などです。

個人事業主の場合は認められなかった支出が経費として認められることによって、節税効果が期待できます。

法人化するデメリット

一方で法人化することで生じるデメリットもいくつかあります。代表的なものは以下の通りです。

デメリット①:設立時に費用がかかる
デメリット②:赤字でも税金の支払い義務がある
デメリット③:社会保険に加入する必要がある

デメリット①:設立時に費用がかかる

設立のためには定款認証手数料(約3万円)、登記の際に登録免許税(約15万円)などの費用がかかります。また、手続きを専門家等に依頼する際にはさらに委託料などが発生します。さらに、当然ながら資本金も必要となります。

これらの費用を上まるメリットが法人化にある場合に、法人化を検討するのがよさそうですね。

デメリット②:赤字でも税金の支払い義務がある

個人事業主は、事業が赤字になった際に、所得税や住民税を払う必要がありません。

しかし、法人化すると赤字の場合でも「法人住民税」を支払う必要があります。法人住民税は、事業規模によって収める税額が決定される均等割法人税割で構成されています。

デメリット③:社会保険に加入する必要がある

法人化した場合、社会保険に必ず加入しなければなりません。健康保険料と厚生年金保険料は、会社が従業員の保険料の半分を支払う必要があるため、金銭面での負担が増します。

ただし、社会保険に加入することで従業員の福利厚生が良くなるなどのメリットもあります。

【関連記事】フリーランスが加入する社会保険とは?保険の仕組みから徹底解説!

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回の記事では、個人事業主が法人化するのに適切なタイミングや、法人化のメリット・デメリットなどをご紹介しました。

法人化にはデメリットもありますが、事業規模などによってそれを上回るメリットを享受できる場合があります。本記事を参考にして、法人化を検討してみてはいかがでしょうか。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/坂口 綾太
SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括:坂口綾太 株式会社SOKKIN 執行役員

2019年に株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、歴代最速でシニアアカウントプランナーに昇格。人材・不動産業界マーケを経験し、株式会社サイバーエージェントTOP3顧客になる不動産企業様にて責任者を担当していた実績を持つ。2024年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括に従事。

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