法人税の納税は企業にとって避けて通ることのできない義務ですが、事情により期限までに支払いができないこともあるでしょう。
このような場合は延滞税が課税されますので、納税額がどの程度増えるのか、帳簿の仕訳はどうすればよいのかなど、様々な疑問点が出てくると思います。
そこでこの記事では、延滞税とはどのような税金なのか説明しながら、税額の計算方法や仕訳方法などを詳しく解説します。

法人税を延滞してしまったときの対処方法も解説しますので、ぜひ参考にしてください。
延滞税がかかる場合
まずは延滞税とはどのような税金なのか、どのような場合にかかる税金なのかを確認しておきましょう。
そもそも延滞税、延滞金とは?
まず、そもそも延滞税や延滞金とはどのようなものなのか整理しておきましょう。
延滞税や延滞金は、どちらも税金を期限までに納税しなかった場合に課税されます。
延滞税
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税務署に納める国税を延滞した場合に課税される |
延滞金
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地方自治体に納める地方税を延滞した場合に課税される |
よく似た2つの言葉ですが、上記のように延滞した税金の種類と納税先が異なります。
延滞税
延滞税は国に納める国税を延滞した場合に課税される税金です。法人税は国税なので、法人税を延滞した場合は延滞税が課税されます。
そのほかに、所得税や消費税、酒税、たばこ税、贈与税、相続税などを期限までに納税しなかった場合も延滞税が課税されます。
法人税の延滞税の税率は原則として年7.3%〜年14.6%です。
延滞税の実際の計算方法については、この記事の後ほどで解説しますので参考にしてください。
延滞金
延滞金は地方税を納期限までに納めなかったときに課される税金です。
延滞金の率は延滞金率と呼ばれ、延滞税の税率と同じ年14.6%です。
利子税
利子税は、国税を期限内に納税しなかった場合に課税される税金です。
延滞税との違いは、利子税は申告の期限を延長する手続きを行ったときに課されるという点です。
利子税の税率は年7.3%で、延滞税と比較すると税率が低くなっています。
こういった延滞が起こる原因は?
法人税の延滞は、法定納期限を経過した後に法人税を納税することから起こります。
本来納税しなければならない期限を過ぎてしまう原因は複数ありますが、主に以下の3つが考えられます。
・期限後申告書や修正申告書により申告を行い、納税額がある場合
・更正または決定の処分を受け、納税額がある場合
まず考えられるのが、通常の申告で確定した法人税を期限までに納税できないケースです。たとえば、取引先からの入金が遅れるなどで資金繰りが厳しく、支払いができない状況が考えられます。

法人税の申告期限は事業年度終了日の翌日から2か月以内です。納税は中間申告分と確定申告分の年2回がありますが、申告期限日と同じ日が納期限となります。この納期限までに完納していない場合は延滞となり、延滞税が課税されます。
原因の2つめは、期限後に遅れて申告したり、内容を修正した場合です。遅れて申告を行った場合でも納期限が延びることはありませんので、本来の納期限から起算した延滞税が発生します。
3つめは更正または決定の処分です。これは税務署の調査などを受けて納付すべき税額が発生したり税額が増えた場合です。この場合も本来の納期限から起算した延滞税が課税されます。
▼ 法人税について詳しく知りたい方はこちら。

延滞税の勘定科目とは?
次に、延滞税の勘定科目について仕訳の例とともに解説します。
勘定科目とは?
勘定科目とは、取引やお金の流れを帳簿上で分類するための項目のことです。何のための支払いを行ったのか、なぜ入金が発生したのかなどがひと目で分かるようにするための見出しのようなものです。
費用の支払いに関する勘定科目としては、たとえば仕入費、通信費、消耗品費、広告宣伝費、交際費など様々な種類があります。税金の支払いについては「租税公課」という勘定科目があります。
なお、法人税や国税を延滞したときの延滞税や、地方税を延滞したときの延滞金は損金算入ができないルールになっています。
法人税の延滞金の勘定科目について紹介!
延滞税は税務署に納税する税金なので「租税公課」の勘定科目を使って仕訳できます。
たとえば、5,000円の延滞税を現金で納税した場合は以下のようになります。
借方
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貸方
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摘要
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租税公課 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 | 延滞税 |
摘要欄を適切に記入することで、延滞税の納税であることが分かるようにしましょう。
延滞税の計算方法を紹介!
ここからは、延滞税の実際の計算方法と、延滞税が免除されるケースについてそれぞれ解説します。
法人税の延滞税の計算方法
延滞税の基本の計算式は以下のとおりです。
延滞税の税率には以下の2種類があります。
延滞税の対象期間
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税率
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①納期限の翌日から2ヶ月を経過する日まで | 年7.3% |
②納期限の翌日から2ヶ月を経過してから完納まで | 年14.6% |
延滞期間が2ヶ月を超えると2種類の税率の両方が適用されます。その場合は以下の手順で計算を行います。
2.2ヶ月経過以降から完納までの延滞税を②の税率で計算する
3.それぞれの延滞税を合計する
このように、延滞期間が長くなるほど延滞税の金額も大きくなります。特に2ヶ月経過を境に税率が大幅に高くなりますので注意が必要です。
延滞税が一部免除される場合について
以下のようなケースでは延滞税が一部免除されることがあります。
・申告期限後または申告書提出後から1年を経過した後に修正申告や更正を行った場合
法人税が払えないときでも、申告を行うことで延滞税が軽減される可能性があります。
上記の②のケースでは、延滞税は過去1年間分が課税されることになっています。納税者の負担軽減の他に、税務署の調査に期間を要した場合に延滞税が高額になり、調査が短期間で終わった場合に少額になるという不公平をなくす目的もあります。

延滞税の一部免除の対象となるか判断が難しい場合は、税務署に相談するか、専門知識のある税理士に相談するようにしましょう。
▼ 確定申告の延滞税についての詳しい計算方法や税率などはこちら。

延滞税が発生した時の対処法
法人税はどのような企業でも営利目的の法人は必ず納める税金ですが、実際のところは期限までに納税できないケースもあります。
万が一に備えて法人税が支払えない状況になったり、延滞税が発生したときの対処法について確認しておきましょう。
税務署・年金事務所への事情説明
法人税を期限までに納税できないときは税務署に相談を行い、事情を説明することが重要です。状況によっては納税の猶予を受けられる場合があり、延滞税も軽減される可能性があります。
納税の猶予とは、特別な事情があるときに法人税の納税が原則1年間猶予される制度です。法人税を納税すると事業継続が困難になったり、納税者が生活できなくなる場合のほか、納税者が病気などの事情で納税できないときに受けられる場合があります。
換価の猶予は、税金の滞納ですでに資産が差し押さえられているケースで、競売などに出される手続きの進行が1年間猶予される制度です。こちらも延滞している税金を納税すると事業が継続できなくなるなど条件があります。
また、法人税とともに社会保険料の支払いも困難になるケースもあります。社会保険料については年金事務所への相談と事情説明を行いましょう。
▼ 法人と個人事業主にかかる税金の違いを詳しく解説したものはこちら。

専門家へ相談
法人税の支払いが厳しい場合や延滞税の税額計算が自分でできないときは、税理士などの専門家に相談を行いましょう。専門知識をもとに適切なアドバイスが得られますので、経営者は資金繰りに集中できるようになります。
顧問税理士を雇っていない場合でも、近くの税理士事務所で延滞税のことだけをスポットで相談できます。その他に商工会議所などで税理士の無料相談が受けられる場合もありますので活用しましょう。
まとめ
この記事では、法人税の延滞税の基礎知識や計算方法、帳簿での仕訳、延滞税が発生したときの対処方法などを解説しました。
法人税の延滞税は、納期限を過ぎた後に法人税を納税する際に課税される税金です。延滞が発生する原因には、資金繰りの悪化や期限後の申告内容の修正、税務調査による追加の課税などがあります。
延滞税の税率は年率7.3〜14.6%となり、完納までの日数に応じて1日ごとに増えていきます。長期間の延滞をすると雪だるま式に税額が増えてしまい、経営が厳しくなりますので注意が必要です。
万が一法人税の延滞が発生した際は、できるだけ早く税理士などの専門家に相談し、税務署への事情説明を行いましょう。状況によっては納税の猶予や換価の猶予が受けられる場合があります。

ぜひこの記事でお伝えしたことを参考にしていただき、法人税の納税手続きで役立ててください。
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