働き方改革の影響で副業を認める企業が増えており、自分のスキルと自由時間を活用して簡単に副収入が得られるようになっています。インターネットを使った在宅ワークも一般的になっていますので、本業とは別に副業をしている人もいらっしゃるでしょう。
しかし、副業収入が年間20万円を超えると気になるのが、税金の確定申告ではないでしょうか。自分の状況では確定申告は必要なのか、申告方法や納税方法など、さまざまな疑問が出てくるでしょう。
この記事では、副業の確定申告について、申告が必要かどうかの判断方法や手続きの流れなどを詳しく解説します。青色申告・白色申告の違いや所得の分類方法、実際の納税方法なども解説しますので、ぜひ参考にしてください。
副業で確定申告が必要なケース
副業の収入が発生しているときに確定申告が必要なケースは4つあります。
以下でそれぞれどのようなケースなのか解説しますので、確定申告が必要かどうか判断する際の参考にしてください。
副業所得が20万円を超える場合
本業とは別に行っている副業の所得が年間で20万円を超える場合は、確定申告が必要です。
所得とは、売上から、その売上を得るために支出した必要経費を引いた金額のことです。そのため、副業の収入が20万円を超えたら必ず確定申告が必要ということではありません。売上から経費を引いて残った金額が20万円を超えている場合に確定申告が必要となります。
たとえば、本業以外に在宅ワークの副業をした場合、在宅ワークの収入が100万円で、経費が50万円だった場合、副業の所得は50万円なので確定申告が必要です。一方で、在宅ワークの収入が30万円で、経費が20万円だった場合、副業の所得は10万円なので確定申告は必須ではなくなります。
インボイス登録をしている場合
副業で業務委託の仕事を受注するときに、発注者から適格請求書の発行を依頼されることがあります。クライアントからの要望に対応するためインボイス登録(適格請求書発行事業者としての登録)をした場合は、確定申告が必要になります。
これは、インボイス登録をすることにより所得税に加えて消費税を納税することになるからです。消費税を納税するには確定申告をしなければならないため、インボイス登録を行った後は毎年必ず確定申告を行うことになります。
年収2,000万円を超えている会社員の場合
年収が2,000万円を超えている会社員の場合はその時点で確定申告が必要になります。これは、年収が2,000万円を超えると勤務先での年末調整ができないのが理由です。そのため、所得税法で自分から確定申告を行うことが義務付けられています。
つまり、年収が2,000万円を超える会社員は、副業をしているかどうかに関係なく確定申告が必須です。そのときに副業の収入も発生しているなら、所得の申告の欄で副業の事業所得や雑所得などをあわせて申告することになります。
2か所以上から給与を得て、副収入が20万円を超えている会社員の場合
2か所以上から給与をもらっていて、本業以外の副業の収入が年20万円を超えている会社員の場合は、確定申告が必要です。
たとえば、本業以外にアルバイトや人材派遣で土日祝日だけ働いているケースなどが当てはまります。月の平均で月給約1万7千円以上の給料があると年間20万円となりますので、アルバイトの副業をしている多くの場合が当てはまるでしょう。
この場合はそれぞれの会社で個別に源泉徴収されており、本業の会社で年末調整が行われます。その後、翌年にすべての会社の給与所得を合計して確定申告を行い、最終的な所得税額が決まります。
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確定申告の手続き
ここからは、確定申告の手続きをどのように行っていけばよいか解説します。
普段から行う取引の記帳などの準備から、実際に申告書を準備して提出する流れを見ていきましょう。
1. 取引を記帳する
確定申告の手続きとして最初にやることは、普段の取引を記帳しておくことです。
確定申告では1年間の収入と経費の合計を計算する必要がありますので、日々の売上の発生や報酬の受け取り、そのための経費の支出をすべて記録しなければなりません。特に青色申告の場合は、複雑な複式簿記を使いますので、取引の記録は重要です。
アルバイトなど給与を受け取る副業では記帳するような取引はありませんが、毎月の給与の金額を記録して、給与明細は紛失せず保管しておく必要があります。
2. 必要書類を用意する
取引の記帳とあわせて確定申告に必要な書類も用意しておきます。
たとえば、副業の収入を得るために支出した経費のレシートは紛失しないよう保管します。業務委託の仕事では、受け取った報酬額や源泉徴収額がわかる支払調書が必要です。このような書類は確定申告の時期になって集めるのではなく、普段から整理して保管しておくことが大切です。
副業が事業所得や不動産所得の場合は、収支内訳書または青色申告決算書を作成して、確定申告書と一緒に税務署に提出します。そのほか、事業用の減価償却資産を管理する固定資産台帳も必要です。
3. 確定申告書を用意する
必要な書類が準備できて収入と経費から所得金額が計算できたら、確定申告書を作成します。
確定申告書にはAとBの2種類がありますので、どちらを使うべきかを判断しましょう。確定申告書Aは給与所得や雑所得、一時所得、配当所得の申告に使います。確定申告書Bはどのような申告でも使える汎用性の高い様式です。どちらか迷う場合はBを使用すれば問題ありません。
会社員が2か所以上から給与をもらっているときや、給与の年収が2,000万円を超える人は給与所得の申告なので確定申告書Aが使えます。また、原稿料や暗号資産、FX取引の利益、株式の配当金を総合課税で申告する場合などもAの用紙が使えます。
4. 税務署に申告する
必要な書類が準備できたら、税務署に申告を行います。確定申告書の提出は大きく分けて紙の申告書を税務署に届ける方法と、オンラインで申告するe-Taxがあります。
紙の申告書を届けるときは、プリントアウトした確定申告書に必要書類を添えて税務署に持参するか、または封筒に入れて郵送します。郵送の場合でも切手を貼った返信用封筒を同封すれば収受印が押された控えを返送してもらうことができます。
e-Taxはインターネットを利用して自宅で確定申告ができる仕組みです。事前にマイナンバーカードを使った利用者識別番号の取得を行っておけば、確定申告書の作成から申告、振替納税(口座引き落とし)の手続きまでオンラインで完結できて便利です。
副業所得が20万円を超えたら確定申告が必要
確定申告の手続きでは、普段から日々の取引の記録を取ることが重要です。1年が終わった時点でその年の副業の所得を計算して、確定申告が必要か判断しましょう。年間の副業収入から経費を引き、残った金額が20万円を1円でも超えているなら、確定申告を行う必要があります。
確定申告を行うことで正確な所得税の金額が確定し、さらに住民税や社会保険料の計算にも影響する大切な手続きです。副業の所得が年20万円を超える可能性があるときは、普段から準備をしっかりと行い、余裕を持って確定申告を行いましょう。
確定申告の青色申告・白色申告の違い
副業の所得は事業所得として申告できますので、青色申告を選択することもできます。
ここでは、確定申告の青色申告と白色申告の違いやそれぞれのメリットなどについて解説します。
複雑な帳簿が特徴の「青色申告」
青色申告は、事前に申請を行い帳簿などの条件を満たしたときに、最大65万円の特別控除を受けられる申告方法です。
白色申告と比べて複雑な帳簿を準備し、提出書類も多いですが、控除による税額の優遇があります。
以下で青色申告のメリットについて具体的に解説します。
青色申告特別控除
青色申告特別控除は、青色申告で確定申告をすることで、10万円から最大65万円の特別控除を受けられるという制度です。
事業所得の計算方法は、売上から経費を引いた金額ですが、青色申告を選択すると、そこからさらに最大65万円を引くことができます。この控除額を引いた後の金額に所得税率を掛けて税金の金額が決まりますので、白色申告よりも青色申告の方が税金が安くなります。
青色事業専従者給与
青色事業専従者給与は、条件を満たす場合に家族の従業員に払う給与を経費にできるという制度です。通常は個人事業で雇う従業員が家族の場合は経費にできませんが、青色申告の事前申請を行い、さらに「青色事業専従者給与に関する届出書」という家族従業員に給与を払う事前申告を行うことで、経費に算入できるようになります。
条件としては、①青色申告者と生計が同じ配偶者か親族で、②年度末時点で15歳以上、③青色申告者の事業に6ヶ月を超える期間専従することの3つがあります。
家族へ支払った給与を経費にすることで、所得金額が少なくなり、納税する所得税の金額も少なくなりますので節税につながるのがメリットです。
純損失の繰越控除や繰戻還付
純損失の繰越控除とは、青色申告者が事業で赤字になったときに、以降3年間にわたって将来の黒字と相殺できる仕組みです。また、繰戻還付では、ある年度に発生した赤字を前年度の黒字と相殺できます。
たとえば、事業で経費が大きくなり100万円の赤字になった場合に、翌年度は200万円の黒字になったとすると、相殺して課税所得を100万円にすることができます。繰戻還付では、前年度の黒字と相殺することで、納税済みの所得税の還付を受けることができます。
白色申告では繰越控除も繰戻還付も対象外のため、赤字が発生しても他の年度の黒字と相殺することができません。青色申告を選択すると、赤字になる可能性がある事業を行う場合に大きなメリットとなります。
青色申告には青色申告承認申請書の提出が必須
ただし、青色申告を行うには、事前に青色申告承認申請書の提出が必要となり、この点がデメリットのひとつです。申請書を税務署で入手するか、国税庁のホームページで入手したものを印刷し、記入して郵送すれば申請完了です。
この申請書の提出期限は青色申告をはじめる年の3月15日までなので、計画的に手続きをする必要があります。年度が終わって副業収入が多かったから青色申告にするという判断では間に合わないため注意が必要です。
青色申告は白色申告と比べて必要な準備が多く、複式簿記という専門知識が必要な帳簿の記録が求められます。白色申告にはない特別控除などのメリットがある反面、手続きが複雑なのがデメリットです。
A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁
シンプルな帳簿が特徴の「白色申告」
一方で白色申告は手続きがシンプルで簡単なところがメリットです。白色申告の手続きは、所得金額の申告と収支内訳書の提出だけで完了します。記帳の条件が緩いので、日々の記録の作業が少なくなります。その時間を業務に使うことができますので、副業をはじめたばかりで忙しい人におすすめです。
また、青色申告での青色申告承認申請書に相当する事前申請が必要ないのもメリットです。初めて確定申告をする場合や、1年分だけ、または数年間だけなど短期間しか確定申告をする見込みがない場合、所得金額が小さい場合などは白色申告ですませてしまうのもひとつの方法です。
ただし、上の項目で説明した青色申告のメリットは受けられなくなります。所得金額が大きい場合、長期的に事業所得などが発生する場合は青色申告の方がメリットが大きいでしょう。
副業の所得が20万円超なら青色申告すべき?
副業の所得を青色申告すべきかどうか考えるときは、まず副業所得の種類を考えてみましょう。アルバイトの副業など給与所得の場合や、暗号資産やFXの利益、原稿料など雑所得は青色申告の対象外なので、通常の申告方法で手続きをしましょう。
青色申告の対象となるのは事業所得、不動産所得、山林所得の3つです。この場合は、特別控除などが受けられる青色申告の方が税金が安くなりますので、総合的にメリットが多くなるでしょう。帳簿の作成は会計ソフトを利用すれば専門知識がなくてもできますので、長期間継続的に収入が発生するなら青色申告を行うのがおすすめです。
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確定申告の方法・メリットとデメリット
青色申告はメリットが多そうだけど帳簿をつけるのは難しいと感じる人もいるかもしれません。
そこで、自分で申告する以外の選択肢も含めて確定申告の方法をいくつかご紹介します。
それぞれの方法のメリット・デメリットも解説しますので参考にしてください。
自分でやる
フリーランスや副業の確定申告では、日々の経理から確定申告の手続きまで自分でやるという人も多くいます。自分でやれば税理士の費用がかからず、会計や税の知識も得られるのがメリットです。毎年同じ業務を行っているなら、どのような手続きが必要なのかだんだんわかってきますので、徐々に慣れてくるでしょう。
自分でやる場合のデメリットは、費用を節約できるかわりに時間がかかることです。本業とは別に副業も行い、さらに日々の経理も行うのは大変です。
そこで、自分で確定申告をするときに役に立つのがfreeeのような会計ソフトです。経理や税金の計算の多くの部分を自動化できますので、時間を節約しながらミスを減らすことができます。会計の知識がなく自分で申告書や必要書類の作成が難しいと感じる場合は、freee会計のような会計ツールを使って自分で手続きをするのがおすすめです。
手軽に確定申告ができるfreee会計
freee会計は、個人事業主から中小法人までさまざまな経理のサポートができるサービスで、副業の確定申告でも使えます。
freee会計では、スマホにインストールしたアプリやパソコンの画面から、〇✕形式の質問に答えていくだけで確定申告の書類が作成できます。経費の領収証などの書類はスマホのカメラで写真を撮影して保存しておくことが可能です。
また、必要な計算はソフトが自動的に行い、計算や入力のミスを軽減できます。自分で申告を行うのが不安な人、確定申告や青色申告が初めての人におすすめです。
https://www.freee.co.jp/
税理士に相談する
ある程度の費用はかかりますが、確定申告や税額の計算で不明点が多い場合は、税理士に相談したり手続きを依頼したりするのもおすすめです。税理士との契約では、継続的に税金関連のサポートを依頼するほかに、そのとき知りたいことを1回相談するだけのようなスポット契約も可能です。
たとえば、副業関連の支出に関して、経費として計上してよいか判断が難しいケースは、プロの税理士に任せることで安心して納税ができます。納税関係の知識を調べる時間の節約もできますので、その時間を本業や副業の業務にあてたりスキルアップのために使ったりできます。
ただし、税理士に継続して依頼すると、自力で行う場合と比べると費用がかかるのがデメリットです。freee会計のような会計ツールを使う場合と比較しても、当然税理士の方が費用が高くなります。
確定申告のまとめ
上記のように、確定申告のやり方は主に自分で行うか税理士に依頼するかの2つがあります。
副業収入自体があまり多くない場合や、給与所得や雑所得の副業の場合は、普段の経理作業の負担が多くありませんので、自分で行うのも難しくないでしょう。
また、青色申告の承認を得て継続的に副業を行うような場合は、freee会計のような会計ツールを使って自分で申告を行うのがおすすめです。会計ソフトの価格も安くなっていますので、費用は安く抑えることができます。
経理作業のために時間が取られすぎていたり、本業に支障が出ていたりする場合は、税理士に相談したほうがよいでしょう。時間に追われて経理作業を行うとミスの原因になることもあります。副業の収入額がさらに大きくなり、日々の帳簿管理の作業量が増えたり、納税額が大きくなったりしたときは税理士への相談や依頼を検討するとよいでしょう。
副業で得た所得は何に分類される?
副業で得た所得は、多くの場合は事業所得または雑所得のどちらかに分類されます。
以下で事業所得と雑所得の違いと、副業の収入をどちらに分類すべきかについて解説します。
雑所得と事業所得の違い
事業所得とは事業を運営して発生した売上から経費を引いた金額のことです。たとえば個人事業主として小売業やサービス業、農業などを営んでいる場合の所得が代表的な事業所得です。会社員の副業の場合は、在宅ワークで業務委託の仕事を受注したり、ネットショップを運営したりなどが考えられます。
事業所得に当てはまるかどうかは事業の規模や形態などで総合的に判断されます。長期間にわたって反復継続して安定して収入が発生している場合は事業所得と判断されることが多いです。
雑所得は、事業所得も含めどの種類の所得にも該当しないその他の所得のことです。副業の場合は、原稿料や暗号資産やFXなどの投資による収入などが当てはまります。また、在宅ワークなどで業務委託の仕事を行っても、単発の案件を何度か受注しただけなど反復継続して業務を行っていない場合は雑所得となる場合があります。
帳簿の保存がない場合は雑所得になる
ただし、通常は事業所得に当てはまる所得でも、帳簿の保存がない場合は雑所得という扱いになります。帳簿には取引の記録に加えて請求書や領収書などの書類も含めて保存しておく必要があります。
そのため、副業の所得を事業所得として申告するためには、1年間を通して普段から取引の記録と書類の保管をしておくことが重要です。確定申告の時期になってはじめて準備をはじめたのでは遅い場合が多いので注意しましょう。
記録が残っていなかったり書類を紛失していたりすると、事業所得にできず、やむを得ず雑所得として申告することになってしまいます。
副業収入の所得税の計算方法
ここからは、副業で得た収入の所得税の計算方法を解説します。
所得税の計算方法が理解できると、簡単な計算で実際の税額を算出できるようになります。
副業所得の種類と計算方法
名称からわかるとおり、所得税とは所得に対して課税される税金です。所得とは、収入や売上から経費を引いて残った金額のことです。これは副業の場合も同じで、副業の報酬など収入金額から、その収入を得るために支出した経費を引くと所得金額が求められます。
それに加えて、所得は税法により10種類(給与・事業・利子・配当・譲渡・不動産・一時・退職・山林・雑)に分類されています。それぞれの所得の種類ごとに特定の控除が適用できる場合があります。売上から経費を引き、さらに適用できる控除があればそれも引いた後に残った金額が最終的な副業の所得金額となります。
以下で、会社員が行う副業で該当することが多い4種類の所得について、具体的な計算方法を解説します。
給与所得
給与所得とは企業に雇用された従業員が受け取る給与から給与所得控除を引いた金額のことです。たとえば会社員やアルバイト、派遣社員などが受け取る毎月の給料と賞与などを合わせた金額が年間の給与です。
給与所得の金額は以下の計算方法で求めることができます。
・給与所得金額=1年間の給与合計金額-給与所得控除
給与所得では事業所得のように必要経費を引くことができませんが、その代わりに給与所得控除があります。給与所得控除の控除額は、1年間で受け取った給与の金額に応じて6段階に分かれており、最低55万円から、最大で195万円です。
事業所得
事業所得とは、サービス業や製造業、農業、漁業などの事業を行って発生した売上から必要経費を引いたものです。ただし、不動産の貸付けは不動産所得、山林の貸付け山林所得という別の分類になりますので注意してください。
事業所得の計算方法は以下のとおりです。
・事業所得金額=売上-経費-青色申告特別控除(10万円または65万円)
青色申告特別控除は、事前に青色申告承認申請書の提出をした場合に適用されます。白色申告では単純に売上から経費を引いた額が事業所得金額となります。
雑所得
雑所得とはその他の所得のどれにも当てはまらない所得のことです。たとえば原稿料や講演料、暗号資産やFXの取引で儲けが出た場合などが当てはまります。
雑所得の計算方法は以下のとおりです。
・雑所得金額=売上-経費
雑所得も、その収入を得るために支出した必要経費を引くことができます。ただし、雑所得は青色申告にすることができません。
不動産所得
不動産所得とは、不動産の貸付けによる収入から経費を引いたものです。事業所得とよく似ていますが、不動産の貸付けは独立した分類になります。
不動産所得の計算方法は以下のとおりです。
・不動産所得金額=売上-経費-青色申告特別控除(10万円または65万円)
不動産所得も、事業所得と同様に青色申告特別控除の対象となります。白色申告では特別控除を受けられず、売上から経費を引いた金額が不動産所得金額となります。
課税所得額の計算方法
所得の金額が計算できたら、次に課税所得額を計算します。課税所得額とは、すべての所得控除を引いた後の、実際に所得税が課税される所得金額のことです。
課税所得額の計算方法は以下のとおりです。
・課税所得金額=所得金額-所得控除
所得控除には48万円の基礎控除の他、配偶者控除、扶養控除、医療費控除、社会保険料控除など15種類があります。
所得税額の計算方法
最後に、課税所得金額に所得税率を掛けると納税すべき所得税額が求められます。
所得税額の計算方法は以下のとおりです。
・所得税額=課税所得金額×所得税率
所得税率は、課税所得金額が大きいほど税率が高くなる累進課税となっています。所得税率は5%から45%までの7段階があります。
所得税の納付方法
確定申告で申告した所得税を納付する方法は、主に「現金納付」と「振替納税」の2種類があります。
納税者が好きな方を自由に選べますので、どのような納付方法なのか実際の手順を知っておくとよいでしょう。
以下でそれぞれの納付方法について具体的に解説します。
現金納付
現金納付は、事前に納付書を入手して窓口に行き、現金で税金を納める方法です。手数料は不要で領収書が発行されます。現金納付ができる窓口は、税務署や銀行などの金融機関の他に、コンビニでも納税することができます。
納付書は所轄の税務署で入手するか、または銀行などの金融機関に置いてあるものを使用します。また、毎年確定申告をしている人は税務署から納付書が郵送されることもあります。
現金納付の期限は確定申告の期限と同じ3月15日までです。確定申告書の記入が完了した時点で所得税額が判明していますので、その金額を納税してから確定申告書の提出を行います。
振替納税
振替納税とは納税者の名義の銀行口座から自動引き落としで納税する方法です。納付書を入手したり窓口に行かなくてよいため非常に便利で、所得税の金額が大きい人や、毎年継続して確定申告を行う人におすすめです。
振替納税の手続きは、確定申告の期限となる3月15日までに預貯金口座振替依頼書を提出しておけば、後は引き落とし日に所得税が自動的に口座から支払われます。預貯金口座振替依頼書は税務署か銀行の窓口に提出するか、またはe-Taxができる人はオンラインで提出することもできます。
一度振替納税の設定をしておけば、引っ越しなどで所轄の税務署が変わらなければ翌年以降も同じ口座から振替納税が継続します。
所得税を計算するときのポイント
ここからは、所得税を計算するときに知っておきたい重要なポイントをいくつか紹介します。
源泉徴収された所得税が還付されたり、副業の赤字により納税額が低くなったりする場合がありますので、しっかりと確認しておきましょう。
所得金額の合計は損益通算が可能
1年間の間で複数の所得が発生しているときに、赤字になったものがあれば損益通算をすることができます。副業の場合、主に事業所得や不動産所得で赤字になる可能性がありますので、その赤字分を給与所得などその他の所得から引いて計算することができます。
副業の所得が年間20万円を超えない場合は確定申告は必須ではありませんが、損益通算で申告することで、所得税の金額が変化する場合があります。
たとえば本業の給与所得が500万円あるときに、副業で経費が大きくなってしまい、副業の事業所得がマイナス100万円になったとすると、損益通算すると合計の所得金額は400万円とすることができます。この例の場合はその年に納税する所得税額が低くなります。
副業している企業から源泉徴収をされている場合
アルバイトなどで副業をしているときは、本業の会社と副業先の会社の両方から源泉徴収され、年末調整は本業の企業でのみ行われます。副業先の会社では年末調整ができませんので、所得税額が正確でない可能性があります。この場合は、自分で確定申告をして正確な所得額を申告しましょう。
確定申告書で1年間の所得や控除などを入力した結果、源泉徴収された所得税と金額が違う場合があります。源泉徴収された金額が大きい場合は、確定申告することで還付金を受け取ることができます。逆に、源泉徴収された所得税の方が小さい場合は、不足分の納税が必要です。
なお、税務署で確定申告を行えば住んでいる自治体に最終的な正しい所得額が通知されます。副業している企業から源泉徴収されている場合でも、確定申告を行えば住民税の申告は必要ありません。
よくある質問
最後に、副業の確定申告に関するよくある質問や疑問点とその回答を解説します。
主に副業の確定申告をしないとどうなるのかという点になりますので、しっかりと確認しておきましょう。
副業の所得が20万円を超えて確定申告しないとどうなる?
確定申告が必要なケースに該当するのに申告を行わなかった場合、確定申告の期限までに申告と納税をしなかった場合は、もともとの所得税に加えて無申告加算税を納税することになります。また、本来の期限から実際に納税した日までの期間に応じて延滞税が加算されることになります。
これら2つの追加の税金が発生することで、本来の所得税額より納税額が大きくなります。特に、年収が多く所得金額が大きい場合は、無申告加算税と延滞税の金額も大きくなりますので注意が必要です。また、住んでいる自治体により住民税の延滞税なども発生する可能性があります。
無申告加算税に該当すると、税額が15~20%加算される
無申告加算税とは、正当な理由がないのに3月15日の期限までに確定申告をせず、発生している所得税を納税していない場合に課される税金です。期限を過ぎた後に自発的に申告を行った場合でも対象となります。
無申告加算税の税率は、本来納税すべきだった所得税額に応じて15%〜20%(令和6年以降に期限が来るものは15%〜30%)が加算されます。所得金額が大きいほど無申告加算税も大きくなりますので注意が必要です。
ただし、本人に期限内に納税する意思があったが、災害など正当な理由で確定申告できなかった場合は、無申告加算税が免除される場合もあります。
確定申告を忘れたとき|国税庁
延滞税に該当すると、日数に応じて税額が加算される
延滞税とは税金が本来の期限までに納税されなかったときに、実際に納税されるまでの期間に応じて追加で加算される税金です。延滞税は基本的に全ての国税を対象としていますので、確定申告をせず所得税を納税していなかった場合にも適用されます。
延滞税の税率は、納期限の翌日から2ヶ月を経過するまでは原則年7.3%、それ以降は原則年14.6%です。
延滞税の注意点は、本来の期限から実際に納税するまでの延滞している期間に応じて税額が決まるという点です。そのため、延滞している期間が長ければ長いほど延滞税の金額が大きくなります。
確定申告を忘れたらどうなる?その影響と正しい対応策を解説
まとめ
この記事では、確定申告が必要になるケースや申告や納税の手順、所得の分類や税額の計算方法、青色申告と白色申告の違いなど、副業の確定申告について解説しました。
副業で確定申告が必要になる主なケースは、副業収入から経費を引いた後に残った所得金額が年間で20万円を超える場合と、インボイス登録を行った場合です。
税金の仕組みは難しいことも多く、会社員はあまり意識することのない分野ですが、1つずつ理解していくことが重要です。また、青色申告の帳簿や書類の保存が難しく感じる場合は、会計ツールを利用したり、税理士に相談したりするのも有効な方法です。
ぜひこの記事で解説したことを参考にしていただき、副業の確定申告や所得税の納税で役立ててください。
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