リハビリ職には、理学療法士・作業療法士などさまざまな種類があります。そのなかでも特に話す・聞く・食べるに特化して機能回復の改善を図るのが、言語聴覚士です。
言語聴覚士の方のなかには収入面での不安などを理由に、副業を考える人も少なくありません。しかしその一方で「副業してもよいのかわからない」「どのような副業ができるのだろう」といった不安・疑問を持っている人もいるでしょう。

本記事では、言語聴覚士の副業事情について解説します。最適な副業の職種・始め方なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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言語聴覚士(ST)が副業するメリット3選
言語聴覚士(ST)に従事しながら副業を始めている、または副業を始めようと考えている人は少なくありません。その主な理由として、以下のようなメリットがあります。
・スキルアップ
・他業種との人脈形成
上記3つの副業におけるメリットを確認していきます。
収入源が増える
収入源の増加は、本業で言語聴覚士(ST)をしながら副業をするメリットのひとつです。
厚生労働省が運営するjob tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))によると、言語聴覚士の平均年収は432.5万円と掲載されています。これは令和5年賃金構造基本統計調査をもとに加工して作成された2025年4月時点での公開データです。
ちなみに、国税庁が公開している給与所得者の令和5年度における平均年収は460万円でした。
言語聴覚士(ST)の平均年収は、給与所得者よりも下回っていることがわかります。病院・施設といった勤務先や勤続年数などにもよりますが、言語聴覚士(ST)は高額報酬が期待しにくい職業です。
これらの現状の打開および給与所得者との年収の差を埋めるという意味も含めて、副業で収入源を確保できれば生活にゆとりが生まれるでしょう。
スキルアップに繋がり視野が広がる
スキルアップにつながる点も、言語聴覚士(ST)が副業を始めるメリットとしてあげられます。
副業でどのような職種・業界を選択するのかにもよりますが、医療業界外の仕事に従事すれば言語聴覚士(ST)以外のスキルの習得が可能です。

例えば、Webデザイナーを副業として選択したとしましょう。Webデザイナーの仕事では、HTML・CSSといったWebサイトの構築に必要な基礎知識が必要です。さらにWebデザイナーとしての案件を獲得すれば、関連スキルの向上が期待できます。
Webデザイナーとしてのスキルが向上すれば、言語聴覚士(ST)のホームページを作成して本業につなげられるかもしれません。
他業種の人脈ができる
他業種との人脈形成ができる点も、副業のメリットです。
言語聴覚士(ST)として活躍すると、人脈形成は医療関連に限られることが多くなります。
しかし副業は基本的に職種・業界の制限がないので、医療福祉業界以外でも活躍可能です。本業とは異なる職種・業界で副業をすれば、異業種で活躍する人たちとの交流が生まれます。
また、本業・副業の両方における新たなビジネスチャンスにつながるかもしれません。
言語聴覚士(ST)に最適な副業
言語聴覚士(ST)に最適な副業をいくつか紹介するので、参考にしてください。
スキマ時間で他施設での非常勤
スキマ時間を活用して、他施設で非常勤言語聴覚士として勤務する方法があります。
job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))を確認すると、2025年4月現在での言語聴覚士(ST)の短時間労働者の平均賃金は1時間当たり2,167円です。ただし勤務先にはさまざまな施設があり、施設の規模・運営状況によって実際の時給は異なるので一律ではありません。
厚生労働省が公開している「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、施設別の介護職員の時給一覧が掲載されています。
施設
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平均基本給(時給)
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介護老人福祉施設 | 1,130円 |
介護老人保健施設 | 1,110円 |
介護医療院 | 1,080円 |
訪問介護事業所 | 1,380円 |
通所介護事業所 | 1,080円 |
通所リハビリテーション事業所 | 1,080円 |
特定施設入居者生活介護事業所 | 1,140円 |
小規模多機能型居宅介護事業所 | 1,070円 |
認知症対応型共同生活介護事業所 | 1,060円 |
(参考:令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省)
上記はすべて非常勤の場合の時給です。また時給には介護職全般が含まれており、言語聴覚士(ST)に特化したデータではありません。
Webライター
Webライターとは、クライアントのWebサイトなどに掲載するための記事作成を請け負い、執筆・納品する仕事です。基本的には1文字単位で単価が設定されており、専門知識を必要とする内容の場合は高めに設定されることが多いでしょう。
主な仕事内容
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単価
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納期目安
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記事・Webコンテンツ作成 | 1円~/文字 | 7日程度 |
リライト・校正・編集 | 3,000円~/記事 | 5日程度 |
記事企画 | 1,000円~/記事 | 5日程度 |
上記はあくまで目安の単価です。Webライターは実績数によって左右される部分が多いため、初心者・未経験者の場合は1文字の単価が1円を下回ることも少なくありません。
セミナー講師
セミナー講師とは、企業・施設などで講師として参加者に知識・経験などを伝える仕事です。言語聴覚士(ST)の場合、仕事を通じて得た経験・日常生活でも手軽にできるトレーニング方法などのセミナーが開催できるでしょう。
相場は主催者である企業・施設などによって異なるので、一概にはいえません。また、セミナー講師としてのネームバリューや金額交渉によっても変動します。
動画クリエイター
動画クリエイターとは依頼された動画の作成・編集を行って納品したり、自作動画をプラットフォームに投稿したりする仕事です。
クライアントからの依頼を受けるスタイルを選択した場合、以下のような仕事があげられます。
主な仕事内容
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単価
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納期目安
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YouTube動画作成・編集 | 8,000円~/本 | 5日程度 |
TikTok・短尺動画 | 3,000円~/本 | 3日程度 |
映像編集・映像制作(企業) | 12万円~/本 | 1カ月程度 |
映像撮影(商品宣伝用) | 10万円~/本 | 3日程度 |
言語聴覚士(ST)としての経験・スキルを活かした動画クリエイターとして活躍したい場合は、関連動画を作成・編集して無料動画配信サイトに公開する方法がおすすめです。
多くの閲覧者・フォロワー数が集まれば高額報酬が期待できますが、そのためには時間をかけて宣伝をする必要があります。
趣味や特技活かした副業
趣味・特技を活かした副業で稼ぐことも可能です。主な方法として、以下のようなものがあげられます。
・ハンドメイド作品の販売
・イラストの作成および販売
写真撮影の場合、クラウドソーシングサイトを利用すれば募集している案件が見つかるので利用してみてはいかがでしょうか。
ハンドメイド作品を販売する際は、専用のプラットフォームがあります。多くのハンドメイド作品が販売されており、初心者でもショップ・金額などの設定方法が簡単にできるように工夫されているのでおすすめです。
イラストを作成して販売する際には、スキルシェアサイトをおすすめします。ポートフォリオをいくつか掲載して募集すれば、特定のイラストを作成して欲しい人からの依頼が舞い込むでしょう。
言語聴覚士(ST)の副業の始め方
言語聴覚士(ST)の副業の始め方を紹介します。これから始めようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目標を設定する
副業を始める際には、目標を設定してください。副業で安定した収入が得られるようになるまで、一定の時間が必要になるからです。
副業として選択可能な職種・業界は多種多様ですが、いずれの場合もすぐに収入が得られるわけではありません。副業の多くは実績数が重視されるため、ある程度の副業実績数がなければ高額報酬は期待できないのが現状です。
実績数が少ない間は、労役に対して報酬が見合わないこともあるでしょう。副業の目標を収入のみに固定してしまうと、思うように稼げない事実に直面して挫折してしまう可能性があります。
稼働できる時間を把握する
稼働できる時間の把握も、副業を始める前の重要なチェックポイントです。
副業で選択する職種によっては、稼働時間は自由に設定できます。しかし副業収入は稼働時間に比例する傾向が高いため、どれだけの時間を副業に費やせるかがカギです。
またクライアントと契約を締結した場合には、納期までに成果物を納品しなければなりません。思うように稼働時間が確保できず、納期までに完成できなければ信頼を失ってしまうでしょう。その後の副業案件の受注率にも悪影響を及ぼしかねません。
自分に合った副業を選ぶ
自分に合った副業を選ぶことも大切です。副業での収益化には、以下のようなパターンがあります。
収益化パターン
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概要
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例
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時間労働型 | ・労働に対して対価が発生 ・報酬は時給換算 |
他施設での非常勤務、飲食店でのアルバイトなど |
成功報酬型 | ・成果が発生したときに報酬が発生 ・成果物に対して報酬が発生 |
アフィリエイト、動画クリエイターなど |
時間労働型はアルバイト・パートで取られている形式なので、イメージしやすいかもしれません。労働に対して対価が支払われることから、報酬が得やすいパターンといえるでしょう。
一方の成功報酬型は、特定の成果が得られなければ報酬が発生しません。さまざまな仕事があげられますが、アフィリエイトはわかりやすい例といえます。広告のクリック・商品購入といった何らかのアクションがなければ報酬が発生しないので、収入を安定させるためには工夫が必要でしょう。
実際に探してみる
どのような副業をするのかがある程度決まったら、実際に探してみてください。主に探す場所として、以下のようなものがあげられます。
・クラウドソーシングサイト
・エージェントサービス
・スキルシェアサイト
・SNS
エージェントサービスのなかには登録時に料金が発生するところがあるので、事前に下調べをしておくことが重要です。それ以外のサービスについては、登録時に料金が発生することはほぼありません。
トラブルの見極めが難しいと感じる場合は、求人サイト・クラウドソーシングサイトがおすすめです。登録しなくても検索できるサービスもあるので、始めた副業の仕事があるかどうか探してみてください。
言語聴覚士(ST)が副業をする際に注意すべき点
言語聴覚士(ST)が副業する際に注意すべきポイントを紹介します。
副業可能か就業規則を確認する
副業を始める前に、本業の就業規則で副業の可否を確認してください。
厚生労働省が公開している副業・兼業に関するガイドラインによると、企業・会社は従業員の副業・兼業を推奨するようにと明記しています。しかしその一方で情報漏えいなどを理由に就業規則にて制限も可能にしており、副業を禁止している企業・会社も少なくありません。
また就業規則には副業を認める一方で、競業避止義務について明記されているケースもあるのでよく確認してください。競業避止義務とは、所属する勤務先と競業になる事業を避ける義務です。言語聴覚士(ST)の場合、医療・福祉業界まで範囲を広げて義務付けているかもしれません。

このように副業は勤務先によってさまざまな制限が設けられていることがあるので、就業規則の事前確認を怠らないようにしましょう。
本業への影響を考慮する
本業への影響を考慮することも忘れてはいけません。
本業とは別の収入源を得るために副業をするということは、全体的な勤務時間が増加することを意味しています。
副業をしていなかった場合、本業の稼働時間以外はすべて休息時間だったはずです。その休息時間を稼働時間にして副業をするわけですから、必然的に休息時間は減少します。
休息時間が少なくなると、体調不良・パフォーマンスの低下といった問題が発生するかもしれません。副業が原因で本業に悪影響を及ぼしてしまっては本末転倒です。
必要な場合は確定申告をする
副業の収入によっては、確定申告が必要になるかもしれません。
副業における確定申告有無のボーダーラインの金額は、年間所得額20万円です。この金額を超えると、確定申告をしなければなりません。
ボーダーラインの金額は年間収入額から、収入を得るために支出した経費を差し引いた金額です。1年間の副業収入のすべてが、確定申告有無を判定する金額に含まれるわけではないので注意してください。
確定申告は原則として毎年2月16日〜3月15日の1カ月間実施しているので、必要な場合はこの期間中に申告および納税を行いましょう。
▼ なお副業の確定申告については、以下のサイトで詳しく解説しています。

転職も視野に入れておく
副業をする場合は、転職も視野に入れておいたほうがよいかもしれません。その主な理由として、以下のようなケースがあげられます。
・副業の収入が本業の収入を上回った場合
・本業での就業規則の内容変更

新たな選択肢の発見や副業収入が本業を上回った場合は、どのようにして事業を継続していくのか計画を立てることが重要です。今後も事業として継続できるのか、さらに収益を増やすためにはどうすればよいのかなどに注目して慎重に準備をすすめましょう。
勤務先が病院・施設の場合、経営者の代替わりによって、就業規則の内容が変更されるケースがあります。経営者の意向が反映されるからです。以前の経営者は副業を認めていたとしても、新しい経営者が副業を禁止する方針を打ち出している場合、就業規則に副業禁止の事項が新たに追加されるでしょう。その場合は、副業・本業のいずれかを辞める選択を迫られます。
このようにさまざまな状況に応じて転職を余儀なくされることもあるので、視野に入れておいたほうがよいでしょう。
言語聴覚士(ST)が副業で稼ぐための方法
言語聴覚士(ST)が副業で稼ぐための方法・ポイントを確認していきます。
スキルや経験を活かす
副業で稼ぐためには、スキル・経験を活かすことです。
言語聴覚士(ST)としてのスキル・経験を活かせる副業を始めれば、基礎知識・必要最低限のスキルはすでに保有しているので改めて学習する必要はありません。また副業としての実績数はなくても本業としての経験値があるので、案件も獲得しやすいでしょう。本業での経験年数によっては、高額案件獲得もできるかもしれません。
他のスキルとの相乗効果を狙う
ほかのスキルとの相乗効果を狙うことでも、副業で稼げるでしょう。
例えば副業としてWebライターを選択したとします。Webライターのなかには医療系を専門に扱うクライアントも多数存在しており、その依頼内容は専門知識を必要とするものが多めです。
言語聴覚士(ST)での経験が活かせるWebライターの案件に狙いを定めてかつどうすれば、本業の経験・スキルを活用できるとともにライティングスキルも身につきます。また作成コンテンツが専門知識ということもあり、一般的な相場よりも高い報酬が得られるかもしれません。
言語聴覚士(ST)を専門に取り扱うWebライターの案件は、あまり多くないかもしれません。しかし医療・福祉・介護の分野にまで範囲を広げれば、さまざまな案件が見つかるでしょう。
得意なことや興味を活かす
得意なことや趣味を活かすことでも、副業で稼げるでしょう。
例えば趣味でビーズを使用したアクセサリー・モチーフなどを作成していれば、これを販売することで収益化が期待できます。またスキルシェアサイトを利用してビーズ手芸の個別指導を行ったり、動画配信サイトを活用してハンドメイド作品の作成動画を公開したりすればさらに副業収入が増えるかもしれません。
独立開業する
独立開業も副業で稼ぐ方法のひとつでしょう。
言語聴覚士(ST)の経験とスキルを活かす場合、滑舌の改善・リハビリに特化したオンラインスクールなどがあげられます。事前にパソコン・インターネット環境・周辺機器の準備が必要ですが、軌道に乗れば本業をしのぐ収入が得られるでしょう。
オンラインを活用した独立開業はスキマ時間が活用できるので、本業との両立がしやすい点が特徴です。
言語聴覚士(ST)が副業で成功するためのコツ
副業で成功するためのコツを紹介するので、参考にしてください。
時間をうまく調整する
副業で成功するためには、時間の調整をすることです。
副業で受注した案件が多くなってくると、本業も含めた時間の調整が困難になる可能性があります。時間調整に失敗すると、本業・副業ともに迷惑をかけることになりかねません。
副業の条件をしっかり確認しておく
副業案件を受注する際は、条件をしっかり確認しておくことも成功のカギを握っています。

例えば収入にばかり注目していると、保有している知識・スキルレベルが足りていないことも少なくありません。このような案件を受注してしまうと契約不履行として、賠償請求を求められる可能性があります。
案件・仕事を受注する際には、業務内容・納期・報酬発生条件など契約内容をしっかり確認しておきましょう。
副業の収支を管理する
副業の収支を管理することも重要です。
副業での支出は副業収入内に抑えてください。本業収入との区別をせずに管理すると、副業収入は増えません。実際にどれくらい稼いでいるのかを明確にするためにも、本業と副業の収入を明確化し、管理しましょう。
ワークライフバランスを維持する
ワークライフバランスの維持も大切です。
本業・副業にばかり集中して休息時間を削ってしまうと、体調不良や人間関係の悪化につながります。
休息は心身を休めるためだけではありません。本業・副業のパフォーマンスの向上や家族・友人知人と良好な関係を築くためのものでもあります。
まとめ
言語聴覚士(ST)の副業事情について解説しました。
副業をすることで収入が増えるなどのメリットもありますが、時間の使い方を誤ると体調を崩すなどのデメリットも発生します。

本記事で紹介した注意点なども参考にしながら、無理のない副業を行ってください。
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