副業・兼業が解禁になったことで、様々な業界や職種で副業する人が増えています。消防士も収入面・老後といった観点から、副業を考えている人は多いようです。
しかしその一方で「消防士は副業をしてもいいのか」「消防士に向いている副業はどれか」といった疑問・不安を抱えている人も少なくありません。

本記事では、消防士の副業事情について解説します。副業の可否・おすすめの副業なども含めて網羅的に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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消防士は副業OK?
多くの人が収入面・老後に不安を抱えており、消防士も例外ではありません。このような問題・不安を払拭する方法として、副業する人や副業を考える人は増加傾向にあります。
金銭面での将来に不安を抱えている消防士のなかにも、副業をして収入源を増やしたいと考える人はいるでしょう。
消防士の副業の可否について解説するので、参考にしてください。
▼ 公務員についての副業について詳しい記事はこちらです。

基本はNGだが許可を貰えばOKのもある
消防士は原則として、副業が禁止されています。その理由は消防士が公務員だからです。
公務員は、国家公務員法または地方公務員法を遵守して業務・任務にあたらなければなりません。このいずれの公務員法にも、副業を禁止する文言が明記されています。公務員である以上この法律を守らなければならないため、副業はできないのです。
違反すると懲戒処分
消防士が上席者および人事院からの許可を得ずに副業をした場合、以下のような懲戒処分が科せられます。
懲戒処分 | 内容 |
戒告 | 口頭での注意 |
減給 | 給料の一部を減額 |
停職 | 一定期間、職務停止 |
免職 | 公務員としての職務を解かれる処分 |
上記の一覧表は戒告が一番軽く、免職が一番重い懲戒処分です。
消防士は公務員である以上、基本的に副業は認められていません。しかしその副業のなかでも仕事の種類・内容によって、下される懲戒処分の種類は異なります。
副業違反をして懲戒免職になった消防士の事例3選
消防士が副業違反をして懲戒処分になった事例を3つ紹介するので、参考にしてください。
不動産収入7千万の消防士が懲戒免職
ある広域消防局に勤務していた消防署職員は、自分名義でマンション・駐車場といった不動産を購入し、賃貸料収入を得ていました。所有不動産は15物件におよび、年間約7,000万円の賃貸料収入を得ていたそうです。
一般企業に勤務するサラリーマンのなかにも、副業で不動産を経営して賃貸料収入を得ている人は少なくありません。
当消防署職員は任命権者および人事院に事前に申出・許可を取っておらず、減給10分の1の懲戒処分が下されました。
インターネット記事寄稿で消防士が減給処分
Webライターは誰でも手軽に始められる副業であることから、人気の高い仕事です。しかし消防士の場合は、懲戒処分の対象になる可能性があります。
2019年にとある消防署に勤務していた消防署員は、インターネット上に公開する記事を寄稿して報酬を得ました。この事案が懲戒処分になった原因は、主に以下の2点です。
・勤務中も個人パソコンにて記事を作成していた
結果、この消防署員は1カ月間のみ減給10分の1の懲戒処分を受けました。
後半で解説しますが、単発であれば報酬を得ても基本的には懲戒処分の対象にはなりません。
サッカーの審判を行った消防士が停職処分
サッカーの審判を行って懲戒処分を受けた消防士の事案は、以下の通りです。
・必要な申請の不提出や虚偽の申請を繰り返し行っていたことが判明
・サッカー審判員として合計約117万円の報酬受け取り
審判員の活動は非番・休日に限られており、消防業務に支障はなかったそうです。しかし停職3カ月の懲戒処分を受けています。
消防士が副業(兼業)禁止になる基準
消防士が副業禁止になる基準について、確認していきましょう。
営利企業の役員
営利企業の役員になることは、公務員法で禁止されています。具体的な禁止事項は、以下の通りです。
・取締役・監査役・理事なども含む全役員職
・報酬の有無を問わず

例えば、特定の企業に便宜をはかったり、癒着・収賄を行ったりするかもしれません。このような疑念を国民に抱かせること自体、公務員の職務に違反しています。
そのため報酬の有無を問わず、名義貸しも含めて営利企業の役員になることは公務員法で禁止されているのです。
自営業
消防士は、以下の条件に基づいて自営業を営むことを禁止されています。
・他人名義であっても客観的に自営と判断される場合は禁止
・報酬の有無を問わず
消防士の自営業が禁止されている理由は、前述した営利企業の役員と同様です。自営業を行うことで、利害関係者との癒着などが疑われる可能性があります。公務員である以上、公平性に欠けると疑われること自体、望ましいとはいえません。
不正行為そのものも含めて未然に防ぐ意味も含めて、自営業は禁止されているのです。
継続的かつ有報酬の副業
継続的かつ有報酬の副業と判断される場合も、禁止されています。具体的な要件は以下の通りです。
・労働の対価として報酬が発生
上記2つのどちらにも該当する場合は、禁止行為とみなされます。
例えば家族が運営するWebサイトの運営・保守を、定期的に有償で受注して行っていたとしましょう。この場合、労働の対価として報酬が発生しており、定期的に受注していることから副業とみなされます。依頼者が家族であっても、関係ありません。
消防士でも可能なこと
消防士でも可能なケースもあります。その例をいくつか紹介するので、参考にしてください。
不動産投資、太陽光発電、農業
不動産投資、太陽光発電、農業などは、一定の規模を超えなければ自営に該当しません。
それぞれの自営に該当しない条件は、以下の通りです。
主な事業 | 条件 |
不動産・駐車場の賃貸 | ・独立家屋の場合は4棟以下 ・アパートの場合は9室以下 ・土地は9件以下 ・駐車台数は9台以下 ・賃貸料の年額収入500万円未満 など |
太陽光電気の販売 | 発電設備の出力が10キロワット未満 |
農業・牧畜・酪農・果樹栽培・養鶏など | 客観的に大規模経営ではなく、営利目的ではないと判断される場合 |
(参考:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について)
不動産・太陽光電気は条件が明確であるため、迷うことは少ないかもしれません。しかし農業・牧畜などは、判断が難しいと感じる人もいるでしょう。
上記いずれのケースも一覧表に示した条件を満たしていれば自営とは判断されませんが、事前に許可を得ていなければなりません。上席者に申し出たうえで、人事院から許可されれば行えます。
「労働の対価」に該当しない収入
労働の対価に該当しない収入を得るケースも、副業には該当しません。例えば、以下のようなものが当てはまります。
・不用品売買
・一部のポイ活
またポイ活も、アンケート回答・モニターなどは労働の対価として得た報酬とみなされるので禁止です。労働の対価に該当しないポイ活の具体例として、以下のようなものがあげられます。
・購入時に代金の一部が還元されたポイント
・広告のクリックで得たポイント
ポイ活を行う場合は、上記のようなものにとどめておきましょう。
無報酬で行う作業
無報酬で行う作業も、副業には当たりません。例えば、以下のようなものがあります。
・ブログ・SNSなどの運用
いずれも無報酬で行う場合のみです。
ブログ・SNSは収益化しないスタイルで投稿だけしていれば、副業に該当しません。ピンとこない人もいるかもしれませんが、例えば独立開業を目指している場合には有効な方法です。
ブログ・SNSなどを収益化しない方法で運営して、一定以上のフォロワーを集めておきます。収益化しても充分利益が見込めると判断したタイミングで退職して、自営業として事業を展開しましょう。
単発のもの
労働の対価として報酬を受け取っても、単発的なものであれば副業とはみなされません。

例えば、友人からインターネット上に公開する記事の作成を依頼されたとしましょう。この消防士は、勤務時間外に個人パソコンにて記事を作成します。納品後、報酬として1万円を受け取りました。

この依頼は単発だから、副業扱いにならないってことですか!?

このケースでは報酬が発生しているため、一見副業に見えます。しかし単発で請け負ったものであり、継続的・定期的なものではありません。よって副業扱いにはならないのです。
このように報酬を受け取っても継続的・定期的と判断される場合は違法行為とみなされますが、単発的なものは問題ありません。
許可を得たもの
事前に上席者・人事院から許可を得ている場合は、仮にそれが副業に該当する場合でも大丈夫です。
ただし許可を得るためには、以下のような条件を満たさなければなりません。
・公務との利害関係なし
・公務の信用を失墜させる可能性ゼロ
上記は条件の一部であり、すべてを満たしていた場合でも許可が下りない場合もあります。
可否の最終的な決定権は人事院に委ねられているので、その判断にゆだねましょう。
消防士が向いている副業
消防士が向いている副業の職業を紹介します。
不動産投資
不動産投資は、消防士に向いている副業といえるでしょう。資産運用の範囲と認められるケースが多いからです。
また利用者がいれば、本業と両立して副業収入が得られます。消防士の職務を引退した後も継続できる仕事でもあるため、副業に向いているといえるでしょう。
・アパートの場合は9室以下
・土地は9件以下
・駐車台数は9台以下
・賃貸料の年額収入500万円未満
(参考:人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について)
不動産投資をする際は、最低限上記の条件を守って行いましょう。
農業
農業も消防士に向いている副業としてあげられます。小規模農業は、家事手伝いとして副業が認められやすいからです。
ただし一定規模以上で運営をしていると、営利を主目的とすると判断されてしまいます。
どの程度の規模なら小規模として判断されるのか、その基準が気になるところではありますが、公開されていません。人事院の判断に委ねられているようです。
資産運用
資産運用は副業には該当しません。そのため、消防士でも事前に上席者・人事院に申請することなく始められます。主な資産運用は、以下の通りです。
・投資信託
・保険
・FX
・暗号資産
保険は死亡保険・学資保険なども含むため、資産運用のなかでも一般的な方法といえるでしょう。
それ以外の株式投資・FXなどは、大きく稼げる可能性がある一方で莫大な損失を被るリスクも考慮しなければなりません。
不用品出品
不用品出品も、消防士にとっておすすめの副業としてあげられるでしょう。不用品の売買は副業とみなされないからです。
例えば以下のようなケースの場合、収入を得たとしても副業には該当しません。
・子ども用品
・家電製品
・家具
これらはあくまで、自宅等で利用をしていて不要になったことが前提です。
例えば無料で不用品のやり取りができる掲示板・アプリなどを利用して、他者から不用品を受け取ったとしましょう。これを自分では使わず、すぐにフリマアプリなどで転売して収入を得ました。
この場合は、転売目的で不用品を入手していることから副業とみなされる可能性は高いでしょう。
消防士の副業におすすめのアプリ
消防士の副業におすすめのアプリを紹介します。
資産運用
資産運用に特化したアプリを紹介するので、参考にしてください。
moomoo証券「moomoo(ムームー)」
特徴 | ・売買手数料0円~ ・100円からの少額投資が可能 ・AIによる投資サポート機能あり ・自動注文機能搭載 |
取扱金融商品 | 日本株・米国株・投資信託・NISAなど |
対応デバイス | iPhone、Android、パソコン |
公式サイト | https://www.moomoo.com/jp |
SBI証券「かんたん積立 アプリ」
特徴 | ・ダブルでポイントが貯まるクレカ積立に対応 ・初心者にもやさしい積み立てスタイル診断 ・保有ファンドの残高推移を自動でグラフ化 |
取扱金融商品 | 国内株式・国内債券・投資信託 |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://s.sbisec.co.jp/smweb/pr/gaccnt.do?page=prd_fund_tsumitate_app |
大和コネクト証券「コネクト」
特徴 | ・手続きは最短2分 ・評価額の推移を月別でグラフ化 ・始めた月からの投資成績を永久記録 |
取扱金融商品 | 米国株、国内株、iDeCoなど |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://www.connect-sec.co.jp/ |
楽天証券「iSPEED」
特徴 | ・約定をリアルタイムで通知するアラート機能搭載 ・1画面で最大100銘柄の同時表示が可能 ・14種類のテクニカル分析機能あり |
取扱金融商品 | 国内株式、米国株式、FXなど |
対応デバイス | iPhone、Android、タブレット |
公式サイト | https://ispeed.jp/ |
三菱UFJ eスマート証券(旧:auカブコム証券)「三菱UFJ eスマート証券アプリ」
特徴 | ・運用状況が簡単にわかるポートフォリオや投資成績画面を搭載 ・タイムライン機能で知りたい通知を時系列配信 ・銘柄検索で最短ステップでの注文が可能 |
取扱金融商品 | 国内株式、米国株式、投資信託など |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://kabu.com/tool/smartphone/app/default.html |
PayPay証券「PayPay資産運用」
特徴 | ・PayPayポイントやクレジットの利用が可能 ・100円から1円単位で取引可能 ・おまかせ運用機能搭載 |
取扱金融商品 | 日本株、米国株、投資信託など |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://www.paypay-sec.co.jp/tool/miniapp/ |
不用品出品
不用品出品用のアプリを紹介します。
Pollet
特徴 | ・送料や手数料は無料 ・作業は売りたいものを段ボールに詰めて業者に渡すだけ |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://www.pollet.me/ |
メルカリ
特徴 | ・住所を知らせることなく取引できるメルカリ便 ・お金のやり取りはメルカリが仲介 |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://jp.mercari.com/ |
ラクマ
特徴 | ・わずか3分で手軽に出品可能 ・お金のやり取りはラクマが仲介 |
対応デバイス | iPhone、Android |
公式サイト | https://fril.jp/ |
消防士が副業する際の注意点
消防士が副業する際の注意点について解説するので、参考にしてください。
信用失墜行為の禁止
信用失墜行為の禁止は、地方公務員法第33条に明記されている禁止事項です。具体的には、以下の2つの行為を禁止しています。
禁止行為 | 具体例 |
職務の信用を傷つける行為 | ・職務中の公金横領といった不正行為 ・職務上の地位を利用して個人的な利益を得る行為 ・勤務中にSNSをするなど職務怠慢な行為 など |
職員全体の不名誉になる行為 | ・飲酒運転や暴力事件など私生活での非行 ・SNSなどでの不適切な発言 など |
副業の場合、「職務上の地位を利用して個人的な利益を得る行為」や「SNSなどでの不適切な発言」が該当する可能性があるので注意しましょう。
秘密を守る義務
秘密を守る義務は、地方公務員法第34条に明記されています。
例えば、単発でWeb上に公開する記事作成を依頼されたとしましょう。単発であるため、報酬が発生しても特に問題ありません。しかし記事の内容に実際の火災現場で知り得た情報を盛り込む、といった行為は秘密を守る義務に違反します。
また行政の計画・個人のプライバシー情報といった内容も、第三者に漏らしてはいけません。
職務に専念する義務
職務に専念する義務は、地方公務員法第35条に定められています。抵触する主な違反行為の例は、以下の通りです。
・職場のパソコンを利用して個人的なブログを更新
・勤務中の私的な長電話
副業違反をして、懲戒処分になった消防士の事例をいくつか紹介しています。そのなかで、インターネット記事寄稿の消防士を取り上げました。この消防士は勤務時間中に幾度となく記事作成を行っており、これが懲戒処分の対象になったと考えられます。
まとめ
消防士の副業事情について解説しました。
消防士は地方公務員であるため、原則として副業は認められていません。ただし上席者および人事院からの許可が得られれば、副業ができます。

本記事で紹介した懲戒処分の事例や、消防士でも可能な副業などを参考にして、地方公務員法に反しない範囲で副業を行ってください。
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