近年、働き方改革の一環で副業を認める企業が増え、中には副業を奨励するところもあります。その中で注目されているのが、パラレルキャリアです。パラレルキャリアは、従業員のスキルアップや人脈の拡大にもつながり、企業の生産性向上にも貢献します。ここでは、パラレルキャリアの概要とそのメリット、選択する動機について解説します。
パラレルキャリア（複業）とは
異なる複数の仕事に同時に従事することで、パラレルワークや複業とも呼ばれます。例えば、異なる複数の企業に同時に勤務する、異なる複数の職種に就くなどがあります。この働き方は、自分の好きなように働くことを目指す柔軟な働き方の一つであり、フリーランス白書2018によると、「パラレル」には日毎に行う仕事を変える型と、1日の中で行う仕事を切り替える型の2つがあります。
副業と複業の違いは？
複業と副業は混同されることがありますが、両者にはいくつかの相違点があります。たとえば、副業では本業が最優先されるのに対し、複業では全てが横並びか、状況に合わせて優先順位が変動します。また、副業は収入を増やすことを目的として行われますが、複業は収入よりも楽しさややりがいが優先されます。そして、副業は周囲や勤め先に隠すことが多いのに対し、複業はむしろ公表することが多いです。
パラレルキャリア（複業）を選ぶ理由
ライフスタイルの多様化
医療の発展により、人類の寿命は大幅に伸びました。その結果、老後の期間が延び、多くの貯蓄が必要になったり、生涯同じ企業で働き続けることが難しくなったり、定年後も仕事を探す必要があったりと、様々な変化が生じています。このような状況に対応するため、キャリア形態も多様化しており、ライフステージの変化に合わせて複数の仕事を選ぶ人が増えています。
収入がそもそも足りていない
収入が減ったり家族が増えたりするなど、様々な理由で1つの収入源からの報酬のみでは生活が苦しくなることは誰にでも起こり得る状況です。このような場合に、副業を始めることで収入を増やすことができます。副業は、転職よりもハードルが低いため、簡単に始めることができます。例えば、隙間時間を有効活用して副業をすることができます。また、副業をすることで、新しいスキルや経験を得ることもできます。これにより、将来的な可能性が広がるかもしれません。さらに、副業は、収入の安定性を高めることができます。一つの収入源に依存することで、その収入源が失われた場合に収入が途絶えるリスクがありますが、副業を持つことで、収入源を複数持つことができるため、収入の安定性を高めることができます。
企業存続への不信感がある
現在の経済状況では、大企業の倒産や事業撤退がよく起こっています。そのため、正規雇用を持っているからといって、一生安泰とは言えなくなりました。そこで、パラレルキャリアという働き方が注目を集めています。パラレルキャリアとは、複数の仕事を掛け持ちし、自分自身で収入源を増やす働き方です。この働き方には、収入源の分散によってリスクヘッジを図ることができるというメリットがあります。つまり、一つの収入源がなくなっても、他の収入源があるため、生活が維持しやすくなるというわけです。このように、パラレルキャリアは、不透明な経済状況において、安定した生活を送るために有効な働き方といえます。
やりたいことがある
今の職を辞めるのは不安がありますが、自分が実現したい夢がある場合、新しい仕事に挑戦することも必要かもしれません。複業という働き方は、収入源を確保しつつ、自分の興味関心に沿った分野での活動を続けることができる魅力的なオプションです。
たとえば、新しい分野に挑戦することで、自分自身のスキルアップにも繋がります。また、複業を行うことで、多様な業種や企業とのつながりを持つことができ、今後のキャリアにつながる可能性もあります。複業をすることで、自分自身の可能性を広げ、新たな可能性を見出すことができるかもしれません。
ワークライフバランスを実現する
複数の仕事を持つ場合、時間と仕事の量を調整する必要があります。閑散期に追加で仕事を受けることができ、繁忙期には特定の仕事に集中することができます。この柔軟性は、業務のリズムやライフスタイルに合わせて仕事量を調整できるという魅力があります。
パラレルキャリア（複業）のメリット
一般的に、パラレルキャリアについて話されるときは、そのメリットばかりが大量に挙げられ、デメリットにはほとんど触れられないという傾向があります。実際、パラレルキャリアにはそれほど多くのデメリットはありませんが、強いて挙げるとすれば、仕事を詰め込みすぎてキャパオーバーを引き起こす可能性があることなどが挙げられます。一方、メリットは数多く存在し、先に述べたものに加え、以下の点が考えられます。
収入が増える
収入源が複数になれば、収入も増加することが見込めます。特にパラレルワークでは収入面を気にしない働き方になることもありますが、メインの収入源さえ確保しておけば、それなりのプラスアルファが発生するはずです。
世界が広がる
複業を利用すれば、単一の狭い範囲の人間関係からは得られない人脈、機会、視野、知識を得ることができます。これらは直接的に仕事に役立つだけでなく、その後の転職に有利に働いたりスキルアップにつながったりなど、様々な2次的効果も期待できます。
スキルアップできる
1つの職に就けば得られる技術は限定的になりますが、複数の職に就けば習得できる能力もそれ分だけ増えます。また、特定の職を補う形で関連する仕事と複業すれば、関連分野を横断する総合的なスキルアップが見込めます。
人材育成や確保ができる
企業が積極的に社員に複業を許可することで、企業と社員双方にメリットがあることは言うまでもありません。複業によって社員の能力やモチベーションが向上し、企業としてもその成果を受け取ることができます。また、複業を公に認めることで、優秀な人材の流出を防ぐことができるかもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか。現在注目を集めつつある複業・副業は、単に流行の柔軟な働き方の1つというだけでなく、人生設計やキャリア形成の上でも良い効果を及ぼすことが見込まれます。これを機に、自らの可能性を拡げる方法を検討してみてはいかがでしょうか。
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