会社・企業で源泉徴収を行っている場合、毎年10月頃から年末調整が始まります。以前は紙媒体での申請のみでしたが、e-Taxの運用開始に伴い、年末調整も可能になりました。
毎年実施される年末調整関連の事務作業の煩雑さ・作業量などを軽減させたい場合には、e-Taxでの申請・申告がおすすめです。
本記事では年末調整全般はもちろん、e-Taxを利用した申請・修正方法もあわせて解説します。e-Taxについての知識・理解を深め、年末調整時に発生する事務作業負担の軽減に役立ててください。
そもそも年末調整とは?
年末調整とは、会社・企業から従業員に毎月支払われる給与において源泉徴収を行っている場合に発生する手続きのことです。
年間所得額が一定金額発生する場合には、毎年所得税の納税額を計算したうえで申告・納税しなければなりません。本来なら個人が行う手続きですが、会社・企業で源泉徴収を行っている場合には徴収した組織が代行します。その理由は、毎月の給与額から差し引いている源泉徴収税額が所得税の前借りにあたるからです。
所得税の納税額は年間総所得額が確定してからでなければ、正しい金額の算出はできません。源泉徴収税の合計額と本来の所得税の納税額との間には差額が出るため、この帳尻を合わせる必要があり、この手続きを年末調整といいます。
次の項目で年末調整の手順を簡単に確認しましょう。
▼年末調整についてもっと知りたい方はこちら
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年末調整の手順
会社側から見た場合の年末調整の主な手順は以下の通りです。
- 源泉徴収票の回収(前職分等がある従業員)
- 申請書の配布
- 記入済み申請書・添付書類の回収
- 各従業員の所得税納税額の算出
- 所得税納税額と源泉徴収税額の帳尻合せ
- 各従業員への追加徴収または還付手続き
- 源泉徴収票の発行・配布
- 税務署・各市区町村への報告書提出
個人で確定申告を行う場合、必要書類の提出先は原則として税務署だけですが、会社・企業が行う年末調整では税務署以外に各市区町村にも報告書を提出しなければなりません。
年末調整を書類からe-Taxにするメリット
年末調整をe-Taxで行った場合のメリットとして、以下のような点があげられます。
- 書類の印刷・分別・郵送不要
- 送信先は1カ所
- 省略可能な添付書類多数あり
- 控除額の検算が不要(ソフトが自動計算)
- 保険料などの証明書をまとめて取得
e-Tax申請の最大のメリットは、書類の印刷・分別・郵送が不要である点です。すべての従業員から回収した申請書・添付書類を印刷・分別する作業には膨大な時間・労力が削られる原因のひとつでもありました。しかしe-Taxを利用することで紙媒体だった書類はすべて電子処理が可能であり、印刷・分別をする必要はありません。
ま市区町村への送付は従業員の住民票の場所であることから、人数が多ければそれに比例して郵送する先も増加します。e-Taxなら送信先は1カ所で完了するため、市区町村ごとに書類をわけて送付する時間・手間も短縮が可能です。
e-Tax申請をすることでヒューマンエラーが起こりやすい事務作業の大半は省略可能なので、メリットは大きいといえるでしょう。
e-Taxで年末調整を申告する流れ
従業員側の視点でのe-Taxで年末調整を行う主な手順は以下の通りです。
- e-Tax使用の事前準備
- 申告書作成&提出
各手順についてさらに詳しく確認していきましょう。
e-Taxを使う前にしなければならない従業員側の事前準備
e-Taxで年末調整を行う際には、以下の事前準備が必要です。
手順 | 事前準備 | 概要・注意点 |
1 | マイナンバーカード | ・通知カードは不可 ・発行まで1カ月程度かかる可能性あり ・署名用電子証明書の付与必須 |
2 | ICカードリーダまたはマイナンバーカード読み取り可能なデバイス | ・マイナンバーカードを読み取る際に必要 ・カード読み取りアプリに対応したスマホでもOK |
3 | 利用者識別番号と暗証番号の入手 | ・e-Taxサイトから手続き可能 ・「e-Taxの開始(変更等)届出書作成・提出コーナー」から届出書を作成して送信 ・マイナンバーカードと利用者識別番号の紐づけ |
4 | eLTAXの利用者ID手続き | ・地方税用のお支払サイト ・「利用届出」から手続きを開始 ・「利用者ID」および「仮暗証番号」を入手して保存 ・専用ソフトウェアのダウンロード(パソコン版とスマートフォン版あり) |
5 | 専用ソフトウェア(PCdesk)をダウンロード | ・eLTAXから入手可能 ・パソコン版とスマートフォン版あり ・「4」で入手した「仮暗証番号」を「本暗証番号」に変更 ・マイナンバーカードと「利用者ID」を紐づけ |
e-Taxで年末調整を行う際には、e-TaxとeLTAXの2サイトでの事前準備をしなければなりません。e-Taxは国税に関するサイトであり、eLTAXは地方税に関するサイトとして運用されているからです。
年末調整では国と地方の両方に対して申請手続きが必要であることから、忘れず2サイトの事前準備をしておきましょう。
必要な書類データを勤務先に提出
年末調整で必要な書類は、主に以下の通りです。
書類 | 概要 |
給与所得の源泉徴収票 | ・会社が従業員に支払った給与や賞与、支払済源泉徴収税額などが明記された書類 ・前職分や他社分の源泉徴収票がある従業員が対象 |
扶養控除等(異動)申告書 | ・源泉控除対象配偶者についての申告や、扶養控除や障害者控除を受けるために必要な情報を記載 |
給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 | ・3つの所得控除について1つにまとめられたもの |
保険料控除申告書 | ・主に生命保険や介護医療保険、個人年金、地震保険などを対象としたもの |
住宅借入金等特別控除申告書 | ・住宅ローンの契約をしてマイホームの新築や増改築をした場合に適用できる控除 ・対象のマイホームに住み始めた最初の年については、年末調整で控除を受けることができない |
▼年末調整の控除についてもっと知りたい方はこちら
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e-Taxを活用する上での注意点
e-Taxを利用した年末調整の手続き・申請は、紙媒体の申請書・添付書類等の印刷・分別などをする必要がなく、作業量・時間などのコスト削減にもつながるので便利です。
しかしその一方で利用するためにはインターネット・各種デバイス・ICカードリーダなど、社内の環境を整えておかなければなりません。
またe-TaxとeLTAXの両方の事前登録も必要であり、準備をしておかなければならないことは多数あります。
e-Taxで年末調整済みの控除を修正するには?
紙媒体・e-Taxに限らず年末調整での控除修正が発生する場合があります。そこで年末調整の修正期限・更正が必要になる主なケースなどを確認していきましょう。
年末調整の訂正・修正が発生する主なケースは以下の3つです。
- 扶養親族の変更
- 控除額の修正
- 従業者本人または配偶者の年収変更
それぞれのケースで訂正・修正が発生する理由などを確認していきましょう。
扶養親族が変更になる場合
従業員の扶養親族の人数が変更になった場合は、年末調整の訂正・修正が必要です。
所得税の控除制度のなかに扶養控除があり、扶養親族の人数に応じて控除額が変わります。
例えば扶養親族が2人から1人に減少すれば控除額は少なくなり、2人から3人に増えれば控除額は増加するため、所得税の納税額の変更から追加徴収・還付金なども計算し直さなければなりません。
保険料控除や住宅ローン控除を修正する場合
控除総額に変更があった場合も、修正・訂正が必要です。
所得税にはさまざまな所得控除が設けられており、適用する種類によって控除額は異なります。
例えば保険料控除を利用する場合、限度額は年間支払済保険料であることから、支払済保険料の増減によって控除可能な金額が変動してしまいます。申請書類提出後に、新たに支払済保険料が発覚した場合には控除総額が変わるので、所得税の納税額も変更しなければなりません。
従業員本人や配偶者の年収に変更が生じる場合
年収の変更により修正・訂正が必要なケースもあるでしょう。
例えば配偶者の年収に誤りがあった場合、配偶者控除・配偶者特別控除の控除額に変更が生じる可能性があります。
従業員本人の年収変更に疑問を感じる人もいるかもしれませんが、副業などをしていてその分が追加になった場合には年収が変わるので修正・訂正をしなければなりません。
年末調整の訂正・修正期限
年末調整の訂正・修正期限は、会社・企業にて源泉徴収票を発行するまでが一般的です。
源泉徴収票の発行は年末調整の手続き・申請が完了した後で行われる事務作業であり、発行後に訂正・修正をすると徴収票も再発行しなければなりません。
年末調整で発生した訂正・修正は、個人で行う確定申告でも可能です。源泉徴収票発行を目安として期限を設定するとよいでしょう。
まとめ
e-Taxでの年末調整の手続き方法などを解説しました。
e-Taxは国税に関連したさまざまな手続きが可能な電子システムであり、導入すれば年末調整の事務手続きも効率よく行うことが可能です。
しかしその一方で導入・運用するまでにはさまざまな事前準備が必要であり、メリットばかりとはいえません。
会社・企業の規模・従業員数などを考慮して導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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