【初心者向け】確定申告を1からわかりやすく解説

税金関連

確定申告は、所得税を納税するために欠かせない税金関連の手続きです。誤った金額を申請したり申告しなければならないのにしなかったりすると、罰金や罰則などが課せられる可能性があります。

しかしすべての人が確定申告を必要とするわけではありません。「一度も確定申告をしたことがない」という人も大勢いますが、この違いはどこにあるのでしょうか。

本記事では、確定申告全般について解説します。対象者やする必要がない人も紹介するので、参考にしてください。

確定申告とは

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に発生した所得の金額と、それに対して課せられる所得税を確定するための手続きです。

国税庁ではさらに「源泉徴収された税金・予定納税額などがある場合、確定申告で過不足を精算する」と明記されています。

そもそも所得税と源泉徴収とは、何なのでしょうか。また予定納税はどのような人が対象となるのか、気になる人もいるでしょう。

これらについてさらに詳しく掘り下げて解説します。

所得と収入の違い

確定申告の手続きをする際、必ず登場する言葉が「所得」と「収入」です。この2つの言葉の違いは、後述する「所得税と源泉徴収」や「予定納税の対象者」を開設するうえで重要なので理解しておかなければなりません。

収入とは、労働や納品した成果物などに対して発生した報酬のことです。たとえば自営業やフリーランスで仕事をしている場合、クライアントから支払われる代金が収入となります。

一方の所得とは、収入から経費を差し引いた金額のことです。

自営業やフリーランスで仕事をしている人は、光熱費や店舗の家賃など事業での支出が発生します。サラリーマンの場合は、通勤時に交通費やガソリン代が発生するでしょう。

このように、事業などで発生した支出(経費)分を収入から差し引いた金額が所得です。

そのため所得と収入の金額を比較した場合、所得のほうが少なくなります。

所得税と源泉徴収って何?

国税庁による所得税の定義は以下の通りです。

所得税は個人所得にかかる税金で、1年間の所得から控除分を差し引いた残りの所得に税率をかけて計算します
所得税のしくみ|国税庁

一部わかりやすく変更していますが、大まかには上記のようなことが書かれています。なお「個人所得」とは、収入から経費にあたる支出を差し引いた金額のことです。

一方の源泉徴収とは、会社・企業などが給与・賞与などから税金を差し引いて従業員の代わりに所得税を納税する制度のことです。

給与明細書の「所得税」の欄に金額が明記されていますが、源泉徴収された金額です。所属する会社・企業は従業員に給与や賞与から、その都度所得税として源泉徴収を行い、まとめて所得税を支払ってくれるので必要がありません。

▼所得税について詳しく知りたい方はこちら
所得税はいくらから発生する?税率や控除などをケース別に紹介

予定納税の対象者

予定納税とは、所得税額が一定の金額を超えると見込まれる人に対して所得税の前払いが可能になる制度です。

対象者は前年分として行った確定申告で納税額が15万円を超えた人で、対象になると税務署から6月の中頃にその旨の通知が届きます。

所得税は一括払いが原則ですが、15万円を超えると困難になることが予想されるため、納税者の負担軽減を目的としてこのような分割制度が設けられました。

なお、予定納税の対象者になるには以下の要件すべてに該当しなければなりません。

  • 前年所得に分離課税所得(山林所得や退職所得など)や一時所得が含まれない
  • 前年所得が外国税額控除の適用外
  • 前年の所得税が災害減免法の適用外
納税額が15万円を超えていても、上記すべてに該当しない場合は対象にはならないので注意してください。

確定申告の対象者

確定申告は収入があった人すべてが対象者になるわけではありません。

そこで確定申告が必要な人と不要な人にわけて、解説します。

自分で確定申告をする必要がある人

確定申告が必要な人は、以下の通りです。

  • 年間所得48万円以上の自営業・個人事業主
  • 給与所得2,000万円超
  • 不動産・株取引で所得がある人
  • 公的年金を一定額以上受け取っている人
  • 単発バイトをしている人

それぞれの対象者について解説するので、該当する人は参考にしてください。

年間所得が48万円以上の自営業や個人事業主

自営業や個人事業主を営んでいる人で、年間所得が48万円を超える場合は自分で確定申告をします。

なぜボーダーラインの金額が48万円なのか、不思議に思う人もいるかもしれません。その理由は確定申告や年末調整が必要な人は全員基礎控除が適用され、その最大控除額が48万円だからです。

基礎控除の金額は、納税者の合計所得額に応じて以下のように定められています。

納税者の合計所得額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円

(出典:No.1199 基礎控除|国税庁

48万円を超えると上記の基礎控除額を差し引いても課税対象となる所得額はプラスになるので、確定申告をしなければなりません。

なお自営業や個人事業主の場合、本業とは別に副業をしている人もいるでしょう。そのようなケースでは副業分も含めての年間所得が対象となります。

例えば本業とは別にアフィリエイトやオンライン講師などの仕事を副業で行った場合は、その分の報酬や収入も合算して考えてください。

給与所得が2000万円を超える人

会社員は所属する会社・企業で年末調整が行われるので、確定申告は不要と思っている人もいるかもしれません。

しかし年間の給与所得が2,000万円超の場合は、自分で行う必要があります。会社・企業で年末調整ができないからです。

国税庁でも「対象年中に確定した支払給与の金額が2,000万円を超える者については年末調整の対象にはならない」と明記しています。

年間給与所得2,000万円という金額は、給与所得控除や社会保険料控除を適用した後の金額ではありません。会社・企業から支給される給与の額面が超えるかどうかである点を間違えないでください。

会社・企業では年末調整で生命保険料や地震保険料の控除も適用して手続きが行われますが、対象外になるとこれらの手続きも自分でする必要があります。

さまざまな控除を適用して確定申告をすると、払い過ぎていた分が戻ってくる可能性もあるので正しく行いましょう。

不動産や株取引で所得がある人

不動産や株取引で所得があった人も、確定申告を自分でする必要があります。

不動産所得のパターンと計算式は以下の通りです。

不動産所得のパターン 計算式
家賃収入など 総収入金額-必要経費
譲渡所得 収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除-課税譲渡所得額

(出典:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)|国税庁No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

家賃収入として多い例としては、不動産投資でアパートやマンション経営を行った際に得られる家賃や、コインパーキング経営での駐車場代があげられます。不動産全体または一部を貸し付けて得られる収入は、すべて不動産所得です。

不動産譲渡所得は土地や家屋を売却して得られる収入ですが、事業用の土地・家屋は含みません。事業用の譲渡は事業所得や雑所得になり、譲渡所得とは別で考えなければなりません。ここでの不動産譲渡所得は個人所有のものに限られている点に注意してください。

また株・FXなどで利益を得た場合は、確定申告が必要になる可能性があります。

株などの取引を行う際、源泉徴収口座を利用している場合は自動的に所得税が源泉徴収されるので不要です。しかし、このような特殊な口座を使用していない場合は自分で行いましょう。

なおNISA口座での取引の場合は、税制優遇措置により120万円までの利益額なら不要です。

公的年金を一定額以上受け取っている人

公的年金を一定以上受け取っている人は、自分で確定申告します。その理由は公的年金が「雑所得」に分類され、課税対象になるからです。

「雑所得」に分類される公的年金には、主に以下のようなものがあります。

  • 国民年金
  • 厚生年金
  • 企業年金
  • 国民年金基金
  • iDeCo

上記の公的年金で年間400万円の収入がある場合は、確定申告が必要です。

また年間400万円を受け取っていなくても、別にパートや配当金などで年間所得が20万円を超える場合も「雑所得」に分類されるため、確定申告をしてください。

公的年金はその性質から不要と考える人もいますが、年間400万円または副収入で年間所得20万円を超える場合は忘れず確定申告を行いましょう。

単発バイトをしている人

単発バイトをしている人で、以下の条件に当てはまる人は確定申告が必要です。

  • 雇用契約を締結していて年収103万円超で源泉徴収なし
  • 雇用契約を締結していて年収103万円超で複数から源泉徴収あり
  • 業務委託契約を締結していて年末調整給与とは別に雑所得20万円超
  • 業務委託契約を締結していて雑所得のみで受け取っている

雇用契約締結済みの場合、源泉徴収なしで年収103万円を超えている場合は、原則として確定申告が必要になります。

また雇用契約締結済みで源泉徴収ありの年収103万円超であっても、複数から源泉徴収されている場合は、納税額を合計して確定申告してください。

業務委託契約で年末調整給与とは別に雑所得が20万円超の場合は確定申告が必要です。

さらに業務委託契約を締結していて報酬が給与ではなく雑所得の場合も、その所得が48万円を超えていれば確定申告をしましょう。

確定申告をする必要がない人

確定申告をする必要がない人は、以下の通りです。

  • 年末調整を受けた人
  • 所得が48万円以下の人
  • 副業・不動産・株取引での所得が20万円以下の人
  • 公的年金の受給額が400万円以下の人

それぞれのパターンについてみていきましょう。

年末調整を受けた人

会社・企業に所属して給与を受け取っている人は、勤務先で確定申告の代わりとなる年末調整を行います。

年末調整とは、会社・企業が所得税の過不足を生産する手続きのことです。給与からはその支払いごとに所得税が差し引かれていますが、仮の金額なので過不足が出る可能性は高いといえます。その調整をして正しく所得税の申告を行うのが、年末調整です。

確定申告は1年間の所得を正しく申告して負担する所得税を確定させるための手続きですが、年末調整も「正しい所得税の納税額を確定させる」という意味では同様のことを行っています。

そのため、1年間で得た所得が所属する会社・企業からの給与のみで必要書類を提出して年末調整をしてもらった人は必要ありません。

ただし会社・企業での年末調整の期限までに必要書類を提出できずにしてもらっていない人は、自分で手続きをしなければならないので注意してください。

所得が48万円以下の人

所得が48万円以下の人が確定申告の対象外なのは、48万円という金額が基礎控除の最大額だからです。

所得税負担者は自動的に基礎控除が適用されますが、その最大の金額は年間所得が2,400万円以下の場合の48万円であり、この金額を下回れば申告すべき所得額は0円になるので必要ありません。

ただし、所得が48万円を超えても結果的に申告すべき所得金額が0円になるので不要になるケースもあります。

例えば配偶者や扶養家族がいる場合は、それらに対応した控除が適用されるので年間の所得額から差し引かなくてはいけません。配偶者控除の最大控除額は38万円、扶養控除の最大控除額は58万円であることから、仮に所得額が48万円を超えていてもこれらが適用されれば確定申告は不要です。

年間所得48万円という金額はあくまで基礎控除額のボーダーラインであり、それ以外に適用する控除制度があれば金額を超えても不要になるケースがある点に注意してください。

副業や不動産収入、株取引での所得が20万円以下の人

副業・不動産・株取引で所得があった場合のボーダーラインは20万円ですが、その理由は「給与・退職所得以外の所得合計金額が20万円を超える人は確定申告が必要」と国税庁のホームページで明記されているからです。

これは言い換えるなら「20万円を超えない場合は不要」という見方もできるため、このボーダーラインを超えなければ確定申告は必要ありません。

例えば本業とは別にアフィリエイトやクラウドソーシングを利用した副業をしていても、経費を差し引いた所得がボーダーライン以下なら不要です。

また不動産・株取引の年間所得も同様のことがいえますが、それぞれの収入・所得の対象として主に以下のようなものがあげられます。

不動産所得 ・所有しているマンションやアパートの家賃
・賃貸物件の更新料
・返還不要な敷金
・駐車場の貸付使用料
・地上権の貸付
・船舶や航空機の貸付代金
株取引所得 ・株式の譲渡益
・株式の配当金
・FXの為替差益

 

不動産・株取引を行っている場合、上記のような利益の合計所得金額が20万円を超えなければ確定申告はしなくても良いですが、1円でも超えた場合は忘れず行ってください。

公的年金の受給額が400万円以下の人

公的年金の受給額が400万円以下の人が確定申告対象外なのは、国税庁で規定されているからです。

国税庁のホームページには、「公的年金など(全額源泉徴収対象となる場合に限る)の収入額が400万円以下の場合は確定申告付与制度の対象」と明記されています。

受給額がボーダーラインを超えているか否かは、毎年1月頃に日本年金機構から送られてくる「公的年金等源泉徴収票」で確認可能です。

支払金額欄は受け取った金額にあたり、この金額がボーダーライン以下なら確定申告対象外なので行う必要はありません。

ただし公的年金の受給額がボーダーライン以下であっても、源泉徴収対象外であったり、別収入として20万円を超える所得があった場合は確定申告の対象になるので注意してください。

確定申告することでオトクになる人

年間所得額によって確定申告をしなくても良い人はいますが、行うことでお得になる人もいます。

  • 事業赤字の人
  • 年途中の退職者
  • アルバイト先などでの源泉徴収あり
  • 医療費10万円超
  • 寄附やふるさと納税をした人
  • 住宅ローンあり
  • 災害や泥棒などの損害にあった人

上記はたとえ年間所得額がボーダーライン以下であっても確定申告をしたほうが良い人の例です。

なぜ行ったほうが良いのか、詳しくみていきましょう。

事業で赤字が出た人

本来なら事業赤字が出た場合、所得はゼロになるので所得税も発生しないことから確定申告は必要ありません。

しかし申告することでお得になるケースがあります。それは受け取った報酬や収入のなかに、源泉徴収済みのものが含まれている場合です。

弁護士のような特定の資格を持った人への報酬・原稿料などは源泉徴収の対象であり、支払われる前に所得税が差し引かれています。

事業の年間所得が赤字だった場合、課税対象額が0円であることから所得税の支払いは発生しないはずです。これは言い換えるなら、先払いしていた所得税も支払の義務が発生しないことになります。

このような源泉徴収で前払いしていた所得税は、確定申告を行わなければ戻ってきません。そのため、事業で赤字が出ていても受取済の報酬のなかに源泉徴収されたものが含まれている場合は、支払済の所得税を還付してもらうために申告を行ったほうが良いといえます。

年の途中で退職した人

年の途中で退職した人は、所属していた会社・企業で年末調整を受けられないことから、たとえ所得額がボーダーライン以下であっても確定申告をしておいたほうが良いでしょう。その理由は、所得税などを納めすぎている可能性があるからです。

会社・企業は給与を支払う際に所得税を源泉徴収していますが、この金額はあくまで目安であり、本来納めるべき正しい税額ではありません。その過不足を調整するために行うのが、年末調整です。

年途中での退職後に再就職をしなかった場合は年末調整が受けられず、本来の納税額以上の金額を納めすぎているかもしれません。しかし納めすぎている分は確定申告での還付金でしか受け取れないので、行ったほうが良いでしょう。

なお国税庁も「中途退職で年末調整を受けていないとき」にて、「中途退職したまま再就職をしない場合は所得税及び復興特別所得税が納めすぎたままの状態になるので、確定申告をして解消してください」と推奨しています。

退職した翌年から5年以内なら申告して還付が受けられるので、必要な書類をそろえて申告しましょう。

アルバイト先などで源泉徴収されている人

アルバイト先で源泉徴収されている場合は、自分で確定申告を行ったほうが良いでしょう。アルバイト・パートなどの給与所得者は、勤務先で年末調整をしてもらえない可能性があるからです。

例えば単発や日雇いのアルバイトの場合、月額給料が8.8万円を超えると企業・会社側は所得税を徴収しなければなりません。しかし正社員のように組織に継続して所属するわけではないので、年末調整が行われないケースが多いでしょう。

アルバイトで年収103万円を超えなかった場合は所得税の支払い義務が発生しませんが、源泉徴収された所得税は差し引かれたままの状態になります。言い換えるなら払い過ぎていることになり、確定申告をしなければ還付金として戻ってきません。

このようにアルバイト先などで源泉徴収されている人は、払い過ぎている可能性があります。確定申告をすることで戻って来る確率が高いので、行ったほうが良いでしょう。

医療費が10万円を超えた人

医療費が10万円を超えた場合は、医療費控除が受けられます。

医療費控除とは、本人だけではなく家族の分も含めて年間の負担額が一定の金額を超えると税務署に確定申告をすることで税金が還付される制度です。

医療費控除の対象となる金額は、国税庁で以下のように定められています。

要件 補足事項
保険金などで補填される金額 ・生命保険で支給される入院給付金
・健康保険などで支給される高額医療費・家族療養費・出産一時金
など
10万円 その年の合計所得金額が200万円以下の場合は、合計所得金額の5%

(出典:No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)|国税庁

なお、上記とは別に特例として「セルフメディケーション税制」もあり、こちらは年間8.8万円を限度に1.2万円を超える分について控除の対象です。

これらは確定申告をしなければ還付されないので、対象となる場合は忘れず行いましょう。

寄付やふるさと納税をした人

寄附やふるさと納税をした人は寄付金控除の対象となり、確定申告を行うことで所得税が還付される可能性があります。

ふるさと納税を含む寄附金の控除には所得控除の制度である「寄付金控除」と、税額控除の制度である「寄附金特別控除」の2種類がありますが、いずれも適用を受けるためには確定申告書の提出が必要です。

返礼品目当てでふるさと納税をする人が増加傾向にありますが、所得額が申告条件に満たないからといって放置すると、還付されるはずの所得税がそのままの状態になる可能性があります。

年間所得総額が条件以下であったとしても、ふるさと納税などの寄付を行った場合は確定申告を行いましょう。

住宅ローンを組んだ人

住宅ローンを組んだ場合、「住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)」が受けられますが、適用には以下のような条件が設けられています。

  • 初年度は必要書類を確定申告書に添付して提出
  • 給与所得者は2年目以降について、年末調整で控除の適用が可能

給与所得者に限り2年目以降は、所属する会社・企業で申告・手続きを行ってもらえますが、初年分やそれ以外の場合は確定申告が必要です。

控除を受けたい場合は、忘れず期間内に申告を行ってください。

災害や事故、泥棒で資産に損害があった人

災害・事故・泥棒などで資産に損害があった場合は、雑損控除の対象になります。

損害の対象となるのは以下の通りです。

損害の対象資産 ・納税者の所有資産
・納税者と生計を同一にする配偶者やその親族のなかで、その年の総所得額が48万円以下の人の所有資産
・「棚卸資産」「事業用固定資産」「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産
損害の原因 ・震災、風水害、例外、雪害、落雷などの自然現象
・火災、火薬類の爆発など人為的な異常災害
・害虫などの生物による災害
・盗難
・横領

(参考:No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)|国税庁

上記の条件を満たす場合は雑損控除が適用できますが、確定申告書に雑損控除に関する事項の記載と災害などに関した支出金額がわかる書類を添付して提出しなければなりません。

なお「損害の原因」に詐欺・恐喝は含まれておらず、控除対象外なので注意してください。

確定申告の流れ

初めて確定申告をする際には、期限や手続き方法がわからない人もいるでしょう。

そこで期間・確定申告の種類・所得税の算出方法・手続きなどを順番に解説します。これから確定申告をしなければならない人や、必要になりそうな人はぜひ参考にしてください。

期間は毎年2月16日~3月15日

確定申告の期間は、毎年2月16日〜3月15日の1カ月間が原則です。

ただし、2月16日や3月15日が土曜日・日曜日・祝休日にあたる場合はその次の月曜日になります。

例えば2月16日が土曜日だった場合、確定申告受付開始日は次の月曜日の2月18日になりますが、最終日が平日だった場合は延長されることはなく3月15日のままです。

反対に3月15日が土曜日だった場合、最終日は次の月曜日の3月18日まで延長されますが、受付開始日が平日の場合は2月16日のままで変更はありません。

この期間は過少申告をしていた際の訂正申告も、同じ期間内に行う必要があります

一方の還付申告は例外であり、申告可能日から5年以内であればいつでも申請して還付が受けられ、3月15日という縛りはありません。

確定申告の種類

確定申告の種類は以下の2つです。

  • 青色申告
  • 白色申告

これらはそれぞれ内容などが異なるので、詳しくみていきましょう。

特別控除が受けられる「青色申告」

青色申告は国税庁が定める一定の水準で記帳を行い、その記録に基づいて申告する制度のことです。

青色申告を行うことで以下のようなメリットが得られます。

  • 所得金額から最大65万円の控除が受けられる
  • 配偶者などに支払う給与を経費計上できる
  • 赤字分を前年への繰戻や3年間の繰越ができる
  • 貸倒引当金が計上できる
  • 少額減価償却資産の特例が適用可能

青色申告に設定されている控除額は「10万円」「48万円」「65万円」の3種類で、年間所得額に応じて適用されます。「48万円」や「65万円」の青色申告特別控除を適用させる際には貸借対照表と損益計算書などの複式簿記の帳簿提出が必要ですが、所得額が大きくなればなるほどかかる税金も増えるので事業主にとってはメリットといえるでしょう。

なお「10万円」の青色申告特別控除を適用させる際には、簡易帳簿で良いとされているので複式簿記による帳簿の提出は必要ありません。

このようにメリットが多い青色申告ですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 事前申請が必要
  • 複式簿記による記帳が必要
  • 「65万円」の控除を受ける際にはe-tax申告または電子帳簿保存必須

青色申告で確定申告を行う際には、「青色申告承認申請書」に必要事項を記入して管轄する税務署に事前に提出しておかなければなりません。

後述する白色申告から青色申告へ変更する場合は該当年の3月15日まで、新たに開業した場合は開業から2カ月以内に提出しましょう。

申告がシンプルな「白色申告」

白色申告は、青色申告に比べて申告の際に必要な経理作業がシンプルな制度です。

以前の白色申告は、事業所得300万円以下に限り帳簿が義務付けられていませんでした。しかしその後の税制改正で2014年からは白色申告者にも帳簿の記帳と保存が義務付けられており、帳簿処理が不要というメリットはありません。

白色申告の主なメリットとデメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・帳簿方法が単式簿記
・申請手続きが不要
・特別控除なし
・赤字繰越不可
・配偶者などに支払う給与は一部のみ計上可能

 

白色申告にメリットと呼べるものはほとんどなく、むしろ青色申告のような特別控除がない点でデメリットのほうが大きいといえるかもしれません。

所得税の算出

所得税の算出方法をみていきましょう。

使用する主な計算式は以下の通りです。

所得税 課税所得金額×税率-控除額
復興特別所得税 所得税×2.1%

 

最初に1月1日〜12月31日までの収入を計算します。収入としては、事業収益・給与・不動産や株式利益などがあげられるでしょう。

次に年間収入から経費や所得控除などを差し引いて課税所得金額を算出します。

課税所得金額が計算できたら上記一覧の「所得税」の計算式に、それぞれ対応する税率と控除額を当てはめて計算しましょう。

なお課税所得金額に対応する税率や控除額は「No.2260 所得税の税率|国税庁」に一覧表として掲載されているので、確認してください。

手続き方法

確定申告の手続き方法をみていきましょう。

準備するもの

申告時に準備するものは以下の通りです。

準備する書類
確定申告書 ・青色申告書
・白色申告書
本人確認書類 ・マイナンバーカード
・運転免許証
・健康保険証
・パスポート
・在留カード
など
所得金額がわかるもの ・収支内訳書
・青色申告決算書
・株取引の年間取引計算書
など
控除申請に必要な書類 ・雑損控除:災害支出がわかるもの
・医療費控除:医療通知書等
・寄付金控除:寄付金額を証明できるもの
など

なお青色申告を行う場合は、確定申告書以外に以下の書類も添付しなければなりません。

55万円・65万円控除 10万円控除
・貸借対照表
・損益計算書
・確定申告書 第三表(必要に応じて)
・確定申告書 第四表(必要に応じて)
・損益計算書
・確定申告書 第三表(必要に応じて)
・確定申告書 第四表(必要に応じて)

 

確定申告書の作成

確定申告書の作成方法としては、以下のようなものがあげられます。

  • 手書き
  • 確定申告書等作成コーナー
  • 確定申告ソフト
  • 確定申告作成一体型の会計ソフト
  • 税理士に依頼

手書きをする場合は、税務署に依頼すれば申請書類一式が手に入るので最寄りの税務署へ行くまたは郵送を依頼しましょう。

確定申告書等作成コーナーは国税庁が運営するシステムであり、手順に沿って入力すれば作成から提出・申請まで一括で行えます。

確定申告ソフトや一体型の会計ソフトも同様に手順に沿って必要事項を入力すれば、完成された状態の申告書類が表示されるので、これを印刷して郵送または持参しましょう。

なお税理士に依頼することも可能ですが、この場合は料金が発生する点に注意してください。

確定申告の提出

確定申告の提出方法は以下の通りです。

  • e-tax
  • 窓口持参
  • 郵送

e-taxはインターネット上で提出するシステムであり、「確定申告書等作成コーナー」で作成した申請書類も簡単な操作で送信できます。ただしパソコンやインターネットなどの環境を整えなければならない点に注意してください。

近くに管轄する税務署がある場合は、直接持参することも可能です。税務署によっては開庁後に提出BOXが設置されるところもあるので、そこに投函しておくと良いでしょう。

インターネットなどの環境がなく、近くに税務署がない場合は郵送してください。なお、郵送の場合は3月15日の消印も期限内提出として認めてもらえます。

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしなかった場合、以下のような罰則やペナルティがあるので注意してください

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 控除が受けられなくなる可能性あり

それぞれの罰則やペナルティをみていきましょう。

無申告加算税が課税される

無申告加算税とは、期限内に確定申告を行わなかった場合に課せられるペナルティ税のことです。

課税要件 税率
・期限までに確定申告が必要であるにもかかわらず無申告
・法定期限後の申告
・法定期限後の修正や更正
・所得金額の決定を受けた
・自ら申告した場合:5%
・50万円以下:15%
・50万円超300万円以下:20%
・300万円超:30%

 

税務署から要件に該当すると判断されれば、その金額に応じた税率分の無申告加算税が課税されます。
確定申告が必要な場合は、必ず期限内に行いましょう。

延滞税が課税される

延滞税は、3月15日までに所得税を完納していない場合に課せられる税金です。

延滞税の税率は、納付期限の翌日を起算日として完納日までの日数によって異なります。

完納日数 税率
納付期限の翌日を起算日として2カ月以内 年率7.3%
納付期限の翌日を起算日として2カ月超 年率14.6%

 

2カ月を超えると税率が倍になるので、早めに完納したほうが良いでしょう。

控除を受けられない

確定申告をしなかった場合、以下のような控除は受けられません。

  • 雑損控除
  • 医療費控除
  • 寄付金控除(ふるさと納税含む)
  • 住宅借入金控除(住宅ローン控除)

これらは確定申告が控除適用の前提となっているからです。

申告しなければ控除は適用されないので、仮に還付金があっても戻って来ることはありません。

▼こちらの記事でも詳しく解説しています。
確定申告を忘れたらどうなる?その影響と正しい対応策を解説

まとめ

確定申告について解説しました。

確定申告は所得税額を確定させるための重要な手続きですが、納めすぎていた場合には還付される可能性もあります。

また申告忘れは重いペナルティの対象にもなりますので、申告が必要か不要か確認してください。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/倉田 裕貴
SOKKIN MATCH事業責任者:倉田裕貴 株式会社SOKKIN 人材事業責任者

株式会社サイバーエージェント、シニアアカウントプレイヤーとして大手企業のコンサルに従事。WEB・アプリ問わず、運用ディレクションをメインに幅広い業種のお客様の課題へ対応してきた実績を持つ。2022年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN MATCH事業責任者に従事。

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