経費とは?必要経費になる税金や費用、注意点など徹底解説!

経費

 

節税対策のひとつとして用いられることも多い経費だけど、そもそも経費とはどういうものなんだろう?

実は経費にはできるものとできないものがあり、できないものを計上してしまうとペナルティが科せられることもあります。正しい知識を持って計上しなければ、節税対策のつもりが追加で税金を支払うことになるかもしれません。

本記事では、経費にできるものとできないものや計上する際の注意点などを解説します。経費についての知識を深めたい、必要経費になる税金や注意点などを知りたいと思っている人はぜひ参考にしてください。

経費ってなに?

納税額の計算や節税対策をする際に必ず出てくる経費ですが、そもそもこれはどういうものなのでしょう。「言葉を聞いたことがあるけれど、詳しく説明できない」と感じている人もいるかもしれません。

経費とは、簡単に説明すると事業などで収入を得る際に使ったお金のことです。種類などについては後述しますが、収入を得るためにはさまざまなシチュエーションでお金を使います。使ったお金は用途によって呼び方が変わりますが、それらをひとまとめにして表現したものが経費です。

さらに詳しく経費について確認して、知識を深めていきましょう。

「経費で落とす」と課税対象が減る

税金や節税の際に「経費で落とす」という言い方をしますが、経費で落とすと課税対象が減少します。その理由は所得税・住民税などの税金は、1年間で得た収入の総額から経費を差し引いた金額に対して課せられるからです。

例えば所得税の納税額は、以下の手順で行います。

手順
計算する金額
計算式
1 年間所得額 年間総収入額-当該年の経費の総額
2 課税所得額 年間所得額-所得控除の総額
3 所得税額 課税所得額×税率-控除額
4 基準所得税額 所得税額-税額控除の総額
5 復興特別所得税額 基準所得税額×2.1%
6 所得税の納税額 基準所得税額+復興特別所得税額

復興特別所得税は東日本大震災の復興を目的とした税金であり、2037年まで所得税に加算される予定です。

上記一覧表から「3」の所得税額を算出する際には経費を差し引いた金額を基準とするため、経費の総額が多ければ多いほど課税対象は減少します。

なお法人の場合と個人事業主の場合では経費の範囲が以下のように異なり、同一ではありません。
区分
経費の範囲
法人 ・従業員立替の精算分
・会社として支払ったもの
個人事業主・自営業 ・基本は事業主が支払ったもの
・従業員がいる場合は立替精算分
法人の場合は会社単位で認識されるため、会社として支払ったもの以外に従業員がいったん立て替えた金額の精算分も経費として計上可能です。

一方の個人事業主・自営業の場合は、基本的には事業主が支払ったものに限られます。しかし従業員がいる場合は、法人同様に立替精算分も経費として認められるので忘れず計上しましょう。

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経費に上限額はない!

事業としての収入を得るために支出した経費については、上限額がありません。事業収入に関連した経費であれば無制限に計上できるので、以下のようなケースもあるでしょう。

  • 年間総収入:10万円
  • 年間の総経費額:15万円

上記の場合の課税所得額は5万円の赤字です。所得税は年間課税所得額に対して発生するものであり、一定の所得があった場合に納税額分を支払わなければなりません。上記のような条件下のもとで所得額を算出した結果が赤字だった場合、原則として所得税は0円です。

また課税所得額がプラスであったとしても、所得控除などの適用で結果的に納税額が発生しないこともあります。収入から経費を差し引いた金額がマイナスの場合は所得税の納税義務は発生しませんが、プラスであったとしても控除制度の適用で最終的に0円になることもあるので覚えておくと良いでしょう。

必要経費の指標

つまり、経費に上限はなくてどんなものでも計上できるってことだね!

実は、どのようなものでも経費として計上して良いわけではありません。国税庁のホームページでは、必要経費の概要を以下のように定めています。

  1. 総収入額に対する売上原価やその収入を得るための直接的な費用額
  2. 当該年の販売費、一般管理費、その他業務上必要と認められる費用額

参考:No.2210 必要経費の知識|国税庁

その支出が事業としての収入を得るために必要だったと認められれば、経費計上が可能です。

例えば取引先と昼食をともにし、その代金を支払ったとしましょう。昼食は取引先と今後も良好な関係性を築いていくためのものであり、事業の売上に関係するので会議費として経費計上できます。

一方で完全在宅ワークの個人事業主が、健康維持のためにジム通いを始めたとしましょう。健康管理は仕事をするうえで重要なことであり、一見売上に関係していると感じるかもしれません。しかし健康維持の方法はほかにも多数あり、事業収入を得るためのジム通いの必要性は薄いでしょう。そのため、ジムに支払う利用料・年会費といったすべての支出は経費計上できません。

経費計上できる費用・税金

経費として計上できる主な費用・税金は以下の通りです。

費用・税金
主な内容・例
人件費 ・従業員への給与や賞与や諸手当
・人材派遣会社への依頼料
など
消耗品費 ・事務用品(コピー用紙、文房具など)
・日用品(洗剤やトイレットペーパーなど)
・耐用年数1年未満または購入価格10万円以下の備品
など
接待交際費 ・1人あたり1万円超の会食費用
・取引先への慶弔費用(お歳暮、ご祝儀など)
・取引先との旅行やイベント
・接待時のタクシー代
など
旅費交通費 出張費 レンタカー代、宿泊費、出張手当など
転居費用 引越費用、運搬費用など
交通費 通勤用の定期代やバス代、通勤手当
移動費 駐車場代、タクシー代など
(法定外)福利厚生費 ・従業員の健康診断費用
・社員旅行
・従業員への慶弔見舞金
・従業員用のお茶やコーヒー代
など
法定福利費 ・社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)
・労災保険料(会社負担分)
・子ども・子育て拠出金
など
研究開発費 ・研究開発目的の人件費
・原材料費
・設備費
など
新聞図書費 ・新聞購読料
・専門書購入費
・資格試験用の参考書や問題集の購入費
・メールマガジン購読料
・統計資料代
など
通信費 ・インターネット料金
・プロバイダ料金
・電話料
・テレビや有線放送の料金
・郵便代や切手代
など
広告宣伝費 ・インターネット広告料
・媒体利用料(新聞、雑誌、テレビなど)
・チラシ、ポスター、ノベルティなどの制作費用
・キャンペーン用のWebページ制作運用費
・自サイトやSNSの制作運用費
・求人広告の制作掲載費
など
地代家賃 ・事務所の家賃
・共益費
・月極駐車場使用料
・事業用の土地使用料
など
減価償却費 ・耐用年数1年以上または取得価額10万円以上のもの
・建物や建物付属設備
・機械装置
・器具備品
・車両運搬具
など
修繕費 ・3年以内周期の修理や改善またはその費用が20万円未満
・費用が60万円未満または取得価額の10%以下相当
支払手数料 ・銀行の振込手数料
・代引き手数料
・証明書の発行手数料
・為替手数料
・不動産関連の仲介手数料
・登録手数料
・解約手数料
など
租税公課 次の項目で詳しく解説
水道光熱費 ・水道代
・ガス代
・電気代
など
※会社経営において使用されるものに限る

 

租税公課については次の項目で解説するので、そちらもあわせて参考にしてください。

租税公課

租税公課のなかで経費計上できるものを確認していきましょう。

税金
内容
事業税 法人事業税 ・事業活動において利用している行政サービスの必要経費
・付加価値割、資本割、所得割、収入割の4種類
個人事業税 ・行政サービスの経費負担分
・法人の個人版
固定資産税 ・土地:田畑、山林、牧場など
・建物:店舗、工場、倉庫、発電所など
・償却資産:飛行機、船舶、車両運搬具、パソコン、工具など
※事業用として利用しているものに限る
自動車税 ・事業で使用する社用車のみ
・法人だけではなく、個人事業主も計上可能
不動産取得税 ・土地や建物などの不動産の取得に対する地方税
・有償や無償、登記有無にかかわらず課税
・経費計上は納税通知書が届いた時点
・事業用の不動産のみ計上可能
登録免許税 ・登録することで権利が発生する資産(特許権、鉱業権など)
・業務用に登録が必要な資産(自動車、船舶など)
・不動産登記
印紙税 ・収入印紙を使用した場合は租税公課として計上
・購入のみの場合は「貯蔵品」として計上
会費・組合費・賦課金など 商工会議所、組合、商店会などへ支払うもの

租税公課は国・地方自治体に納める税金・会費・罰金のことで、税込経理方式を用いている場合にのみ使用できる勘定科目です。

さまざまな商品・サービスに課税される消費税も国・地方自治体に納める税金であることから租税公課に該当しますが、この場合も税込経理方式で処理していなければ計上できません。

経費計上できない費用・税金

経費に計上できるものは無制限ではなく、認められていないものもあります。

費用・税金
内容
費用 社会保険料 事業主本人または家族分は計上不可
未使用品 未使用の事務用品や消耗品は資産(貯蔵品)として計上
仕入原価(販売前) 販売前の商品については資産として計上
事業とは無関係 個人的な出費や費用(家族旅行や個人的な飲食代など)
罰金・科料 ・政策的見地の取り扱い(罰金で税金が減少するのは不当)
・駐車違反の罰金など
税金 所得税 ・所得に対してかかる税金
・個人と法人ともに計上不可
住民税 ・行政サービスなどに必要な経費
・所得に対してかかる税金
・個人と法人ともに計上不可
相続税 ・故人から財産を受け継いだ場合にかかる税金
・事業に関係なく個人的に取得した財産に課税されるもの
贈与税 ・個人から財産を贈与された場合にかかる税金
・事業に関係なく個人的に取得した財産に課税されるもの
延滞税 ・期限までに税金が納付されない場合にかかる税金
・納期延長や社会保険料滞納などの場合は計上可能

原則として、「個人的な出費」「所得にかかる税金」「罰則によるもの」については経費計上できません。

ただし、納期限延長で発生する利子税・延滞金は経費計上が可能です。
また社会保険料の延滞金は税法上のものではないため、経費として計上できます。

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経費計上で気を付けること

計上できる経費額に上限は設けられていませんが、以下のような点には注意しなければなりません。

  • 不正計上
  • 書類保管
  • 家族への給与
  • 按分計算
  • 勘定科目
  • 会計上の赤字

なぜ上記の点において注意しなければならないのか、詳しく確認していきましょう。

税金を抑えるために不正計上しない

節税対策の一環として経費を用いることが多くありますが、納税額を抑えるために不正計上してはいけません。

特にありがちなものが、プライベートな支出を経費として計上するケースです。経費は事業収益に関連するものが前提となっており、それ以外のものはすべてプライベートの支出と判断されます。

税金を抑えたいと考えて計上した結果、プライベートな支出も含めてしまう行為はありがちですが、税務署から注意・指導を受けてペナルティが科せられるかもしれません。

事業と個人的なものは明確に分けて考えましょう。

経費であることを証明する書類は保管しておく

経費であることを証明する書類は、以下の期間まで保管しておかなければなりません。

区分
保存期間
法人・青色申告者 7年間
白色申告者 5年間
繰越欠損金控除を受ける場合 10年間
繰越欠損金控除とは、過去10年以内の赤字額を利益から差し引くことが認められている制度です。この控除制度を受ける場合は、経費関連の書類は10年間保存しなければならないので注意してください。

家族への給与は経費にならない

原則として、家族に支払う給与は経費として計上できません。ただし、以下の条件を満たすことで計上可能です。

要件
青色申告者
・「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に事前提出

・従事期間が6カ月超

白色申告者
・事業主の配偶者の場合は86万円または控除前事業所得の金額を事業専従者の人数+1で割った金額のうち低い金額

・その他の親族の場合は1人につき50万円または控除前事業所得の金額を事業専従者の人数+1で割った金額のうち低い金額

参照:No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除|国税庁

白色申告者の場合は、経費計上可能な要件が厳しいうえに上限額も設けられている点に注意してください。

事業と個人とで兼用なものは按分計算する

事業と個人で兼用しているものは按分計算しなければなりません。

例えば自宅の一部を事務所として使用している場合、固定資産税や家賃、水道光熱費や通信費は按分計算して事業用として利用している割合のみ経費計上が可能です。

そのほかにも事業兼私用の自動車についても、自動車税やガソリン代などは按分すれば計上できます。

詳しい按分の仕方については後述するので、そちらもあわせて参考にしてください。

勘定科目の変更をしない

勘定科目は途中で変更しないようにしましょう。

経理事務を行ううえで独自の勘定科目を作成することがありますが、ルールが定められているわけではないので、このような行為は特に禁止されていません。

しかし途中で勘定科目を変更してしまうと、税務調査などが入ったときに確認作業が困難になる可能性があります。

例えばインターネットの利用料を経費として計上する際には、「インターネット利用料」「プロバイダ使用料」といった勘定科目が考えられるでしょう。どちらも誤りではなく、わかりやすいものを利用して問題ありません。
ただし1月は「インターネット利用料」で計上し、2月は「プロバイダ使用料」で計上すると年度末の決算事務などを行う際に計上漏れが起こる可能性があります。

一度決めた勘定科目は固定して使用し続けるようにしましょう。

会計上の赤字になる

経費を計上しすぎると、会計上の収益が減少して赤字になる可能性が高まります。

青色申告の個人事業主の場合、赤字になると翌年以降にその分を繰り越せるので節税対策になるかもしれません。

しかし法人などで金融機関から借入を行っていると赤字は印象が悪くなり、融資を打ち切られる可能性があります。今後金融機関への借入を考えている場合は、拒否されるリスクが高まるので注意してください。

不正計上のペナルティ

前述で不正計上はペナルティが科せられる可能性があると解説しました。その具体的なペナルティは、以下の4つです。

  • 重加算税
  • 無申告加算税
  • 過少申告加算税
  • 不納付加算税

上記4つのペナルティとともに、最悪罪に問われる可能性がある点も含めて解説します。

重加算税

重加算税とは、国税通則法第68条1項に定められているペナルティのひとつです。以降に解説する3つを含めた4つのペナルティのなかでも最も重い内容となっており、課税要件は以下のように定められています。

課税要件
主なケース
・課税内容の隠ぺいや仮装
・帳簿の改ざん
・申告の虚偽
・意図的な売上未計上
・経費の水増し計上
・架空の支払や取引の計上
・過少計上

 

また、増差本税に対する課税割合は、以下の通りです。

代わる附帯税
税率
過少申告加算税・不納付加算税 35%
無申告加算税 40%
例えば過少申告加算税の対象となる要件であったとしても、悪質と判断された場合は35%の重加算税が適用されます。
ただし、以下の要件に当てはまる場合はさらに10%加算対象です。
  • 過去5年以内に無申告加算税または重加算税を課せられたことがある場合
  • 前年度及び前々年度の無申告加算税または無申告重加算税対象者が更なる無申告行為を行った場合
  • スキャナ保存された国税書類または電子取引事項で仮装隠ぺいがあった場合の申告漏れ

40%の重加算税を課せられた人が、過去5年以内に無申告課税を科せられたことがあれば重加算税は40%ではなく、10%を加算した50%で計算します。

無申告加算税

無申告課税とは、2月16日から3月15日までの確定申告期間に所得額や納税額を申告しなかった場合に課せられるペナルティ税です。

具体的な課税要件は、以下のように定められています。

  • 法定期限までに無申告
  • 期限後申告
  • 期限後申告で修正・更正発生
  • 所得金額の決定を受けたにもかかわらず申告期限までに未修正

増差本税に対する課税税率は以下の通りです。

増差本税金額
税率
50万円以下 15%
50万円超300万円以下の部分 20%
300万円超の部分 30%
国外財産調書・財産債務調書を提出している場合は5%軽減されますが、以下の要件に当てはまる場合は税率がさらに加算されます。
  • 国外財産調書・財産債務調書提出無しは5%加算、国外財産関連資料の不提出等があった場合はさらに5%加算
  • 税務署からの帳簿の提示または提出要求に応じなかった場合は10%加算
  • 過去5年以内に無新加算税または重加算税を科せられたことがある場合は10%加算
  • 前年度及び前々年度の無申告加算税または無申告重加算税対象者が更なる無申告行為を行った場合は10%加算

一方で以下の要件を満たす場合は不適用または軽減対象です。

要件
不適用または軽減割合
・正当な理由あり
・決定申告期限から1カ月以内の期限後申告
不適用
更正または決定を予知しない修正申告や期限後申告 5%

出典:加算税の概要|財務省

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過少申告加算税

過少申告加算税とは、期限内申告で所得や税額を過少に申告したことが原因で修正申告・更正があった場合に課せられるペナルティです。

課税割合は以下の通りです。

要件
税率
原則 10%
増差税額が期限内申告税と50万円のいずれか多い金額を超える部分 15%

出典:加算税の概要|財務省

ただし以下の要件に当てはまる場合は不適用になります。

  • 正当な理由あり
  • 更正を予知しない修正申告
上記のいずれかが認められる場合は課せられません。

不納付加算税

不納付加算税は、源泉徴収税の支払遅延の場合に課せられる税金です。課税割合は10%ですが、以下の要件に当てはまる場合は不適用または軽減されます。

要件
不適用または軽減割合
・正当な理由あり
・法定納期限から1カ月以内の期限後納付
不適用
納税告知を予知しない納期限後の納付 5%

出典:加算税の概要|財務省

最悪の場合罪に問われる可能性も…

税務署や国税庁から悪質と判断された場合、前述したペナルティの課税だけではなく、罪に問われる可能性があるので注意してください。

例えば領収書などを偽造した場合には「有印私文書偽造罪」に問われ、3カ月以上5年以下の懲役刑が課せられます。

さらに悪質と判断されると詐欺罪に問われることもあり、その場合は10年以下の懲役刑です。

このように追徴課税のようなペナルティだけでは済まない場合もあるので、不正計上はやめましょう。

按分計算ってどうやるの?

「経費計上で気を付けること」の項目内で按分計算について触れました。

自宅で仕事などの事業を行う個人事業主の場合、自宅を作業場として使用することがあるでしょう。その場合、家賃・水道光熱費などは事業用とプライベート用と混在しています。

経費計上できるのは事業用の部分であり、プライベート分は含められません。しかし事業用として使用した分は経費として計上できるので、その分を計算するために行う方法が按分計算です。

「按分」ってなに?

按分とは、基準となる数字に比例した割合で割り振ることです。ビジネスや経理では費用などを振り分ける際に行われることが多く、経理事務などでは「按分」という表現が多く用いられます。

経費は前述で紹介した仕事とプライベートが混同している場合に行われ、一定の割合で家賃などを分けて事業用分のみ計上が可能です。

按分計算する際には、経費として明確な根拠が提示できるなどの要件が設けられていますが、その計算方法や割合は定められていません。

ただし一般的に用いられている割合や計算方法はあるので、後述で紹介します。

自宅兼事務所の場合

自宅兼事務所の場合、以下の勘定科目について按分計算が必要です。

  • 家賃
  • 水道光熱費と通信費

それぞれの按分計算を紹介するので、参考にしてください。

家賃の按分計算

家賃は全体のスペースから事務所として利用している割合を算出し、家賃にかけて事業分を計上します。

以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

条件
自宅全体:60平方メートル
事務所分:20平方メートル
家賃:12万円/月
事務所分の専有面積割合を算出 20平方メートル/60平方メートル=1/3
経費計上分(月額) 12万円×1/3=4万円

上記の計算から4万円は事務所の家賃分として経費計上できます。

水道光熱費・通信費の按分計算

水道光熱費・通信費は、専有面積だけではなく使用時間も考慮して計算しなければなりません。

家賃の按分計算で紹介した条件に、電気代の条件を追加してシミュレーションしてみましょう。

条件
自宅全体:60平方メートル
事務所分:20平方メートル
電気の使用時間:10時間/1日
自宅での仕事時間:8時間/1日
電気代:3万円/月
事務所の専有面積割合を算出 20平方メートル/60平方メートル=1/3
事務所分の電気代 3万円×1/3=1万円
事業で使用している電気代(月額) 1万円×8時間/10時間=8,000円
事業用の電気代は8,000円(月額)であり、水道光熱費の勘定項目を使用して経費計上します。

自動車が兼用の場合

自動車を事業とプライベートで兼用している場合、以下のような支出分は按分計算することで経費算入が可能です。

  • ガソリン代
  • 有料道路代
  • 自動車税
  • 自動車の減価償却費

有料道路代はプライベートと事業用とで利用目的が明確になるので、按分する必要はありません。事業用として有料道路を使用した際の領収書をまとめておきましょう。

ガソリン代は走行距離と使用日数の2通りの算出方法があります。

事業用またはプライベートのいずれかで使用した際の走行距離が明確な場合は、走行距離の割合で按分すると良いでしょう。
走行距離が明確ではない場合は、全体的な車の使用日数から事業用の日数の割合を算出して按分すると経費分がわかります。

まとめ

経費について解説しました。

経費は年間総収入額から直接差し引く金額であり、所得税などの税金は経費を差し引いた金額をベースにして算出するので、多くの経費を計上すれば税金の納税額は抑えられます。

しかし不正または過剰に計上すると税務署から指摘され、加算税などのペナルティが科せられるリスクが高まるので注意してください。

本記事では経費計上できるものとできないものも紹介しましたが、判断に迷う場合は税務署や税金の専門知識を有する人に相談して、正しく計上しましょう。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/坂口 綾太
SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括:坂口綾太 株式会社SOKKIN 執行役員

2019年に株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、歴代最速でシニアアカウントプランナーに昇格。人材・不動産業界マーケを経験し、株式会社サイバーエージェントTOP3顧客になる不動産企業様にて責任者を担当していた実績を持つ。2024年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括に従事。

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