贈与税の計算方法|税率や節税方法、課税制度について解説!

贈与税

相続税のことを考えて生前贈与をする人もいますが、その際には贈与税が課せられます。節税対策のために生前贈与をしているのにと思う人もいるかもしれません。その場合は贈与税の対象や課税方法などを知っておくと、税金が抑えられるでしょう。

本記事では贈与税の課税方法・税率・計算方法はもちろん、節税方法や延滞税も紹介します。贈与税について詳しく知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

贈与税とは?

贈与税とは、個人同士で財産の無償贈与を行った際に課せられる税金です

原則として1月1日〜12月31日までの1年間に行った無償贈与に対して課せられ、贈与を受けた側が毎年2月16日〜3月15日の間に実施される確定申告を行い、納付します

また贈与税には非課税となる枠組みが用意されており、その範囲内であれば納税義務が発生しません

贈与税の対象や対象外となる財産や非課税枠については後述するので、そちらを参考にしてください。

相続税とは違うの?

贈与税と混同されがちな税金として相続税がありますが、これら2つは別の税金です。

贈与税と相続税の大きな違いは財産を送る側が生存しているか否かで、贈与税は贈与する側が生存している場合に発生し、相続税は財産を送る側が故人である場合に課税されます。

また税率も贈与税よりも相続税のほうが高く設定されているなど、細かな部分に注目すると相違点は多数あり、2つの税金はまったくの別物であるといえるでしょう。

贈与税の対象

国税庁が定める贈与税課税対象の財産は以下の通りです。

財産の種類 内容
贈与財産 土地、家屋、立木、事業(農業)用財産、有価証券、家庭用財産、貴金属、宝石、絵画、骨とう品、預貯金、現金など
信託受益権 委託者以外を受益者とする場合
保険金 保険料負担者以外が受益者の場合
定期金受給権 掛金・保険料支払者以外が受給者の場合
低額譲渡 時価よりも安い価格で財産を取得した場合
債務免除 借金の肩代わりや免除をしてもらった場合
経済的利益 親族間での返済不要な借金、対価なしでの名義変更など
教育資金の残額 直系尊属から贈与された教育資金のうち、契約管理期間終了後の残高分
結婚・子育て資金の残額 直系尊属から贈与された結婚・子育て資金のうち契約管理期間終了後の残高分

参考:(3)贈与税の課税財産|国税庁

原則として財産所有者と受贈者の間に「あげる」「もらう」という意図のもとで取り交わされた契約上で授受されたものは、贈与税が発生します。

贈与税の対象ではない財産

授受契約のもとで贈与された財産には原則として贈与税が発生しますが、以下に掲げるものについてはかかりません。

財産の種類 内容
法人贈与 会社・事業として贈与を受けた場合(所得税の対象)
扶養義務者間での財産贈与 生活費や教育費など
公益目的とする事業用財産 宗教、慈善、学術など
特定の公益信託から受ける金品 ・学術に貢献するもの
・学術研究を推奨するもの
・学費の支給など
心身障害者共済制度に基づく受給権 地方公共団体が精神・身体に障害があるものに対して支給する給付金の受給権
選挙運動に関する金品 選挙委員会に報告されたもの
特定贈与財産 ・相続された年に贈与を受けた財産
・相続税の対象
社会通念で相当と認められるもの 香典や社交場の贈答品など
特定障害者扶養信託契約に基づく信託受益権 非課税の適用を受けているものに限る
住宅取得等の資金 非課税適用を受けているものに限る
教育資金を目的とした贈与 ・直系尊属からのみ
・管理契約期間中のみ
結婚・子育て資金を目的とした贈与 ・直系尊属からのみ
・管理契約期間中のみ

参考:(3)贈与税の課税財産|国税庁

原則として贈与税の趣旨にそぐわないと判断されたものは、非課税対象となります。

贈与税の計算方法

贈与税を実際に算出する際には、どのような手順で計算するのか気になる人もいるでしょう。

そこで以下の条件で実際に計算してみます。

全体のモデルケース 財産:3,000万円
基礎控除額 一律110万円
計算式 (財産の価格-基礎控除額)×税率-控除額

贈与税を算出する際の計算式は、上記一覧表の「計算式」の通りです。「税率」や「控除額」は特例と一般で異なり、金額によって段階的に定められています。

特例贈与財産の計算

特例贈与財産とは、「祖父母から孫」や「父子から子」といった直系尊属から贈与された財産のことですまた受贈者は成人していなければなりません

特例贈与財産の場合の税率と控除額は以下の通りです。

基礎控除後の
課税価格
200万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 4,500万円以下 4,500万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 30万円 90万円 190万円 265万円 415万円 640万円

出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与財産が3,000万円基礎控除額が110万円の場合の贈与税を計算してみましょう。

手順 計算
課税価格を算出 【計算式】課税価格=贈与財産-基礎控除額
3,000万円-110万円=2,890万円
贈与税を算出 【計算式】贈与税=課税価格×税率(45%)-控除額(265万円)
2,890万円×45%-265万円=1035.5万円

上記の計算手順から、特例贈与財産の場合の贈与税は1035.5万円と算出されます。

一般贈与財産の計算

一般贈与財産とは、特例贈与財産に該当しない場合の財産です

兄弟間や夫婦間での財産贈与がこれにあたりますが、親から子へ贈与財産をした場合は子が未成年者なら一般贈与財産と判断され、特例贈与財産にはなりません

一般贈与財産の場合の税率と控除額は以下の通りです。

基礎控除後の
課税価格
200万円以下 300万円以下 400万円以下 600万円以下 1,000万円以下 1,500万円以下 3,000万円以下 3,000万円超
税率 10% 15% 20% 30% 40% 45% 50% 55%
控除額 10万円 25万円 65万円 125万円 175万円 250万円 400万円

出典:No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)|国税庁

贈与財産3,000万円基礎控除額110万円の場合の贈与税を確認してみましょう。

手順 計算
課税価格を算出 【計算式】課税価格=贈与財産-基礎控除額
3,000万円-110万円=2,890万円
贈与税を算出 【計算式】贈与税=課税価格×税率(50%)-控除額(250万円)
2,890万円×50%-250万円=1,195万円

上記の計算手順から、一般贈与の場合の贈与税は1,195万円と算出されました。

一般贈与財産と特例贈与財産を組み合わせた計算

贈与を受ける場合、祖父母から財産の贈与があった同年に父親からも財産贈与されるといったケースもないとはいえません。このような場合は、受け取った財産の金額によって計算方法を変えて贈与税を算出します。

例えば祖父から2,000万円の財産贈与を受けた同年に、母親からも1,000万円の財産贈与があったとしましょう。基礎控除額を110万円と仮定した場合の贈与税は以下のように計算します。

手順 計算
課税額を算出 【計算式】課税額=特定贈与額-基礎控除額
3,000万円-110万円=2,890万円
特定贈与分の仮贈与税を計算 【計算式】仮贈与税額=課税額×税率(45%)-控除額(265万円)
2,890万円×45%-265万円=1035.5万円
特定贈与分の贈与税を算出 【計算式】贈与税額=仮贈与税額×特定贈与額/贈与総額
1035.5万円×2,000万円/3,000万円=約640.4万円
一般贈与分の仮贈与税を計算 【計算式】仮贈与税額=課税額×税率(50%)-控除額(250万円)
2,890×50%-250万円=1,195万円
一般贈与分の贈与税を算出 【計算式】贈与税額=仮贈与税額×一般贈与額/贈与増額
1,195万円×1,000万円/3,000万円=約398.4万円
贈与税を算出 【計算式】贈与税額=特定贈与税額+一般贈与税額
約640.4万円+約398.4万円=約1,338.8万円

上記の計算手順から、贈与税は1,338.8万円と算出されました。

特定贈与と一般贈与が混在している際は、それぞれの仮贈与税を算出して贈与総額に占める割合をかけて算出する点に注意してください。

贈与税の改正

贈与税は幾度となく改正が行われ、現在に至っています。

そのなかでもここでは2015年に行われた贈与税の税率改正と、2023年に実施された暦年贈与の税制改正を確認していきましょう。

【平成27年】贈与税の税率改正

2015年1月1日に行われた税制改正は、贈与税の税率が改正です。それまでの贈与税は全体的に高く設定されており、生前に自分の財産を贈与する際にはかなりの負担を強いられていました。

しかし税制改正に伴い、高額な場合を除いて贈与税の税率が下げられます

これは高齢者の資産を若い世代に移行させることが狙いといわれており、改正前よりも生前贈与がしやすくなったといえるでしょう

具体的な税率を特例贈与で比較してみます。

2015年1月1日以降 2014年12月31日以前
基礎控除後の課税額 税率 控除額 税率 控除額
200万円以下 10% 10%
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 15% 10万円 20% 25万円
600万円以下 20% 30万円 30% 65万円
1,000万円以下 30% 90万円 40% 125万円
1,500万円以下 40% 190万円 50% 225万円
3,000万円以下 45% 265万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

出典:相続税及び贈与税の税制改正のあらまし|国税庁

2015年の税制改正以降、課税額の範囲が狭くなっており、これによって贈与した際の贈与税が低くなりました。

【令和5年】暦年贈与の税制改正

2023年に実施された「令和5年度の税制改正大綱」では、贈与税と相続税の計算方法が大幅に改正されています

改正点 内容
暦年贈与の基礎控除 ・相続時精算課税制度選択時も適用可能
・暦年贈与基礎控除の限度額110万円を超えた分が相続時精算課税制度の適用となる
・2つの制度を併用することで納税額の大幅な節税が可能
暦年贈与の相続加算期間 ・3年から7年に期間延長
・相続開始前の7年以内に贈与された財産はすべて相続税の対象となる
暦年課税延長による特例 ・3年から7年に延長されたことを受けての特例
・延長分4年間に贈与された財産の総額100万円までは相続税の対象外

2023年の税制改正大綱で、暦年贈与と相続時精算課税制度の併用が可能になりました

しかしその一方で相続加算期間が3年から7年に延長されたことで、相続税が発生する可能性が高くなった点にデメリットを感じる人もいるでしょう

贈与税を抑える方法

財産の贈与を受ける際、できれば贈与税は低く抑えたいものです。

そこで贈与税を抑える方法を紹介するので、参考にしてください。

生活費や教育費、結婚、子育て資金として贈与

財産を贈与する際、そのすべてが贈与税の課税対象になるわけではありません。「贈与税の対象ではない財産」で紹介した方法で財産を贈与すれば、贈与税は非課税です

例えば以下のようなものがあげられますが、それぞれに定められた条件・要件を満たさなければなりません。

贈与 条件
生活費 ・必要とされる範囲内
・その都度費用を渡さなければならない
教育費 ・必要とされる範囲内
・その都度費用を渡さなければならない
・一括贈与の場合は最大1,500万円まで
結婚資金 ・信託銀行などの金融機関を介すること
・受贈者の年齢が対象年の時点で20歳以上50歳未満
・最大300万円まで
子育て資金 ・信託銀行などの金融機関を介すること
・受贈者の年齢が対象年の時点で20歳以上50歳未満
・最大1,000万円まで

贈与の仕方や上限が定められている点に注意してください

「贈与を受ける人」が基礎控除の対象

暦年課税の基礎控除を活用する方法も、贈与税の節税対策としておすすめです。

暦年課税は基礎控除が設けられており、1年間の贈与額が110万円を超えなければ贈与税は課税されません

この基礎控除の対象者は「贈与を受ける人(受贈者)」であり、贈与する側ではない点がポイントです。

例えば母親が長女と長男それぞれに、年間110万円ずつ贈与したとしましょう。贈与をした母親は年間220万円となり、暦年課税の基礎控除限度額110万円を超えていると思う人もいるかもしれません。

しかし基礎控除の対象は受贈者側であることから、長女と長男がそれぞれ受け取った110万円は限度額を超えていないので非課税です

なお基礎控除は1年でリセットされるので、翌年になると年間総額を110万円に抑えれば非課税で贈与できます

相続時精算課税制度を利用する

相続時精算課税制度を利用すると、さらに贈与税の節税が可能です。相続時精算課税制度を選択した場合、総額2,500万円までの特別控除が適用されます

例えば土地や家屋を生前贈与する場合、金額に換算すると高額になるため、暦年課税の基礎控除上限額110万円を超えてしまうでしょう。

相続時精算課税制度を選択すれば上限2,500万円までは非課税で贈与できることから、不動産のような分割できない財産を生前贈与する際に利用すると納税義務が発生しません

相続時精算課税制度については、次の項目で詳しく解説するので参考にしてください。

相続時精算課税制度とは?

相続時精算課税制度とは贈与税・相続税の控除制度のひとつで、以下の条件を満たすことで選択可能です

  1. 贈与者は60歳以上の父母または祖父母
  2. 受贈者は18歳以上の子または孫

この控除制度は選択制となっており、財産贈与を受けた翌年2月1日から3月15日までに管轄する税務署に「相続時精算課税選択届出書」と受贈者の戸籍謄本を提出しなければなりません

なお適用が認められた場合の制度の内容は以下の通りです。

  • 累積2,500万円まで何度でも利用可能
  • 上限額の2,500万円を超えると一律20%の贈与税が課税
  • 相続時に贈与時の財産価額が相続税計算に加算される

これらについては後述のメリットやデメリットで詳しく解説するので、合わせて参考にしてください。

相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度を選択した場合の主なメリットは以下の通りです。

  • 多額の特別控除が適用
  • 相続税の計算で贈与時の財産価額が加算

それぞれのメリットについて詳しく確認していきましょう。

多額の特別控除が適用される

相続時精算課税制度のメリットは多額の特別控除が適用される点です

暦年課税の基礎控除額と比較してみましょう。

控除制度 控除額
暦年課税 110万円(年間)
相続時精算課税制度 2,500万円(累積)

このように控除額のみに注目して比較した場合、相続時精算課税制度のほうが高いことがわかります。

現金のように少額で何度も分けて贈与する場合には、1年間の金額を110万円以下に抑えれば贈与税が非課税になる暦年課税のほうがおすすめですが、不動産や骨とう品のように少額に分けられない財産を贈与する際には相続時精算課税制度のほうがメリットが大きいでしょう

相続税の計算で贈与時の財産価額が加算される

相続税の計算において、贈与時の財産価額が加算される点も相続時精算課税制度のメリットのひとつです

不動産や骨とう品の財産価額は変動制であるため、贈与された時期よりも相続税を計算する時期のほうが高くなっている可能性があります

例えば贈与されたときの土地の価額が1,000万円だったとしましょう。その2年後に財産所有者が他界して遺産を相続すると、贈与された分の財産も戻して相続税の計算をしなければなりません。このときの贈与された土地の価額が3,000万円と高くなっていると、それだけ相続税が高くなってしまうのです

相続時精算課税制度を適用させておくと、贈与されたときの価額1,000万円で計算されるので、相続税は抑えられます

相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度を選択する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 相続税の納税義務あり
  • 小規模宅地等の特例との併用不可

上記2つの注意点について確認していきましょう。

相続税が課せられる

相続時精算課税制度は贈与税の節税はできますが、その代わり相続税が課せられる点に注意しなければなりません。この制度は控除額の上限である2,500万円分の贈与税を支払わない代わりに相続税が発生するからです。

贈与や相続の中身やタイミング・時期などにもよりますが、場合によっては贈与税よりも高い金額の相続税の納税義務が発生することもあるでしょう。

相続税の節税対策にはならない制度である点に注意してください。

小規模宅地等の特例が利用できない

相続時精算課税制度を選択すると、小規模宅地等の特例が利用できません

小規模宅地等の特例とは、一定の利用区分や要件を満たすことで宅地・土地の評価額が最大80%減額される制度です。

どのような土地・宅地を贈与・相続されるかにもよりますが、場合によっては相続時精算課税制度よりも小規模宅地等の特例を適用させた方が節税対策になる可能性があります

ただし、どちらを適用させた方がよいかの判断は一般人には困難でしょう。土地・宅地の贈与を受ける場合には小規模宅地等の特例の条件なども含めて、税理士や弁護士のような専門的な知識を有する人に相談してください。

不動産の贈与税について

贈与される財産にはさまざまな種類や形がありますが、なかでも高額になりがちなものとして不動産があげられます。

不動産は現金のように少額に分けることが難しいため、贈与税も高額になりがちです。不動産を贈与されたことで贈与税が払えず、売却して納税額を捻出しなければならないケースも少なくありません。

そこで不動産にかかる贈与税の計算方法とあわせて、贈与税を抑える方法も紹介するので参考にしてください。

不動産にかかる贈与税の計算方法

不動産にかかる贈与税を計算するためには、贈与された不動産の価額を調べなければなりません。

不動産の価額は購入価格や売却価格ではなく、土地は「相続税評価額」が基準となり、建物は固定資産税額で決定します。

土地の評価額を決定する「相続税評価額」には「路線価方式」と「倍率方式」があり、贈与される土地がどちらに該当するのかは国税庁の「財産評価基準書」で確認可能です。なお、評価額は毎年更新されているので参考にする際は、最新のデータを参考にしてください。

建物や家屋の評価額を決定する「固定資産税評価額」は、毎年「固定資産税課税明細書」が送付されてくるのでそれを参考にします。または市区町村の固定資産課税台帳でも確認できるので、問い合わせると良いでしょう。

不動産の贈与税を抑える方法

不動産の贈与税を抑える方法として、以下のような制度があります。

  • 住宅取得等資金の非課税制度
  • おしどり贈与

それぞれの制度について詳しくみていきましょう。

住宅取得等資金の非課税制度

住宅取得等資金贈与の非課税制度とは、子・孫が住宅を購入する資金援助として認められれば最大1,000万円まで贈与税が非課税になる特例です

適用を受ける際には以下の要件を満たす必要があります。

  • 贈与者は受贈者の直系尊属であること
  • 受贈者の年齢が18歳以上であること
  • 2024年1月1日~2026年12月31日の贈与分
  • 受贈者の贈与を受けた年の総所得額が2,000万円以下
  • 床面積50平方メートル以上

参考:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

控除額の上限は1,000万円ですが、これは省エネなど質の高い住宅の場合であり、それ以外の住宅は500万円までです。なお制度の目的は新しく住宅を取得することであるため、すでに購入済みの住宅のローン返済には適用されません

おしどり贈与

おしどり贈与とは、夫婦間で居住用不動産またはそのための金銭の贈与が行われた場合に贈与税が控除される特例です。

特例の適用を受けるためには、以下の要件を満たさなければなりません。

  1. 夫婦の婚姻期間20年以上
  2. 居住用不動産または取得を目的とした贈与財産
  3. 贈与後翌年3月15日までに居住用不動産に住み、その後も継続して住む見込みがあること

参考:No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除|国税庁

おしどり贈与を適用させることで、以下のようなメリットがあります

  • その年の贈与税課税価格から最大2,000万円が控除
  • 相続財産への生前贈与加算が不要

遺産を相続すると開始前7年以内の贈与については、繰り戻しして相続税を計算しなければなりません。しかしおしどり贈与対象の不動産については対象外になるので、贈与税と相続税両方の節税対策になります

不動産贈与に伴うそのほかの税金

不動産贈与に伴う税金は以下のようなものがあり、贈与税だけではありません。

  • 譲渡所得税
  • 不動産取得税
  • 登録免許税

それぞれの税金の内容を確認してみましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、土地や建物といった不動産を売却した際に課せられる税金のことです

生前贈与で取得した不動産を売却した場合には、以下の計算式で算出される譲渡所得税が課せられます。

譲渡所得税={不動産売却金額-(不動産取得費+譲渡費用)}×税率

なお税率は、所有期間5年以上の長期譲渡所得の場合は15%、5年未満の短期譲渡所得の場合は30%です。

不動産取得税

不動産取得税とは、土地・建物といった不動産を購入した場合に発生する税金です

原則の税率は4%ですが、自治体によって土地・住宅用家屋のような区分に合わせて3%など異なる場合があります

なお、不動産取得税はおしどり贈与で取得した不動産にも加算される点に注意してください。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の名義変更手続きをした際に発生する税金です

不動産を贈与された場合、法務局にて名義変更の手続きをしなければなりません。その際に不動産の固定資産税評価額の2%分の登録免許税が発生します。

贈与税の延滞税

贈与税の納付忘れや延滞をした場合には、ペナルティが科せられます。

そこで贈与税を延滞した場合の延滞税について、詳しく確認していきましょう。

贈与税のペナルティ対象者

贈与税の延滞税になるケースは以下の3通りです。

  1. 納付期限までに未納
  2. 期限後申告や修正申告で納付税額あり
  3. 納税額ありの更正または決定処分

上記のいずれかに当てはまる場合は、延滞税が発生します。

納付期限と納期限

延滞税は、納付が遅れた期間に応じて課税され、その額は納付までの期間が長くなるほど高くなります。

この際、最も重要なポイントは延滞税の起算日の設定です。 

納付期限

税金を支払わなければいけない期限のことです。贈与税の納付期限は翌年の2月1日~3月15日になります。

納期限

延滞税を計算する時の起算点です。延滞税は納期限の翌日を1日目として算出します。

延滞税の納期限は、ペナルティ対象で紹介した3つのケースによって異なるので、注意が必要です。

それぞれのケースについて詳しくみていきましょう。

贈与税の申告はしたが、納付はしていなかった場合

贈与税の申告は贈与が発生した翌年3月15日までに行ったけれど納付はしていなかった場合の延滞税の納期限は申告期限・納付期限と同様です。

納付期限を過ぎてしまった場合、後述する延滞税を贈与税に加算して納付しましょう。

期限後申告や修正申告した場合

期限後申告・修正申告の場合は、申告書提出日が納期限です

なお、期限後申告とは申告期限を過ぎてから贈与税の申告を行うことであり、修正申告は期限内に行った申告内容に誤りがあって期限後に正しい内容で申告し直します。

更正・決定の処分を受けた場合

税務署から更正・決定処分を受けた場合は、通知書発送日を起算日として1カ月後が納付期限です

通知書は過少申告や無申告だった場合に税務署から送付される文書のことで、納期限はこの通知書到着日ではなく、発送日である点に注意してください。

延滞税の税率

延滞税の税率は毎年見直されており、最新の税率は国税庁の「延滞税の割合」にて確認可能です。自分で延滞税を計算する際は、必ず最新の税率を調べて使用してください。

なお税率は、納付期限の翌日を起算日として2カ月までと2カ月超で変わります。例えば2024年1月1日〜12月31日までの税率は2カ月以内が2.4%、2カ月超は8.7%と差がある点に注意しましょう。

延滞税の計算方法

延滞税を計算する際は、以下の計算式を用います。

追加分の贈与税×延滞税率×延滞日数/365日

ただし、延滞税の計算をする際には以下のルールがあるので注意してください。

  • 延滞税が1,000円未満の場合は納税不要
  • 追加税額の10,000円未満は切り捨て
  • 1,000円以上の延滞税の場合、100円未満は切り捨て

延滞税が1,000円未満の場合は納付の必要がないので、早めに申告・納付を行ったほうが良いでしょう。

まとめ

贈与税について解説しました。

贈与税は相続税と比較した場合に税率が低い税金ですが、贈与される金額や区分によっては高額になる可能性があります

本記事で紹介した控除制度などを適用させて節税することも可能ですが、判断が難しい場合もあるでしょう。正しい知識と方法で節税対策をしたい場合は、税理士など専門的な知識を有した人に相談してください。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/坂口 綾太
SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括:坂口綾太 株式会社SOKKIN 執行役員

2019年に株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、歴代最速でシニアアカウントプランナーに昇格。人材・不動産業界マーケを経験し、株式会社サイバーエージェントTOP3顧客になる不動産企業様にて責任者を担当していた実績を持つ。2024年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括に従事。

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