副業で司法書士の資格は活かせる？未経験からの始め方と収入のリアル

「今の収入にもう少しプラスがあれば…」「専門スキルを活かして、将来に備えたい」

今の仕事を続けながら、安定した収入源とキャリアを築きたいと考えることはありませんか。リスクを抑えつつ、専門家として活躍できる道を探しているあなたに、司法書士の副業は非常に魅力的な選択肢となるでしょう。

この記事では、司法書士の資格を副業に活かすための具体的な方法から、リアルな収入事情、そして未経験から挑戦する上での注意点まで、網羅的に解説します。

司法書士の資格で副業は可能？

会社員として働きながら、司法書士の資格を活かした副業は可能です。もちろん、簡単な道ではありませんが、正しいステップを踏めば、未経験からでも専門家としてのキャリアをスタートできます。まずは、その可能性と理由について見ていきましょう。

結論：司法書士の副業は会社員でも実現できる

結論から言うと、会社員を続けながら司法書士として副業をすることは実現可能です。実際に、企業に勤務しながら、夜間や休日を利用して専門業務を請け負っている司法書士は存在します。

ただし、誰でもすぐに始められるわけではありません。国家資格である司法書士試験に合格し、司法書士会に登録するなど、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。

なぜ司法書士の資格が副業と相性がいいのか？その理由を解説

司法書士の資格が副業と相性がいい最大の理由は、その業務独占資格としての価値にあります。不動産登記や商業登記といった主要な業務は、法律で司法書士にしか行えないと定められています。

これは、誰でも参入できる他の多くの副業とは一線を画す点です。専門性が法律で担保されているため、景気に左右されにくく、安定した需要が見込めます。

司法書士が副業で稼ぐメリット

司法書士の資格を活かすことで得られる具体的なメリットを4つ紹介します。収入を増やすだけでなく、あなたにとって大きなプラスとなる点を、具体的にイメージしながら読み進めてみてください。

本業の収入にプラスアルファの収入源を確保できる

副業を考える上で、最も大きな魅力はやはり収入面のメリットでしょう。司法書士の副業では、案件にもよりますが月に5万円から10万円、あるいはそれ以上の収入を得ることも十分に狙えます。

本業の給与という安定した基盤に加えて、もう一つの収入の柱ができることは、経済的な余裕だけでなく、精神的な安心感にも繋がります。

専門家としてのスキルアップとキャリアの幅が広がる

もしあなたの本業が法律と直接関係のない分野であっても、副業を通じて司法書士としての専門スキルを実践的に磨くことができます。多様なクライアントから様々な案件を受けることで、本業だけでは得られない幅広い知識と経験が身につきます。

例えば、契約書のリーガルチェック業務を通じて法的な文書読解力が向上したり、顧客との相談業務を通じてコミュニケーション能力が高まったりするでしょう。これらの経験は、司法書士としてだけでなく、一人のビジネスパーソンとしてのあなたの市場価値を大きく高めてくれます。

独立し、開業するための準備期間になる

将来的には司法書士として独立し、開業したい、という夢をお持ちの方にとって、副業は最適な準備運動になります。本業で安定した収入を得ながら、いわば「試運転」として自分の実力を確かめ、顧客獲得のノウハウを学ぶことができるからです。

いきなり独立すると、収入が不安定になったり、顧客がゼロからのスタートになったりするリスクが伴います。しかし、副業期間中に少しずつ実績を積み、信頼できる顧客との関係を築いておけば、独立後の成功確率を格段に高めることができるでしょう。

困っている人を助ける社会貢献性の高い仕事ができる

司法書士の仕事は、収入やキャリアアップだけでなく、「人の役に立てる」という大きなやりがいを感じられる点も魅力です。例えば、相続の手続きが分からずに困っている方や、夢である会社の設立を考えている起業家など、法律の知識がないために一歩を踏み出せない人々がたくさんいます。

あなたが専門家として手を差し伸べ、問題を解決することで、直接「ありがとう」と感謝される場面も少なくありません。このような社会貢献性の高い経験は、何物にも代えがたい喜びと誇りをもたらしてくれるでしょう。

司法書士の副業で注意すべきデメリットと対策

魅力的なメリットがある一方で、司法書士の副業には現実的な課題も存在します。挑戦してから「こんなはずではなかった」と後悔しないために、事前にデメリットを理解し、その対策を考えておくことが成功の鍵です。ここでは3つの主要なデメリットと対策を解説します。

本業との両立が難しくプライベートの時間が減る

副業で直面する最も大きな課題は、時間管理です。平日の夜や土日といったプライベートな時間を使って、副業の業務や学習時間を確保する必要があります。そのため、友人との時間や趣味の時間が減ってしまうことは覚悟しなくてはなりません。

実務経験を積む機会が限られスキルアップしにくい

司法書士事務所に正社員として勤務する場合と違い、副業では先輩から直接指導を受けたり、体系的な研修を受けたりする機会が限られます。特に未経験から始める場合、一人で案件をこなす中で不明点が出てきても、すぐに相談できる相手がいないという状況は悩ましいものでしょう。

継続的な学習と自己投資が不可欠

司法書士の仕事に関連する法律は、毎年のように改正されます。そのため、資格を取得した後も、常に最新の知識を学び続ける姿勢が求められます。法改正の情報をキャッチアップし、新しい業務知識を習得するための学習は、プロとして活動する上で欠かせません。

また、司法書士としての活動を続けるには、司法書士会への年会費や、研修への参加費用なども必要です。これらは必要経費、つまり未来への自己投資と捉えることが大切です。これらのコストを上回るリターンを得ることを目標に、計画的に活動していく視点を持つようにしましょう。

司法書士の副業で稼げる仕事内容と収入の目安

ここでは、実際に司法書士の副業でどのような仕事ができて、どれくらいの収入が見込めるのかを具体的に見ていきましょう。あなたの興味やスキルに合った仕事を見つけることで、副業へのモチベーションも一層高まるはずです。

司法書士の副業における主な仕事の種類

副業として比較的始めやすい、代表的な司法書士の業務には以下のようなものがあります。

商業登記：特に、スタートアップや中小企業の会社設立に関する登記手続きは、単発で依頼されることが多く副業に向いています。

不動産登記：個人の顧客から依頼される相続登記が中心です。親から不動産を相続した際の名義変更手続きなどがこれにあたります。

書類作成・リーガルチェック：会社の定款や、個人間の契約書などの作成、また既存の書類に法的な問題がないかを確認する業務です。

コンテンツ執筆・監修：法律に関するWebメディアの記事を執筆したり、その内容を修正したりする仕事も需要があります。

【種類別】副業の案件の単価相場

副業で得られる収入は、業務内容やあなたのスキルによって様々ですが、一般的な目安は以下の通りです。

商業登記（会社設立）	1件あたり10万円～15万円程度
相続登記	1件あたり5万円～15万円程度（不動産の価値や複雑さによる）
契約書作成	1件あたり2万円～5万円程度
記事監修	1本あたり1万円～3万円程度

これらの業務を月に1〜2件こなすだけでも、大きな収入増が見込めることがわかるのではないでしょうか。

【具体例】実際に募集されている副業案件

参考までに、クラウドソーシングサイトなどで募集されている案件の例をいくつかご紹介します。

このように、専門知識を活かして、単発で完結する様々な案件が見つかります。

※上記は過去の募集例を基にした参考例です。

司法書士の副業を始めるための具体的な5ステップ

ここからは、未経験のあなたが実際に司法書士の副業をスタートするための道のりを、5つの具体的なステップに分けて解説します。このロードマップに沿って、一つずつ着実に準備を進めていきましょう。

STEP1：司法書士試験に合格する

司法書士として活動するための大前提が、司法書士試験の合格です。合格率が例年5%前後という非常に難易度の高い試験であり、合格には一般的に3,000時間程度の勉強が必要とされています。

働きながらこの膨大な学習時間を確保するのは、並大抵の努力では難しいかもしれません。そのため、独学だけでなく、予備校や通信講座をうまく活用し、効率的に学習を進める計画を立てることが合格への近道となるでしょう。

STEP2：司法書士会に登録し、司法書士としての活動資格を得る

試験に合格しただけでは、まだ司法書士として業務を行うことはできません。日本司法書士会連合会およびあなたが活動する地域の司法書士会に登録申請を行い、名簿に登録される必要があります。

登録時には登録免許税や入会金、月々の会費などが必要となります。また、新人向けの研修を受けることも義務付けられています。これらの手続きを経て、あなたは初めて正式に「司法書士」として活動する資格を得るのです。

STEP3：本業の勤務先に副業の許可を得る

会社員の方が副業を始める上で、絶対に忘れてはならないのが勤務先への確認です。最初に会社の就業規則を読み、「副業」や「兼業」に関する規定を確認しましょう。

副業が許可されている場合でも、事前に上司や人事部に相談し、正式な許可を得ておくことがトラブルを避けるために重要です。その際は、あくまで本業がおろそかにならないこと、業務で得た知識や情報を漏洩しないことを誠実に伝える姿勢が大切です。

STEP4：名刺や業務用ツールなど、活動に必要な準備を整える

実際に仕事を受注する前に、プロとして活動するための基本的な準備を整えましょう。具体的には、以下のようなものが必要です。

これらを事前に準備しておくことで、依頼が来た際にスムーズに対応でき、顧客からの信頼にも繋がります。

STEP5：営業活動を行い、最初の案件を受注する

全ての準備が整ったら、いよいよ仕事を得るための営業活動を開始します。最初は実績がないため、案件を獲得するのは簡単ではないかもしれませんが、積極的に行動することが大切です。

後の章で詳しく解説しますが、クラウドソーシングサイトに登録して小さな案件から始めてみたり、知人や友人に司法書士として活動を始めたことを伝えたりするのも良いでしょう。Webサイトやブログで専門的な情報を発信することも、将来的な顧客獲得に繋がります。

司法書士の資格を目指しながらできる副業

司法書士試験の勉強は長期戦です。そこで、モチベーションを維持しながら、学習中の知識を少しでも収入や経験に変えるための方法をご紹介します。

Webメディアでの記事執筆・監修

あなたが試験勉強で学んでいる相続や不動産、会社法といった知識は、すでに非常に価値のあるものです。その知識を活かして、法律系のWebメディアで記事を執筆したり、内容を監修したりする副業があります。

「司法書士受験生」という肩書は、専門性と信頼性の証になります。文章を書くスキルも同時に磨かれ、合格後に自身の専門性を発信する際にも大いに役立つでしょう。まずはクラウドソーシングサイトなどで、初心者歓迎の案件を探してみてはいかがでしょうか。

司法書士事務所での事務・補助スタッフ

司法書士事務所で、パートやアルバイトとして事務や補助業務を行うのも一つの手です。書類のファイリングや電話対応、簡単な書類作成の補助などを通じて、実際の司法書士の業務の流れや事務所の雰囲気を肌で感じることができます。

これは、将来あなたが司法書士として働く上での貴重な経験となります。また、事務所によっては、資格取得後に正社員として登用されるケースもあります。実務経験を積みながら、試験勉強への理解を深めることができる、一石二鳥の方法と言えるでしょう。

司法書士の副業の案件におすすめの探し方

資格を取得し、いざ副業を始めようと思っても、「どこで仕事を探せばいいの？」と迷ってしまうかもしれません。ここでは、読者がすぐに行動に移せるよう、具体的な案件の探し方を3つのパターンに分けてご紹介します。

クラウドソーシングサイトで実績を積む

副業初心者の方に最もおすすめなのが、クラウドソーシングサイトの活用です。クラウドワークスやランサーズといった大手サイトには、司法書士向けの案件が数多く登録されています。

最初は単価が低い案件かもしれませんが、まずは一つでも受注し、クライアントから良い評価をもらうことが重要です。そこで得た実績と信頼が、次のより良い案件に繋がっていきます。プロフィール欄を充実させ、あなたの専門性や意欲をアピールしましょう。

副業・フリーランス専門のエージェントを活用する

ある程度の実績を積んだら、副業やフリーランス専門のエージェントに登録するのも有効な手段です。エージェントは、あなたのスキルや希望に合った案件を探し、紹介してくれます。

自分で営業活動をする手間が省ける上、個人では見つけにくい企業の専門的な案件や、高単価な案件に出会える可能性が高まります。非公開案件を紹介してもらえることもあるため、複数のエージェントに登録しておくのも良いでしょう。

知人や異業種交流会からの人脈で探す

オンラインでの探し方と並行して、オフラインでの人脈作りも非常に重要です。友人や前職の同僚など、周囲の人々にあなたが司法書士として副業を始めたことを伝えておきましょう。思わぬところから仕事の相談が舞い込むことがあります。

また、地域の商工会議所やセミナー、異業種交流会などに参加して、弁護士や税理士、経営者といった他の専門家やビジネスオーナーと繋がることも、将来の大きな資産になります。信頼関係から生まれる仕事は、比較的単価が高く、継続につながりやすい傾向があります。

司法書士の副業を始める前に知っておくべき注意点

最後に、あなたが安心して副業を続け、トラブルを未然に防ぐために、必ず知っておくべき法務・税務上の注意点をまとめました。専門家として活動する以上、法令遵守の意識を持つことは基本中の基本です。

勤務先の就業規則を必ず確認する

これは最も重要な注意点です。副業を始める前に、必ずあなたの会社の就業規則を確認してください。もし副業禁止規定に違反してしまうと、最悪の場合、懲戒処分の対象となる可能性もあります。

司法書士会の会則を遵守する

司法書士は、法律や所属する司法書士会の会則を遵守する義務を負っています。特に副業で注意したいのが、広告に関する規制や守秘義務です。

年間所得20万円超で確定申告が必要

会社員が副業で得た「所得」が年間で20万円を超えた場合、原則として自分で確定申告を行い、所得税を納める必要があります。ここで言う「所得」とは、副業の「収入」全体から、書籍代や交通費、通信費といった「経費」を差し引いた金額のことです。

まとめ

この記事では、未経験から司法書士の副業を始めるための具体的なステップ、メリット・デメリット、そしてリアルな収入事情までを詳しく解説してきました。

司法書士試験の合格という高いハードルはありますが、それを乗り越えれば、会社員として安定を保ちながら、専門家として収入とキャリアを築くという魅力的な未来が待っています。重要なのは、正しい知識を持って、着実に一歩ずつ準備を進めることです。

あなたのキャリアの可能性を広げるための最初のステップは、まず司法書士という資格について、より深く知ることから始まります。まずは小さな行動から始めていきましょう。