フルコミッション(完全歩合制)とは?インセンティブや歩合制との違いからメリットデメリットまで詳しく解説します。

経営

フルコミッション(完全歩合制)とは

基本給が存在しない完全歩合制

フルコミッションとは、またの名を完全歩合制と言います。社員やアルバイトのような雇用形態では、月収や時給での基本給が貰えますが、フルコミッションでは基本給が存在しません。完全な出来高制になっており、結果を出した分だけお金を貰うことができます。

フルコミッションでは、社員やアルバイトのような、一般的な雇用形態とは違う形で企業と契約します。個人事業主として企業と業務委託契約を結ぶパターンが多く、タクシードライバーや運送業、不動産、営業職などの職業でフルコミッションは使われています。

フルコミッションって違法?

フルコミッションは違法ではありません。ですが、雇用方法には注意しなければいけません。社員やアルバイトのような雇用形態で企業と契約を結んでいる場合、基本給は必ず出さなければいけません。国土交通省ではこう語られています。

出来高払いの保障給(第27条)
出来高払制の労働者について、労働時間に応じ一定額の賃金を保障しなければならないことを規定
国土交通省「賃金に関する労働基準関係法令等について」

つまり、フルコミッションを合法で行うには、労働基準法が適用外になる雇用形態で行う必要があります。その雇用形態の代表格が、先ほども挙げた業務委託契約です。労働基準法は、日本で働くすべての労働者に適用される法律ですが、業務委託契約は労働契約にはならない可能性が高いと言われています。厚生労働省によると

「業務委託」や「請負」といった形態で働く場合には、注文主から受けた仕事の完成に対して報酬が支払われるというものなので、注文主の指揮命令を受けない「事業主」として扱われ、基本的には「労働者」としての保護を受けることはできません。
厚生労働省「業務委託(請負)契約を結んで働いている人」

このように、労働者としての保護を受けることができなくなってしまいますが、個人事業主としてフルコミッション契約で働くことができるようになります。

 

インセンティブや歩合制との違い

インセンティブとは

インセンティブとは、incentiveという英単語のカタカナ語で、日本語に訳すと動機・誘因・刺激・励みなどの意味を持ちます。この制度では、ノルマを達成することで報酬が支払われます。この報酬は金銭だけではなく、特別休暇として与えられたり、物品が支給される場合もあります。インセンティブによって、社員のモチベーションアップや、活気を持たせて企業の活性化に繋げることができるようになります。基本給も貰えるので、安心して仕事に取り組むことができます。

歩合制とは

歩合制とは、基本給に合わせて出来高制で報酬を貰う制度です。インセンティブとの違いとして、歩合制の報酬金は一律で支給されます。例えば、歩合制では1契約に付き◯円と決まっていますが、インセンティブでは全体的な業績を見て報奨金を貰うことになります。

フルコミッションとの違い

インセンティブと歩合制には、基本給が存在しますが、フルコミッションには基本給はありません。雇用契約については、前者は「正社員・アルバイト・派遣社員」などが挙げられ、労働基準法が適用されます。後者については、業務委託契約になるため、労働基準法が適用されません。フルコミッションは基本給がない分、インセンティブや歩合制よりも成果に対する報酬が大きくなります。どの制度でも実力があるほど稼げる制度ではありますが、フルコミッションはよりその色が強く出る雇用形態です。

 

フルコミッションのメリット

何度も伝えていますが、フルコミッションには基本給が存在せず、労働者としての保護を受けることもできません。これは一見デメリットのようにも見えますが、そんなことはなく、むしろメリットになると言えるでしょう。でなければ、この制度で働く意味が無くなってしまいます。フルコミッションが存在する理由として

  • 会社員よりも年収が高い点
  • 好きな時間に働ける
  • 得意なジャンルで働ける
  • ノルマがない場合が多い

この4点がメリットとして挙げられます。1つずつ詳しく解説していきます。

会社員よりも年収が高い

フルコミッションでは、出来高制のみで報酬が支払われます。優秀であるほど稼ぐことができるので、実力があれば会社員よりも年収が高くなります。さらには個人事業主として企業と業務委託契約をするため、会社を挟まずに取引を進めることができます。その分の仲介金が無くなるため、貰える報酬を全て自分のものにすることができるようになります。働いて成果を出した分だけお金を得ることができるため、結果的に会社員より年収が高くなることが多いのです。

好きな時間に働ける

フルコミッションでは、好きな時間に、好きな場所で働くことができます。仕事さえこなして結果を出すことができれば、どのような働き方でも問題ありません。フルコミッションで1番に求められるものは成果なので、過程はあまり重要ではないのです。とはいっても、業務提携先の企業とは関わる必要があります。スムーズに仕事を進めるためにも、最低限のマナーは持って働く必要があるでしょう。会社員では、働く場所や時間が定められる業種が多くなります。自由に働きたい人にとっては魅力的な雇用形態となるでしょう。

得意なジャンルで働ける

会社員の場合は、自分が得意でないこともやらなければいけない時も出てくるでしょう。ですが、フルコミッションなら得意なジャンルに絞って働くことができます。そもそも、実力がなければ生き残れない働き方にはなるので、得意でなければ稼ぐことは難しくなります。

ノルマがない場合が多い

フルコミッションでは、自分が働いて成果を出した分だけ報酬を貰うことができます。なので、ノルマに追われることはないでしょう。自分が稼ぎたい分だけ働けば良く、お金に余裕ができれば長期休みを取ることもできます。どのように働くかは全て自分次第になるので、他人に主導権を握られることはあまりないでしょう。

実際に、内閣府ホームページの「後を絶たない自爆営業 」では、自社商品の購入要求の問題や、営業ノルマ未達分の買取要求の問題が数多く取り上げられています。フルコミッションでは、このようなしがらみからも解放されます。

内閣府ホームページ「後を絶たない自爆営業 」

 

フルコミッションのデメリット

フルコミッションという雇用形態のデメリットについても取りあげていきます。大きなデメリットとして挙げられるものが下記の5つです。

  • 給与に波がある
  • 実力がないと稼ぐことができない
  • 保険には自分で加入する必要がある
  • 確定申告は自分でしなければならない
  • 経費は自己負担になる可能性がある

正社員やアルバイトのような雇用形態とはかなりの違いがあるため、注意が必要です。1つずつ詳しく解説していきます。

給与に波がある

フルコミッションが完全歩合制だということは、成果が出せなかったり、休んだりしてしまうと、給与の減少に直結します。全てのプロジェクトを成功させることは難しく、業績が良い月があれば、悪い月も出てきてしまうでしょう。給与に波があることは当たり前で、それ込みで考えて働く必要があります。逆に、上手くいけば上振れる可能性もあります。+が続くこともあるので、デメリットとも言い切れません。好みの問題になると思います。

 

実力がないと稼ぐことができない

フルコミッションは事業主として働く性質上、自分に実力がないと稼ぐことはできません。会社員の場合はどんなに実力がなくても基本給を貰えますが、完全歩合制は成果主義の世界になるので、結果を残せない人は給与を貰うことはできません。実力があれば会社員よりも稼げる雇用形態にはなりますが、最悪年収0円もあり得るのです。稼げる金額の上下幅が広がった雇用形態だと言えるでしょう。

保険には自分で加入する必要がある

社会保険のような会社員であれば企業が加入してくれる保険も、フルコミッションでは自分で加入する必要があります。会社がやってくれる面倒な手続きや、支払いも全て自分でやらなければならないため、注意が必要です。

社会保険については、次の記事で詳しく解説しています。興味があればぜひご一読ください。
フリーランスが加入する社会保険とは?保険の仕組みから徹底解説!

確定申告は自分でしなければならない

確定申告も保険と同じです。会社に所属していれば、年末調整などをして対応してくれますが、フルコミッションでは全て自分でやらなければいけません。税理士の方に頼むこともできますが、お金はかかってしまいます

確定申告についても、次の記事で詳しく解説しています。興味があればぜひご一読ください。
副業の確定申告のやり方は?初心者向けにわかりやすく徹底解説!

経費は自己負担になる可能性がある

フルコミッションでは、経費が自己負担になる可能性があります。業務委託契約をする企業によっては、経費を負担してくれることもありますが、報酬がその分減る可能性も否定できません。重要なことなので、契約する前にきちんと調べておきましょう。

 

フルコミッションが向いている人の特徴

ここでは、フルコミッションが向いている人の特徴を紹介します。

  • 成果を上げた分だけ稼ぎたい人
  • 主体的に行動できる人
  • 仕事の管理が得意な人
  • コミュニケーション能力が高い人
  • 安定した精神を持っている人

特徴としては、上記の5つが例に挙げられるでしょう。1つずつ詳しく解説します。

成果を上げた分だけ稼ぎたい人

フルコミッションでは、自身の成果によって得られる報酬が全て自分のものになります。会社に所属している場合は、そうはいきません。取引先との仲介役のような役割も担っているため、まずは会社にお金が入り、そこから給料として与えられます。ボーナス、歩合給、インセンティブなどで基本給以外の報酬を受け取れる可能性もありますが、ストレートに報酬を受け取れる可能性は限りなく0に近いです。会社員の上げた成果は、会社の成果でもあるので、これは仕方がないことだと言えるでしょう。それに比べると、フルコミッションでは、自分の成果は全て自分のものになります。同じ成果を上げたとしても、フルコミッションの方が多く稼げるので、成果を上げた分だけ稼ぎたい人に取っては、ベストな働き方となっています。

主体的に行動できる人

フルコミッションでは、自分主体で働く必要があります。自分から行動して仕事を探さなければ、働くことさえできないからです。会社に行って働くことで給料が貰えて、仲間もいる会社員とは違い、フルコミッションでは自分1人で働き口を探し、自分1人で仕事をこなさなければいけません。主体的に行動できなければ、難しい業務形態だと言えるでしょう。ですが、誰にも行動を制限されない利点もあるので、主体的に行動できる人にとっては働きやすい、向いている業務形態となっています。

仕事の管理が得意な人

フルコミッションは、仕事の管理を全て自分でやる必要があります。スケジュールの管理、働く時間、得られる金銭など、会社員なら企業がやってくれる作業を自分で行わなければいけません。仕事の管理が得意であれば、自分の理想のスケジュールを組むことができ、効率的に仕事を進めることができるようになります。自分の裁量次第のフルコミッションにとっては、重要な要素の1つになります。

コミュニケーション能力が高い人

フルコミッションは、企業と業務委託契約をする性質上、実力だけではなく、コミュニケーション能力も高い人の方が向いています。自分を営業し、仕事を貰うようなものなので、自身の魅力を思う存分に伝えなければいけません。もちろん、今まで残してきた結果からも実力は分かるかもしれませんが、コミュニケーション能力が高ければ、その実力をもっと上手く伝えることができるようになります。それだけではなく、企業とのやりとりも行いやすくなるため、コミュニケーション能力は高い人はフルコミッションに向いています。

安定した精神を持っている人

デメリットの方でも取り上げた通り、フルコミッションでは給与に波が出てしまいます。稼げる時もあれば、稼げなくなってしまう時もあるでしょう。不安定な給与に合わせて、精神も不安定になってしまうと、下がったテンションを上げることが難しくなってしまいます。負のループにハマってしまい、生活が困難になる可能性も考慮できます。その分、安定した精神を持っている人ならば、次で巻き返すことができるでしょう。自由に働ける分、長時間労働になってしまうこともあるかもしれませんが、健康的で、精神も安定している人ならば、困難を乗り越えやすいため、フルコミッションが向いています。

 

フルコミッションが向いていない人の特徴

フルコミッションが向いていない人の特徴は、大きく分けて2つあります。

  • 安定した給与が欲しい人
  • 能力が不足している人

具体的に解説していきます。

安定した給与が欲しい人

安定した給与を得たい人は、フルコミッションには向いていません。会社員ならば、普通に働いていれば給与を貰うことができます。風邪で会社を休むことになっても、基本給の減少には直結しない可能性が高いです。しかし、フルコミッションでは休んでいる間に給与を得ることはできません。成果を出せなければ金銭を得ることもできないため、安定とは程遠い働き方となっています。安定を求める人は、絶対に手を出さない方が良い業務形態だと言えるでしょう。

能力が不足している人

フルコミッションは、能力が不足している人にも向いていません。能力というのは、業務の実力だったり、コミュニケーション能力だったり、仕事の管理能力や、公的書類の申請など、他にも業種によって様々なものがあると思います。これらの能力が不足している場合、自分1人で仕事をするのはかなり難しくなっていきます。まずは、自分の足りない部分を会社が補ってくれる会社員として働くか、能力を身に付けられる環境でレベルを上げてからフルコミッションに挑んだ方が現実的でしょう。

 

フルコミッションはキツい?

働き方としてはかなりキツい

実力主義の世界なので、働き方としてはキツい部類に入ります。成果を出せる人のみが生き残ることができ、結果を残せない人は消えていきます。働いた時間は重要ではないので、いくら時間をかけても成果が出ない可能性もあります。実力がある人にとっては、会社に勤めるよりも稼ぐことができる最高な働き方かもしれませんが、その他大勢の人にとっては、辛い働き方になるでしょう。

休んだ分だけしわ寄せが来る

フルコミッションでは、休んだ分だけしわ寄せが来ます。流行病にかかっても、熱が出たとしても、容赦はありません。会社に勤めていれば、例え鬱になってしまってもお金は貰えるかもしれませんが、フルコミッションでは収入が無くなります。心身共に健康的に生きることができなければ、相当キツくなってしまいます。とはいえ、いっぱい稼ぐことができれば、その後に長期休暇をとることも可能になります。波があるとは言っても、マイナスな部分だけではなく、プラスの部分もあるのです。自由度の高さで言うと、フルコミッションはかなり高い働き方と言えるでしょう。

貯金がないと生活できなくなる可能性も

あまり稼げなかった時に、貯金がないと生活できなくなってしまう可能性があります。仕事をする上で必要なお金なども存在するため、貯金が無ければ常に不安が付きまとうことになるでしょう。稼げない時期が続いてしまうと、生活も段々とひもじくなっていきます。そんな状況になると精神的にも健康的にもキツくなってしまい、仕事どころではなくなるでしょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか。この記事では、フルコミッションとインセンティブの違い、メリットデメリット、向いている人や向いていない人、キツいかどうかなどを解説してきました。この記事で押さえておいてほしいポイントは3つあります。

フルコミッションには基本給が無い
・フルコミッションは成果を出せば会社員より稼げる
・フルコミッションでは自己管理能力が重要になる

フルコミッションについては理解していただけたでしょうか?これからフルコミッションを始めようと思っている人、フルコミッションについて知りたかった人などの参考になれば幸いです。

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この記事の監修者SOKKIN MATCH事業責任者/坂口 綾太
SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括:坂口綾太 株式会社SOKKIN 執行役員

2019年に株式会社サイバーエージェントに新卒で入社し、歴代最速でシニアアカウントプランナーに昇格。人材・不動産業界マーケを経験し、株式会社サイバーエージェントTOP3顧客になる不動産企業様にて責任者を担当していた実績を持つ。2024年、株式会社SOKKIN入社後、SOKKIN 人材支援統括本部/本部統括に従事。

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