採用ファネルとは?採用担当者必見!|基本と活用手順を解説

採用活動において「なかなか良い人材が集まらない」「内定辞退が多い」といった課題を抱えている企業は少なくありません。少子高齢化が進む現代では、従来の採用手法だけでは優秀な人材の確保が難しくなっています。そこで注目されているのが「採用ファネル」という考え方です。この記事では、採用ファネルの基本的な定義から具体的な設計手順、分析方法、活用のメリットまで体系的に解説しています。新卒・中途といった採用区分による違いや、職種別のアプローチ方法、さらには採用マーケティングとの関係性についても詳しく説明していますので、採用活動の改善に取り組みたい方はぜひ参考にしてください。


まずは採用ファネルの定義と全体像を知ろう
採用活動において成果を上げるためには、まず採用ファネルがどのようなものなのかを正しく理解することが重要です。
採用ファネルは、求職者が企業を知ってから入社に至るまでの一連の流れを段階的に整理したもので、各段階で適切な施策を講じることで採用活動の効率化や質の向上が期待できます。
この章では、採用ファネルの基本的な定義から、新卒・中途での違い、職種ごとの特性まで、採用担当者が押さえておくべき基礎知識を解説していきます。
採用ファネルとは一体何?
採用ファネルとは、採用活動にマーケティングの考え方を取り入れた採用マーケティングの手法の一つです。採用活動における候補者の動きを、段階的に可視化したものであり、採用活動が進むにつれて候補者が絞られていく様子から、逆三角形の漏斗(funnel)に例えられています。
マーケティング用語でファネルとは、顧客が商品やサービスを「認知」してから「興味・関心」を持ち、「比較・検討」をして、「購入・申し込み」に至るまでの流れを図式化したもののことをいいます。これを採用活動に当てはめることで、求職者の行動を「認知」「興味・関心」「応募」「選考」「内定」「入社」という段階に分けて管理できるようになります。
各段階で人数と通過率を計測することで、どこで求職者が離脱しているのか、どの段階に課題があるのかを明確に把握できる点が大きな特徴です。従来の感覚的な採用活動から脱却し、データに基づいた戦略的な採用活動を展開できるようになります。


参考:まるごと人事|採用ファネルとは?分析方法やポイントを解説!
新卒・中途で採用ファネルは異なる
採用ファネルの基本構造は共通していますが、新卒採用と中途採用では求職者の行動や意思決定のプロセスが大きく異なるため、各段階でのアプローチ方法や重視すべきポイントを変える必要があります。
新卒採用の場合、求職者は複数の企業を同時に検討することが一般的で、認知から応募までの期間が比較的長く、企業説明会やインターンシップなどを通じて段階的に興味を高めていきます。そのため、早期からの接点づくりや継続的な情報発信が重要になります。一方、中途採用では即戦力としての能力やスキルマッチが重視され、求職者は具体的な条件や待遇を比較検討する傾向があります。
| 比較項目 | 新卒採用 | 中途採用 |
|---|---|---|
| 認知段階の特徴 | 就職活動時期が集中、母集団形成が重要 | 転職潜在層を含む幅広い層へのアプローチが必要 |
| 興味・関心段階 | 企業文化や成長環境を重視 | 具体的な業務内容や待遇を重視 |
| 選考プロセス | 複数回の面接やグループワークなど段階的 | スキルマッチを確認する実践的な選考が中心 |
| 意思決定の期間 | 数ヶ月にわたる長期的な検討 | 比較的短期間での判断が多い |
このように新卒と中途では求職者の状況や求めるものが異なるため、採用ファネルを設計する際には対象に合わせたカスタマイズが不可欠です。
職種別で変わるステージについて
採用ファネルは職種によっても各段階の特性や重要度が変わってきます。職種ごとの特性を理解し、それぞれに適したファネル設計を行うことで、採用の成功率を高めることができます。
たとえば、営業職の採用では応募者数が比較的多く集まりやすい一方で、選考段階でのコミュニケーション能力や成果志向の見極めが重要になります。エンジニア職では専門スキルの要件が明確であるため、認知段階から技術情報を発信し、興味・関心段階で技術ブログやカジュアル面談を通じて自社の技術力をアピールする必要があります。
また、管理職やスペシャリストなどのハイレベル人材の採用では、そもそも母集団が小さいため、認知段階からピンポイントでアプローチするダイレクトリクルーティングが有効です。一方、事務職や販売職などの採用では、応募のしやすさや職場環境の魅力を伝えることが応募数増加につながります。
| 職種 | 認知・興味段階の特徴 | 応募・選考段階の特徴 |
|---|---|---|
| 営業職 | 業界や商材の魅力をアピール | コミュニケーション力や成果志向を評価 |
| エンジニア職 | 技術スタックや開発環境の発信が重要 | 技術面接やコーディングテストで実力を確認 |
| 管理職・専門職 | ダイレクトアプローチによる個別訴求 | 経験やマネジメント能力の詳細な評価 |
| 事務・販売職 | 働きやすさや職場環境を重視 | 基本的なスキルと人柄の確認 |


採用ファネルの種類と選び方

採用活動において適切な成果を得るためには、自社の状況や目的に合わせてファネルを選択し活用することが大切です。採用ファネルには、パーチェスファネル、インフルエンスファネル、ダブルファネルの3種類があります。それぞれのファネルには異なる特徴があり、採用活動のどの段階に焦点を当てるかによって使い分けることで、より効果的な採用マーケティングを実現できます。ここでは各ファネルの定義と特徴、そして自社に適したファネルの選び方について詳しく解説していきます。
パーチェスファネル
パーチェスファネルとは、顧客が商品やサービスを「認知」し、「購入」するまでの消費行動を図式化したものを指します。採用ファネルの基本形とされており、候補者が企業をはじめに認知してから、興味を持ち、応募し、最終的に内定を経て入社するまでの流れを順序立てて表す点が特徴です。AIDMAモデルという購買決定のプロセスモデルが基になっており、注意・認知(Attention)、興味・関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)の5つのプロセスを経て購買に至るという考え方です。
採用活動においては、求職者が自社を知らない状態から興味を持ち、応募・選考を経て内定に至るまでのプロセスを可視化できます。各段階での離脱率を把握することで、どのタイミングで候補者が減少しているかを明確にし、改善策を講じることが可能になります。従来の採用活動で重視されてきた「応募・選考・採用」だけでなく、その前段階の「認知・興味・検討」も含めて戦略的にアプローチできる点が大きなメリットです。
| 段階 | 内容 | 主な施策例 |
|---|---|---|
| 認知 | 企業の存在を知ってもらう | 求人サイト、SNS、広告 |
| 興味・関心 | 企業に興味を持ってもらう | 採用サイト、会社説明会 |
| 検討 | 応募を具体的に考える | 社員インタビュー、職場見学 |
| 応募 | 実際にエントリーする | 応募フォーム最適化 |
| 選考 | 面接や適性検査を受ける | 面接対応、選考プロセス改善 |
| 内定・入社 | 内定承諾し入社する | 内定者フォロー、入社前研修 |
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、顧客が商品やサービスを購入した後の行動で、「継続」「紹介」「発信」といった項目で表現されることが多いです。入社後の社員のインフルエンス力を活かして採用活動をする際に役立つファネルで、模式図は末広がりが特徴で、紹介・発信によって多くの層にリーチしていくことが表現されています。採用マーケティングにおいても口コミやSNSにおける職場環境の発信・共有が求職者に影響を与えるようになっており、採用活動のゴールを「入社」ではなく、その先の「定着」「活躍」に設定する動きが増えてきました。
入社後の社員が自社のファンとなり、リファラル採用や情報発信を通じて新たな候補者を呼び込む流れを重視する点が特徴です。パーチェスファネルが逆三角形であるのに対し、インフルエンスファネルは入社後に影響が広がっていく様子を表す正三角形の形状となります。社員満足度を高め、社員自身が採用の推進役となるような環境を整えることで、長期的な採用力の強化につながります。
| 段階 | 内容 | 主な施策例 |
|---|---|---|
| 継続・定着 | 入社後も長く働いてもらう | オンボーディング、フォロー体制 |
| 紹介 | 知人に自社を紹介してもらう | リファラル採用制度 |
| 発信 | SNSや口コミで情報拡散 | 社員の発信支援、社内広報 |
ダブルファネル
ダブルファネルとは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたものを指します。顧客に商品やサービスを「購入」してもらうことがゴールではなく、顧客の満足度を高めることがより多くの顧客を呼び込むことにつながるという考え方です。入社前・入社後の全体で求職者の行動を把握して、それぞれのプロセスに合ったアプローチを行うことで、採用活動の効率化を図ることが可能です。
ダブルファネルを活用することで、認知から入社までの採用プロセスと、入社後の定着・活躍・発信までを一貫して管理できます。入社をゴールとせず、入社後の社員が新たな採用の起点となる好循環を生み出すことが可能になります。採用活動を単発のものではなく、継続的な人材獲得の仕組みとして構築したい企業に適したモデルといえます。
| ファネルの種類 | 対象範囲 | 適した場面 |
|---|---|---|
| パーチェスファネル | 認知から内定・入社まで | 採用プロセスの改善、応募数増加 |
| インフルエンスファネル | 入社後の定着・紹介・発信 | リファラル採用強化、社員満足度向上 |
| ダブルファネル | 認知から発信まで全体 | 採用から定着まで一貫した戦略構築 |


採用マーケティングとは何か
採用活動において優秀な人材を獲得することがますます難しくなっている現代では、これまでの採用手法だけでは企業が求める人材に出会えない場面が増えています。そこで注目されているのが、マーケティングの考え方を採用活動に取り入れる「採用マーケティング」という手法です。この章では、採用マーケティングの基本的な定義から、採用ブランディングとの関係性、そして採用マーケティングが必要とされる背景にある採用課題について解説していきます。
採用マーケティングの定義
採用マーケティングとは、採用活動にマーケティングの思考を取り入れた新しい採用概念のことです。マーケティングにおける「顧客」を、採用活動における「入社者」に置き換え、求める人物像が入社に至るよう、戦略的なアプローチを立案し実行します。従来の採用活動が求人広告への掲載や人材紹介会社への依頼といった「待ち」の姿勢が中心だったのに対し、採用マーケティングでは求職者のニーズを分析し、企業側から積極的に魅力を発信していく姿勢が重視されます。入社前から入社後までのプロセスをファネルとして捉え、企業認知度・志望度の向上や自社のファンづくりを目指して施策を打つのが特徴です。
採用ブランディングとの位置づけ
採用マーケティングと混同されやすい言葉に「採用ブランディング」があります。採用ブランディングとは、自社の魅力やカルチャーを継続的に発信し就業イメージを定着させ、求職者に「働きたい」と感じてもらうためのプロモーション施策のことを指します。両者は密接に関係しており、採用マーケティングの中で採用ブランディングの強化が重要な要素となることもあります。採用ブランディングは企業の魅力を発信する活動であり、採用マーケティングという大きな戦略の中の一つの施策として位置づけられます。どちらかが欠けても採用目標の達成が難しくなるため、両方の視点を持って採用活動を進めることが大切です。
少子高齢化がもたらす採用課題
採用マーケティングが注目される最も大きな背景には、少子高齢化による労働人口の減少があります。少子高齢化社会の日本では労働人口が減少の一途です。企業の人材不足が深刻化しており、理想とする人材の獲得が困難になっています。優秀な人材は多くの企業から声がかかる状況であり、採用担当者はターゲットに認知され興味を持ってもらうために、より工夫が求められる状況となっています。こうした環境下では、ただ求人広告を出すだけでは求職者に選ばれることが難しく、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」へと意識を転換する必要があります。また、求職者の価値観や情報収集の手段が多様化していることも、採用マーケティングが求められる要因となっています。


採用ファネルの設計手順と進め方
採用活動を成功させるには、採用ファネルを正しく設計することが重要になります。ここでは、採用ファネルを設計する際の具体的な手順について詳しく解説していきますので、自社の採用活動に取り入れる際の参考にしてください。
自社の分析と競合他社の比較
採用ファネルを設計する最初のステップとして、自社の強みや弱みを明確にすることから始めましょう。採用の全体像を把握しやすくするために、目標を定量化しておくことも重要です。企業文化や働く環境、福利厚生などの自社の特徴を洗い出し、求職者にとって魅力的なポイントを整理します。
同時に競合他社の採用活動についても調査を行い、どのような採用チャネルを活用しているか、どのような訴求ポイントを打ち出しているかを比較検討することで、自社の立ち位置を客観的に把握できます。この分析を通じて、自社ならではの採用戦略の方向性が見えてくるでしょう。
求める人物像の具体化
自社分析が完了したら、採用したい人材の人物像を具体的に定義していきます。単に「優秀な人材」や「経験豊富な人材」といった漠然とした表現ではなく、必要なスキルや経験年数、保有資格などを明確に設定することが大切です。
新卒採用であれば求める学生像、中途採用であれば職務経歴や専門性など、採用区分によって求める要件は異なります。この段階で求める人物像を明確にしておくことで、次のペルソナ設計がスムーズに進められます。また、社内で人物像を共有することで、採用活動に関わるメンバー全員が同じ方向を向いて活動できるようになります。
ペルソナ調査とニーズの把握
ペルソナは、その人物が実在するかのように細かい項目まで設定することで、求める人材へのアプローチの精度を高めることが可能となります。年齢や性別、職種や役職だけでなく、価値観や関心事、趣味や休日の過ごし方、よく利用するデバイスや情報収集の手段まで詳細に設定しましょう。
ペルソナ設定後は、その人物が転職や就職を考える際にどのような情報を求めているのか、どのような不安や悩みを抱えているのかをリサーチします。ペルソナとは、自社が求める人物像を詳細に定義した架空の人物像であり、採用ターゲットに合った母集団形成に不可欠な作業です。求職者のニーズを正確に把握することで、効果的なアプローチ方法が見えてきます。
チャネルとジャーニーを設計
ペルソナのニーズが明確になったら、求職者が自社を認知してから入社を決意するまでの行動プロセスを可視化していきます。採用活動の場合は、求職者が自社を認知してから入社の意思決定をするまでのプロセスとなります。各段階で求職者がどのような感情を抱き、どのような行動を取るのかをストーリーとして描きます。
カスタマージャーニーを設計し図にまとめ、求職者との接点を洗い出すことで、プロセスごとに最適なチャネルを設定できます。求人サイトや企業の採用サイト、SNS、転職エージェント、会社説明会など、ペルソナが利用する可能性の高いチャネルを選定し、各段階で最適な接点を設計していくことが重要です。
採用コンテンツの作成
設計したチャネルとジャーニーに基づいて、求職者に提供する具体的なコンテンツを作成していきます。ペルソナのニーズ調査で得られた情報に加え、採用したい人材がどのようなツールを使っているのかといった点や、行動スケジュールも把握し、ターゲットに合わせたコンテンツにしましょう。
認知段階では企業のビジョンや事業内容を伝えるコンテンツ、興味・関心段階では社員インタビューや職場環境を紹介するコンテンツ、応募段階では具体的な仕事内容やキャリアパスを示すコンテンツなど、各段階に応じた情報を準備します。コンテンツは文章だけでなく、動画や画像なども活用すると効果的です。
PDCAでの継続的な改善
採用ファネルは一度設計したら終わりではなく、継続的に改善を重ねていくことが成功の鍵となります。各段階での応募者数や通過率、辞退率などのデータを定期的に収集し、どこに課題があるのかを分析しましょう。
採用管理システム(ATS)やマーケティングオートメーションツール、データ分析ツールなどを活用すれば、ファネル分析を効率的に行えます。ただし、導入して終わりではなく、継続的にデータをチェックし施策を改善する運用体制が大事です。データに基づいて仮説を立て、施策を実行し、その結果を検証するというPDCAサイクルを回し続けることで、採用活動の精度が高まっていきます。


設計した採用ファネルを分析・評価する方法について解説

採用ファネルを設計しただけでは、採用活動の改善にはつながりません。設計したファネルを実際に運用し、データを収集して分析することで、どのプロセスに課題があるのかを明確にすることが重要です。このセクションでは、採用ファネルの分析・評価方法について具体的に解説していきます。
人数の推移をベースにして各段階を評価
採用ファネルの各段階を評価するには、人数推移に基づいた分析が有効です。認知から興味・関心、応募、選考、内定、入社へと進むにつれて、どのように候補者数が変化しているかを追跡します。各段階で何人の候補者がいて、次のステップに何人が進んだのかを数値で把握することで、ボトルネックとなっている段階を客観的に特定できます。
このような評価を行うためには、各施策における数値管理が不可欠です。採用イベントの来場者数、採用サイトへのアクセス数、SNSのフォロワー数、求人媒体からの応募数など、各タッチポイントでの具体的な数値を正確に記録しましょう。例えば、認知段階では1,000名にリーチできたのに対し、応募段階では50名に減少していた場合、その間のプロセスに何らかの課題があると判断できます。
| 段階 | 人数 | 次段階への移行率 |
|---|---|---|
| 認知 | 1,000名 | – |
| 興味・関心 | 300名 | 30% |
| 応募 | 50名 | 16.7% |
| 選考通過 | 20名 | 40% |
| 内定 | 10名 | 50% |
| 入社 | 8名 | 80% |
現在の採用活動を各プロセスに分布
分析を始めるにあたっては、まず現在行っている採用活動を採用ファネルの各プロセスに当てはめる作業が必要です。認知段階では求人広告やSNS発信、興味・関心段階では会社説明会や採用サイトでの情報提供、応募段階ではエントリーフォームの設置といった形で、各施策がどの段階に該当するかを整理していきます。
この整理を行うことで、現状の採用活動がどのプロセスに集中しているか、または手薄になっているプロセスがないかが見えてきます。例えば、認知段階の施策には力を入れているのに、興味・関心を高めるコンテンツが不足していれば、応募に至るまでの離脱が多くなる可能性があります。各プロセスにバランスよく施策を配置できているかを確認することが重要です。
課題を中心に対策を検討
ボトルネックとなっているプロセスが特定できたら、具体的な対策を検討します。例えば、興味・関心から応募への移行率が低い場合には、応募フォームが複雑すぎないか、求人内容が具体的で魅力的に伝わっているかを見直す必要があります。選考段階で離脱が多い場合は、面接日程の調整がスムーズか、選考期間が長すぎないかなどを確認しましょう。
対策を立てる際には、優先順位をつけることも大切です。最も影響が大きいボトルネックから改善に着手することで、効率的に成果を出すことができます。また、施策を実施した後は、再度数値を測定して効果を検証し、継続的に改善を繰り返すPDCAサイクルを回していくことが、採用ファネルを活用した採用活動の成功につながるポイントです。


採用ファネルを活用するメリットとは
採用活動において成果が出にくいと感じている採用担当者の方も多いのではないでしょうか。応募者数が伸びない、選考段階で辞退者が多い、入社後のミスマッチが起こるなど、課題はさまざまです。採用ファネルを活用することで、こうした課題の原因を明確にし、効率的な採用活動を実現できます。ここでは、採用ファネルを取り入れることで得られる具体的なメリットについて解説していきます。
採用コストの削減が可能
採用ファネルを活用することで、どの段階に課題があるのかを明確に把握できるため、効果的な施策への予算配分を増やし、効果が見込めない施策の予算を削減するなどの対応が可能となります。従来の採用活動では、多くの求人媒体に一律に広告を出稿したり、効果測定をせずに同じ手法を繰り返したりすることで、無駄なコストが発生しがちでした。
採用プロセスを見直すことで、不要な費用を削減できるだけでなく、自社が求める人材に対して集中的にアプローチできるようになり、採用活動全体の費用対効果を高めることができます。認知段階でのアプローチが不足しているのか、選考段階でのフォローが足りないのかを数値で判断できるため、限られた予算を最も効果的な施策に投資できるようになります。
採用のミスマッチ・早期離職の低減
従来の採用活動では、多くの候補者を集め、その中から条件に合う人材を選抜するという方法が一般的でしたが、このやり方では、自社に合わない人材も多数応募してくるため、選考にかかる工数が増えたり、早期離職のリスクが高まったりする可能性があります。採用ファネルを活用すれば、各段階で求職者に適切な情報を提供し、企業文化や働き方への理解を深めてもらうことができます。
採用ファネルを活用して求職者へのアプローチ方法を見直していくことで、効率的な母集団形成や採用ミスマッチの防止にもつながります。興味・関心の段階で自社の魅力や価値観を丁寧に伝え、選考段階では双方向のコミュニケーションを重視することで、求職者が入社後のイメージを具体的に持てるようになり、ミスマッチによる早期離職を防ぐことができます。結果として、採用活動にかかる時間とコストの両方を削減できるでしょう。
潜在層へのアプローチが容易に
採用ファネルの考え方を取り入れることで、すぐに転職を考えていない潜在層へのアプローチが可能になります。採用ファネルは、「認知・興味・検討・応募・選考・採用」の各段階に分類することで、経験や主観に頼らず、採用活動全体を客観的に把握できます。特に認知段階では、今すぐ転職を考えていない層に対しても、自社の存在や魅力を伝えることができます。
SNSでの情報発信や採用ブログ、社員インタビューなどのコンテンツを通じて、潜在層との接点を持ち続けることで、将来的に転職を検討するタイミングで自社を候補に入れてもらいやすくなります。このような中長期的な視点での採用活動は、優秀な人材との出会いの機会を増やし、採用市場での競争力を高めることにつながります。採用ファネルを活用することで、短期的な採用だけでなく、継続的な人材獲得の基盤を構築できるのです。


採用ファネルを取り入れる上での注意点も解説

採用ファネルは採用活動を最適化する有効な手法ですが、導入や運用にあたってはいくつかの注意すべきポイントがあります。適切に活用しなければ、かえって採用活動の効率を下げたり、求職者に悪い印象を与えたりするリスクも存在します。ここでは、採用ファネルを取り入れる際に気をつけるべき点について解説していきます。
間違ったファネル設計を行うリスク
採用ファネルを活用する際、ターゲットの明確化は極めて重要です。企業が求める候補者の特性やニーズを正確に理解し、これに基づいて明確なターゲットを設定することで、効果的な採用活動が可能になります。ターゲット設定が曖昧なまま採用ファネルを設計してしまうと、各段階での施策がずれてしまい、求める人材にアプローチできない可能性が高まります。
また、自社の採用プロセスの実態と合わないファネル設計を行ってしまうと、データの分析や改善が正しく機能しません。新卒採用と中途採用、職種によって求職者の行動パターンは大きく異なるため、画一的なファネル設計では効果が出にくくなります。自社の採用活動の特性を十分に理解した上で、適切なファネルモデルを選択することが求められます。
この段階で情報提供が不足していると、候補者がプロセスから離れてしまうリスクが高まります。各ステージで提供すべき情報の質と量を誤ると、求職者の興味を維持できず、選考途中での離脱につながる恐れがあります。
ファネルのみで採用活動の向上は得られない
採用ファネルはあくまでも採用活動を可視化し、課題を明確にするためのフレームワークです。ファネルを導入するだけで自動的に採用成果が向上するわけではなく、各段階での具体的な施策の実行と継続的な改善が不可欠です。データを収集して分析するだけでなく、その結果をもとに実際の採用活動に反映させるPDCAサイクルを回していく必要があります。
採用ファネルの成功は、データ分析とその後の改善に大きく依存します。収集されるデータを適切に分析し、各段階のパフォーマンスを評価することは、採用活動の質を高める上で不可欠です。単にファネルを設計して終わりではなく、定期的にデータを確認し、課題が見つかった段階で迅速に対策を講じることが重要になります。
また、採用ファネルの各段階で機械的なアプローチを行いすぎると、求職者に冷たい印象を与えてしまう可能性もあります。特に自動化されたメールやメッセージの配信では、求職者一人ひとりの状況や興味関心に合わせた内容にカスタマイズすることが大切です。採用ファネルという枠組みを活用しながらも、人間味のあるコミュニケーションを忘れずに行うことで、求職者との良好な関係を築くことができます。


採用ファネルの段階別アプローチ
採用活動を成功に導くには、採用ファネルの各段階に応じた効果的なアプローチが欠かせません。求職者が企業を認知してから入社に至るまでのプロセスを理解し、それぞれの段階で適切な施策を実施することで、採用の質と効率を高めることができます。この章では、採用ファネルにおける6つの段階について、具体的なアプローチ方法を詳しく解説していきます。
認知
認知のプロセスでは、自社の採用ターゲットとマッチする母集団を形成するために、情報発信やPR活動を行います。この段階では、まだ自社のことを知らない潜在的な求職者に対して、企業の存在や採用活動を行っている事実を知ってもらうことが目的です。
具体的な施策としては、求人広告サイトへの掲載や企業のオウンドメディア、SNSを活用した情報発信が効果的です。また、業界イベントや合同説明会への出展も、幅広い層にリーチするための有効な手段となります。ターゲットとなる求職者がどのような媒体や情報源に触れているかを分析し、最適なチャネルを選ぶことが重要です。
興味・関心
認知を獲得した求職者に対して、さらに自社への興味を深めてもらう段階です。この段階では、企業の魅力を訴求し、理解を深めてもらうことが目的となります。求職者は自分に合う企業かどうかを判断するため、より具体的な情報を求めています。
企業説明会や社員との座談会、動画配信などのイベントを通じて、自社の強みや魅力を伝えることが効果的です。また、採用ホームページやSNSで社内の雰囲気や働く社員の声を発信することで、求職者の関心を高めることができます。この段階では、求職者の視点に立った情報提供を心がけ、企業文化や働きがいを具体的に示すことが大切です。
応募
興味を持った求職者を実際の応募へと導く段階です。興味を示している求職者が応募に至らないケースも少なくないため、応募プロセスをシンプルにし、求職者が行動を起こしやすい環境を整えることが重要です。
応募フォームの入力項目を最小限にする、スマートフォンでも応募しやすいデザインにする、応募方法を複数用意するなどの工夫が効果的です。また、募集要項を見直し、求職者が知りたい情報を分かりやすく提示することも大切です。応募段階での離脱率が高い場合は、応募方法や訴求内容に課題がある可能性を検討しましょう。
選考
選考や内定の段階で求職者から辞退されてしまう可能性もあります。求職者の入社意欲を維持・向上させるために、内定後にも面談を行うなどして、求職者としっかりコミュニケーションを取り続けることが大切です。選考段階では、企業が求職者を評価するだけでなく、求職者からも評価されているという意識を持つことが重要です。
面接官の対応や選考プロセスの透明性、フィードバックの提供などが、求職者の印象を大きく左右します。選考中も定期的に連絡を取り、求職者の不安や疑問に丁寧に対応することで、入社意欲を維持することができます。また、選考スケジュールを明確に示し、スムーズな進行を心がけることも大切です。
内定
内定を出した後も、求職者の入社意欲を高める取り組みが必要です。内定辞退を防ぐためには、内定者との継続的なコミュニケーションと丁寧なフォローアップが欠かせません。内定者面談を実施し、入社前の不安や疑問を解消することが効果的です。
また、競争力のある労働条件や福利厚生を提示することに加えて、企業のビジョンやミッション、入社後のキャリアパスを明確に伝えることも重要です。内定者向けのイベントや懇親会を開催し、既存社員との交流の機会を設けることで、入社後のポジティブなイメージを持ってもらうことができます。
入社
入社段階では、新入社員がスムーズに組織に馴染み、早期に活躍できるような環境を整えることが重要です。この段階での取り組みは、早期離職を防ぎ、長期的な人材定着につながります。入社前の情報と実際の職場環境にギャップがないよう、オンボーディングプログラムを充実させ、丁寧な研修とサポート体制を提供することが大切です。
また、入社後も定期的に面談を行い、新入社員の状況を把握することで、早期に課題を発見し対処することができます。入社した社員が自社の魅力を発信したり、知人を紹介したりすることで、新たな採用につながる可能性もあるため、入社後のフォローは採用活動の重要な一部と捉えるべきです。
| 段階 | 目的 | 主な施策 |
|---|---|---|
| 認知 | 企業の存在を知ってもらう | 求人広告、SNS発信、合同説明会 |
| 興味・関心 | 企業への理解を深めてもらう | 企業説明会、座談会、動画配信 |
| 応募 | 実際の応募行動を促す | 応募フォームの最適化、募集要項の見直し |
| 選考 | 入社意欲を維持する | 丁寧なコミュニケーション、選考プロセスの透明化 |
| 内定 | 内定辞退を防ぐ | 内定者面談、内定者向けイベント |
| 入社 | 早期活躍と定着を促す | オンボーディングプログラム、定期面談 |


ファネルを活かして採用マーケティングを成功させよう
採用ファネルを理解し活用することは重要ですが、それだけでは採用活動の成果を十分に高めることはできません。ここでは、採用マーケティングを成功させるために押さえておくべきポイントとして、採用の目的設定から自社分析、そして具体的な実践方法まで解説していきます。これらのポイントを押さえることで、ファネルを効果的に機能させ、理想の人材獲得につなげることができるでしょう。
採用の目的を明確に示しておく
単に「人手が足りないから」という理由で採用活動を始めるのではなく、「どのようなことを達成(または解決)するために採用活動を行う必要があるのか」を明確にしておくことが大切です。採用の目的が曖昧なままでは、どのような人材を求めているのかが不明確になり、結果として採用のミスマッチが起こりやすくなります。
自社にとって本当に必要な人材を明確にするため、まずは人材を求めている部署にヒアリングをして目標や課題を把握し、そこから採用活動の目的を設定することで、各部署のニーズを正確に反映した採用活動が実現します。目的が明確になることで、ファネルの各段階で発信すべきメッセージや選考基準も自ずと整理され、採用活動全体の一貫性を保つことができます。
自社の分析をしっかりと行う
採用活動を成功させるためには、自社の現状を正しく把握することが重要です。競争が激化する採用市場において、他社との違いを明確にし、求職者に自社の魅力を効果的に伝えるためには、徹底した自社分析が欠かせません。
企業文化や働き方、キャリアパス、福利厚生など、自社ならではの特徴を整理し、競合他社と比較しながら独自の強みを見つけ出しましょう。SWOT分析などのフレームワークを活用することで、自社の強みと弱みを客観的に把握し、求職者にとっての魅力的なポイントを明確にできます。この分析結果をもとに、ファネルの各段階で訴求すべき自社の強みを整理することができます。
アプローチ方法を多様化させておく
採用ファネルの各段階では、求職者が求める情報や利用する媒体が異なります。そのため、複数のチャネルを組み合わせた多様なアプローチ方法を用意しておくことが重要です。認知段階では求人メディアやSNS、興味関心段階ではイベントやセミナー、応募から選考段階では採用サイトやダイレクトスカウトなど、各段階に適した手法を選択しましょう。
限られたリソースの中で採用マーケティングを進めるためには、自社の課題を見失わずに優先順位をつけて取り組むことが重要です。すべてのチャネルを同時に展開するのではなく、ボトルネックとなっている部分を迅速に特定し、その改善に集中することで、効率的に成果を上げることができます。また、各チャネルの効果を測定し、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していくことも大切です。
明確なペルソナを設定・共有しておく
ペルソナを詳細に定義することで、メッセージを発信すべき人材がどのような属性を持っているのかが明確になります。ペルソナ設定では、年齢や居住地などの基本情報だけでなく、職務経験やスキルセット、仕事に対する価値観やキャリア志向、転職活動を行う上での情報源なども具体的に設定しましょう。
ペルソナの設定には、実際にその人材が働くことになる部署の意見を取り入れることをおすすめします。経営層や人事部だけで決定するのではなく、現場の声を反映させることで採用のミスマッチを防ぎ、定着率の向上にもつながります。設定したペルソナは採用チーム全体で共有し、すべての採用活動の基準として活用することで、一貫性のあるメッセージ発信と効果的な人材獲得が実現できます。


まとめ
この記事では、採用ファネルの基本的な概念から設計手順、分析方法、活用メリットまで詳しく解説してきました。採用ファネルは認知から入社まで各段階を可視化し、採用活動の課題を明確にする重要なフレームワークです。適切に設計・運用することで、採用コストの削減やミスマッチの防止、潜在層へのアプローチが可能になります。
少子高齢化による人材不足が深刻化する中、従来の採用手法だけでは優秀な人材の確保が困難になっています。しかし採用ファネルを活用すれば、自社の採用プロセスにおけるボトルネックが明確になり、効果的な改善策を講じることができます。ぜひ本記事で紹介した手順やポイントを参考に、自社に最適な採用ファネルを設計し、継続的な改善を行ってください。貴社の採用活動が成功することを心より応援しています。
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SOKKIN MATCHの運営事務局は、元大手WEB代理店のプロマーケターが運営しているため厳選されたスキル診断によりミスマッチなく最適な案件へのアサインができます。
また、定期的なフィードバック面談や皆様の案件対応へのサポートにより安定したプロジェクト進行が見込め、皆様の持続的な収益拡大へのサポートが可能となります。
お問い合わせは無料で承っております。まずはお気軽にご相談ください。
