「週末行政書士」として副収入を稼げると聞いて、「サラリーマンでも行政書士の副業ができるって本当?」と興味を持ち始めた方もいらっしゃるでしょう。
行政書士は官公署に提出する各種書類作成や許認可申請の代行を行う仕事ですが、多くの企業や個人からニーズがあるため、副業として取り組むことも十分に可能です。
この記事では、週末行政書士の詳細やサラリーマンが行政書士の副業で稼ぐために知っておくべきポイントを紹介します。

週末行政書士になるための実際の流れや成功のコツ、注意点などを詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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行政書士の仕事内容
行政書士は、企業や個人の代理として行政に提出するための書類作成や許認可の申請など各種手続きを行う仕事です。
主な仕事内容は以下の3つがあります。
・行政に提出する書類作成
・各種の許認可申請の代行
・行政手続きに関する相談やアドバイス
書類作成では、契約書類や内容証明の作成、遺産分割協議書や遺言書の作成、法人設立のための書類、外国人が日本に滞在するための手続き代行などがあります。
許認可の申請は、飲食業の営業許可や建設業の許可申請などを代行します。
行政書士の業務範囲は幅広くニーズも高いため、副業で行政書士業務を行う人もいます。平日は本業を行い、土日などの週末に副業として行政書士業務を行うことから「週末行政書士」と呼ばれることもあります。
行政書士は廃業しやすいってほんと?
行政書士は廃業しやすいという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。せっかく事前準備をして行政書士の仕事を始めても、3年以内で9割が廃業するという噂もあるようです。
しかし、総務省が公表している行政書士の登録状況によると、年間の廃業率は約3%というデータがあります。
具体的には、令和4年度時点で行政書士として登録されている人数は約5万人で、令和4年に廃業届を提出して廃業した行政書士は約1,600人となっています。

このように、実際の数字を見てみると、行政書士が特別廃業しやすい職業というわけではないことが分かるでしょう!
行政書士はどういう賃金形態?
週末行政書士として副業をする場合は、クライアントから依頼された業務を行い、案件を達成するごとに報酬を受け取る形態となる場合が多いです。そのため、時給や月給が決まっているわけではなく、1案件ごとに数千円〜10万円程度の報酬を受け取ることになります。
サラリーマンが副業で行政書士業務を獲得するには、クラウドソーシングを活用したり、SNSで情報発信するなどしてインターネット経由で業務を受注することができます。
また、行政書士は行政書士法人や弁護士事務所に雇用されて、「雇われ行政書士」として勤務することもあります。正社員だけでなくアルバイト契約で勤務できる場合もあり、住んでいる地域で短時間勤務のアルバイト求人があれば、副業とすることもできるでしょう。
実際どれぐらい稼げるの?
実際に行政書士業務でどれぐらい稼げるかについては、日本行政書士会連合会のホームページで具体的な金額が公表されています。
令和2年に行われた「報酬額統計調査」から、業務ごとの平均報酬額の例を記載すると以下のようになります。
業務内容 | 1件あたりの平均報酬額 |
自動車登録申請(新車新規) | 7,443円 |
自賠責保険請求 | 106,339円 |
会社設立手続 | 93,878円 |
会計記帳・決算書類作成 | 128,729円 |
知的資産の調査 | 105,333円 |
公的補助金・助成金の受給申請 | 103,098円 |
一般旅券申請 | 21,108円 |
在留資格取得許可申請 | 65,475円 |
遺言書の起案及び作成指導 | 68,727円 |
遺産分割協議書の作成 | 68,325円 |
出典:日本行政書士会連合会「令和2年度報酬額統計調査の結果」
上記のように、行政書士が受け取る報酬は業務内容により様々です。幅広い知識を身に着けて対応できる業務の幅が広がると、獲得できる案件の数が多くなるため稼ぎやすくなるでしょう。
サラリーマンが週末行政書士を始めるまでの流れ
ここからは、サラリーマンが週末行政書士を始めるまでの流れを解説します。
以下の4つのステップで行政書士の副業を始めることができます。
1.行政書士試験を受ける
2.行政書士会へ登録・入会する
3.営業、宣伝を行う
4.仕事の発注を受け実務を行う

それぞれのステップを具体的に見ていきましょう。
行政書士試験を受ける
行政書士の仕事を行うためには行政書士の資格を取得する必要があります。本業の場合はもちろんですが、副業として行政書士業務を行う場合も同様です。
行政書士の資格を取得するためには、行政書士試験を受験して合格する方法が一般的です。その他に、弁護士や税理士、公認会計士の資格を取得すれば行政書士試験を受けなくても行政書士になれますが、サラリーマンが副業として行うにはハードルが高いでしょう。
行政書士会へ登録・入会する
行政書士試験に合格したら、次に行政書士会への登録と入会を行います。試験に合格するだけでは行政書士として仕事をすることはできないため注意しましょう。
登録方法としては、まず行政書士として開業をする都道府県の行政書士会に、行政書士登録申請書を始めとした書類を提出します。準備すべき書類や入会金の金額は地域によって異なりますので、各都道府県の行政書士会ホームページで調べておきましょう。
営業、宣伝を行う
行政書士会に登録完了すれば、行政書士として業務を行うことができます。案件を獲得できれば報酬が発生しますので、営業や宣伝を行い集客をしていきましょう。

行政書士業務は幅広くあるため、まずは自分が対応可能な業務範囲を決めて、それに適した集客方法を工夫することが大切です。

先生は何から始めればいいと思いますか?

たとえば、対応可能な業務や料金、実績をアピールするホームページを作成して宣伝したり、SNSで情報発信して集客する方法があります。また、行政書士向けの案件マッチングサイトやクラウドソーシングを利用して案件を獲得するのもよいでしょう!
仕事の発注を受け実務を行う
仕事の発注を受けたら実務を行いましょう。案件をこなして報酬を受け取るところまで進めば、行政書士の副業のスタートがきれたことになります。
行政書士試験に合格している時点で業務に必要な知識はすでに身に付いていますが、実務経験を積んで業務に慣れることも重要です。最初は簡単な副業向けの案件から始めて、少しずつ経験を積み上げていくようにしましょう。
サラリーマンが行政書士の副業をするメリット
次に、サラリーマンが行政書士の副業をする4つのメリットについて見ていきましょう。
収入源を増やせる
行政書士の副業をすることで、本業の給料以外の収入源を増やせることが第一のメリットです。
サラリーマンの仕事は比較的安定していますが、今後も今の仕事を必ず続けられるとは限りません。病気や怪我で働けなくなったり、勤務先の倒産などで働けなくなる可能性もあるでしょう。副業で収入源を増やしておくことで、万が一のときにも余裕が生まれます。
将来の選択幅が増える
副業をすることで将来の選択肢が増えるというメリットもあります。
副業で行政書士の仕事を始めることで、本業を続けながら行政書士業務の実務経験を積むことができます。今後もサラリーマンの仕事を続けるという選択肢もありますし、将来は行政書士を本業として独立するという選択肢もあるでしょう。
行政書士の仕事を始める際に、先に本業を退職してしまうと、実務経験がない状態で開業することになってしまいます。実際に事務所を経営してみるとうまくいかず、やむを得ず廃業してしまうという可能性もあります。

まずは本業を続けながら、副業として行政書士を始めて、知識や経験を深めながら将来の選択肢を増やしましょう!
失敗しても影響が少ない
行政書士の仕事を副業として始めることで、万が一失敗しても影響が少なくなります。
実際に行政書士の実務を行ってみると、想像していたより案件を獲得することが難しかったり、必要な金額を稼ぐための労働時間が長くなってしまうということもあります。
もし行政書士の仕事を本業にするのは難しいと感じたとしても、副業ならば大きな影響は受けずにすみます。本業はこれまで通り続けるため必要な収入は得られるため、生活に困ることはないでしょう。
副業としての行政書士の仕事が失敗した場合でも、本業一本の生活に戻したり、行政書士以外の副業にチャレンジしてみるなど、次のステップに進むことができます。

行政書士の仕事に興味があるけど、いきなり独立するのは不安があるという人は、まずは副業として週末行政書士から始めてみるとよいでしょう!
フレキシブルに働くことができる
行政書士の仕事はフレキシブルに働けるのも大きなメリットです。
行政書士は法律の専門知識をもとに書類の作成を行ったり手続きの代行を行う業務が多いため、在宅で働けるというメリットがあります。自宅のパソコンで業務を行い、案件の獲得やクライアントとのコミュニケーションもインターネットを通じて行うことができます。
働く時間も自由度が高く、クライアントと面会したり、手続きのために官公署に行く時間以外は、基本的には好きな時間に働けます。

本業が忙しい時期に残業や休日出勤があったとしても、副業の労働時間はフレキシブルに調整しやすいため、両立しやすいのがメリットです。
サラリーマンが行政書士の副業をするデメリット
一方で、デメリットも存在します。以下では、サラリーマンが行政書士の副業をするデメリットをいくつか紹介します。
安定的な仕事を得ることが難しい
行政書士の副業を始めてすぐの段階では、安定的な仕事を得ることが難しいケースが多いため注意が必要です。
行政書士の仕事にはニーズがあるのは確かですが、多数の経験豊富な行政書士が活躍していることもあり、実績がない状態では思うように案件が獲得できない可能性が高いです。案件を獲得できたとしても、継続的な依頼にならず短期間で終わってしまうこともあるでしょう。
本業への支障が出る可能性がある
行政書士の副業の事情で本業へ支障が出る可能性がある点にも注意が必要です。
行政書士業務では官公署の手続きやクライアントとのやり取りがあるため、本業の勤務時間でスケジュール調整が必要になる可能性があります。たとえば、本業の出勤日の休憩時間に副業の用事で時間を取られるといったケースが出てくるかもしれません。
また、副業のメインの労働時間は本業の休日か、または本業の業務終了後の夜の時間帯になるため、副業に熱中しすぎると休む時間がなくなってしまいます。
平日昼間(=官公署の空いている日時)に時間を取らなければならない
行政書士の重要な業務内容には官公署での手続きの代行がありますので、基本的には官公署が開いている平日昼間に時間を取る必要があります。地域にもよりますが、基本的には平日9:00〜17:00のいずれかの時間帯に手続きが必要になるため注意が必要です。
平日の昼間に一切時間が取れないならば、行政書士として受注できる業務の幅が狭くなってしまいます。また、案件によってはクライアントと面会したり通話することもあるため、平日に時間調整ができなければ不都合が出る場合もあります。
行政書士として副業をする上での注意点
次に、行政書士として副業をする上で気をつけておきたい3つの注意点を解説します。
まずは本業の就業規則をチェック!
まず、副業を始める前に、本業の勤め先で就業規則をチェックする必要があります。
政府が進める働き方改革の影響で副業を許可する企業が多くなっていますが、一部の企業では就業規則で副業が禁止されている場合があります。無断で副業を行い、バレてしまうと懲戒処分の対象となったり、減給や解雇など大きなトラブルに発展する可能性もあります。
また、副業が許可されていても、事前に担当者への申請を行い、正式に承認を得てから始めなければならない企業もあります。

誰にも話さず隠れて副業をしても、税金や社会保険の手続きでバレるケースも多くあるためおすすめできません。まずは就業規則で禁止されていないことをしっかりと確認し、安心して副業を始められるようにしましょう!
行政書士会への登録等に費用がかかる
行政書士として仕事をするには、資格を取得するだけでなく行政書士会への登録が必要です。登録時に費用がかかるため事前に把握しておきましょう。
具体的には、以下のような費用が必要です。
・行政書士会への登録費用
・入会金
・月会費
・登録免許税
・バッジ代
副業=手を抜いていいではない
行政書士の仕事には大きな責任が伴います。副業だから手を抜いていいということではないため注意が必要です。
行政書士の業務はクライアントの官公署での大切な手続きを代行するため、少しのミスでも大きな迷惑をかけてしまいます。本業との両立で疲れが溜まってしまい、ミスが起こると行政書士としての評判にも影響してしまうでしょう。
本業が忙しくて案件の着手が遅れたり、こまめな連絡ができなくなることでクライアントを不安にさせてしまうケースもあります。

副業だから優先度が下がってしまうといった事情は、仕事を依頼してくれるクライアントからすると関係のないことです。行政書士として仕事をするなら、たとえ副業であっても責任を持って手を抜かずに取り組むようにしましょう!
まずは副業に割ける時間はあるかチェック!
行政書士の副業を始めるにあたって、まずは副業に割ける時間はどのくらいあるか、平日と土日のそれぞれどの程度の時間が取れるか詳細にチェックしましょう。
すでにお伝えしたように、行政書士の業務では官公署が開いている平日昼間に時間が必要になるケースも多くあります。まずは平日の9:00〜17:00に時間が取れるか検討してみて、時間が取れないなら官公署での手続きを伴わない業務のみを対象にする必要があります。
サラリーマンが週末行政書士を成功させるためのコツ!
ここからは、サラリーマンが週末行政書士を成功させるためのコツを解説します。
以下の5つのポイントをおさえて副業に取り組むことで、週末行政書士が成功しやすくなるでしょう。
まずは自分のペースで!
行政書士の副業を始める初期の段階では特に、自分のペースで副業を行うことを意識することが大切です。
まず本業で生活のゆとりを作り、安心して副業をスタートできるほどの心身と時間の余裕を作りましょう。本業の仕事が安定していない状態で副業も始めようとすると、お互いに支障が出てどちらも上手くいかなくなる可能性があります。
副業をスタートした後も、一気に仕事を増やすのではなく自分のペースを把握することが大切です。実際に業務に取り組んでみると想像していたより大変に感じるというのはよくあることです。

最初は初心者向けの案件をマイペースで少しずつこなしながら、慣れてきてから徐々に収入を増やしていくようにしましょう!
自分の専門分野の業務に特化!
行政書士の副業に慣れるまでは、自分の専門分野の業務に特化して案件を探すことが重要です。行政書士の業務範囲は幅広く多岐にわたるため、全てに対応しようとすると不得意な分野の案件を抱えてしまうリスクがあります。
得意分野の業務は知識や経験が身に付きやすく、自信を持って取り組めるため、行政書士としての実績作りに適しています。
SNS運用、クラウドソーシングで宣伝!
行政書士の案件探しをネット上で行うことで、手間やコストを削減しながら効率的に仕事を獲得できるようになります。
行政書士としてのSNSアカウントを開設して、重点的に取り組んでいる業務範囲の情報発信をすることで、SNS経由で案件を獲得できる場合があります。自身のWebサイトを作成してSNS投稿から誘導するのも効果的です。
また、行政書士業務はクラウドワークスやランサーズなどのクラウドソーシングでも受注可能です。

行政書士として対応可能な業務をプロフィールに登録して、法人・個人からの依頼を獲得しましょう!
小さなトラブルも回避する仕組み作り!
副業が軌道に乗ってきたら、徐々に案件の獲得量を増やすことで収入アップに繋がります。ただし、業務量が増えるとミスが発生するリスクも高まるため、小さなトラブルも回避する仕組み作りを行いましょう。
例としては、以下のような仕組みづくりが考えられます。
・対応可能な業務範囲を明確にし、できない依頼はお断りする
・料金や報酬のトラブルを避けるため、契約時に金額を明示する
・契約書などの書類を作成し、口頭だけでなく書面で取り交わす
・業務記録や依頼者との連絡の記録を保存する
・業務用とプライベートの連絡先を分ける
上記のような仕組み作りを行い、業務ルールとして守ることで、トラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
初心者でも取り組みやすい業務まとめ!
行政書士としての仕事を始めたばかりの段階では、初心者でも取り組みやすい業務のみを対象にするのがおすすめです。まずは簡単な案件で実績を作り、業務に慣れてきてから少しずつ対応範囲を広げていきましょう。
たとえば、副業として取り組みやすい業務の例として車庫証明業務があります。依頼主と書類のやり取りをネット上または郵送で行い、必要な手続きを行うだけなので本業にも影響が出にくいでしょう。また、宅建業免許の申請や飲食店営業許可の申請業務もスケジュール調整がしやすいため初心者向けの案件です。
また、近年では日本に滞在して就労する外国人が大幅に増えていることから、在留資格の取得申請や更新、永住許可申請などの手続きは、案件を獲得しやすく初心者に向いています。
まとめ
この記事では、サラリーマンが行政書士の副業をする方法について詳しく解説しました。
行政書士の資格を取得すれば、本業が会社勤めのサラリーマンでも、休日など空いた時間を活用して週末行政書士の副業ができます。
週末行政書士を始めるために大きな初期費用は必要なく、法律関係の知識を身に付けながら収入を増やせるのがメリットです。行政書士は業務時間の調整がしやすく、在宅で仕事ができますので、本業に支障が出ないようフレキシブルに働けるのもよいところです。
ただし、官公署が開いている平日昼間に時間を確保する必要があることや、実績ができるまでは安定して仕事が見つからない場合があるなど、いくつか注意点もあります。最初から大きく稼ごうとせず、自分のペースで知識や実績を積み上げ、副業向けの取り組みやすい案件から始めるようにしましょう。

ぜひこの記事でまとめたことを参考にしていただきながら、週末行政書士を選択肢のひとつとして、自分に合った副業を検討してみてください。
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