鍼灸師は国家資格を取得しなければ従事できず、あはき法に守られた特殊な職業といえるでしょう。そのような鍼灸師にも2018年から解禁になった副業の波が押し寄せており、副業を始めてみたいという人が増加中です。
しかしその一方で「鍼灸師は副業してもよいのか」「副業の探し方がわからない」といった疑問・不安を抱えている人も少なくありません。

本記事では鍼灸師の副業事情について解説します。鍼灸師の副業の可否・メリット・デメリット・探し方などを網羅して紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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鍼灸師って副業OK?
2018年の副業・兼業解禁を受けて、鍼灸師の間にも副業に興味を持つ人が増加しています。しかし副業してもよいのかわかず、はじめの一歩を踏み出せずにいる人も少なくありません。
公務員のように副業が禁止されている職種・業界も一部ありますが、大半の仕事については副業・兼業が認められており、鍼灸師もその対象です。そのため、本業で鍼灸師として仕事をしながら、副業としてほかの仕事をしても法律的な罰則はありません。
就業規則を確認しよう
本業で鍼灸師として従事しながら副業することは、原則としては可能です。
ただし厚生労働省が公開している副業・兼業に関するガイドラインでは、情報漏えい・従業員の労働環境といった明確な理由がある場合には就業規則によって禁止することが認められています。
鍼灸師の副業の目的
鍼灸師の副業の主な目的として、以下のようなものがあげられます。
・スキマ時間の有効活用
・開業資金確保
・転職準備
それぞれの副業目的を詳しく確認していきましょう。
▼ こちらで副業でいくらまで稼いでいいのかを解説しています。

収入アップのため
本業で鍼灸師を営む人が副業する主な理由のひとつとして、収入アップがあげられます。
厚生労働省が運営する「job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))」によると、はり師・きゅう師の平均年収は令和5年度分のデータから約459万円だったそうです。
ちなみに、国税庁が公開している給与所得者の令和5年度の平均年収は460万円でした。
平均年収だけでみると、給与所得者のそれと大差がありません。しかし鍼灸師は、国家資格が必要なあはき法に守られている専門職です。その点を考慮した場合、給与所得者とあまり変わらない年収を低いと感じる人もいるでしょう。
生活にゆとりを持たせたいといった理由から、収入をアップさせるために副業を始める鍼灸師は意外と多いのが現状です。
スキマ時間を有効活用するため
スキマ時間の有効活用を目的として、副業をする鍼灸師もいます。
鍼灸師の勤務形態などにもよりますが、スキマ時間が多いケースも少なくありません。その時間を活用して副業を始めれば、新たな能力の開花・スキルアップといったメリットが得られるでしょう。
また副業を通じて人との縁が新たにできたり、視野が広がったりすることもあります。そこから、予想していなかったビジネスチャンスが生まれる可能性もゼロではありません。

このようにスキマ時間を有効活用して副業をすると、さまざまなメリットが得られます。これらの可能性を期待して副業をする鍼灸師もいるのです。
開業資金を貯めるため
開業資金の確保も鍼灸師が副業する理由のひとつといえるでしょう。自分の医院・クリニックを開業するには、膨大な資金が必要だからです。
医院・クリニックの規模などにもよりますが、テナント料だけで100万円を超えるケースも少なくありません。また、開院する際にはテナント料だけではなく、さまざまな設備も必要です。これらの資金を確保するために、本業の収入だけでは足りないと感じる人は多いでしょう。
「少しでも早く開業資金を貯めたい」「開業資金確保の収入源は別にしておきたい」といった理由から、本業の鍼灸師とは別に副業をスタートするケースもあります。
転職に向けて準備するため
転職準備のために副業する鍼灸師もいるでしょう。副業で腕を試せば、失敗してもリスクを最小限に抑えられるからです。
副業の選択肢は、鍼灸師を含む医療業界に限りません。IT・サービス業といった畑違いの業界での副業も可能です。しかし未経験・初心者で挑戦すると、失敗・挫折などのリスクがあります。本業として転職した後に自分には向いていないと分かった場合、収入源が絶たれてしまう可能性もゼロではありません。
このように鍼灸師のなかには、転職を視野に入れて副業する人もいます。
鍼灸師の副業のデメリット
本業で鍼灸師として活躍しながら副業する際には、以下のデメリットが発生することも考慮してください。
・本業のパフォーマンス低下
・確定申告・税金
それぞれのデメリットについて確認していきましょう。
オーバーワークの危険
本業で鍼灸師をしながら副業する場合、オーバーワークになる危険性があります。副業を始めることで、労働時間が増えるからです。
・家族・友人知人との時間
・自己啓発
鍼灸師は、体力と集中力が求められる仕事です。オーバーワークが原因で体調が崩れてしまうと、これらが低下する可能性があります。
また休息時間は、自宅でダラダラ過ごす時間とは限りません。家族・友人知人と過ごしたり、スキルアップをしたりするために必要な時間でもあります。これらの時間が減少すると、家族・友人知人と疎遠になったり鍼灸師としてのスキルアップが困難になったりするかもしれません。
本業のパフォーマンスの低下
本業のパフォーマンス低下も、副業のデメリットといえるでしょう。鍼灸師は施術の際に体力と集中力が求められるからです。

例えば、副業の稼働時間が大幅に増加したとしましょう。本業時間を削るわけにはいきませんから、必然的に休息時間を削ることになります。すると、疲労がたまって集中力が低下する可能性は高くなるでしょう。
集中力が低下した状態で施術をすれば、治療で失敗するかもしれません。また失敗とまではいかなくても、満足してもらえる施術ができなくなるリスクは高まるでしょう。
本業のパフォーマンスが低下しないように注意しながら、副業を行ってください。
確定申告や税金の負担
確定申告・税金の負担についても、考慮しておかなければなりません。
本業で鍼灸師として活躍しながら副業をする場合、副業の年間所得額が20万円を超えると確定申告が必要です。このボーダーラインの金額はあくまで所得額であり、年間収入額ではない点に注意してください。副業収入から、その収入を得るために発生した経費を差し引いた所得額が20万円を超えた場合に限ります。
確定申告は原則として毎年2月16日〜3月15日の1カ月間実施されているので、ボーダーラインの金額を超えた場合は忘れず確定申告をしてください。
また副業先で雇用契約を締結している場合、以下の条件を満たしてしまうと保険料の負担額が増加します。
・給与が月額8.8万円以上
・2カ月を超えて働く予定あり
・学生以外
(参考:従業員のみなさま | 社会保険の加入条件やメリットについて|厚生労働省|社会保険適用拡大 特設サイト)
上記4つの条件をすべて満たすと副業先でも社会保険加入の対象となり、年金事務所または事務センターに届出書を提出しなければなりません。保険料の負担額も増加するので注意しましょう。
鍼灸師におすすめの副業
鍼灸師におすすめの副業をいくつか紹介します。
訪問鍼灸師として活動する
訪問鍼灸師とは、老人ホームなどの施設や個人宅に出向いて施術をする仕事です。
実店舗を持たずに活動できるので、副業としてスタートする際のコストが抑えられます。また、スキマ時間を活用して稼働できるので本業との両立もしやすいといえるでしょう。
このようなリスクを回避するためにも、訪問鍼灸師として活動する際は本業から離れた場所を選択してください。
▼ こちらで20代におすすめの副業を解説しています。

鍼灸師の資格を活かした在宅ワークを行う
鍼灸師の資格を活かした在宅ワークもおすすめです。
例えば鍼灸師の資格・知識を活かしたWebライターなら、スキマ時間を活用して活動できます。監修を担当する際には顔出しする必要性が高まりますが、コンテンツを自分で作成する際には匿名での活動が可能です。そのため、本職に副業を知られるリスクは軽減できるでしょう。
またスキルシェアサイトを利用して、鍼灸師を目指す人の講師を務める副業もあります。料金・稼働時間などを自分で設定できる点がメリットです。
他の鍼灸院で掛け持ちバイトをする
他院で掛け持ちバイトをする方法もあります。求人サイトで検索すると掛け持ち可能な鍼灸院・整骨院があるので、応募してみてはいかがでしょうか。
検索時には、以下の点に注目することをおすすめします。
・社会保険や福利厚生の充実性
・未経験者の可否(他業種の場合)
あくまで副業であることを考慮して、シフトの調整ができるかどうかの確認はしておくことをおすすめします。
異なる業界のバイトをしてみる
異なる業界のバイトをしてみることも、副業でおすすめです。仮に失敗したとしても、経済面でのリスクが低いからです。
本業の収入があるので、副業で思うような結果が得られなくても負担・リスクはあまり大きくなりません。生活面への影響も少ないでしょう。
これを逆手にとって、経験したことがない業界に副業でチャレンジしてみてはいかがでしょうか。思わぬ才能が開花して、本業へのシフトチェンジが可能になるかもしれません。
▼ おすすめのアルバイトはこちらの記事で紹介しています。

鍼灸師の副業の探し方
副業を探す際のポイントについて紹介します。
副業する目的を明確にする
副業を探す前に、目的を明確にしましょう。副業では、すぐに思うような収益が得られない可能性があるからです。
どのような職種・業界を選ぶかにもよりますが、副業のなかには充分な収益が得られるまで時間がかかるケースも少なくありません。「労力に対して報酬が見合わない」と感じることもあるでしょう。このような状態が長期にわたって続くと、副業を辞めようという気持ちが強まります。
目的を明確にしておけば、思うような結果が得られなくても高いモチベーションの維持がしやすくなるでしょう。

副業は継続させなければ充分な収益化は期待できません。そのためにも、目的を明確にしておくことをおすすめします!!
稼働時間や金額条件などを把握する
副業の案件・仕事を契約する際には、稼働時間・金額などの条件を把握しておくことが重要です。
契約を締結してから「思っていた内容と違う」「こんなはずではなかった」は、通用しません。このような行き違いがないように、締結する前に公開されている条件の把握と確認・交渉が必要です。
例えば稼働時間の場合、残業についての条件もあわせて確認しておいたほうがよいでしょう。その際には残業代の金額・計算方法なども忘れないでください。
好きなことやスキルが活かせるかで選ぶ
好きなこと・スキルが活かせるかどうかも、副業を探すうえでの重要なポイントです。
特技・好きなこと・スキルを副業で活かせれば、思うような結果がすぐに得られなくても高いモチベーションを維持しやすくなるでしょう。また、これらが活かせる環境なら予想より早く高収入が得られるかもしれません。

特技・好きなこと・スキルは、これまでの経験を振り返ってみることが重要です。それぞれの項目にわけて過去を振り返り、紙に書き出していきましょう。家族・友人知人・同僚に聞いてみることもひとつの方法です。
これらの把握は副業での職種・業界の選択時に役立ってくれるので、時間をかけて丁寧に行ってください。
副業成功のための必須スキル
副業成功のためにあったほうがよいスキルを紹介します。
時間管理能力
時間管理能力は、副業成功に欠かせないスキルといえるでしょう。副業を始める際には、以下の3つを考慮する必要があるからです。
2.休息時間
3.副業の稼働時間
鍼灸師の仕事は体調管理が重要なので、休息時間も含めるようにしてください。
上記3つを優先順位も含めて時間管理をしなければ、本業に悪影響を及ぼします。副業での仕事・案件が増加すればさらに管理しなければならないタスク時間は増加するでしょう。
セルフプロモーション力
セルフプロモーション力も、副業を成功させるためのスキルとしてあげられます。副業は本業とは異なり、待っていても仕事・案件が舞い込むことは少ないからです。
スキル・経験・特技を相手に伝えなければ、クライアントは仕事を依頼しようと思うことは少ないでしょう。
自分の強み・弱みを正確に把握し、言語化してクライアントに伝えることで副業の案件・仕事が獲得できます。あらかじめいくつかのパターンのプロモーション方法を作成し、セルフプロモーション力を上げる努力をしましょう。
顧客獲得力・伝達力
顧客獲得力・伝達力も副業を成功へ導くための必須スキルです。
顧客を獲得しなければ、副業で収益は得られません。獲得するためには前述したセルフプロモーション力も重要ですが、顧客のニーズに合わせたサービスを提供することが重要であり、そのためには市場調査などもしたほうがよいでしょう。
このような理由から顧客獲得力・伝達力は、副業を成功させるための欠かせないスキルといえるでしょう。
鍼灸師の副業はバレる?
鍼灸師が副業をした場合、本業の勤め先にその事実が知られてしまうのか疑問・不安を抱えている人もいるかもしれません。

結論から申し上げますと、基本的にバレます。ただし、就業規則にて副業が推奨・許可されている場合は、その事実を知られても特に問題は起こらないでしょう。
しかし本業の勤め先が副業を禁止している場合は、就業規則にて禁止している事実とともにペナルティの内容も明記されているはずです。主なペナルティの内容として、減給・停職・解雇などがあげられます。禁止しているにもかかわらず副業をしてその事実がバレると、このようなペナルティが科せられてしまうので注意してください。
本業の勤め先に副業している事実が知られてしまう事実について、以下で確認していきます。
▼ こちらの記事では、違反した社員を会社目線で解雇可能かどうかを解説しています。

住民税の金額の増加でバレる
住民税の金額から、本業に副業をしている事実を知られてしまうかもしれません。
本業での収入に対して住民税の納税額が多かった場合、副業していると疑われる可能性は高くなるでしょう。
社会保険の変更でバレる
社会保険も、本業に副業の事実を知られてしまう原因のひとつです。
副業先の勤務先で社会保険の加入条件を満たしてしまうと、二重加入することになってしまいます。その際、本業にもその事実が通達されるので知られてしまうのです。
SNSでバレる
本業に副業している事実を知られたくない場合は、SNSの取扱いにも注意しなければなりません。
SNSは誰でも利用できるサービスであり、発信内容を誰もが閲覧できる状態にしているとそこから本業に知られてしまう可能性があります。
誰が見ているかわからないことを考慮して、SNSでメッセージなどを発信する際には内容に注意する必要があります。個人を特定されないように気をつけましょう。
まとめ
鍼灸師の副業事情について解説しました。
法律上は鍼灸師が副業しても問題ありません。しかし本業が就業規則にて禁止している可能性があるので、事前に確認しておきましょう。

本記事で紹介した副業におけるメリット・デメリットなども参考にして、鍼灸師としての本業と両立させながら副業をしてください。
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